永井紗耶子のレビュー一覧

  • きらん風月

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    武士の生まれで浮世絵師、戯作者として生きた栗杖亭鬼卵。
    8代将軍吉宗の孫、第3代白河藩藩主、老中として寛政の改革を行い、隠居後は“楽翁”“風月翁”などと名乗った松平定信。
    少し前に読んだ「襷がけの二人」でも見られた、「役割の人生」と「個人の人生」がより鮮明に描き分けられた作品だった。
    二人の邂逅の場が川の増水による川止めで生まれた空白の時間に設定されていて、どんどんパの付く時間感覚に染まっていく現代に、こういう不意の出会いに長年培った価値観を揺さぶられることなどなくなっていくのだろうな、と感じる。

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    2026年10月23日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ストーリーの構成に、こうきたか!そうなったか!とワクワクして中だるみ一切なし。

    登場人物の温かく逞しい生い立ちや言葉も魅力的。
    時代小説の人情を感じる部分が結局だーいすき

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    面白いもんはいつも誰かが何処からか持ってきてくれると思ったら大間違いでっせ。
    面白がるには覚悟が要るんです。
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    いいフレーズ!

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    2026年10月09日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    2026年9月26日
    最高でした
    それぞれの語り口がいい
    見たあだ討ち、おのれの来し方を鮮やかに語る
    騙る
    そしてそれはじかに、聞く話となって
    そう義兄に成り代わって、私がじかに聞いていた
    鮮やかなあだ討ち
    素晴らしかった

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    2026年09月26日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    これはもう、「読んで下さい」としか言いようがない。
    感想を述べると面白さを削いでしまいそう。
    事前情報無しで読んで下さい。

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    2026年09月22日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    二年前の雪の夜に起きた仇討について、それを目撃した人たちにインタビューする形式で進むお話。
    木戸芸者、立師、女形、小道具職人、戯作者、それぞれの人物から仇討の様子を聞くと同時に、彼らが何故この芝居町に辿り着いたのかも語られるのだが、それぞれのキャラクターが良いのはもちろん、各エピソードもうるっとくる。
    そして読むにつれ、段々話が繋がってくるのが爽快。
    タイトルの意味を知ったときも本当に声を出して唸ってしまった。
    舞台化、映画化も納得。

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    2026年09月18日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    清々しい一冊でした。各人それぞれの来し方を聞いてるだけでも胸にくるものがあるのに、ラストにみんなの想いがカタチになるっていう素晴らしい結末でした。タイトルと芝居座という場の設定諸々秀逸でした。

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    2026年09月15日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    「もし誰かがころしたというのなら、この町の絡繰りだろうよ」。酸いも甘いも知り尽くした、太田南畝は事件の因果をそう断じた。若い主人公の金四郎は納得していない様だが、単純ではない因果が絡まり合って起こった出来事は矢張り南畝の言う通りだったろう。この絡繰りに巻き込まれない様にするには、どうすべきか。件の南畝は「大方の人がなんとかこの絡繰りの中でうまく渡って生きている」という。文中にも出てくる「覚悟」を決めて生きるって事だろうか。南畝は、「現の世はな、あんなふうに(芝居の中のように)、分かりやすく隈取り描いた悪役はいねぇ・・・・・・でもその物語のようなもの(大衆が望む様な結末ってことか?)もあるのかもしれねぇって思いが、救いになるにさ。・・・・」。作者はこの南畝を通して自らの思いを吐露したと感じた。不条理なことは沢山ある、改めることの多い、が改めた先にもまた不条理は出てくる。でも、それでもなんとか覚悟を決めて生きていくのだ、と言いたいのかもしれない。キレの良い幕切れでないことが、この作品の言いたい深みを描いている気がして、面白かった。良かった。

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    2026年09月14日
  • めぐる糸 明治浪漫霊異譚

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    続きが楽しみ。
    タイトル通り糸がどんどんめぐっていって、話が進むほど、登場人物が増えるほど面白くなるんじゃないかと期待。

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    2026年09月09日
  • 青青といく

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    青陵自身は武家社会に馴染めなかった人だけれど、彼が残した【自由自在】な考え方は、関わった人々の人生を動かして未来を生きる人々にしっかりと種をまいていた。彼は生まれてくるのがちょっと早かったのかもしれない。もし彼が生きているうちに時代が追いついていたら、歴史はまた違っていたのかなと想像が膨らむ。 ラストのあの人の登場に「歴史が追いついた」と心躍った。

