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シーザー亡き後、ローマ帝国独裁の野望を秘めるアントニーはエジプトの女王クレオパトラと恋におちる。妖女の意のままになったアントニーはオクテイヴィアスとの大海戦に敗れ、クレオパトラ自殺の虚報を信じて自殺する……。多様な事件と頻繁な場面転換を用い、アントニーとクレオパトラの情熱と欲情を描いて四大悲劇と並び称される名作である。
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Posted by ブクログ
クレオパトラ 今のは嘘だとお言い、そうしたら、領地をやろう、よい身分に引き立ててやろう。痛い目に合わせた代りに、私を怒らせた罪は帳消しにしてあげる、それどころか、何でもよい、身の程を弁えた望みなら、必ず叶えてあげよう。 使者 御結婚の話は嘘ではございませぬ、女王様。 2015/07/24-07/30
クレオパトラ「シーザーは神にも等しいお方…私の名誉は進んで与えたものではない、あながちに奪い取られたものなのだ。」〜エノバーバス「(傍白)真偽の程はアントニーに訊いてみよう。大将、水漏りが大分ひどくなってきましたな、こうなっては沈没を見殺しにするほかはない、一番大事にしておいでだった方が逃げ出そうと...続きを読むいうのですからな…」〜ああ、アントニー。
新潮社が出版している他のシェイクスピア作品とは異なり、注釈が無く、読みやすそうだったので借りた。事実、他の作品と違い、読んでいるうちに筋を見失うことは無かった。 ふたりとも如何にも感動的に死んでいくが、それまでの行動があまりにお粗末なので陳腐に感じられる。それは解題、解説の通り、偉大さを描いた後に必...続きを読むず卑小さを描くという手法によって、ふたりの『キャラクター』よりも『人間性』を際立たせるためだったのだろう。
『ジュリアス・シーザー』にてブルータスらに暗殺されたシーザー。彼の死後、ローマの政権は、後継者となつたオクテイヴィアス、マーク・アントニー、レピダスの三頭政治が敷かれてゐました。しかしアントニーはエジプトの女王・クレオパトラの色香に迷ひ、ローマを蔑ろにしてエジプトに入り浸りであります。オクテイヴィ...続きを読むアスがポンペイとの戦に難儀してゐるのに、手を貸さうとさへしません。妻ファルヴィア(実際には登場しない)の死去を伝へられて、漸くローマへ帰るのでした。 アントニーはオクテイヴィアスとの仲を強固にするため、オクテイヴィアスの姉・オクテイヴィアを妻に迎へます。政略結婚。しかしそれを聞き及んだクレオパトラは激昂し、嫉妬に狂ひます。 一旦オクテイヴィアス側とポンペイ側で和解が成立しますが、野心を持つオクテイヴィアスはその後ポンペイを襲撃、これを亡き者にし、更に三頭政治の一角・レピダスも失脚させます。オクテイヴィアスの天下。 これによりアントニーとオクテイヴィアスの間には確執が深まり、身を案じたオクテイヴィアは弟の許へ帰ります。同時にアントニーはクレオパトラの待つエジプトへ。 オクテイヴィアス軍対アントニーとクレオパトラ連合軍の戦が遂に開始されますが、腹心の裏切りなどもあつて、アントニーは劣勢です。精神状態も最悪な彼はクレオパトラを散々罵倒し、クレオパトラは引き籠る。 彼女はアントニーの愛情を確かめんと、自分の死をアントニーに伝へさせます。それを信じたアントニー、絶望して自刃に及びますが果せず、瀕死の状態。実は女王の死は虚報であることを聞き、彼女の許へ自らを運ばせます。そこで二人は、最後の対面を果たすのでした...... 『ジュリアス・シーザー』ではあのブルータスに引導を渡した英雄・勇猛果敢なマーク・アントニーが、ここでは情けなくも一国の女王にデレデレになる醜態が描かれます。しかも中年になつてからの色恋沙汰は何かと面倒であります。『ロミオとジュリエット』では純情な青年と少女の純愛が観客の心を打ち、すれ違ひの悲劇に涙するのですが、これはちよつと、涙は出ませんねえ。 クレオパトラは嫉妬の塊。例へばアントニーがローマへ立つ前の駄々ッ子ぶり。分別のない若い娘でもかうは言ひますまい。一方アントニーもうんざりした様子を見せながらも、結局二人は離れられない。お互ひ愚痴つたり罵り合つたりしながら、それを愉しんでゐる風にも取れる程、二人は成熟した大人なのでした。 沙翁作品としては若干長めですが、それを感じさせぬスピーディな展開、政争に明け暮れる男たちの陰謀ぶりを描いて、一気に読める作品であります。ま、四大悲劇に比肩しうる、との評は分かりませんが。
