【感想・ネタバレ】例外状態の道化師 ポスト3・11文化論のレビュー

あらすじ

3・11以後のカルチャーを精緻に論考し、二一世紀的な革命と反革命をめぐり考察、ポスト・コロナ時代を見通す!
二一世紀に入り格差化と新たな貧困、テロと無動機殺人、右傾化と排外主義の勃興などを背景に絶対自由【フリーダム】と自治/自律/自己権力を求める蜂起【アプライジング】と、ファシズムを典型とする権威主義的暴動【ライオツト】との衝突が世界各地で生じている
3・11以後の作品から映画、小説、批評など「今」のカルチャーを論考し、ポスト・コロナ時代への指標とする。
二〇一〇年代の日本アニメやミステリ小説でも、到来した新たな時代に応える意欲作は次々と生まれているのに、その意義を論じる批評が少なすぎる。少ないどころか、ほとんど見当たらない。小説はどのように読まれてもいいし、映像作品にしても同じことだろう。政治的に読むことも、それとは違う読み方をすることも読者の自由だが、作品に内在する政治性や社会性に重点を置いた批評の言葉が過少すぎるのは一面的ではないか。[中略]ポスト3・11の時代性が刻まれた小説や映像作品を、あえて政治的に「偏した」方向から論じている。(あとがきより)

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Posted by ブクログ

ざっくり言うと2部構成になっています。

前半は「例外状態のジョーカー」
後半は「ポスト3・11文化論」

前半部分
21世紀に入り、格差社会が顕著となっている現代社会において、世界各地で大衆闘争が起こっている。その闘争は「蜂起」なのか、「暴動」なのか。
「パラサイト」「ジョーカー」「レ・ミゼラブル」を通して著者の批評が示されています。

・「蜂起」と「暴動」の本質的な見分け方は、排外主義と差別主義の有無
・縦軸に「利害の暴力」と「観念の暴力」、横軸に「革命」と「秩序」。。。原理表として使えそうです

後半部分
3・11を前後して、日本の映画、アニメ、漫画、小説などの表現内容はどのように変容していったのか?表題通り「ポスト3・11文化論」となっています。

・「面白い戦争」「儲かる戦争」「威張れる戦争」という戦争観に、暴力には屈しないという戦争観が対立する。
・連合赤軍が日本社会の「理想」を終焉させ、オウム真理教が「虚構」を終焉させたと言える。

ちょっと衒学的でめんどくさいところもあるけど。

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2025年04月21日

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