青青といく

青青といく

小説・文芸
2,090円 (税込)

10pt

直木賞受賞作『木挽町のあだ討ち』が実写映画化!
「自由」に生きることの真実を描く歴史長編。

弥兵衛が弟子入りをして間もなく、師の海保青陵は亡くなった。当代きっての儒学者で、経済にも精通し、江戸の世に「自由ナル」生き方を説いた青陵。京弓師の跡取りでありながら職人としては未熟で、算盤勘定や商いにばかり惹かれる16歳の弥兵衛に、その「商い」こそが世を変えると教え、「自由自在」に生きる道を示してくれた先生だった。最後の弟子となった弥兵衛は「遺灰は空に撒け」という師の遺言を胸に、兄弟子と連れ立って青陵ゆかりの人々を訪ね歩く。江戸の実弟、変わり者の絵師、川越の商人、秩父の家老、金沢の隠居、そして京――。青陵に人生を変えられた者たちが語り出す、亡き師の思いがけない過去、人知れぬ後悔とは。

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青青といく のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    青陵自身は武家社会に馴染めなかった人だけれど、彼が残した【自由自在】な考え方は、関わった人々の人生を動かして未来を生きる人々にしっかりと種をまいていた。彼は生まれてくるのがちょっと早かったのかもしれない。もし彼が生きているうちに時代が追いついていたら、歴史はまた違っていたのかなと想像が膨らむ。 ラストのあの人の登場に「歴史が追いついた」と心躍った。

    0
    2026年09月07日

    Posted by ブクログ

    映画化もされた『木挽町のあだ討ち』に次いで、永井さん著の本作を手に取りました。物語の主人公が、キーになる人物にまつわる人々を尋ね聞いてまわって、その核心に迫っていく、という話の組み立ては『木挽町…』に似ているなと思いました。

    本作を読み進めていくにつれて、そのキーになる人物“海保青陵”の「自由自在」を旨とする考え方と、江戸末期の世の中のしがらみとか古くからのしきたりといった「歪み」をどうにかして変えようとする人々とが、次第にリンクしていったことが明かされていきます。

    往々にしてありがちなのは、急激な変革を目指すがあまり、「〇〇の変」とか「△△の乱」などといった急進的な動きへと発展し、中心人物もろとも押しつぶされてしまうというような歴史上の出来事が数多あったことを思い出します。

    本作ではそうとはならず、海保青陵の遺志が、日本中の多くの人々に受け継がれ、そう遠くない将来に世の中が変わっていくことに繋がることを、読み手には理解することができるのでした。

    それに、青陵自身のごくごく個人的なことについても種明かしされるというサプライズもあり、二重三重の面白さを感じることができました。

    0
    2026年06月06日

    Posted by ブクログ

    江戸時代の儒学者、海保青陵が亡くなり、最後に弟子入りした堺屋弥兵衛と同じく若手弟子の暁鐘成は各所にいる先生ゆかりの方々に訃報回りをすることになった。その旅先などで会った人の語りなどから、天才であった青陵が尾張徳川家に勤めることの辛さや、家族との関係、その後の生き方、各所での影響力など読ませてくれる。日本史を学んでいれば既知の人物が多数出てくるが、日本史音痴の私でも物語としてスラスラと楽しめた。
    政治の大局を見ながら自由に生きるという、当時ではあり得ない発想と、自由にみえて周りを気遣い愛し守りたい欲もあり、万人に共感を呼ぶ内容だと思った。あと、家庭を持たない主義だった青陵に妻子がいたのかも?という大きな謎が旅の途中でうまれるのですが、私は最後の方で一度読み止めたときに、もしかしてこういうこと?と気づきました。その流れも良かったです。
    読めれば小学生でも問題ないけど、一般的な日本史的知識(江戸のこととか)がないと楽しめないので高校くらいから。

    0
    2026年05月30日

    Posted by ブクログ

    普通に時代を切り開いて行く
    師の人生を振り返る話だと思っていたら
    まさかの新事実に
    思わずページを遡った
    面白い

    0
    2026年05月27日

    Posted by ブクログ

    堅苦しい武家社会で、自由闊達な生き方を貫き通した儒学者、海保青陵。願わくば直に訓を説いて欲しいくらいである。読めば読むほど、弟子や仲間に慕われた彼の人柄が目に浮かぶ。最高潮の第五章に注目。家族の絆に感動。

    0
    2026年03月22日

    Posted by ブクログ

    江戸後期の経世家、儒学者の海保青陵。「経世在民」を唱え、自由自在を旨とし、江戸の世に自由な生き方を説いた青陵が亡くなるところから話が始まる。
    彼の最後の弟子である堺屋弥兵衛が、師の遺言である「遺灰は空に撒け」の言葉を胸に青陵ゆかりの人々を訪ね歩くいわばロードストーリー。

    「変人」と評される青陵の人となりがなんとも魅力的。弥兵衛が訪ねる先々で出会う青陵縁の人々が語る彼の逸話がいちいち面白い。
    膠着した武家のしきたりに異を唱え、自由な意見の交換を何より楽しむ姿。前例踏襲の悪弊を説き、変化を求めることの難しさも知りながら、「自由自在」を若い者たちに伝えていく過程。

