笠井潔のレビュー一覧

  • バイバイ、エンジェル

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    「煉獄の時」を読もうと思って、復習の意味も込めて、「哲学者の密室」と「バイバイ・エンジェル」を読み直しました。

    世界大戦を通しての大量殺戮による「死」
    抵抗運動を通してのカッコつけによる「死」
    革命を通しての破壊の通り道にある「死」
    生物的殺人による「死」
    観念的殺人による「死」
    ミステリー殺人事件小説に出てくる論理的な「死」

    バイバイ・エンジェルは、世界同時革命思想がどのように歪んで日本赤軍の思想の下支えになっているのか?を著者なりに小説に落とし込んだものとも言えます。

    わたしは日本赤軍の記憶がないのですが、オウム真理教とオーバーラップしても読めないことはないと思いました。

    煉獄の時

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    2025年02月11日
  • 対論 1968

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    ネタバレ

    その運動は壮大なものになり
    世間を争乱の渦に巻き込むまでになった…

    そんな時代を生きてきた2名の対談集。
    正直言ってよくわからないものだったけどね。

    おそらくここに哲学やら何かが
    絡んでくるから、なお一層厄介なのだと思う。

    だけれどもそれに興味を持った人
    しかもさほど密接じゃない人までをも
    死に至らしめた案件はかなり重大事でしょうよ。
    ある種の落ち度だよなぁ…

    で、私の嫌いとする人たち
    というかX上でブロックした人たちは
    あっけなくケチョンケチョンにやられていました。

    そりゃあそうだよ、
    一部の人たちのそれで
    それ以外の人たちがすくわれない構図だもん。
    それと排除という安直さ。

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    2023年11月28日
  • 煉獄の時

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    重厚長大という言葉がぴったりの本。
    全部理解するのは困難(というか、話の筋をおさえるのも大変)だけど、細かい伏線をしっかり回収していてある種の爽快さはある。
    本題からは少しずれるが、主人公は今で言うところのアセクシュアル、アロマンティックな人。このシリーズが最初に出たのは1979年とのことなので、先見の明があったというか、ちょっと驚き。

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    2023年06月23日
  • 煉獄の時

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    ネタバレ

    矢吹駆シリーズの前2作を読んだ者として、読み終わってひとつやり遂げた感があります。

    日本の奇妙な敗戦とフランスの奇妙な戦勝についての考察が強く印象に残りました。

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    2022年10月31日
  • バイバイ、エンジェル

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    矢吹駆シリーズ第一弾。すんごい小説だ。現象学的推理を駆使して事件を解決する探偵役の矢吹駆、と書くといかにもなミステリに聞こえるがとんでもない。この作品をただのミステリに括るのは難しいだろう。しかし、この矢吹駆という探偵役には現代の想像上の名探偵たちに通ずる原初のなにかがあるのは確か。それでいて事件に積極的に関与することが命題とされている名探偵たちに対する痛烈なアンチテーゼともいえる存在でもあるように思える。名探偵とは真理を探究し追及するものではあるのだろうが、それが死神になることもあるのだと思い知らされた。

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    2021年11月18日
  • バイバイ、エンジェル

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    このシリーズは知人の紹介から読み始めたのだが、名探偵の推理法が現象学的本質直観に基づくという哲学に疎い人間にはあまりにも意味不明なものだったので、てっきり字面から事件のあらましを聞いただけで理屈もなく犯人を当てるトンデモな話かと思い込んでいた。

    実際に読んでみると駆のキャラクター造形のみならず所々に挟まれる蘊蓄や哲学的問答にさらに面食らってしまったが、解決編の推理自体はきちんと筋だっていて妙に安心した。むしろ合うひとにはこのバランスが妙にクセになると思う。

    駆が事件に対して全く積極的ではないことで、ミステリーにつきものの事件の最後まで探偵が真相を明らかにできないという問題を解決している点や

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    2020年03月21日
  • バイバイ、エンジェル

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    昔読んだ再読

    矢吹駆かっけー
    と昔思ってたけど、今読むとそこまでではw
    昔は真似したりした
    また、真似してみようかと読んだけど
    そこまで今は感じられなかった

