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少年時代の淡い恋が、そりの事故を機に過ぎ去り、身体障害者となったクーンは音楽を志した。魂の叫びを綴った彼の歌曲は、オペラの名歌手ムオトの眼にとまり、二人の間に不思議な友情が生れる。やがて彼らの前に出現した永遠の女性ゲルトルートをムオトに奪われるが、彼は静かに諦観する境地に達する……。精神的な世界を志向する詩人が、幸福の意義を求めて描いた孤独者の悲歌。
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Posted by ブクログ
『車輪の下』より断然こちらの方が好きと思えるのは歳のせいでしょうか。また、いい作品に出会うことができました。 あらすじ: 「それは私の愚かしい青年時代のもっとも愚かしい日だった」……幼い頃、クーンは音楽に惹かれていたこともあり、父の反対をよそに首府の音楽学校に進学します。しかし、学業の壁に阻まれ、...続きを読む喜びのない日々を過ごして三年、似た境遇にあるリディに恋をします。ある日、仲間とソリ遊びに興じていると、そのリディにそそのかされて急斜面をソリで滑り降りますが事故になります。クーンの左足は不具になり、彼女も去っていきました。 この事故をきっかけに故郷に帰って内省を深めたクーンは、音楽の創作に目覚めて復学し、そこで歌手のムオトに出会います。クーンはムオトの女性に対する扱いの悪さを聞くと距離を置こうとしますが、ムオトの方では積極的に交流しようとしてきます。それが功を奏してか、バイオリニストのタイザーやその妹ブリギッテとも友情が結ばれます。 ある日、金持ちの工場主のイムトルから、自邸での音楽会に招かれ、そこでイムトルの娘ゲルトルートにクーンは一目惚れします。彼女の美しい歌声に感化されたクーンは、彼女のためにオペラを書きますが、ソプラノの彼女の相手にムオトを選んだことにより、しだいに歯車が狂い始め……。 幼少期に感化された記憶が、生涯の職業に影響を与えることは多々ありますが、主人公の場合はそれが音楽であり、学生時代に恋と共に失われかけたものの、やはり音楽を友として救われて行く様子が良かったです。ただ、そこには主人公を再び音楽の道に向かい合わせてくれた友が、最後に一緒にいなかったのは残念ですが。 この小説は、主人公はもちろん周りの愛すべき人たちがいいですね。父親との会話、ローエ先生との哲学的な語り、母親と和解して距離を近づけるイベント、親切なタイザー兄妹や親身になってくれるイムトルの旦那など、皆が事故で不自由になった主人公を支えてくれています。その分、ムオトの孤独が徐々に際立っていくのが悲しいところ。なお、ゲルトルートの選択は、あんなに嫌がってたのに、あれ?と思うところはありますが、何となくクーンとムオトの性格の対比を目立たせるために必要だったのかも。同様に女性の対比としてブリギッテの存在がありますが、自分は彼女のような親身になってくれる人に惹かれますね。それにしても、ヘッセに愛を語らせると、なんで苦しく切ないものになるのやら……。 なお、ハッピーエンドではありませんが、読み終わった後に最初の第1章に戻ると、書き出しの主人公の回想から始まる物語が、より重みを持って感じられました。 正誤(93刷) P84の14行目 人間はいかにして生長し、 ↓ 人間はいかにして成長し、 ※翻訳が昭和25年と古いので、今と違って昔は植物は”生長”で人間や動物は”成長”と区別してましたが、その意味でもこの場合は”成長”ですね。
何十年ぶりかで再読。実らぬ恋のものがたり、との記憶はとても浅いものだった。 「自分の人生を幸か不幸かと問うのは愚かなことで、「私」には不幸な記憶こそ捨てられない」と言う趣旨の巻頭言に共感するのは老年になったからか。 消えぬ恋情と戦いながら、不幸な結婚に心身を病む女性を節度を保ちながら労る「私」。敬愛...続きを読むする友人に傷つけられ、敵意を抱きながらも、憧れや敬意も蘇ってくる。その才ある友人も奔放な自身の性格に振り回されている。これらが寄せては返す波のように繰り返される。これが人生なんだよ、とばかり。 アリアだけのオペラが無いように、緩徐楽章だけのシンフォニーはないように、幸も不幸も全て必要なことだったのだ、と我が半生を振り返る。静かに。
ヘッセと言えば「車輪の下」をおすすめ本として登場する。 数冊しか読んでいない彼の作品中では、この本が最も素晴らしさを感じる。 高橋健二訳!この方の訳しかないのではと。 原題「ゲルムート」が一番しっくりくると思う。 もっとも人生を四季でなぞらえると当作の思惟の乱流ぶりは真に「春の嵐」 日本語が素晴ら...続きを読むしいだけに、原文独語で読めたらと思うけど。 様々な世代、性のレヴュ―を読むのは面白い。 一本の道しか歩かなかった人、歩けなかった人、また、あえて歩くことを拒否った人、人は実に多様であり、「クーン」の在り様を俯瞰すること自体踏み石的に認識できるのもひそかに面白い 音楽というある種独特の世界で繰り広げられた空間、そこにしか住めない人種が要れば、そこに安念を持つ人が多いのはよく見聞きするだけにムラトという生き物の薄さ、痛さもよく描かれているのが趣深い。 クーンの父が亡きあと、母親の処遇を巡り従妹が絡んできて・・の下りはサイドストーリーとしていい味。老嬢の話し方、表情まで浮かび、日本にもあるあるの一コマだった。
春の美しい描写、切ない心を表す文体に惹かれました。 愛は切なく苦しいものだと、改めて思わされました。
不慮の事故で片足が不自由になってしまったクーンという男の話。不運を嘆きながらも、作曲の喜びに目覚め、人生を必死に切り拓いていこうとするクーン。また、彼と親友との間に現れた女性を巡っての複雑な人間関係も描かれている。“最も不幸なことを捨ててしまうことは楽しかったことを捨てることよりもつらい。避けがたい...続きを読む運命を甘受し、よいことも悪いことも味わいつくし、内的な本来の運命を獲得することが人間生活の肝要である”と冒頭で主人公は振り返っている。その言葉がとても重みをもつ、重厚な作品であった。
青春時代の淡い、されど激しい想い。 届かぬともそれは青春時代が生み出す1つの生き物ではなかろうか。 妙によそよそしく感じるそれは、その時代特有のものであろう。 揺さぶられる心。そして、そこに諦めを見出してしまう心。様々な想いが錯綜する。 それが青春であろう。
絶え間なく変わり続ける時に人の心は抗える。 並木道の砂埃とともに舞い上がるゲルトルートの幻を心に抱くシーンが印象的。
ゲルトルートは、直感に素直に生きている人じゃないかという印象を受けた。芸術と恋愛等々、古典的なテーマでいい小説だった。愛が修行と呼ばれる所以は...どのような考えを持った人が破壊せず、精神的にも負けず愛を成就できるのか。小説をまたもっと読まなくちゃと思いました。
報われるあてのない努力でも、心から離れない限り無力に終わることはない。 クーフの作詞家は「ハンス・H」。「車輪の下」のハンスを救済した?そうだといいな。
たまたまトニオグレーゲル、ヴェニスに死すを読んだ後にまた芸術家をテーマにした作品。ストーリーがどうと言ったことはないけれど、たっぷりと情景、心理描写を丁寧に描いてるのはせかせかした現代の作品にはない次元を感じます。こう言った作品を読むと、立ち止まる時間ができて嬉しい。
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