永井紗耶子のレビュー一覧

  • 絡繰り心中<新装版>

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    ネタバレ

    旗本の息子でありながら、訳あって歌舞伎森田座で、笛方が見習いとして町に暮らしている遠山金四郎。

    早朝の田んぼで花魁の骸をみつけ、花魁殺しの下手人探しをする羽目になる。

    真相を探る金四郎。
    関わった人々の知られざる過去が明らかになり、自分自身の境遇と重なる部分を感じた金四郎は苦悩する…。

    江戸の町人達の生活の様子が色鮮やかに描かれており、時代物好きな私としては大変楽しめた。

    あの遠山の金さんの若かりし頃のお話。
    名奉行と言われる所以が少しわかったような気がします。

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    2024年03月12日
  • きらん風月

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    質素倹約を強いた松平定信が引退した後。栗杖亭鬼卵と知り合う。不要不急の文化に勤しんできた鬼卵の半生を聞かせてもらうと。

    面白かった。上田秋成や円山応挙など実在の人物多数登場。鬼卵の名前も初めて見たけれど、実在の人物だそう。江戸時代の改革VS文化、読んだことのない小説

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    2024年03月08日
  • きらん風月

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    これはまた、粋な話。面白き事を求めて生きるとは。それを求めて生きるには、相当の覚悟がいる気もするし、やってみるとそうでも無いのかもしれぬ。全てをそうは、出来ないが、それを少しでも、求めてみるか。

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    2024年03月09日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    著者の小説は”木挽町のあだ討ち”からの2冊目。
    今回も芝居小屋の”森田屋”は出でくるけど話し登場人物はまったく違う。
    金四郎(武士だけど、実家をを出て町人として”芝居小屋の笛吹の見習い”)が正面向いて刺されて死んでいた遊女の雛菊の死の真相をたどっていくというもの。
    この時代の女性っていくら武士の地位にあっても両親が亡くなって家が没落してしまえば遊郭に売られていってしまって
    死んだあとも遊女ってことで簡単に葬られてしまうなんてね。
    その心中しそこねた男(雛菊のただの客のひとり)死にたい男と刀で人を刺殺したい男の間をこの金四郎の活躍でどうにか収めるという話し。
    絵描きの国貞や金四郎を預かる南畝先生

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    2024年02月23日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    良書。
    作者、映画やドラマの脚本が書けそう。上手い。
    江戸時代って、三方よしの人才が数多くいた。今の政治家、実業家に見習ってほしい。

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    2024年02月17日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    大奥のお話といえば、なんだかドロドロの人間関係のお話というイメージがありましたが、このお話は、全く異なる視点で書かれていて、とても面白かったです。女性でありながら、様々な立場で精一杯生きる逞しさが生き生きとユーモラスに描かれていました。こういうお話いいなあ〜

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    2024年02月11日
  • きらん風月

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    初読みの作家さん。
    新聞連載で読んだのでこちらに登録。
    鬼卵が自分の半生を通して見た幕府や世の中を定信に対して諧謔を交えて語り、それに対して定信をが怒りそうになるけど1理も2理もあるので頷かざるを得ない展開が妙に居心地の良さを与えてくれて楽しく読めた。
    どの時代も同じだと思うけど1つの視点だけでなく2つ3つと違う視点で見ることを忘れない方がより良い選択ができるのかなと思う。

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    2024年01月25日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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     江戸の商業に革命を起こし途上で消えた男、杉本茂十郎。想像以上に面白く、あっという間に読み終えてしまった。私自身、ものを作らない業界で働いている関係で、商業・金融の果たす「繋ぎ」の価値について考えさせられた。
     栄光と没落、後半は陰ってばかりなのにどこか爽やかなのが印象的。茂十郎が残した遺産は多々あれど、その後の商業界は狐狸が跋扈し混沌としていくという点が幕府への皮肉としてそう思わせるのかもしれない。初めて作者だったが、人となりや心情を描くのが非常に上手だと感じた。一方で彼女らしさを感じられなかったので、他の作品で見つけられることを期待したい。

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    2023年12月02日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    明治39年、帝都東京。
    千武男爵家の令嬢、斗輝子は、祖父・総八郎の言いつけにより、黒塚伯爵家での夜会に、名代として出席した。

    しかし、その夜会の最中に、黒塚伯爵が、何者かにより、毒殺された。

    当時、黒塚伯爵との間に、色々と、蟠りが有ると噂されている、千武男爵が疑われた。

    斗輝子は、千武家の名誉のため、書生の影森怜司と共に、事件の真相を調べ始める。

    そして、見えてきたのは、身分に縛られ、ままならぬ生き方を余儀なくされた人々の、悲しみが・・。

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    2023年11月28日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    ドロドロの大奥ではない、お清たちの日常。
    大奥に入るまでの経歴や背景はみんなそれぞれだけど、お手つき以外で上り詰めていこうとする気構えが見ていて気持ちいい。

