永井紗耶子の作品一覧
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Posted by ブクログ
「もし誰かがころしたというのなら、この町の絡繰りだろうよ」。酸いも甘いも知り尽くした、太田南畝は事件の因果をそう断じた。若い主人公の金四郎は納得していない様だが、単純ではない因果が絡まり合って起こった出来事は矢張り南畝の言う通りだったろう。この絡繰りに巻き込まれない様にするには、どうすべきか。件の南畝は「大方の人がなんとかこの絡繰りの中でうまく渡って生きている」という。文中にも出てくる「覚悟」を決めて生きるって事だろうか。南畝は、「現の世はな、あんなふうに(芝居の中のように)、分かりやすく隈取り描いた悪役はいねぇ・・・・・・でもその物語のようなもの(大衆が望む様な結末ってことか?)もあるのかもしれねぇって思いが、救いになるにさ。・・・・」。作者はこの南畝を通して自らの思いを吐露したと感じた。不条理なことは沢山ある、改めることの多い、が改めた先にもまた不条理は出てくる。でも、それでもなんとか覚悟を決めて生きていくのだ、と言いたいのかもしれない。キレの良い幕切れでないことが、この作品の言いたい深みを描いている気がして、面白かった。良かった。