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Posted by ブクログ
こういう新訳には「新訳」としての価値がじゅうぶんにあるのではないか、と感じます。(普及版である文庫だし)。アル・パチーノ主演の映画にも触れた訳者あとがきも興味深い(あとがき自体は映画公開の直前に書かれたものみたい)。「シャイロック」にどれだけ肩入れするか(できるか)で、この劇の印象が変わってくるというのは当然のこと。そのへんも勘案された、「上演を目的」ともされる新訳です。だから流れがいい。途中、まるでヴェネツィアのゴンドラに揺られているような(ヴェネツィアにもゴンドラにも詳しくはないが)リズムの「うた」が印象的です。私はやはり「詩人」としてのシェイクスピアもまた、とても好きみたいです。
Posted by ブクログ
★★★★ 何度も読みたい
イタリアで商人として大成していた主人公は、友人の恋に力を貸すため、ユダヤ人の高利貸しから、期日までに返金できなければ体のどこからでも1ポンド肉をとっていいという条件で借金をした。しかし彼の船は沈没し、返すあてがなくなってしまった。期日を迎え、裁判にかけられた結果は…?という話。裏表紙の悲喜劇というのがどんな内容を指すのか分からず、終盤までハラハラしながら読んでいたが、すっきりとした後味でよかった。
裁判での『博士』の答弁は圧巻だった。原告に歩み寄るようでありながら、その論理をもって論破するという美しいやり方だった。あのシーンだけでも人に勧める価値があると思う。一方で、そこが素晴らしかったからこそ、報酬の要求は試し行動のようで、キャラクターとして一貫していないような印象を受けた。
悪役はユダヤ人であり、時代背景として完全悪として扱うのかと思っていた。しかし完全に主人公側についている裁判官の公爵に対する反駁には、ユダヤ人だからといって血肉の通わない舞台装置ではなく、キリスト教徒の暴虐への反発も併せ持ったキャラクターとして描かれているのかと感心した。しかし、訳者あとがきを読む限り、原典には無かった要素らしい。
『マクベス』を読んでからこの訳者の訳でシェイクスピアがまた読みたいと思い、手に取ったが、今回も非常に楽しめた。『ヴェニスの商人』にはユダヤへの差別が含まれている。主人公を単に善とすべきか、かといって殺人に走ろうとした高利貸しを善としてよいのか、一読しただけではなかなか言語化が難しい、過剰に贔屓される主人公や過剰に痛めつけられる敵役へのもやもやが納得できる形で提示されている。あとがきや解説にはがっかりさせられることもあるが、本作はぜひ最後まで読んでほしい。
Posted by ブクログ
財産のない情熱家バサーニオは、噂に名高い女相続人ポーシャに求婚するために金が必要だった。大商人アントーニオは、この若い友人のため、航海中の全財産を担保にユダヤ人金貸しシャイロックから大金を借りる。シャイロックは無利子で融資するといった――ただひとつ、「期限を破った場合は、アントーニオの胸から肉一ポンドをもらう」と条件をつけて。
2005年秋に映画『ヴェニスの商人』公開に合わせて出たもの。
すばらしい訳だと思います。シャイロック、アントーニオ、バサーニオ、ポーシャ、それぞれの人物像に口調がぴったり合っている。
これを小田島訳で読んだのは映画公開のころだったし、映画もこのところ観返していないしで、いい具合に中身を忘れていたので読んでいて楽しかったです。
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