永井紗耶子のレビュー一覧
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ネタバレ読めば読むほどに真っ当な仇討ちとしか思えない。これに一体どんな真相が隠れているっていうんだ? それを必死になって探す意味がわからん。聞き手(主人公?)もまったくしゃべるシーンないし。もしかしてこいつが裏で糸を引いてるんじゃないの? なんていう突拍子もない推理をして見事に外している愚か者はどこのどいつだーい? 私だよ。
江戸は木挽町の芝居小屋で起こった大仰な仇討ち劇。そこで起こったことの一部始終について、芝居小屋の関係者の目撃証言とその半生を聞いて回る青年。どうやらこの仇討ちには不可解な秘密が隠されているらしい。
そんな触れ込みで読み始めたものの前述したとおり、話を聞けば聞くほど至極当然の理由 -
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木挽町の芝居小屋裏手で、菊之助という若衆が父の仇である作兵衛を討った。
この「木挽町の仇討ち」と呼ばれる一件から2年後。
とある武士が、ことの真相を探るため、目撃者を訪ね歩く。
この作品のまず印象的な点は、その構成と文体だ。
視点人物である謎の武士に対して木挽町の人たちが証言するという形式で、地の文も喋り口調となっている。
自分は時代小説を読み慣れておらず、聞き慣れない言葉は多かったけれど落語のような小気味良いテンポ感で、スムーズに作品の世界に入っていけた。
本作はミステリーで、仇討ちの真相という謎を楽しむこともできる。
しかし自分はそれ以上に、江戸という活気に溢れる町の中でごく当たり前に存 -
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ネタバレ時代小説はとっつきにくいんだよなあ…と思って読み始めたけど、どこにもとっつきにくい要素がなかった。たぶん最初の章の一八の語りが軽妙だからだろう。
木挽町の芝居小屋に縁がある登場人物たちがリレー方式で語っていく感じは、すごくミステリ味を感じて(前情報は一切見ずに読んだので…)、これからどこに着地するんだろう…という気持ちで読み進める。読んでいくにつれて、徐々にぼんやりとした全体図が見えるように(というか真実に辿り着くためのパーツが揃う、的な面白さがある)なり、終章で種明かし編が始まる。
この、全体を通した爽やかさもさることながら、一つ一つの章の強度も非常に高い。一癖も二癖もある登場人物たちの -
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今年一番の一冊。舞台は激動の幕末。町人を描く物語としては王道の設定でありながら、本作の魅力は、主人公・勘七を始めとする全ての人物の圧倒的な生命力であり、時代に流されず‘粋’を留める江戸商人を鮮やかに描く。
勘七の師となる勝海舟、浜口儀右衛門は、‘時の龍’を見失わないこと、三方よしの精神はどんな時代でもそれに合わせた生き方を導くことを説く。真っすぐで優しいが故に流されやすい勘七が、生来の頑固さを武器に商人として成長していく姿は実に眩しい。
勘七を取り巻く仲間たち3人の描き方もまた多様で秀逸。武士の矜持を貫き殉死した直次郎、ふらふらしながらも人を楽しませる本質を知り誰より仲間想いな紀之介、堅 -
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映画化もされた『木挽町のあだ討ち』に次いで、永井さん著の本作を手に取りました。物語の主人公が、キーになる人物にまつわる人々を尋ね聞いてまわって、その核心に迫っていく、という話の組み立ては『木挽町…』に似ているなと思いました。
本作を読み進めていくにつれて、そのキーになる人物“海保青陵”の「自由自在」を旨とする考え方と、江戸末期の世の中のしがらみとか古くからのしきたりといった「歪み」をどうにかして変えようとする人々とが、次第にリンクしていったことが明かされていきます。
往々にしてありがちなのは、急激な変革を目指すがあまり、「〇〇の変」とか「△△の乱」などといった急進的な動きへと発展し、中心人