永井紗耶子のレビュー一覧
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ある雪の降る睦月晦日の戌の刻
木挽町芝居小屋の裏手にて1件の仇討ちあり…
「我が父の仇、討ち取ったあり〜」
これが世にいう「木挽町の仇討ち」ィィ〜
何?この仇討ちについて知りたいとな?
参拝交代でやってきたという若侍に、この仇討ちを見ていたという芝居小屋の関係者がリレー式に語りだす
呼び込みの口上の木戸芸者の一八
役者に剣術の振り付けをする与三郎
衣装係の芳澤ほたる
小道具係の久蔵…代わってお与根 (笑)
戯作者の篠田金治
まぁ、みな喋る、しゃべる
仇討ち以外に、それぞれのこれまでの自分の生き様まで…
いやいや、仇討ちの真相だろっ!
と思うのだが、な〜に気がつくとその語りに引き込まれていた -
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直木賞と山本周五郎賞、さらに映画化と知って読んでみた。
結果これは大当たり。ラストをあれこれ想像しながら楽しんで読めた。
悪所とよばれる芝居小屋に流れ着いた人々。
元幇間、立師、衣装部屋の女形、小道具係、戯作者。
彼らが2年前に木挽町で菊之助が成し遂げたあだ討ちについて語っていく。聞いて回っているのは菊之助と同じ年頃の武士。身の上話もしきりと聞きたがるので、少しずつ語るうちに彼らの来し方と人柄がわかってくる。
当時あだ討ちをたてたら届け出て、成すまで自分の藩に戻れなかったという。相手が見つからずにそのまま流れ者になってしまうこともあるのだと。ようやく親の仇に出会ったら名乗りをあげて討ち合い、 -
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時代小説は嫌いじゃないんですが、なかなか手が伸びないジャンルのひとつです。しかし、「直木賞」と「山本周五郎賞」ダブル受賞と言われるとさすがにおおおお!?ってなりますよね。
仇討ちというテーマに対してかなり控えめな、美しいデザインの表紙、さてどのようなお話なのかとページをめくってみると、仇討ちそのものは序盤であっさりと終わってしまいます。そこから物語は仇討ちを見た人たちの話に展開していきます。
久しぶりにとても面白い小説を読みました。時代小説なので所々難しい漢字や見慣れない言葉が出てきますが、気合いでいけます(電子なので都度検索しましたが)。
映画化もされるらしいですが、これは表紙含め文字で味わ -
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ネタバレ栗杖亭鬼卵という人のことは、全く知らず、まず、実在の人物と知って驚きました。
「自由と反骨で幕政の束縛に抗った文化人」とあったので、荒々しい破天荒な人物を想像していました。読んでみると、穏やかで人柄良く、初めて書いた本が御法度本であることに恐れを感じる、良い意味で共感しやすい人でした。
鬼卵だけでなく、彼が出会う人々も気持ちの良い心根の人で、彼らとの会話が小気味よく楽しめました。また、出番は少なかったものの、志乃・夜燕・須美と、3人の女性陣も芯が強くて素敵でした。
心に残る名言もたくさんありました。
「死ぬまでの暇つぶしみたいな生き方はしなさんな」
私も人生の後半戦に突入しています。