    そんな師の姿を見聞きし、改めて青陵と出会い直していく弥兵衛。家業を継ぐことに迷いを抱いていた弥兵衛が、旅を経て成長していく姿がなんとも頼もしい。この弥兵衛を主人公に据えて、青陵という人間を描いていくという手法が効いている。そして最後に明らかになる驚きの事実…。

    最後には福沢諭吉まで登場して、世の中が変化し、時代がやっと少しだけ青陵の考えに追いついてきた未来が描かれるのがいい。

    変化を嫌う頭の固い人たちが、「前例がない」と柔軟な考えを否定し、潰していく姿はまったく今に通じるものがあって、大事なのは「理(ことわり)」なのだ!という青陵の声が聞こえるようだ。

    最後まで爽やかで、清々しい気持ちになる良作でした。

    0
    2026年03月15日

    Posted by ブクログ

    出会って僅か4か月。儒学者で経世家の海保青陵の死は、
    16歳の末弟子・堺屋弥兵衛に、大いなる悲しみを与えた。
    そして師の訃を伝えるために兄弟子の暁鐘成と共に
    師の足跡を辿る旅に出る。
    ・序
    第一章 賢弟 第二章 うそ八
    第三章 大地球頭第一花 
    第四章 鰻の蒲焼 第五章 末弟子
    ・終
    主要参考文献、論文一覧有り。

    「死んだら火葬し骨を粉にして空に撒いて欲しい」
    師の訃と望みを伝える相手には、青陵への想いが胸に在る。
    江戸で会うのは、尾張徳川家に仕える青陵の弟・瑞陽。
    彼が抱えるのは、共に過ごした兄への羨望と憤り、そして思慕。
    絵師・司馬江漢。難儀な人「うそ八」の、
    「辞世ノ語」に至る、青陵との縁と心躍る交流。
    忍藩の元家老・加藤市之丞は、青陵の話と提案に
    戸惑いながらも学んだことが今も心に残る。
    金沢藩の元出銀奉行・冨田景周は、青陵の自由気ままの中に
    情の厚さを感じる。だからこその記憶は、苦く辛いものに。
    半年の旅を終え京に帰った二人。
    改めて師の人柄と考え、そして人との繋がりを知った。
    京で待っていたのは、ある真実。
    弥兵衛は更に青陵の足跡と想いを知ることになる。そして・・・。
    実在した儒学者で経世家の海保青陵の足跡を、
    人物伝のように描いた歴史小説です。ミステリーも有り。
    江戸時代中期に生きた彼の、人生は過酷ではあったが、
    学びと人との出会い、そして縁が「自由自在」な生き方に
    形成されてゆく歩みが描かれています。
    最初はしかめっ面だった話者が、語り終える頃には
    柔らかな表情を垣間見せるようになる変化が、実に良い。
    困惑や戸惑いはあれど、青陵の人柄にある心の熱さや
    人を思う気持ちの厚さに触れたことは、
    今でも思慕となって残っているんだなぁと感じてしまう。
    当時の著名な文人たちや架空の人物たちの姿も
    生き生きと描かれ、更に実在のマルチな戯作者・暁鐘成を
    絡めたのも、面白かったです。

    0
    2026年03月08日

    Posted by ブクログ

    日本のコンサルタントの始祖ともいえる海保青陵の生き方を、その死後に関係者から聴取することで人生の指針を見つける青年の物語。生まれるのが50年後だったらと思わせる海保青陵の魅力を十分引き出しているところが最大の魅力。

    0
    2026年03月04日

    Posted by ブクログ

    『木挽町のあだ討ち』で魅了された永井紗耶子さんの長編。今作もまた、ゆかりの人々を訪ね歩く中でモザイク画のように亡き人物の真姿が浮き彫りになっていく構成が見事の一言。

    物語の核となるのは、当代きっての異色の思想家・海保青陵と、その最後の弟子である16歳の弥兵衛。青陵の「遺灰は空に撒け」という遺言を抱き、江戸から川越、秩父、金沢、京へと辿る旅路である。

    武士の本分が「主君への忠義」であった時代において、青陵という男は「己の理」にどこまでも忠順に生きた人だった。金勘定を「端ない」と蔑み、建前で取り繕う武家社会にあって、「お金がなければ生きていけない」という絶対的な真理を直視し、資本主義の概念すらまだない時代に「商いこそが世を変える」と喝破したその先見性と柔軟さ。加賀藩の法を「ツギハキだ」と一刀両断してみせる場面の痛快さには、心から痺れさせられた。

    上を向いても下を見ても身動きの取れない武家社会の理不尽な閉塞感もしっかりと描かれる。そうした現実の壁を前に、「厳然」という文字を静かになぞった青陵。彼は変えられない時代の大きさに諦めを感じ、孤独を抱えながらも、目の前の若い弥兵衛に未来への種を蒔いたのだろう。

    世間の枠組みから抜け出し、自分の頭で考え、自分の足で立つこと。「自由自在」という教えの本当の重みが、旅の終わりとともに胸に深く染み渡る。時代を超えて現代を生きる私たちの背中をも押してくれる、圧倒的な傑作。

    0
    2026年09月26日

    Posted by ブクログ

    実はあの二人は、、、という最後のネタ明かしは予定調和すぎて苦笑いものだけれど、「父として慕われるよりも師として慕われた方が遥かに幸せやったろと」、というくだりにホッとしてこの物語自体に納得がいった。要の人物の弥兵衛と鐘成が気持ちの良い人たちなので清々しい読み心地だった。

    0
    2026年08月23日

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