    作品的には、殺人事件がおきて、それを調査するっという普通の感じなんだけど、
    主人公は事件の真相というよりも、
    観念?信念?的な部分で敵と戦う事をメインにしている
    記憶だと、それが事件と強く無図日ついてた気がするけど、
    それほどではなかったかも
    事件としては顔無ししたい
    内容としては面白い

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    2020年08月26日
  • 薔薇の女

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    バラバラ屍体のパーツを組み合わせて造られる究極の人体…

    島田荘司「占星術殺人事件」の2年後に発表された今作は、驚天動地のトリック一発から逆算して書かれたような「占星術」とはまた違った、丁寧に組み上げられた論理仕掛けの摩天楼の屋上に着陸する。

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    2019年06月29日
  • リレーミステリ 吹雪の山荘

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    「肥大した観念の化け物だった。」

    このトーン懐かしいなぁ〜。早く笠井潔の矢吹駆シリーズが読みたい!

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    2016年09月10日
  • 哲学者の密室

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    ようやく、読み終えたという感じだ。文庫本で総ページ数が1,100ページを超え、また、読みやすい内容とは言えないので、読み始めるのにはちょっとした決意が必要な作品。
    これだけの長編になると、このシリーズのファンしか、手を出さないだろう。作者はこのシリーズでは、孤高の姿勢を貫き、読者側に一切歩み寄ろうとはしていない。文章は非常に達者なのだが、ユーモアは全くなく、硬くて重苦しい。そもそも、ミステリーと哲学の融合に関心を持つ読者がそれほどいるとは思えない。
    全体的に読みにくい作品なのだが、中編ではナチスのコフカ収容所での出来事、ヴェルナー少佐とフーデンベルグ所長の心理的葛藤等が描かれ、文学性、物語性が

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    2016年08月14日
  • サマー・アポカリプス

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    前作から続く予備知識があれば、また、原発に対する思想論争に造詣が深ければ、もっと楽しめたかもしれないです。理由あって以前から読みたかった作家なんですが、ヴァンパイアのイメージが強くて、ちょっと手が出せず… 本作を読んで、少なくとも“そういう”系の作家では決してない、ってことは分かりました。でも掘り下げて生きたいかといわれると… いわゆる本格系ミステリだと思うんですが、ちょっと突拍子もない部分とか、何か奇を衒った部分がないと、大満足!ってところまではいかないようです、自分。よほどの余力が出てくれば、シリーズ他作品にも手を出してみます。

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    2016年03月30日
  • 青銅の悲劇(上) 瀕死の王

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    大学時代に活動家だった作家・宗像。活動家時代の仲間だった北澤風視の妹・雨香に招待されて鷹見澤家にやって来た宗像。鷹見澤家の家庭教師として滞在するナディア・モガール。地域の実力者である鷹見澤信輔と息子・浩輔。浩輔と対立し引きこもる洋輔。浩輔の娘・緑に頼まれ鷹見澤家に起きる不可解な事件を調査する宗像と雨香の息子・響。三種の神器に関わる事件。鷹見澤家の神事で起きた信輔に対する殺人未遂。信輔に盛られた毒。服役から出所してきた浩輔の弟・隆夫。浩輔の殺害。行方不明になった洋輔。鷹見澤家の周囲に現れた黒い服の女。浩輔の不倫。

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    2015年07月15日
  • 薔薇の女

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    かなりひどい評判だったがなかなか面白かった。わりと分かりやすい内容だったということもあるが、誰が、なぜやったのかをきっちりと説明されていて、個人的にはかなりすっきりした。まぁ登場人物紹介に出ていた人物が、はじめからほとんど死んでいて、最後にはさらに減ったことには笑ったが。

    ルノワールが、経済と性犯罪の関係を説明している部分が特に面白かった。

    ところで、ヤン=ジルベールで合っているのだろうか?唐突すぎてわからなかった。

    思想モデル:ジョルジュ・バタイユ

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    2015年03月20日
  • サマー・アポカリプス

