笠井潔のレビュー一覧

  • ヴァンパイヤー戦争2 月のマジックミラー

    Posted by ブクログ

    第二巻では日本に舞台を移し、たった一人で活動する九鬼と、彼を翻弄する水城蒔絵という美女の交錯を中心に、この世界の新たな秘密が明らかにされていきます。

    宇宙規模の「文明の衝突」を背景に、日本の歴史を支配してきた「籠目党」とフリーメーソンの抗争に九鬼が巻き込まれるという、いわゆる偽史的想像力が全開の内容になっています。なお、このシリーズは全編を通して笹川吉晴が「解説」を執筆しており、伝奇やSF、サブカルチャーにまでわたる蘊蓄を開陳しながら、本作の位置づけを明らかにしていて、参考になります。

    0
    2020年09月12日
  • ヴァンパイヤー戦争1 吸血神ヴァーオゥの復活

    Posted by ブクログ

    ミステリ作家や批評家としても活躍している著者による、長編伝奇小説です。

    KGBのスパイとしての活動歴をもつ九鬼鴻三郎は、パリの街でフランスの秘密情報機関に所属するジョルジュ・ラザールの依頼を引き受けることになります。それは、CIAのチャーリー・ミランの目的をさぐるというものでした。九鬼は、「キキ」ことラミア・ヴィンダウというファッション・モデルの少女をCIAが追っていることを知り、彼女の身柄を確保します。しかし、そんな彼の前に蝙蝠のような恰好をした不気味な怪人が現われ、その人間離れした力で九鬼を翻弄します。九鬼は、キキの身体を流れる血にかくされた秘密を知るために日本にわたり、世界の秘められた

    0
    2020年09月18日
  • 薔薇の女

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    やっと読んだーーー!

    出だしは凄惨な場面から始まって戦慄モノでしたが
    進むにつれて、ペダンティックな部分あり、
    いかにも推理小説風あり、歯がゆい恋愛あり、
    道化役みたいなオジさんありで
    鍋料理みたいな1冊でした。

    薔薇、双子、異国で活躍する日本人、猟奇殺人、親子関係の崩壊、…ってコレ、
    浦沢直樹のMONSTERに似てるな…と、最後の最後で思いました。
    あの漫画のテイストが好きなら、この「薔薇の女」もかなり好みなんじゃないかと思われます。

    0
    2019年07月20日
  • 三匹の猿 私立探偵飛鳥井の事件簿

    Posted by ブクログ

    現代ミステリの知的巨人が著した一人称探偵小説。「本格ミステリ+ハードボイルド+社会問題」という離れ業もベテラン笠井氏の手にかかれば一つの小説として成立しますね。

    退屈な日々をやり過ごしていた探偵・飛鳥井史郎のもとに、17歳の可憐な少女・田之倉有美が父親探しの依頼に訪れる。飛鳥井は依頼をを請け負ったが、その有美が失踪。期を同じくして、清里で猟奇的な連続少女殺人事件が発生。少女たちの両親には共通の過去があり因縁と確執が隠されていたが…。

    強固に練られた論理性、二転三転するストーリー、見事に回収される伏線。本格ミステリの雛型のような作品でした。主人公の飛鳥井は妻ジュリアと死別して米国から帰国した

    0
    2019年03月23日
  • バイバイ、エンジェル

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ヴァンダインの僧正殺人事件とエラリークイーンのYの悲劇の結末が好きな自分としてはテンションがあがった。

    0
    2018年02月24日
  • 薔薇の女

    Posted by ブクログ

    火曜日ごとに繰り返される猟奇殺人。<火曜日の謎><切断の謎><薔薇の謎><被害者の謎><アンドロギュヌスという署名の謎>から非業の死を遂げた女優ドミニクとの関連が浮上。事件の情報提供者とドミニクの妹ベアトリスがホテルで殺される事件が発生。15年前に起こった<ブレストの切り裂き魔>との関連。肉の両性具有人形の発見。

    スピーディーな事件の展開と提示される謎は、読み応え十分。特に、ベアトリスが自宅とホテルの間を何度も移動した謎、「不在証明が不必要な人間がなぜ不在証明工作をやらなければならなかったのか」という謎が面白い。
    しかし、矢吹駆が説明した真相は肩透かし気味。解答に切れや鮮やかさは感じられない

    0
    2017年06月12日
  • リレーミステリ 吹雪の山荘

    Posted by ブクログ

    豪華だけど、それぞれがかいたほうが読み応えがあるだろうなあ~
    でも、企画してみたい気持ちはよくわかる。

    0
    2017年05月21日
  • 青銅の悲劇(下) 瀕死の王

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    失踪した洋輔の部屋で発見したフロッピーに保存されていた小説『円の悲劇』。ある家族の中での殺人計画を描いた小説。実際に鷹見澤家で起きた事件に酷似した内容。洋輔による殺人計画か?『円の悲劇』を書いた人物を特定しようとする宗像。古井戸の近くで何者かに襲撃され重症を負う隆夫と重体のナディア。宗像の前に現れた本物のナディア。重体のナディアはナディアの従姉妹ヴェロニク。

    0
    2015年07月20日
  • リレーミステリ 吹雪の山荘

    Posted by ブクログ

    読まはじめは面白くて期待したのだけど、その分ハードルを上げてしまったか。後半はリレーものの常なのか、イマイチ。

    0
    2015年06月10日
  • バイバイ、エンジェル

    Posted by ブクログ

    首なし死体が登場した時点で、似非推理小説マニアの私は「またあの手か…」と失望したが、中盤からそんな先入観も吹っ飛ばされた。
    終始クールで冷酷な主人公矢吹駆、自尊心が強いナディアモガール、また独特の倫理観を持つ犯人。そのどれにも感情移入することができず、彼らの会話にもついていけないところがあった。

    普段ならカタカナの名前に拒絶反応を示す所だったが、今回はスラスラ読めた。日本人が書いているというのが要因か?
    そしてこの作品、後味の悪さがまた格別!

