笠井潔のレビュー一覧

  • 哲学者の密室
     1945年のドイツと1974年のフランス、30年の時を経て起きた2種類の「三重密室」事件。現象学を駆使する哲学者が読み解く、事件解決に必要な、関係者達が抱えるそれぞれの「死の哲学」とは。
     「死」とは、「生」とは何かを考えさせられる、哲学的推理小説。

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  • サマー・アポカリプス
    カタリ派伝説を手玉にとったミステリーである。

    笠井潔を他に知らないが、どんな作家なのだろう?

    宗教、ナチズム、カタリ派、社会運動、パレスチナ問題などに正面から立ち向かって所論を述べる。
    生半可なエネルギーではない。
    脱帽である。

    ただしあくまでミステリーのカテゴリーに落とし込む。
  • バイバイ、エンジェル
    会話文から推理、ルビまで、何をとっても日本人だとは思えないセンス。流れとしては如何にも怪しい人間関係、殺人、容疑者そろい踏み、からの推理という極めてオーソドックスなものなのだけど、そこからはもうひっくりかえるわお楽しみにされるわ哲学だわ倫理だわで揉みくちゃ。面白すぎる!新本格、特にコズミック・ジョー...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    スバラシい。小栗虫太郎が実はまだ生きていて、これを書いたのかと思った(離脱/解脱のくだりを除く)。たまりません。
  • サマー・アポカリプス
    矢吹駆シリーズ二作目。本格的な探偵小説とそれへのメタ的視点、思想や哲学を一緒にやったのがこのシリーズの特徴だが、今回はカタリ派の財宝やらナチズムの影やらヨーロッパの魔術史やら歴史、伝奇オカルトまで一緒にやろうとした感じすらある。ものすごいペダントリーと蘊蓄である


    事件も二回殺された死体や密室の首...続きを読む
  • バイバイ、エンジェル
    ミステリーやサブカルの評論家としても活躍する笠井潔の人気探偵、矢吹駆シリーズの第一作


    この小説の面白いのは、物凄く難易度の高い本格ミステリーというだけじゃなく、思想書としても、メタ探偵小説としても読めるということ

    探偵の矢吹駆は、旧来の『真実はいつもひとつ!』な論理的名探偵たちについて、事件の...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    凶弾に襲われたカケルを気遣い、南仏へ同行したナディアだったが、二人の目の前でヨハネ黙示録に見立てた殺人事件が発生する。中世異端カタリ派の聖地を舞台にした事件は、連続殺人の様相を呈するが・・・。
    二度殺された死体、見立て殺人、古城の密室、秘宝伝説、意匠溢れる本格推理小説の傑作。


    とにかく重厚。濃密...続きを読む
  • ヴァンパイヤー戦争1 吸血神ヴァーオゥの復活
    全11巻+番外編が3冊あり。

    じつはジャケ買い。絵はTYPE-MOONの武内先生。彼らの作品も素敵です。
    ペダントリーな笠井潔らしく、重火器類、諜報機関やらNASA的な用語が頻出します。
    物語の核はヒロインキキと、九鬼と出会っては死んでいく女たちの美しさですね。
  • 哲学者の密室
    ハルバッハの「死の哲学」は、ナチスの生んだ「大量死」の現実の前に砕け散った
    (試合に勝って勝負に負けたとでも言うべきか)
    一方でナディア・モガールは、ハルバッハを応用して、自分なりの「愛のかたち」を発見する
    しかしそれは結局、「特権的な死」の夢想を、裏返したにすぎないものではないか?

    久々に読んだ...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    矢吹駆シリーズ

    謎の組織に銃撃された駆。ナディアと共に南仏を訪れた駆。アルヴィジョア十字軍の財宝、カタリア派の謎。原子力発電所の建設問題に揺れるロシフォール家。ナディアの友人ジゼールの母・ジュヌヴィエーヌ・ロシュフォールの死の真相。犯人として逮捕されたジャン・ノディエ。遺跡の研究の為に訪れたドイツ...続きを読む
  • 薔薇の女
    矢吹駆シリーズ

    女を殺害し身体の一部をうばう猟奇殺人。「アンドロギュヌス」の謎。ニコライ・イリイチを追う矢吹駆。「アンドオロギュヌス」の犯行が行われる夜に上映されるドミニク・フランスの映画との関係。ドミニクの双子の息子たちとアルジェリアの動乱。ベアトリス・ベランジュとポール・ブルレーの殺害死体。ア...続きを読む
  • 哲学者の密室
    矢吹駆シリーズ四作目。
    今のところシリーズの中で一番好きです。駆の出自がほんの少しですが垣間見えてよかったと思います。
  • サマー・アポカリプス
    とにかくものすごく面白い。ミステリーに哲学的思想が絶妙な味を醸し出す作品。食べ始めたら止りませんでしたよ。
  • サマー・アポカリプス
    駆シリーズの中で一番好きな作品です。火花が飛び散る思想と思想のぶつかり合いは、真剣勝負を彷彿とさせ、手に汗を握ってしまいます。
  • ヴァンパイヤー戦争1 吸血神ヴァーオゥの復活
     今まで、名前だけは聞いていたのですが、なかなか読む機会がなかった笠井潔さん。この度、講談社文庫から装い新たに『ヴァンパイヤー戦争』が出版されたのをきっかけについに読み始めました。

     面白い。
     内容的には、オカルトチックなタイトルにも関わらず、どちらかというとハードボイルド風。しかし、それで...続きを読む
  • 哲学者の密室
    矢吹駆シリーズ。カケルとナディアはダッソー家の3重密室殺人の謎に挑むうちに、第2次世界大戦ユダヤ人収容所で起こった3重密室殺人の謎にぶち当たります。ページ数は確かに多いですが、ぐいぐい読ませてくれる筆力は相変わらずです。カケルシリーズは必ず哲学と密接につながっています。今回はハイデッガー哲学への反論...続きを読む
  • 哲学者の密室
    カケル&ナディアシリーズの第4作目。

    この分厚さ(文庫本で1160ページ)は、30年前の事件を間に挟んでいたためだったのですね。
    カケルやナディアたちが存在している「現在」で起きた密室殺人と、30年前、第二次世界大戦中にコフカ収容所で起きた密室殺人。
    いままでのシリーズ作品同様、事件を解決してゆく...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    これは…凄い。本格の真髄というか本格マニアがよだれをたらすというか。ヨハネ黙示録に見立てられた死体の乱舞、キリスト教の異端カタリ派の謎、関係者の暗い過去、etc...しかもすべてが論理的に解決される。驚いた。さらにすべてが終わった後に明かされる冷酷にして怜悧な事実。
    やっぱりこのころの笠井は輝いてる...続きを読む
  • サマー・アポカリプス
    中世異端カタリ派の聖地を舞台に、ヨハネ黙示録を主題とする連続殺人が起こります。ミステリファンにはたまらない仕掛けと設定、そして謎解き。矢吹駆シリーズの中では一番の作品だと思います。
  • 対論 1968
    その運動は壮大なものになり
    世間を争乱の渦に巻き込むまでになった…

    そんな時代を生きてきた2名の対談集。
    正直言ってよくわからないものだったけどね。

    おそらくここに哲学やら何かが
    絡んでくるから、なお一層厄介なのだと思う。

    だけれどもそれに興味を持った人
    しかもさほど密接じゃない人までをも
    ...続きを読む