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    ネタバレ

    悪く言ってしまえば、賢いのかお馬鹿なのか判別がつかない小説だった。どこからどこまでが現実で、どこからがフィクションなのだろうか。

    たまに登場する中二病的な台詞や言動や組織には苦笑いしてしまう。あくまでも日本が舞台ではないのが救い。

    結末も、一番まともに動機のある人物が犯人で、一番きな臭いい人物が黒幕的な役割だったという、イマイチ意外性のないもので残念だった。

    思想モデル:シモーヌ・ヴェイユ

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    2015年03月20日
  • リレーミステリ 吹雪の山荘

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    登場人物表に「有栖川有栖」の名前があるのに、執筆者の中に有栖川先生の名前だけが無い…だと…(ざわ…)。
    いやいや、各先生方が一章ずつ手がけてらっしゃるのに、何故か法月先生が二章手がけてるじゃないか!この辺にトリックの肝があったりするんでしょーよー!(興奮)と思ってたら。
    中盤で「案の定ルイス・キャロルきたこれ!見立てや!有栖川先生がキーなんやー!」と鼻息荒くしてたら。

    全 然 見 当 違 い だ っ た←本当に悲しかった…

    後書きを読むと、有栖川先生、リレー連載途中で執筆を断られたとのことΣ('_')がーん
    そりゃ途中まで登場するよね…執筆者として名前載らないよね…涙。

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    2015年02月04日
  • バイバイ、エンジェル

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    『森博嗣のミステリィ工作室』での紹介から。
    探偵さんの言ってることが、哲学的すぎて全くわからない。
    ラストの犯人さんとの会話なんて一つも理解できない。
    それでも面白いと思った。

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    2014年01月16日
  • バイバイ、エンジェル

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    哲学者で探偵、というのは珍しいんじゃないかしら、なんて思いながら読みました。
    これを読んだ当時、私はまだ高校生で、イギリスの寄宿学校で過ごしていて、隣の国なのにまだ足を踏み入れたことのないフランスという国が舞台になっているのにも興味を覚えたし、それでいてまったく想像できなくて不思議な感じでした。
    探偵がグロを望んでいるわけでもないのに、ものすごく凄惨なシーンがあったりして。犯人がまったく分からなかったのは、女性キャラクターに感情移入していたのからなのでしょうか。犯人による殺害の動機もまったく理解できず、それが故に、読んだ後長い間この作品のことを考えていました。

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    2013年12月31日
  • バイバイ、エンジェル

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    硬い文体と、キーワードである哲学部分が邪魔して読み難いですが、過去の確執や首のない死体、失踪した人物からの手紙など、本格の魅力がたっぷりです。
    死体の首を切った理由は斬新ですし、犯人特定のロジックや、電話の記録帳が盗まれた理由もよく考えられていて秀逸な推理小説だと思います。

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    2015年12月18日
  • 新版 サイキック戦争2 虐殺の森

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    ネタバレ

     前作ではベトナム戦争を題材にしていたが、近作ではカンボジア大虐殺を題材にしている。解説によると過激な帰農主義政策による弾圧が正体だという。ホロコーストといいシベリアの強制収容所といい、軍主導の弾圧はえぐ過ぎる。無尽蔵の暴力によるか弱き市民への攻撃は非人道の極みだ。上層部にはサイコパスが巣食っており、軍は悪魔の傀儡と化して虐殺を繰り返すのだろう。
     マッカーソンやアンジィ三姉妹、レジュー・ドールを倒し、物語は一応収まっているが『ヴァンパイヤー戦争』に比べると物語に物足りなさがある。

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    2013年07月10日
  • バイバイ、エンジェル

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    矢吹駆シリーズ一作目。
    1975年頃のパリが舞台(戦争が終わって30年という記述より)。カタカナ名だらけで一見読みにくそうではあるけれど、理路整然とした文章はむしろ頭に入りやすく、語り手ナディアの内心の感情的な描写との対比も面白かった。
    終盤の革命論も興味深い。テロと革命の違い、またレジスタンスとの線引きについて考えさせられた。

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    2013年02月20日