    0
    2015年05月23日
  • バイバイ、エンジェル

    Posted by ブクログ

    矢吹駆シリーズ、第1作。

    フランスが舞台の素人探偵もの。

    人名が横文字なだけでこれだけ入り込めないなんて。

    日本人作家の作品としては、外国が舞台ってのは珍しいと思う。

    0
    2015年02月28日
  • サマー・アポカリプス

    Posted by ブクログ

    灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾―その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。聖書の言葉どおりに見立てられた屍がひとつ、またひとつと、中世カタリ派の聖地に築かれていく。ラルース家事件の桎梏を束の間忘れさせてくれた友人が渦中に翻弄され、案じるナディア。謎めく名探偵矢吹駆の言動に隠された意図は。

    まさに本格ミステリというような、非常に重厚な作品。
    面白いが、果てしなく読みづらい。

    0
    2015年01月16日
  • リレーミステリ 吹雪の山荘

    Posted by ブクログ

    うーん。リレーミステリだからこんなもんかな……。せっかく各自の名探偵級のキャラ使えるんだから、もうちょっとはっちゃけて欲しかったかな…。

    0
    2014年12月16日
  • 三匹の猿 私立探偵飛鳥井の事件簿

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    飛鳥井の元を訪れた田之倉有美。自分の父親を探してほしいとの依頼。田之倉有美の母親・千鶴の友人・津田芳枝、江原克子、長谷部雅人をたずねる飛鳥井。飛鳥井を訪ねてきた田之倉千鶴。行方不明になった有美の行方を追う飛鳥井。学生時代に『三匹の猿』という小説で賞をとった中条との関係。連続して発見された女子高生の身元不明の遺体。飛鳥井が長谷部の別荘で発見した女子高生の遺体。長谷部の別荘の隣で閉じ籠る克子の息子・優。

    0
    2014年07月02日
  • 梟の巨なる黄昏

    Posted by ブクログ

    メディアが撒き散らす殺意を書いた作品であるが
    この2年前に出版された鈴木光司「リング」ほどの
    キャッチーさを持ち得てはいない
    しかし「父性への失望」が引き金となって
    人類を破滅へと導くラストは
    後年、実際に持ち上がる衰退の兆し…すなわち
    セックスレス/少子化問題について
    予見的だったと言えないこともあるまい

    そしてその「父性への失望」こそが
    現代において私小説というジャンルを成立困難にしたものといえる
    「ダメ」と「ダメじゃない」の区別がつきにくくなってきたというかね
    しかし
    「死の可能性」を踏破することで、これを乗り越えた者は
    ひょっとしたらいたのかもしれない
    それを考えると
    この物語の結末

    0
    2013年10月21日
  • 新版 サイキック戦争1 紅蓮の海

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     笠井潔の作品には学生運動の影響が色濃く出ている。
     特に顕著なのは矢吹駆シリーズで、第一作『バイバイ、エンジェル』では連合赤軍事件の主犯永田洋子をモデルにした登場人物が現れる。
     また本作の主人公竜王翔の設定は『熾天使の夏』で明かされる駆の過去と似通っている。
     翔は山岳ベース事件の当事者であることが物語が進むにつれ明かされる。連合赤軍事件に関して言えば深い関わりのある主人公となっている。山篭りをしている点も矢吹駆と同じである。夢枕獏の『キマイラ』シリーズでも主人公は山篭りをしていた。山篭りで修業は一昔前の主人公のテンプレなのかも知れない。
     物語は主に日本とベトナムで展開される。主題となっ

    0
    2013年07月10日
  • 熾天使の夏

    Posted by ブクログ

    矢吹シリーズ第0作って言われてる作品。

    初期3部作読んだんで、そろそろいいかなぁと思って、読んでみた。

    まったくミステリ色のない作品。シリーズ読んでなかったら、きっと読んでないかも……。

    0
    2013年05月18日
  • バイバイ、エンジェル

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すこし縁があって、いつか読もうと思っていたこの本に手を伸ばした。笠井潔の処女作。
    ミステリとしての謎解き、雰囲気についてはなるほどこれか、という感じ。ミステリが好きなので、なにかこう「そうそうこれこれ」という懐かしさに浸されながら最後まで読み切れた。
    作者が描ききりたかったのは謎の部分よりも殺人の意味、観念、その辺りの議論だったんでしょうかね。
    でもやはり、ナディアが聞いた最後のアントワーヌの肉声となったあの言葉は、心にひっかかりますね。
    サマー・アポカリプスも読むか悩み中。

    0
    2013年04月17日
  • サマー・アポカリプス

    Posted by ブクログ

    難解な背景があって、なかなかとっつきづらい。キリスト教に関連した話で馴染みが薄い分、なおさら。
    哲学的な議論と結末。次回に繋がる伏線も。

    0
    2013年02月11日
  • バイバイ、エンジェル

    Posted by ブクログ

    王道本格ミステリー。
    名探偵役である、矢吹駆は輪をかけて思わせ振りでもったいぶる。殺人事件が進行しても被害者を減らす努力をするでもなく、事件が終わってから解決。

    哲学的な犯人と探偵。

    0
    2012年12月05日