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Posted by ブクログ
江戸の商業に革命を起こし途上で消えた男、杉本茂十郎。想像以上に面白く、あっという間に読み終えてしまった。私自身、ものを作らない業界で働いている関係で、商業・金融の果たす「繋ぎ」の価値について考えさせられた。
栄光と没落、後半は陰ってばかりなのにどこか爽やかなのが印象的。茂十郎が残した遺産は多々あれど、その後の商業界は狐狸が跋扈し混沌としていくという点が幕府への皮肉としてそう思わせるのかもしれない。初めて作者だったが、人となりや心情を描くのが非常に上手だと感じた。一方で彼女らしさを感じられなかったので、他の作品で見つけられることを期待したい。
Posted by ブクログ
既に出来上がっている仕組みを変えることは容易ではない。永らくその仕組の中で生きていると、そもそも「変えられる」という発想にすら立てないからだ。起きていることの本質を見極める眼と、根本から崩して造り直すことに挑める胆力。強い信念を貫き突き進むことができる改革者は、結果的に多くの敵を一身に引き受けることとなり、短命で散る運命なのか。
物語が弥三郎の視点から語られることで、茂兵衛・茂十郎の凝縮した生を共に生ききる感覚が薄まってしまったのは残念。むしろ弥三郎が主人公なのだと思えば、気持ちが重なる部分も多く、自身の想いに真っ直ぐに「できること」をしていくことで、歴史の転換点を支え見届ける一つの力にもなり得るのだと、心が熱くなった。
Posted by ブクログ
4作目の永井紗耶子さんの本。
江戸商人・経済をテーマにしたもので、私にとっては苦手な分野です。
実際、今までに読んだ永井さんの本と比べると、あまり私には刺さらないかなーと思いつつ、とりあえず読破を目指して読み進めていました。
中盤、江戸の金の流れを握った茂十郎と、周囲との軋轢が目立ち始めた辺りから、引き込まれました。
「金は刀より強い」と、清濁併せ呑んで、江戸の経済の在り方にメスをいれ改革を進める茂十郎。その原動力が、天明の大飢饉や、妻子を失った永代橋の崩落事故というのが、人情を感じます。
強い信念のもと突き進む茂十郎の姿は爽快で、心に残りました。
その彼の出した結論が「葵の御紋は金より強い」で、お上を見限った末の彼の末路が辛いです。
弥三郎と茂十郎の友情もいいですね。
結局ラストはまたもや泣かされました。
私利私欲に塗れたお上には、苛立ちを覚えました。
政が崩壊して真っ先に苦しむのは民ですね。
映像化されてもいいのになと思う良作でした。
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