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上様の寵愛こそすべて、とは考えなかった女性たちがいた。御手つきとは違い、昼間の仕事に励んだ「お清」の女中たち。努力と才覚で働く彼女たちにも、人知れず悩みはあって……。里に帰れぬ事情がある文書係の女、お洒落が苦手なのに衣装係になった女、大柄というだけで生き辛い女、負けるわけにはいかぬが口癖の女。涙も口惜しさも強さに変えて、溌剌と自分らしく生きた女たちを描く傑作。(解説・細谷正充)
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Posted by ブクログ
6編からなる大奥の中の様々な部所で働く女達の話。 どの話もとても良かった。 身分も年齢も大奥に入ることになった事情もそれぞれ違う登場人物達が 時に思い悩み しかし皆 誠意をもって一生懸命自分のつとめをはたそうとする姿勢が 清々しく気持ちが良い。 〝つはものの女〟で 初瀬様が言った「ここまで歩んで来...続きを読むたことを誇りに思われよ。その誇りある女がするからこそ、この礼には意味がある。それゆえにこの負けは勝ちなのじゃ」という言葉には まさに 天晴 という思いだった 最後の話〝ねこめでる女〟は他とは少し違う切り口で 猫を介した 身分も年齢もこえた繋がりがホッコリ温かく物語の最後を結んでいた。
江戸城・大奥のお仕事小説短編集。 ひのえうまの女・・・奥女中の要・御年寄に仕えたお利久。 家の事情も伴い、大奥で出世したい願望あれど、今の仕事は 心あらず。だが思わぬ出会いから自分を生かせる道を見出す。 いろなぐさの女・・・「私にご指南いただきたいのです」 呉服の間のお松の境遇からの悩み。呉服...続きを読む問屋の千沙と 女形の岩井粂三郎との出会いと語らいは、己と向き合い人と 向き合う大事さを知ることになる。それは二人も同様に。 くれなゐの女・・・御末の玉鬘は大柄な身体が悩み。だが夕顔との 出会いで変化が。夕顔の見事な処世術。心に残るのは、 白塗りの顔と皆を笑顔にさせる夕顔の心持の逞しさ。 つはものの女・・・祐筆のお克は出世の道を歩むことが心の支え。 そんな彼女と呉服の間のお涼を競わせるのは、表使の初瀬様。 表使の役目とは。母の言葉が心に響く。「負けても良いのです」 ちょぼくれの女・・・美津江は御狂言師として大奥へ。「喜撰」の 舞を教える相手は御三の間のお美乃とお正。悩みを抱える 美津江とお美乃の心を晴らし、舞の楽しむ。それはお正のお蔭。 ねこめでるの女・・・御仲居・お蛸。御年寄の御小姓・お佐江。 飼い主で御中臈・お倫の方。彼女たちに愛され、年齢も身分も 境遇も違う三人を結びつけたのは、猫の小萩だった。 ・解説 細谷正充 「大奥御用商人とその一族」読み終わって、大奥での仕事や 生活に興味を持ち、では小説ではと読んでみました。 大奥には様々な仕事があること。奥入りは、一に引き、二に運、 三に器量。お清の出世は己の手腕と運、そして人脈。 また、花嫁修業や奥勤めでの箔付け、後家になってからの 奥入りなどもあり、出世とは異なる理由もある。 でも多くの女性が働き、お役目がある職場。 喜怒哀楽があり、多くの悩みを抱えている者もいる。 でも、自分を活かし働ける場所でもあるということ。 特に、御末から出世したお正の生き様の逞しいことに 心惹かれました。 呉服問屋の女将・千沙と呉服の間のお松の関係は、 「大奥御用商人とその一族」の補足になる感じで興味深い。 また、それぞれの物語に登場した人物が、他の話に ひょっこり登場するのも良かったです。 あ~頑張ってるなぁと。
最初、堅いかな?読みにくいかな?と不安もあったが、いつの間にか大奥の暮らしに引き込まれて楽しかった。大奥に勤めている色んな階級の女性たちの話の短編集。前の話に出てきた方が、あとの話の中に出てくるとその後がわかって微笑ましく思えた。 当時あった豪華絢爛な衣装や小物など今はどうなっているんだろうか。江戸...続きを読む城なくなってるのは勿体ないなと思った
大奥を舞台にした女性たちのお仕事小説。芯のある女性たちの成長や気づきは面白い。温かな気持ちになった。
試しにと手に取り、小さなお話がいくつもあり、大作ではないと期待せず読んでみた。読み始めてみると、大奥の習わしに好奇心が動かされ、さらには一つ一つの話の温かさに涙がこぼれそうになった。読んでいると心がほぐされるような感覚でとても読み心地が良かった。面白楽しかった。
朝井まかてさんの残り者の解説に、おすすめとあったので読みました。 残り者よりももっと読みやすいお仕事小説でした!
大奥を舞台にしたお仕事小説。 面白かった!! 女性同士のドロドロ感はなくて、職業人としての様々な女性たちのお話。 爽やかな読後感のものが多かった。 現代の働く女性に通ずる部分も多くて、読んでいて元気になれる作品。
大奥のお話といえば、なんだかドロドロの人間関係のお話というイメージがありましたが、このお話は、全く異なる視点で書かれていて、とても面白かったです。女性でありながら、様々な立場で精一杯生きる逞しさが生き生きとユーモラスに描かれていました。こういうお話いいなあ〜
ドロドロの大奥ではない、お清たちの日常。 大奥に入るまでの経歴や背景はみんなそれぞれだけど、お手つき以外で上り詰めていこうとする気構えが見ていて気持ちいい。
するするっと読める短編集 大奥と言えば、愛憎蠢くドラマがあの壮大な音楽で浮かぶがこれは、そういうこととは無縁のお仕事小説 江戸時代好きな私は今まで幾度となく この時代に生まれたら、煮売屋や小間物屋の おかみさんになりたいと思っていたがこの本を読んだら 奥勤めも素敵と思えた いまさらながら、大奥と...続きを読むは女性が活躍でき笑って過ごせる職場なのだと知った いつの時代も、女性はたくましく、考えたり委ねたりしながら笑って働いていることが素晴らしいんだと思えた
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