笠井潔の作品一覧
「笠井潔」の「夜と霧の誘拐」「三匹の猿 私立探偵飛鳥井の事件簿」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
ふたつの概念がぶつかりあっているとき
そこにあるのはひとつの対立だ
つまり、第三者の視点から見ることで
ふたつがひとつになったわけだ
これが弁証法
あるいは構造主義
もちろんそんなこと言って別に対立がなくなるわけじゃない
2人の力士がひとつの土俵で取組をやってる
…みたいな話でしかない
ところがその外部に第三者の存在を置くことで
相撲というビジネスが生まれるだろう
土俵のなかに生じる2重化とズレ…
すなわち取組と勝敗をうまいこと利用して
第三者たちはそれぞれの力士から
なにかしらの甘い汁を吸っているわけだ
ここまで見ると世の中は、ある対立構造を中心として
エネルギー循環しているのだとわかる
このような社会構造を分析していくにあたっては
目線をメタ領域に持っていかねばならない
すると分析者は自然と見下ろす格好になる
ここに社会学の
鼻持ちのならなさが生じる
社会学徒は、自分たちが特権的な存在であると
無意識のうちにせよ思い上がる
この思い上がりを合理化するために
しばしば「弱さ」なる属性が持ち出された
女であること
ユダヤ人であること
このふたつの属性をもったハンナ・カウフマンの政治思想は
本人も気付かぬうちに大衆を疎外していた
そのこと自体が必ずしも悪いというわけではない
だけどもし、悪しき存在が「弱さ」を伴って現れたとき
おそらく彼女はそれを批判しえないだろう
社会が煮崩れていくのはそういうところからだ
そして矢吹駆はなにもしない
それこそ人間の善性を信じる者のスタンスではあるのだが
Posted by ブクログ
矢吹駆シリーズ二作目。
一作目と全くの地続きながらも更に本格推理としての完成度が上がった二作目。黙示録とキリスト教異端派を主軸に展開されるプロットはまるでオカルトミステリーのようにも見えるが、情感豊かなパリジェンヌ・ナディアの語り口により、まるで南仏旅行記を読んでいるような気分になる。
哲学探偵矢吹駆の活躍は控えめだが、彼にとっての主題は思想闘争にあり、本作では実在の思想家シモーヌ・ヴェイユを模した人物との対峙にクライマックスが置かれている。その為に事件すら利用する暗躍ぶりは矢吹の探偵としての特異性を浮き彫りにているが、その神秘性や終盤のどんでん返しによって名探偵ぶりを披露してくれる。
Posted by ブクログ
いやー、早くも決まりました。まだ4月だというのにな。
そうです私の2026年、年間ベストはバイバイ、エンジェルに決まりました。
やられたぜー、まさか私が産まれる前の作品が令和8年のベストとは。個人的ミステリー、オールタイムベストでも1位かもだわ、これは。
この小説はもはやミステリーなんかね、危険な思想書の類いかなんかかね。いやー言論は自由で良かったですね。
たしかにテーマはあまりに70年代的でありますが、差し引いてもスゴいスゴい、ゴイスーよ。
何がスゴいって、そう全部スゴいのよ…。
例えば現象学による推理の解説は長年私がミステリーに対して感じていた違和感を見事に言い当ててるんですな。事実から真実を見出すのには理論の成立では不十分なんよな。もはやアンチミステリーまであるな。
最期の犯人達との対決時のカケルの死生観もぐうの音も出ん。ぐう。
オチもヴァンダインのオマージュだし、どんだけ沼に落とすんよ。
ひとつ分からなかったことは、自殺の意味というか価値よな。
真犯人の構想の実現と等価なんかね。そうは思えんよな。やっぱカケルやってもうたんか…。
そもそもバイバイエンジェルってタイトルなんだよダセェなって思ってたんですがね。読後には、まあバイバイエンジェルでしたよ。ごめんなさい。
もはや何云ってるか分からんでしょう、私も何を書いてるのでしょうか…。兎にも角にもスゲーから読んでくれよ、それからよ。
感想止まらんので、コレで終わりにします。
ただの神作品ですた。至高の1冊。