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    2023年09月27日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    するするっと読める短編集

    大奥と言えば、愛憎蠢くドラマがあの壮大な音楽で浮かぶがこれは、そういうこととは無縁のお仕事小説

    江戸時代好きな私は今まで幾度となく
    この時代に生まれたら、煮売屋や小間物屋の
    おかみさんになりたいと思っていたがこの本を読んだら
    奥勤めも素敵と思えた
    いまさらながら、大奥とは女性が活躍でき笑って過ごせる職場なのだと知った
    いつの時代も、女性はたくましく、考えたり委ねたりしながら笑って働いていることが素晴らしいんだと思えた

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    2023年09月17日
  • とわの文様

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    冒頭からワケアリで始まる…

    十和の両親のどちらかは身分が高いんだろうなー
    律さんはそこにいるんだろうな…
    いやー続きが気になるっ!

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    2023年09月11日
  • 横濱王

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    青年実業家が出資を得る為に大富豪のスキャンダルを探して実在の人物らを訪ねて周り身辺を探る、と言う前半。主人公の幼少期からと戦後まで、富豪と関わる事での心の変化を描いた後半。横浜の三溪園を作った原三溪の物語。面白かった。

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    2023年08月26日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    ネタバレ

    ひとの思惑をうまく拾う狸が裏で画策して、自分の手を汚さずにみんなを幸せに導く話ですが、読んでいて斗輝子や怜司とぐぬぬとなります。

    大狸が強すぎて、今のところ太刀打ちできない、ぎゃふんと言わせたい。いつか斗輝子が成長し、闘って勝つところが見たいです。狸のやり方よりもっと綺麗にまとめる方法を見つけてやってほしいです。
    怜司もころころと転がされ、またこのあと斗輝子と一緒になりそうなのでまた転がされますねきっと。

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    2023年08月12日
  • 横濱王

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    歴史的であり、ちょっとヤクザっぽくもある、実話とフィクションを混ぜた小説。

    横浜育ちの方からプレゼントして頂き積読になっていた本。
    なんとなく読む気になってあっという間に読んでしまった。

    原三溪という人にも、お蝶さんにも、瀬田にも、人間味を感じるものだった。

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    2023年07月31日
  • とわの文様

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    ネタバレ

    冒頭からわけありな始まりなのですが、連作短編集でもあるので、いろんな人々が出てくる事件を利一と十和が解決していくのはとても面白くて、楽しく読むことが出来ました♪
     私は第一話の『麻の葉の文様』と第三話の『更紗の文様』が好きです。

     『麻の葉の文様』は子供ができない武家の跡取り娘・奈緒が、夫と他の女性の間に子をなしてもらうのですが、それがこじれてしまいという物語です。
     当時の武家にとって、子供ができないというのは大問題でしたでしょうし、貧しい家に仕送りをするためにその役目を引き受けたお豊も貧しい家にいる兄弟たちのためにというのが切ないです……。
     その中で安産を祈願した肌着を奈緒が下手であり

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    2023年03月25日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    朝井まかてさんの「残り者」から引き続き、大奥の王道をいかない女性たちの話。かなり面白い短編集。
    ちょぼくれの女が好き。お正さま優しい(⌒▽⌒)
    ねこめでる女も好き。猫好きにはたまらない(=^ェ^=)

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    2023年03月04日
  • どうした、家康

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    バラエティー豊かて楽しい一冊。
    新しい視点が良いと思うのは、「長久手の瓢」山本巧次である。
    上田秀人の「親なりし」はさすがの安定感。

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    2023年02月19日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    あとがきにもあった「己のことを、醜いし、御末だし、と卑下しているのは謙虚なようでいて、その実とても楽なのです。醜かろうと、身分が低かろうと、それでも己にできる精一杯をやると決めてみると、そのための道が見えてきます。(中略)恥をかくことは、さほどのことではありません。恥をかくやもしれぬと怯えていることこそ、苦しいのだと、私はそう思います。」

    この言葉は現代にも通じるし、自己肯定感が低い自分にはグッときて今後の指標にしたいぐらいだなと思いました。

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    2023年01月09日
  • 木挽町のあだ討ち 無料お試し版

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    語り口がいい

    江戸下町のキップの良い語り口が。江戸下町の風俗を臨場感あふれる様子で描きだしている。一見 単純な仇討の話が、いろいろな語り手によって徐々に真相が明らかになってゆくという、芥川龍之介の藪の中を思い起こさせるような、巧みな展開になっている。

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    2023年01月01日