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    2026年09月07日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    文語調だし内容がスッと入ってこなくて読むのをやめようと思った。が、第二章に入ってから、この本の構成が分かり、登場人物も第一章と全く違ってその面白さもあり、結局一気見。思わぬ展開、伏線回収もあり、最高のエンタメだった。
    特に、各章に出てくる主人公(語り手)のキャラがいろいろでみな魅力的。共感できるタイプが一人はいるのでは?そういう意味では、結末がわかっていてもそのキャラに会いに何度も読みたくなってしまうような本だと思った。

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    2026年09月06日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏で菊之助なる若者が父の仇である博徒作兵衛に仇討ちを成した。白装束を血に染め上げて作兵衛の首級を挙げたそれを、見た者はみな立派な仇討ちだったと語った。

    仇討ちから2年後、菊之助の縁者が仇討ちの目撃者である芝居小屋の人々に当時の詳細を聞いて回っていた。木戸芸者、殺陣の指南役、衣装部屋の女形、小道具製作、戯作者。それぞれ辛い過去を背負いながらもそれらを受け入れて芝居小屋という悪所を生きる人々だった。彼らが短いながらも菊之助と過ごした日々や、菊之助の仇討に対する心の内、そして最後に菊之助本人から明かされる仇討の真相。


    仇討の真相は、読んでいて大抵の人はピンときたのでは。真相そのものよりも、芝居小屋の人々のこれまでの半生が悔しかったり悲しかったりでグッときた。みんなそれぞれ不条理で辛い経験をしているからこそ菊之助に寄り添いながら最良の形を探してくれたのかな…

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    2026年08月31日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    心温まる素敵なお話だった。読んでいるうちに菊之助とその周りで関わる全ての人を応援したくなった。途中からあだ打ちの真相がそうであれと願いながら読み進め、最後は納得がいく、気持ちの良い謎解きであった。悪は討たれるそんな世の中であってほしい。

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    2026年08月30日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読めば読むほどに真っ当な仇討ちとしか思えない。これに一体どんな真相が隠れているっていうんだ? それを必死になって探す意味がわからん。聞き手(主人公?)もまったくしゃべるシーンないし。もしかしてこいつが裏で糸を引いてるんじゃないの? なんていう突拍子もない推理をして見事に外している愚か者はどこのどいつだーい? 私だよ。

    江戸は木挽町の芝居小屋で起こった大仰な仇討ち劇。そこで起こったことの一部始終について、芝居小屋の関係者の目撃証言とその半生を聞いて回る青年。どうやらこの仇討ちには不可解な秘密が隠されているらしい。
    そんな触れ込みで読み始めたものの前述したとおり、話を聞けば聞くほど至極当然の理由で仇討ちは為されているように思える。全然真相が見えなくてこちらもどんどんフラストレーションが溜まっていく。しかし、終盤でとある事実が開示された瞬間に脳汁ドバドバが止まらなくなり、そこからは一気に駆け抜けてしまった。さすが山本周五郎賞、直木三十五賞受賞作。おみそれいたしやした。

    『木挽町のあだ討ち』の「あだ」が平仮名表記されているのにもきちんとした意味があるなんて思わなかったなあ。ただ、子どもたちでも読めるようにしたのかな?^^ くらいにしか思ってなかった。それだったら「木挽町」も平仮名にするよなぁ! あたしって、ほんとバカ。

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    2026年08月22日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    木挽町の芝居小屋裏手で、菊之助という若衆が父の仇である作兵衛を討った。
    この「木挽町の仇討ち」と呼ばれる一件から2年後。
    とある武士が、ことの真相を探るため、目撃者を訪ね歩く。

    この作品のまず印象的な点は、その構成と文体だ。
    視点人物である謎の武士に対して木挽町の人たちが証言するという形式で、地の文も喋り口調となっている。
    自分は時代小説を読み慣れておらず、聞き慣れない言葉は多かったけれど落語のような小気味良いテンポ感で、スムーズに作品の世界に入っていけた。
    本作はミステリーで、仇討ちの真相という謎を楽しむこともできる。
    しかし自分はそれ以上に、江戸という活気に溢れる町の中でごく当たり前に存在する闇を丁寧に描いていることに惹かれた。
    様々な事情や理不尽を抱えながら今を懸命に生きる人たちに光を当て、それがだんだんと繋がっていく。
    読み進めるごとに、市井の人々の強さや気高さが胸に迫る作品であった。

    また直接的な感想から少しズレてしまうが、舞台設定に近いものがある大河ドラマ"べらぼう"を観ていたことが、本作の理解しやすさに繋がっていたようにも思う。
    1つの作品に触れていたことで、別の作品の世界観に入りやすくなるという体験が得られた読書でもあった。
    だからこそ、今後も様々な作品に触れることで、自分の世界を広げていきたい。

