笠井潔のレビュー一覧

  • 薔薇の女
    火曜日ごとに繰り返される猟奇殺人。<火曜日の謎><切断の謎><薔薇の謎><被害者の謎><アンドロギュヌスという署名の謎>から非業の死を遂げた女優ドミニクとの関連が浮上。事件の情報提供者とドミニクの妹ベアトリスがホテルで殺される事件が発生。15年前に起こった<ブレストの切り裂き魔>との関連。肉の両性具...続きを読む
  • リレーミステリ 吹雪の山荘
    豪華だけど、それぞれがかいたほうが読み応えがあるだろうなあ~
    でも、企画してみたい気持ちはよくわかる。
  • 青銅の悲劇(下) 瀕死の王
    失踪した洋輔の部屋で発見したフロッピーに保存されていた小説『円の悲劇』。ある家族の中での殺人計画を描いた小説。実際に鷹見澤家で起きた事件に酷似した内容。洋輔による殺人計画か?『円の悲劇』を書いた人物を特定しようとする宗像。古井戸の近くで何者かに襲撃され重症を負う隆夫と重体のナディア。宗像の前に現れた...続きを読む
  • リレーミステリ 吹雪の山荘
    読まはじめは面白くて期待したのだけど、その分ハードルを上げてしまったか。後半はリレーものの常なのか、イマイチ。
  • バイバイ、エンジェル
    首なし死体が登場した時点で、似非推理小説マニアの私は「またあの手か…」と失望したが、中盤からそんな先入観も吹っ飛ばされた。
    終始クールで冷酷な主人公矢吹駆、自尊心が強いナディアモガール、また独特の倫理観を持つ犯人。そのどれにも感情移入することができず、彼らの会話にもついていけないところがあった。

    ...続きを読む
  • バイバイ、エンジェル
    矢吹駆シリーズ、第1作。

    フランスが舞台の素人探偵もの。

    人名が横文字なだけでこれだけ入り込めないなんて。

    日本人作家の作品としては、外国が舞台ってのは珍しいと思う。
  • サマー・アポカリプス
    灼熱の太陽に喘ぐパリが漸く黄昏れた頃、不意にカケルを見舞った兇弾―その銃声に封印を解かれたかの如くヨハネ黙示録の四騎士が彷徨い始める。聖書の言葉どおりに見立てられた屍がひとつ、またひとつと、中世カタリ派の聖地に築かれていく。ラルース家事件の桎梏を束の間忘れさせてくれた友人が渦中に翻弄され、案じるナデ...続きを読む
  • リレーミステリ 吹雪の山荘
    うーん。リレーミステリだからこんなもんかな……。せっかく各自の名探偵級のキャラ使えるんだから、もうちょっとはっちゃけて欲しかったかな…。
  • 三匹の猿 私立探偵飛鳥井の事件簿
    飛鳥井の元を訪れた田之倉有美。自分の父親を探してほしいとの依頼。田之倉有美の母親・千鶴の友人・津田芳枝、江原克子、長谷部雅人をたずねる飛鳥井。飛鳥井を訪ねてきた田之倉千鶴。行方不明になった有美の行方を追う飛鳥井。学生時代に『三匹の猿』という小説で賞をとった中条との関係。連続して発見された女子高生の身...続きを読む
  • 梟の巨なる黄昏
    メディアが撒き散らす殺意を書いた作品であるが
    この2年前に出版された鈴木光司「リング」ほどの
    キャッチーさを持ち得てはいない
    しかし「父性への失望」が引き金となって
    人類を破滅へと導くラストは
    後年、実際に持ち上がる衰退の兆し…すなわち
    セックスレス/少子化問題について
    予見的だったと言えないことも...続きを読む
  • 新版 サイキック戦争1 紅蓮の海
     笠井潔の作品には学生運動の影響が色濃く出ている。
     特に顕著なのは矢吹駆シリーズで、第一作『バイバイ、エンジェル』では連合赤軍事件の主犯永田洋子をモデルにした登場人物が現れる。
     また本作の主人公竜王翔の設定は『熾天使の夏』で明かされる駆の過去と似通っている。
     翔は山岳ベース事件の当事者であるこ...続きを読む
  • 熾天使の夏
    矢吹シリーズ第0作って言われてる作品。

    初期3部作読んだんで、そろそろいいかなぁと思って、読んでみた。

    まったくミステリ色のない作品。シリーズ読んでなかったら、きっと読んでないかも……。
  • バイバイ、エンジェル
    すこし縁があって、いつか読もうと思っていたこの本に手を伸ばした。笠井潔の処女作。
    ミステリとしての謎解き、雰囲気についてはなるほどこれか、という感じ。ミステリが好きなので、なにかこう「そうそうこれこれ」という懐かしさに浸されながら最後まで読み切れた。
    作者が描ききりたかったのは謎の部分よりも殺人の意...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    難解な背景があって、なかなかとっつきづらい。キリスト教に関連した話で馴染みが薄い分、なおさら。
    哲学的な議論と結末。次回に繋がる伏線も。
  • バイバイ、エンジェル
    王道本格ミステリー。
    名探偵役である、矢吹駆は輪をかけて思わせ振りでもったいぶる。殺人事件が進行しても被害者を減らす努力をするでもなく、事件が終わってから解決。

    哲学的な犯人と探偵。
  • 薔薇の女
     ロシュフォール家殺人事件から数ヶ月を経た晩秋。奇怪な連続猟奇殺人事件が起きる。犯人は、①火曜日の深更に、②独り暮らしの娘を襲い、③絹紐で絞殺した後、④屍体の一部を切断のうえ持ち去る。現場に⑤赤い薔薇を撒き、⑥<アンドロギュヌス>と血の署名を残す……。被害者間の共通点を見出せず苦悩する捜査陣を尻目に...続きを読む
  • 熾天使の夏
     時代は全学共闘会議(全共闘)の終結から五年後。世界同時革命を目指し、リンチ事件の首謀者として逮捕され、刑期を終えて出所し、ひっそりと暮らしていた男に、かつての恋人から声がかかる。求めに応じ、かつての同志と再会した男は、同志から新たな革命運動への参加を求められ、男は、同志の革命思想を粉砕するために、...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
     ①事件に関しては、ただ自分の関心に沿って考察し判断する。場合によっては捜査関係者を欺くことも厭わない。

     ②犯罪を現象学的に考察するために、ひとつの犯罪が現象としてどのようにして生成していくのかを、始めから終わりまではっきりと見届ける必要がある。そのため、事件を未然に防ぐことになる干渉行為は極力...続きを読む
  • バイバイ、エンジェル
    推理云々より駆が話している内容に興味が沸いた。作者がどうしてこのような話を書いたのか、巻末の書評?を読んでなるほどなぁと思った。
  • バイバイ、エンジェル
     矢吹が作中で語られるとおり、様々な事件は大きく2つに分けられる。「自らの欲を満たすための事件」と「憑かれた観念を正当化するための事件」だ。そして事件の真相は後者である。

     思想、政治、宗教。あらゆる「観念による犯罪」は、古今東西、いつでも、どこでも、更に虚実も差別することなく起きている。しかし、...続きを読む