笠井潔のレビュー一覧

  • バイバイ、エンジェル
    舞台はパリのヴィクトル・ユゴー街。発生した連続殺人事件の謎を、現象学を駆使する日本人探偵・矢吹駆(以下カケル)が解き明かすというもの。この探偵、他の推理小説に登場する名探偵たちとはその推理手法が大きく異なっている。
    カケルは「観察と推論と実験」を通じて真実へたどりつくという、一般的に用いられる推理手...続きを読む
  • 薔薇の女
    火曜日の深夜に、一人暮らしの娘を襲う連続殺人犯。
    被害者の娘は、いずれも絹紐で絞殺され、死体の一部を持ち去られていた。現場には、赤い薔薇が撒かれ、「アンドロギュヌス」という血の署名が残されていた。連続殺人事件を繋ぐ細い糸とは何か。矢吹駆シリーズ第3作。

    面白かった!
    楽しむよりも理解する事に必死に...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    矢吹駆シリーズ、2作目。

    カタリ派の秘宝云々の辺りは二階堂黎人のようなケレン味オカルト話かと思わせられたが、それらはもっと壮大なスケールの哲学論争に包絡される。
    トリックの必然性、重厚な謎解き、それらもまた大流の一要素に過ぎない。

    (未発表作も含め)あと8作もこのシリーズの作品が残されてるなんて...続きを読む
  • バイバイ、エンジェル
    憂鬱なパリの冬空の下に流される緋い鮮血。
    本格ミステリの様式を以って幕を開け、全ての現象はある人物の極めて悪魔的な企みに美しく帰結する。
  • バイバイ、エンジェル
    殺人に手を染めるほどの思想的根拠を持たない一般市民に
    それを行わせるのは何だろうか
    軽薄な実存主義ではけして言い表せないほどの正義の重みだろうか
    いや違う
    正義によって糾弾される罪の意識が肝要なのだ
    みんな戦ってる
    おまえは戦わないのか?
    そういう類のやつだ
    しかしそんなものを真に受けたのだとしても...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    前作「バイバイ、エンジェル」は薀蓄が哲学的で非常に難解でしたが、本作は前作ほどではなく、且つ情景描写が多くなっているので、若干取っ付き易くなっていると思います。確かにカケルと女教師シモーヌの思想対決は骨が折れますが、物語の本筋と密接に絡んでいるので不思議と引き込まれます。
    ストーリーは、ヨハネ黙示録...続きを読む
  • 三匹の猿 私立探偵飛鳥井の事件簿
    『家庭内離婚という奇妙な言葉が、日本を離れているあいだに流行しはじめたようだ。夫婦関係も親子関係も空洞化の極点に達しているのに、なぜか物理的には崩壊することがない。夫と妻、親と子を、なにが、それほどまで執拗に結びつけているのか。

    日本人の誰もが、こうした不可解さに胸を逆撫でされ、事件関係の報道に目...続きを読む
  • バイバイ、エンジェル
    パリで起こる首切り死体から始まった連続殺人事件の謎を解明する話。
    謎解きの肝は最後に記すとして、ラストの犯人と探偵役矢吹駆のやりとりが圧巻!
    するとこなんだが何を言ってるのかついていけない。人間の死に関する自論展開になっている。

    犯人たちが最後死ぬことになったのはやるせない。矢吹駆は犯人たちをそこ...続きを読む
  • バイバイ、エンジェル
    矢吹駆の凄まじいイケメン描写に圧倒され、しばらく読まないだろうと思っていたが、思いきって読むことにした。

    やけに小難しく、かなり衒学的な小説だが、読んでみると意外と納得できる部分もある。

    追記:犯人やあの人物の正体は、はじめからかなりヒントが出ていたので予想通りだった(特に黒幕はタイトルだけでわ...続きを読む
  • バイバイ、エンジェル
    矢吹駆シリーズ。名探偵はいいやつとは限らない(ポアロ然り、ホームズ然り)。戯言シリーズのいーちゃんが引き継いでいるような精神性。続刊も読みたい
  • サマー・アポカリプス
    再読。
    ミステリとして矢吹駆シリーズは別格レベル。本作を再読してもその思いは変わらず。

    しかし今回は、以前気づけなかった重大なシーンを発見した。


    『くしゃくしゃの髪を片手の指で整えながら狭い階段を家の戸口まで駆け降りたわたしに、自転車を横に立てたカケルがおもむろにこういう。
    「僕も行こう。シモ...続きを読む
  • 薔薇の女
    笠井潔さんの矢吹駆シリーズ、第3作。
    火曜日の夜に起こる、若い女性の連続殺人事件におなじみの矢吹駆とナディアが挑みます。

    笠井さんの作品の特徴には、哲学やら現代思想について、登場人物同士て対話したり議論したりするのが多いんだけど、難しくってついていけてない部分がある。
    ちょっと残念。頑張って勉強し...続きを読む
  • 哲学者の密室
    よくできたフィギュアをおまけにした本やら菓子やらが大人を対象にして売れているという記事を最近新聞で目にした。「付加価値」というやつだろう。ただの本や菓子には食傷気味の消費者であっても目先を変えることで、もう一度購買意欲を喚起することができる。笠井潔の「矢吹駆」シリーズには、おまけ付き菓子を思い出させ...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    矢吹駆シリーズ2作目。

    歴史とかいろいろからんでて、いやー、読み応えバッチリ。
    でも、ナディアのバルベス警部に対する態度かなんかちょっとなぁ。かなりひどい事、言っているのが何だかなぁって思った。
  • バイバイ、エンジェル
    『探偵小説は「セカイ」と遭遇した』の著者が書いたミステリ。
    初の矢吹駆シリーズに挑戦してみた。
    女子大生が語り手なので、とっつきやすい。ぐいぐい物語に、引き込まれていく。
    シリーズ、全部読んでいきたいなぁ。
  • 哲学者の密室
     1945年のドイツと1974年のフランス、30年の時を経て起きた2種類の「三重密室」事件。現象学を駆使する哲学者が読み解く、事件解決に必要な、関係者達が抱えるそれぞれの「死の哲学」とは。
     「死」とは、「生」とは何かを考えさせられる、哲学的推理小説。

    ----------------------...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    カタリ派伝説を手玉にとったミステリーである。

    笠井潔を他に知らないが、どんな作家なのだろう?

    宗教、ナチズム、カタリ派、社会運動、パレスチナ問題などに正面から立ち向かって所論を述べる。
    生半可なエネルギーではない。
    脱帽である。

    ただしあくまでミステリーのカテゴリーに落とし込む。
  • バイバイ、エンジェル
    会話文から推理、ルビまで、何をとっても日本人だとは思えないセンス。流れとしては如何にも怪しい人間関係、殺人、容疑者そろい踏み、からの推理という極めてオーソドックスなものなのだけど、そこからはもうひっくりかえるわお楽しみにされるわ哲学だわ倫理だわで揉みくちゃ。面白すぎる!新本格、特にコズミック・ジョー...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    スバラシい。小栗虫太郎が実はまだ生きていて、これを書いたのかと思った(離脱/解脱のくだりを除く)。たまりません。
  • サマー・アポカリプス
    矢吹駆シリーズ二作目。本格的な探偵小説とそれへのメタ的視点、思想や哲学を一緒にやったのがこのシリーズの特徴だが、今回はカタリ派の財宝やらナチズムの影やらヨーロッパの魔術史やら歴史、伝奇オカルトまで一緒にやろうとした感じすらある。ものすごいペダントリーと蘊蓄である


    事件も二回殺された死体や密室の首...続きを読む