笠井潔のレビュー一覧
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黙示録見立て殺人、というだけで一気に読む気が倍増した私。ええええ、期待にたがわず、でした。前回に負けず劣らず重いけれど。密室、アリバイ、見立て、ともう要素要素がツボを突きっぱなし。しかしこういうとき、日本にキリスト教があまり馴染んでないのがちょっと不便かな。宗教観があまり理解できないので。「カタリ派」というのも、ああそういえば世界史に出てきたかな……くらいの認識しかないので、今ひとつ分かりにくかったかも。
ところでこれ、当初は「アポカリプス殺人事件」だったらしいけれど、それってすごく語呂悪くない? 絶対「サマー・アポカリプス」のほうがいいでしょ。編集部の意向だったらしいけど。 -
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まず、本作品の長さに尻ごみしてしまいますね〜。今までのように哲学的なことがず〜っと書かれているんじゃないだろうか・・・と懸念して読み始めました。が、事件もこれこそ本格推理!っていう感じで、ちょっと違う感じがします。なので厚さはあまり気にならずにいましたが、どこも見逃しちゃいけないと身構えた為に読み終えるまで時間が掛りました。おまけにナチの戦犯のことやドイツ人哲学者(偽名をつかっていますが、あきらかにハイデカーのことだとわかります)などが出てきますから、余計に私には面白く読むことができました。前作までの三冊が三部作とされていますが、本作で「悪魔」的存在で駆のライバルが登場するのか?!とハラハラし
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笠井潔の本を手に入るものから、読んでいく。
主人公は、間島勲。シベリアでの流刑にも耐え、国後島から知床半島までの流氷の海を40kmを歩くタフさがあり、巨大なトドとも戦う。
間島勲は、第三北雄丸、9.9トンのホタテ漁船の乗組員だった。所有者は渥美雄作、各種漁船を5隻所有していた。そして、渥美雄作は第三北雄丸に漁労長として乗り組んでいた。北雄丸は、ゲリラ船の疑いをかけられ、ソ連警備艇に拿捕された。そして、渥美雄作は射殺された。間島勲は、逮捕され、シベリアに流刑されていた。日本側では、間島勲は、死んだという情報が流されていた。
この主人公の間島勲は、戦争中の大陸孤児で、間島夫妻に養育された -
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本作の主人公は売れない作家の布施朋之である。彼は、作家としての成功を夢見ながらも満たされない日々を送っていた。読む限りでは、若い時に文学賞をとったことが、大きな制約になっている。文学を描こうとするが、母親との関係がテーマとなる。テーマが、現代的だと言っても、売れるような人が惹きつけられるような作品は書けない。読んでいても、この布施朋之では無理だし、早く諦めるべきだと思うが、採用されないのは、編集者が悪く、自分の才能を理解していないと思っている。読んでいて、これだけ自意識が強ければ、さらに無理だ。そして、健気な女房に食わせてもらっている。
女房の和子は、パートに出かけ、子供を育て、そして、 -
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ざっくり言うと2部構成になっています。
前半は「例外状態のジョーカー」
後半は「ポスト3・11文化論」
前半部分
21世紀に入り、格差社会が顕著となっている現代社会において、世界各地で大衆闘争が起こっている。その闘争は「蜂起」なのか、「暴動」なのか。
「パラサイト」「ジョーカー」「レ・ミゼラブル」を通して著者の批評が示されています。
・「蜂起」と「暴動」の本質的な見分け方は、排外主義と差別主義の有無
・縦軸に「利害の暴力」と「観念の暴力」、横軸に「革命」と「秩序」。。。原理表として使えそうです
後半部分
3・11を前後して、日本の映画、アニメ、漫画、小説などの表現内容はどのように変容し -
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ネタバレオイディプス症候群だけ以前読んでて、本作のこともちらっと書いてあったのでどういう話なのか気になった。
相変わらず哲学の部分が分からなかったけど、オイディプスの時よりは哲学講座がなかった。
ナディアが自己中心的というか、探偵気取りで推理披露してるの若いなと苦笑しました。恥ずかしくないのかなと傍から見てて思いました。
あと、マチルドあんな感じになってしまったのは幼少期の経験からだと思うのですが、その辺を見たかったですね。
でも、このシリーズは哲学的観点(?)から犯人を推理していくから、あまり個人の背景や感情みたいなのには焦点充てないんですかね。。