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筆という卵が生み出すのは、武者か美女か、それとも鬼か。東海一の文化人と、松平定信の交流が心を揺さぶる。──直木賞受賞第一作!
かつては寛政の改革を老中として推し進めた松平定信は、60を過ぎて地元・白河藩主の座からも引退した。いまは「風月翁」とも「楽翁」とも名乗って旅の途次にある。その定信が東海道は日坂宿の煙草屋で出会ったのが栗杖亭鬼卵。東海道の名士や文化人を伝える『東海道人物志』や尼子十勇士の物語『勇婦全伝絵本更科草子』を著した文化人だ。片や規律正しい社会をめざした定信に対し、鬼卵は大坂と江戸の橋渡し役となる自由人であり続けようとした。鬼卵が店先で始めた昔語りは、やがて定信の半生をも照らし出し、大きな決意を促すのだった……。
Posted by ブクログ 2024年03月20日
江戸時代の上方の文化人、栗杖亭鬼卵の半生を描いた物語。
様々な人との出会い、愛する妻との死別、天明の大飢饉を経て、彼が本当に表現したかったものが明らかになる。
それを隠居後の松平定信に語るという舞台設定が、より鬼卵の訴えたいことが伝わってくる。
永井さんの人物の描き方が本当に好きなんだよなー。
鬼卵...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月18日
直木賞受賞後の第1作。「木挽町のあだ討ち」が大傑作だったので期待して拝読。前作を超える傑作とまでは言わないが、時代小説を牽引する作家の一人になった印象をもった。恥ずかしながら栗杖亭鬼卵は知らなかったが、禁欲政治を断行した松平定信との老いてからの邂逅談という設定も面白く、歴史好きにはたまらなく興味深い...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年04月19日
高校の時、私は日本史の歴史の授業ではいつも睡魔に襲われていた。その結果、歴史上の人物が時代ごとに区分できていない。
主人公の鬼卵は転居を繰り返しながら、様々な文化人と出会い記録を残していく。
日本史を熟睡で過ごしていたので、松平定信と上田秋成が同じ物語の中に登場するのに驚いた。
本を読むことは、知識...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月25日
江戸時代、文政年間に大阪に生まれ、のちに静岡に住んで東西の文化を繋いだと言われる浮世絵師、戯作者の栗杖亭鬼卵(りつじょうていきらん)のお話を、松平定信との邂逅という設定で紹介する。定信との、生き方の違いを対比させた最後に、唸った。定信でさえ敵わぬ粋人であった。
常に人との繋がりの中に身を置き、自身...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年03月22日
江戸中期の実在の文化人栗杖亭鬼卵と天下人の松平定信との出会いの物語。
旧東海道を歩いた時の記憶が甦り、日坂の宿、小夜の中山、掛川城、三河吉田と馴染み深い土地の名前に更に興味深く読みました。
現代は新幹線で東京〜京都を2時間半で行き交い、メールでやり取りする世の中。
反して主君が悪くても物申すことも出...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月25日
初読みの作家さん。
新聞連載で読んだのでこちらに登録。
鬼卵が自分の半生を通して見た幕府や世の中を定信に対して諧謔を交えて語り、それに対して定信をが怒りそうになるけど1理も2理もあるので頷かざるを得ない展開が妙に居心地の良さを与えてくれて楽しく読めた。
どの時代も同じだと思うけど1つの視点だけでなく...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年04月21日
一か月前に読み終わりレビューも書いたのだが、手違いで消してしまいそのままになっていたのだが、好きな本だったので備忘録ぐらいにはまとめようと気を取り直す。
主人公の栗杖亭鬼卵は江戸時代の戯作者。河内(大阪府)出身の下級武士で、その後絵画、狂歌、連歌、俳諧をたしなみながら諸国を遍歴する。伊豆韮山代官江川...続きを読む
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