【感想・ネタバレ】熾天使の夏のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 時代は全学共闘会議(全共闘)の終結から五年後。世界同時革命を目指し、リンチ事件の首謀者として逮捕され、刑期を終えて出所し、ひっそりと暮らしていた男に、かつての恋人から声がかかる。求めに応じ、かつての同志と再会した男は、同志から新たな革命運動への参加を求められ、男は、同志の革命思想を粉砕するために、あえて計画に乗ることにする。

 これは、矢吹駆がナディア・モガールと出会う前、「革命」という高みを目指し、「革命」に目が眩み身を焼かれ、地に堕ちた熾天使(イーカロス)の、再生の物語――。

 はっきり言って、これは推理小説ではなくハードボイルド小説、厳密には「革命」という名の観念に憑かれたテロリストを描いた小説である。だが、誰にでも現在があり、過去がある。推理小説ではなく、「矢吹駆」という「人間」に興味があるのであれば読んでほしい。これを読めば、今までとは違った観点から過去作品、特に『バイバイ、エンジェル』を捉えることになるだろう。

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2012年11月13日

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