永井紗耶子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
人情の厚さを感じた。登場人物みながバックボーンを詳細に話してくれる。人の温かさ、非情さ、人間味が溢れる内容で時に泣きながらページをめくった。なぜ話を進める主導者は2年も前の出来事を聞き回っているのか、また芝居小屋にいる人たちはどういう人なのかどういう経験をしたのかをなぜこんなにも詳細に聞くのかが全く分からず、どう終わるのかずっとモヤモヤしながら読み進めていたが、最後に全てが分かりその理由にも心打たれるものがあった。
江戸時代頃の話のため、昔の言葉が難しく読み進めにくいのかなと想像していたが、話が面白いためどんどん読み進めることができる。
もう一度読みたいと思った。 -
Posted by ブクログ
江戸後期の経世家、儒学者の海保青陵。「経世在民」を唱え、自由自在を旨とし、江戸の世に自由な生き方を説いた青陵が亡くなるところから話が始まる。
彼の最後の弟子である堺屋弥兵衛が、師の遺言である「遺灰は空に撒け」の言葉を胸に青陵ゆかりの人々を訪ね歩くいわばロードストーリー。
「変人」と評される青陵の人となりがなんとも魅力的。弥兵衛が訪ねる先々で出会う青陵縁の人々が語る彼の逸話がいちいち面白い。
膠着した武家のしきたりに異を唱え、自由な意見の交換を何より楽しむ姿。前例踏襲の悪弊を説き、変化を求めることの難しさも知りながら、「自由自在」を若い者たちに伝えていく過程。
そんな師の姿を見聞きし、改めて -
Posted by ブクログ
こんな小説があったのか!というくらいの傑作。
(あくまで個人の感想です)
それぞれに苦い・暗い過去を経験しながらも、ひたむきに生きる芝居小屋の人たちの情や優しさが、ひとつの“仇討ち”を彩っていく。
文中では「仇討ち」なのに、何でタイトルはひらがななのかな?と思いながら読んでいき、意味がわかった時の感動ったら…!
仇討ちの真相も、人々の心の内や辛い過去も、見えている部分がすべてではない。
星の王子さまではないけれど、大切なものは目に見えないところにあるんだなってことをしみじみ感じる。
すっきりと静謐な感動を味わいたい人にぜひオススメしたい1冊。 -
Posted by ブクログ
睦月晦日、木挽町の芝居小屋「森田座」の裏の空き地で、若侍の菊之助が父親の仇であるごろつきの作兵衛を仕留め、見事に仇討ちを晴らした。
この一件について、関係者からの証言を聞いてまわる武士。話は、それぞれの証言者のこれまでの人生にも及び、やがてこの仇討ちの詳細が見えてくるー
インタビュー形式で話を進むが、一人ひとりの来し方が描かれており、それぞれのパートだけでも、十分に読み応えがある上に、それらが繋がった仇討ちの詳細は見事としか言いようがありません。
映画化された方を先に観ましたが、各人の人生部分は省略されてしまっていたものの、原作とは少し変えた部分もあって、笑いどころが盛り込まれていたり、 -
Posted by ブクログ
出会って僅か4か月。儒学者で経世家の海保青陵の死は、
16歳の末弟子・堺屋弥兵衛に、大いなる悲しみを与えた。
そして師の訃を伝えるために兄弟子の暁鐘成と共に
師の足跡を辿る旅に出る。
・序
第一章 賢弟 第二章 うそ八
第三章 大地球頭第一花
第四章 鰻の蒲焼 第五章 末弟子
・終
主要参考文献、論文一覧有り。
「死んだら火葬し骨を粉にして空に撒いて欲しい」
師の訃と望みを伝える相手には、青陵への想いが胸に在る。
江戸で会うのは、尾張徳川家に仕える青陵の弟・瑞陽。
彼が抱えるのは、共に過ごした兄への羨望と憤り、そして思慕。
絵師・司馬江漢。難儀な人「うそ八」の、
「辞世ノ語」に至る、青陵と