解説から引用 「アントニーとクレオパトラにとって、人生の移ろいやすさはわかりきったことであり、数多くの変化を目のあたりにしてきた彼らを今更何の変化も驚かすことはできない。人生の移ろいやすさこそ移ろいゆくことのない唯一のものなのだ。」 というような解釈をとるもとらないも多様である というのが小説や演劇...続きを読むと違う戯曲というもの 史劇としてはアクティウムの海戦における動機は本筋でないのが残念
シェイクスピアの悲劇の終わりを告げる作品。 ジュリアス・シーザーと同様に、伝説や物語ではなく、英雄の生き様を追うという点で、他の喜劇や悲劇とはまた性格の異なったものとなっている。 人間が生きて死ぬことを追っていくということは、その一生にどのような意味づけを見いだすかで大きくその姿を変える。しかも、今...続きを読む回はワールドワイドに動く世界で、ローマとアレクサンドリアという趣きの異なる世界の行き来。場所だけでなく、人間も、三頭政治の世界からクレオパトラの世界、甘い宴の世界と、激しい戦争の世界と、緩急が綴れ織りのようにやってくる。とてもじゃないけれど、ひとつの劇で収まる規模の話ではない。それをひとつの舞台の中でまとめあげるのは、とてつもない工夫や間が重要ではないのかと思う。 こんなにひとと世界が動いているにもかかわらず、もう最初から瓦解が見えていて、そんな世界の動きもどこか冷めて見えてしまう。淡々と時間が流れて、定められた出来事が流れていくよう。 誤解やもつれ、ズレから生じる悲劇と喜劇の世界とは異なり、黄昏に佇み、暗い夜を待つだけの人物の姿が、シェイクスピアの他の劇の登場人物にあまり感じられない、独特の人物の深みを出していると感じられる。若い溌剌としたアウグストゥスからは、アントニーやクレオパトラが持つ、絡まる思惑と利権、政治の人間模様の中で生きてきた人間から漂う哀しさと運命への抗いを願う力強さが感じられない。 この悲劇が悲劇たるところは、ずれやもつれから本人の意図したことが意図せぬ方向へいってしまったことによるものではなく、終わりを終わりと自覚しながらも、終わりに向っていくことに耐えきれず、叫びをあげたくなる、そういうところにあるのだと思う。運命は運命で、それを捻じ曲げることは誰にもできない。すべては起こるべくして起きている。起きることだけが起きている。けれど、どういうわけか、人間には、「もしかしたら」と、考えることができてしまう。だからこそ、生きて死ぬということの不可解さが忍び寄ってくる。絶えず、可能性が人間に語りかけては揺さぶる。そうやって生きて死ぬことが悲しくも見え、また、力強い輝きを放つようにさえ見える。
あまり面白くなかった気が、、、私の読み方が悪いのかもしれないけど、やや無理やり感を感じた。 やっぱり、マイナーな作品だからかなぁ、、、
中年ならではの男女関係、人生観を、本作を通して味わえる。純愛ではない恋愛(というよりは不倫)、年齢を重ねた末に感じたことなど、若者の価値観と、どの点で違うのかを念頭に読むと、この話を楽しめるかもしれない。
飛び飛びで読んでしまった、、 現代の生き方にも参考となるような悲劇的な作風。 現実的な和訳が身に染みる。
二人は惹かれ合ってるが、ロミオとジュリエットのような一途さは無い。物語も昂りがない。二人の最期もふらふらしながら萎むように朽ちていく。年齢を経て中年になると邪念が混じるのだろう。2020.12.4
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