永井紗耶子のレビュー一覧
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ネタバレまず、仇討ちについて調べている武士は何者?という疑問を抱きながら読み進めていった。
次第に菊之助が父に殺されそうになったことが判明。なぜ?
良い人だった作兵衛はなぜ博徒になったのか?
目撃者も多く、完璧に行われたはずだった木挽き町の仇討ち。
しかし、何かおかしい…。
人情物でありミステリーである一冊。
謎が解けた時、ほっとしてああ良かったという気分になった。
(実は途中からだいたいトリックはわかっていたが)
武士が話を聞いて回った芝居小屋の人たちの人生は苦悩に満ちたものだった。
ひとり一人とても重たい内容。
でもそういうことを笑い飛ばし、力強く生きていく逞しさがあった。
このお話は勧 -
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今年一番の一冊。舞台は激動の幕末。町人を描く物語としては王道の設定でありながら、本作の魅力は、主人公・勘七を始めとする全ての人物の圧倒的な生命力であり、時代に流されず‘粋’を留める江戸商人を鮮やかに描く。
勘七の師となる勝海舟、浜口儀右衛門は、‘時の龍’を見失わないこと、三方よしの精神はどんな時代でもそれに合わせた生き方を導くことを説く。真っすぐで優しいが故に流されやすい勘七が、生来の頑固さを武器に商人として成長していく姿は実に眩しい。
勘七を取り巻く仲間たち3人の描き方もまた多様で秀逸。武士の矜持を貫き殉死した直次郎、ふらふらしながらも人を楽しませる本質を知り誰より仲間想いな紀之介、堅 -
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映画化もされた『木挽町のあだ討ち』に次いで、永井さん著の本作を手に取りました。物語の主人公が、キーになる人物にまつわる人々を尋ね聞いてまわって、その核心に迫っていく、という話の組み立ては『木挽町…』に似ているなと思いました。
本作を読み進めていくにつれて、そのキーになる人物“海保青陵”の「自由自在」を旨とする考え方と、江戸末期の世の中のしがらみとか古くからのしきたりといった「歪み」をどうにかして変えようとする人々とが、次第にリンクしていったことが明かされていきます。
往々にしてありがちなのは、急激な変革を目指すがあまり、「〇〇の変」とか「△△の乱」などといった急進的な動きへと発展し、中心人 -
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雪の降る夜、芝居小屋のそばで若衆・菊之助が父の仇を見事に討ち果たす——その鮮烈な一件から二年後、真相を知りたいと一人の侍が木挽町を訪れるところから物語は動き出す。
この作品の妙は、あだ討ちそのものではなく、それを語る人々の側にある。芝居茶屋、稽古場、衣装部屋、長屋、枡席——芝居小屋に生きる者たちが幕ごとに口を開き、あの夜の輪郭は少しずつ塗り替えられていく。彼らが語るのは事件の断片であると同時に、それぞれが背負った半生でもあり、その積み重ねが群像劇としての厚みを生む。
武士として筋を通すことの厳しさと、市井に生きる者たちのさりげない情の深さ。その対比が押しつけがましさなく描かれ、堅苦しいはず -
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江戸時代の儒学者、海保青陵が亡くなり、最後に弟子入りした堺屋弥兵衛と同じく若手弟子の暁鐘成は各所にいる先生ゆかりの方々に訃報回りをすることになった。その旅先などで会った人の語りなどから、天才であった青陵が尾張徳川家に勤めることの辛さや、家族との関係、その後の生き方、各所での影響力など読ませてくれる。日本史を学んでいれば既知の人物が多数出てくるが、日本史音痴の私でも物語としてスラスラと楽しめた。
政治の大局を見ながら自由に生きるという、当時ではあり得ない発想と、自由にみえて周りを気遣い愛し守りたい欲もあり、万人に共感を呼ぶ内容だと思った。あと、家庭を持たない主義だった青陵に妻子がいたのかも?とい -
