あらすじ
学生運動に伴うリンチ事件の主謀者として三年間の刑務所生活を終え、男はひっそりと暮らしていた。ある日彼は、自分が尾行されていることに気づく。待ち伏せてみるとそれは昔の仲間であったのだが……。完璧な自殺それが問題だ――頭蓋の奥で響く小さな呟きを意識しながら、植民地都市へ向かい、飛翔を試みた、かつて革命の時を生きた男は何を思い、何を求めるのか? 矢吹駆の罪と罰を描いた、シリーズ第ゼロ作にして、笠井潔の原点! 幻の処女長編テロリズム小説。/講談社文庫版解説=竹田青嗣、創元推理文庫版解説=小森健太朗
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Posted by ブクログ
矢吹シリーズ第0作って言われてる作品。
初期3部作読んだんで、そろそろいいかなぁと思って、読んでみた。
まったくミステリ色のない作品。シリーズ読んでなかったら、きっと読んでないかも……。
Posted by ブクログ
時代は全学共闘会議(全共闘)の終結から五年後。世界同時革命を目指し、リンチ事件の首謀者として逮捕され、刑期を終えて出所し、ひっそりと暮らしていた男に、かつての恋人から声がかかる。求めに応じ、かつての同志と再会した男は、同志から新たな革命運動への参加を求められ、男は、同志の革命思想を粉砕するために、あえて計画に乗ることにする。
これは、矢吹駆がナディア・モガールと出会う前、「革命」という高みを目指し、「革命」に目が眩み身を焼かれ、地に堕ちた熾天使(イーカロス)の、再生の物語――。
はっきり言って、これは推理小説ではなくハードボイルド小説、厳密には「革命」という名の観念に憑かれたテロリストを描いた小説である。だが、誰にでも現在があり、過去がある。推理小説ではなく、「矢吹駆」という「人間」に興味があるのであれば読んでほしい。これを読めば、今までとは違った観点から過去作品、特に『バイバイ、エンジェル』を捉えることになるだろう。