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    2026年08月21日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    読み終えたあとの満足感が最高の一言。
    それぞれの登場人物から語られる物語から、仇討ちの真実に迫っていく、ミステリー小説としても楽しめました。

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    2026年08月19日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    時代小説はとっつきにくいんだよなあ…と思って読み始めたけど、どこにもとっつきにくい要素がなかった。たぶん最初の章の一八の語りが軽妙だからだろう。

    木挽町の芝居小屋に縁がある登場人物たちがリレー方式で語っていく感じは、すごくミステリ味を感じて(前情報は一切見ずに読んだので…)、これからどこに着地するんだろう…という気持ちで読み進める。読んでいくにつれて、徐々にぼんやりとした全体図が見えるように(というか真実に辿り着くためのパーツが揃う、的な面白さがある)なり、終章で種明かし編が始まる。

    この、全体を通した爽やかさもさることながら、一つ一つの章の強度も非常に高い。一癖も二癖もある登場人物たちの考え方、その根拠になる来し方、それらが説明くさくなく描かれていて、これだけでもオモロい。俺はほたるさんが好きだね。全員好きだけど。

    結末も救いがあって読後感がめちゃくちゃ良い。なんだかんだみんな幸せになってほしいと思っていたから。

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    2026年08月15日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    いやぁーほんとに面白かった!
    時代物でこんなに読みやすくエンターテイメントな小説は初めてかも。
    これは絵になる!
    映画化したくなるのも頷ける。
    映画観てないけど観たかったな。
    舞台化も観たい!

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    2026年08月14日
  • めぐる糸 明治浪漫霊異譚

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    視える人と、視えないけれど何となく感覚でわかる人。
    そして、そのどちらでもない人。
    自分はその中のどれだろう?・・・と、つらつらと考える。
    が、答えはわかっている。
    そんなことを思いながら読み終えた一冊でした。

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    2026年08月13日
  • めぐる糸 明治浪漫霊異譚

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    明治を舞台とした霊が視える帝大生の啓吾と視えない心霊学者の正周と、人情味溢れる霊異譚とは何て魅力的な話だろう。
    江戸時代の髑髏を掘り起こしたり、吉原から逃げた禿の行方や凌雲閣に飾られた絵が笑うなど明治39年ならではの内容で綴られる連作短編集でたまらなく面白い。
    ただ、最後の姪っ子を襲い殺めた男の話はあまりにむごいし恨みたくなる気持ちが非常にわかり悲しい。
    視える啓吾と祓う正周のコンビのやり取りが読んでて楽しいし、再び消えた禿の凛の謎と正周の十二単の女人の謎がとても気になる。
    今冬の続編が今から待ち遠しい!

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    2026年07月08日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『あだ討ち』に至る物語の真相を主軸に、それを取り巻く芝居小屋の面々の来し方に心打たれた。

    このところ、存在のすべてを〜熟柿と親子愛に涙する小説が続いていたが、今回も久蔵の段で胸が締め付けられた。まあ坊を想って打ち首を作り上げた久蔵の心情はいかばかりか。ただひとり、死にゆく幼な子を抱きしめるしか出来なかった母のお与根の悲しみは、いかばかりであったか。

    そこかしこに不条理が存在する江戸の世。元大工の年寄りが無惨に斬り殺されても奉行所は動かない。殺した当人は士官先まで手に入れる。自身の来し方行く末に悩む与三郎に、お三津が働く飯屋「つるや」の親父が言う。『しかし、まずは御身を大切に。腹を満たして笑うこと。それでも割り切れぬ恨みつらみもありましょうが、そいつは仏にお任せするのも、手前どもの処世術というもので』。
    現代よりも神や仏が身近だった時代。不条理をしなやかに受け止めて生きる人々。白黒ハッキリさせなければ気のすまない風潮が蔓延している現代で、今ここで生きる自分も見習うべきと感じた。(頭の中では、つるやの親父は鬼平に登場する相模の彦十(江戸家猫八)であった)

    『己の想いを貫くことの難しさも、道理のままに行かぬ割り切れなさも、この世には幾多ある』。そんな時代だからこそ、菊之助の想いを貫くために芝居小屋の面々が力を合わせ、あの『あだ討ち』を成し遂げる。大団円の気持ちのいい結末だった。


    アマプラで映像化作品を見た。いつものことだけど、小説の方が何倍もいい。小さい画面のせいもあるんだろうけど。その人にそんなに大活躍させなくても…。

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    2026年09月13日