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映画を先に観てから読みました。普段は、原作→映画のパターンですが今回は結末を知りつつ、登場人物は映画のキャストをあてて読む…という感じでしたが、最初のあだ討ちのシーンは映像のおかげかよりイメージが深まりました。
設定は若干異なるものの、最近の江戸時代マイブーム(蔦重)もあり芝居小屋や悪所と呼ばれる場所の背景が理解できた上で読めたのは良かったな。
武士としての矜持、木挽町の人々の人情、芝居小屋のこと、舞台に立つものと支えるものの絆みたいな。
でも結局は、どんな場所で育っても、地位が違っても、人と人なんだなと思わせてくれる、真剣に付き合って向き合えばわかりあえると信じられる物語でした。
あだ討 -
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奈良は法隆寺夢殿、その厨子に安置された秘仏は千年以上ほとんど誰の目にも触れることなく長い時を過ごしてきた。時は明治、開けば災いもあると言い伝えられるその扉は開かれることになった。日本美術の評価に尽力するフェノロサと岡倉天心を中心にして。ついに姿を現す夢殿の救世観音像を前にして、彼らは何を思うのか――。
ということで本書は明治期の日本を舞台にして、秘仏の開扉をめぐる人々のドラマを描いた連作集です。写真家や僧侶など様々な立場の人物が配されて、時系列を行ったり来たりさせて、それぞれの短編がゆるやかに繋がり、物語の奥行きが増していくのがとても心地の良い作品でした。ラストである人物が、「黎明の時代 -
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時は江戸。歌劇座がひしめく一角で、朗々とした口上とともにあだ討が成された。
仇は悪名で鳴らした博徒で、それを打ち取ったるは色白の美少年である若殿。
父の仇である博徒を打ち取った若殿は仇の首を持ち上げて、ここにあだ討は為されたことを宣言すると夜の闇に消えていった。
そんな事件から2年が経ったころ、あだ討が成された通りにある歌劇座に一人の武士が訪れる。
なんでもその時のあだ討の様子だけでなく、話し手の来し方も聞きたいという珍妙な客であった。
と、この珍妙な客に応対する様々な人の答弁という形で話が進んでいく。
話の進み方。ミステリー要素。そして何より喜悲こもごも綯交ぜにした人情劇。
見事という -
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ネタバレ海保青陵という人を、この小説で初めて知った。
江戸時代の封建制に似合わない、自由で柔軟な考え方を持つ。藩の縛りを解いて、経済を活発にする手立てを考える、経営コンサルタントのような人だ。
こういう人に、武士の勤めができるはずがないし、商家の主人にも向いてはいない。その人生は、彼が亡くなった後に明らかになる・・・。
最後の弟子となった弥兵衛は、16歳。弓を商う家の跡取りだが、弓職人も、商売も苦手で、海保青陵に惹かれていき、弟子となる。海保の死後、兄弟子の暁鐘成とともに、師が世話になった知人を訪ね歩く。その様子はちょっとした、弥次喜多道中のようだ。弟子たちは、海保青陵を知るにつれ、一つの謎に突き当 -
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昨年奈良旅行に行き
法隆寺愛に溢れたガイドさんから
2時間濃いぃ案内を受け、
飛鳥の風を感じて本当感動しました。
本著に登場する秘仏、救世観音は残念ながら公開時期ではなかったので拝見できませんでしたが
宝物館で百済観音にはお会いできました。
百済観音も目の前にすると畏怖というか、ほんとなんとも言えない気持ちになり、しばらく動けなくなりました(語彙が、、)
そんな法隆寺にこんな苦境の時代があったなんて、、
日本史で「廃仏毀釈」という言葉を教わった記憶はありますが
1300年?の歴史ある法隆寺のようなお寺にまでその塁が及んでいたとは全く知りませんでした。
秘仏開帳に関わった六人の男たちの話がオ