永井紗耶子のレビュー一覧
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著者の小説は”木挽町のあだ討ち”からの2冊目。
今回も芝居小屋の”森田屋”は出でくるけど話し登場人物はまったく違う。
金四郎(武士だけど、実家をを出て町人として”芝居小屋の笛吹の見習い”)が正面向いて刺されて死んでいた遊女の雛菊の死の真相をたどっていくというもの。
この時代の女性っていくら武士の地位にあっても両親が亡くなって家が没落してしまえば遊郭に売られていってしまって
死んだあとも遊女ってことで簡単に葬られてしまうなんてね。
その心中しそこねた男(雛菊のただの客のひとり)死にたい男と刀で人を刺殺したい男の間をこの金四郎の活躍でどうにか収めるという話し。
絵描きの国貞や金四郎を預かる南畝先生 -
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江戸の商業に革命を起こし途上で消えた男、杉本茂十郎。想像以上に面白く、あっという間に読み終えてしまった。私自身、ものを作らない業界で働いている関係で、商業・金融の果たす「繋ぎ」の価値について考えさせられた。
栄光と没落、後半は陰ってばかりなのにどこか爽やかなのが印象的。茂十郎が残した遺産は多々あれど、その後の商業界は狐狸が跋扈し混沌としていくという点が幕府への皮肉としてそう思わせるのかもしれない。初めて作者だったが、人となりや心情を描くのが非常に上手だと感じた。一方で彼女らしさを感じられなかったので、他の作品で見つけられることを期待したい。 -
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ネタバレ冒頭からわけありな始まりなのですが、連作短編集でもあるので、いろんな人々が出てくる事件を利一と十和が解決していくのはとても面白くて、楽しく読むことが出来ました♪
私は第一話の『麻の葉の文様』と第三話の『更紗の文様』が好きです。
『麻の葉の文様』は子供ができない武家の跡取り娘・奈緒が、夫と他の女性の間に子をなしてもらうのですが、それがこじれてしまいという物語です。
当時の武家にとって、子供ができないというのは大問題でしたでしょうし、貧しい家に仕送りをするためにその役目を引き受けたお豊も貧しい家にいる兄弟たちのためにというのが切ないです……。
その中で安産を祈願した肌着を奈緒が下手であり -
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語り口がいい
江戸下町のキップの良い語り口が。江戸下町の風俗を臨場感あふれる様子で描きだしている。一見 単純な仇討の話が、いろいろな語り手によって徐々に真相が明らかになってゆくという、芥川龍之介の藪の中を思い起こさせるような、巧みな展開になっている。