その名の通り、「あらすじで読むシェイクスピア全作品(戯曲40作と詩編)」。「手っ取り早く筋を確かめたり、登場人物名や人物関係を確かめたり」(p.3)するためのもので、四大悲劇、その他の悲劇、喜劇、歴史劇、問題劇、ロマンス劇、詩のジャンル別に、あらすじと人物相関図、鑑賞のポイント、名台詞が紹介されている。著者曰く、「本書は、入門書というより、すでにシェイクスピア作品を読んだ(はずの)人の覚書としていただくのがよい」(p.4)ということで、シェイクスピアそのものの面白さを味わったりする感じの本ではない。
というのも、シェイクスピアの作品は人物が多すぎて、いくら相関図を見ても、誰が誰に何をしてどうなっているのかよく分からず、ましてあらすじを一通り読んだだけではほとんど意味不明。なので、シェイクスピアを知らない人が読んでも、あんまり楽しめるような本ではないと思う。そういう自分も読んだことがあるのはごく少数で、芝居でいくつか見たことがある程度、あとはタイトルしか知らないものばっかりで、ただあらすじを読むだけなので、あまり面白いとは思えなかった。『尺には尺を(Measure for Measure)』ってタイトルからしてどんな作品だろうと思っていたけど、「死よりも名誉を重んじる古代ローマ的価値観」(p.200)が当時のカトリックの自殺禁止と相容れない感覚とか、「『人は己が測った物差しで自らも測られる』というヘブライ語の表現」(同)というのが、なんとも印象深く、読んでみたい作品の1つだった。(16/06/27)