永井紗耶子のレビュー一覧

  • 旅立ち寿ぎ申し候<新装版>

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    タイトルに惹かれて購入。

    安政7年3月 桜田門外の変の年、手代だった主人公「勘七」が、紙問屋「永岡屋」の若旦那となりやがて主となり明治3年までを商人として「福を届ける」という信念を持ちながら生きた物語。

    大切な人との別れや商いでの失敗。
    悩んで嘆いて恨んで、それでも何とか商人として生きていこうとする勘七に、幼なじみやご縁が繋がってで出会った人たちが時には叱咤激励を、時には温かい手を差し伸べてくれるとにかく温かく、心に沁みていく物語。

    「寿ぎ申し候」という言葉がとても粋で効果的に使われているので、大好きな日本語になってしまった。

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    2025年04月11日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    うーん、人情もののままならなさが存分に味わえる一冊。後に直木賞and山本周五郎賞を受賞した筆者の確かな力量を感じさせる処女作。
    背景描写が巧みで、人物の生い立ちや取り巻く環境がまるで見てきたかのように感じ取ることができる。

    森田屋の笛方である主人公金四郎の成長ストーリーかと思えば、そんな単純な話ではない。吉原の何が地獄って、さまざまな生い立ちの女性が一つ所に固められて、全員畜生の身分と見なされて生きていかないと行けない。こんなにひどい差別もない。
    雛菊の生涯に美しさと狂気、諦観と覚悟が絢爛な絵巻のように感じられ切ない。

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    2025年04月06日
  • きらん風月

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    永井沙耶子さんの『木挽町のあだ討ち』を読んで面白かったのでこちらを。

    『木挽町のあだ討ち』と話がほぼ一緒で、読む気分が下がった。
    立派な武士が悪徳御上に汚名を着せられ殺されるとか、放蕩中に許嫁との縁談が破談になるとか、エピソードが被り過ぎ。
    円山応挙や上田秋成とか実在の人物が出てくる部分は少し興味を持てたけど、あまりに似通っていて前半は楽しめなかった。

    後半からはオリジナル感が出てきて前半よりは気にせず読めた。
    でも、世の中に対しての作家の主張とそれを伝えたい気持ちが強く、臭いというか古いというか、私的には微妙。
    最近の若い作家さんや最近の作品は世の中や政治に物申さなければいけないみたいな

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    2025年03月16日
  • 帝都東京華族少女

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    夜寝る前の読書用にと何となく手を取ったが面白くて、寝落ちしてしまうのが少しもったいない気持ちに。
    華族制度がいまいち分からず調べながら読み進める。
    ひとつの映画を見たあとのような読後感で
    読み安かったのも良かったな。

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    2025年03月06日
  • 秘仏の扉

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    明治初期、文明開化と共に西洋文化の導入に邁進していた日本。同時に廃仏毀釈運動のため法隆寺でさえ貧窮し、多くの文化財が海外に流出していた。それを憂う一部の文部省の人間が強引に推し進めた文化財調査で、法隆寺夢殿に200年以上も秘仏として封じられてきた救世観音菩薩像も開かれる。その場に立ち会った写真家・小川一眞、元文部省高官・九鬼隆一、法隆寺管主・千早定朝、東洋美術史家・フェノロサ、東京美術学校初代校長・岡倉覚三(天心)、後の帝国博物館初代館長・町田久成を各章の主人公に置き綴られる群像劇。
    とは言えね、写真家と法隆寺管主を除けばどうも登場人物は頂けない。女癖が悪かったり、恩人を裏切ったり、強引だった

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    2025年02月06日
  • 灯台を読む

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    日本に約3000基ある灯台の役割や多様な価値について知ってもらおうという趣旨で進められている「海と灯台プロジェクト」。主体は一般社団法人・海洋文化創造フォーラムで共催が日本財団と海上保安庁である。そのプロジェクトの一環として企画されたのが、灯台が果たしてきた地域固有の役割や機能、存在価値を物語化して知らしめようという取り組み。本書はそれに基づき19基の灯台を6人の著名な作家が分担して現地取材し、紀行文集として取りまとめたもの。
    灯台の建築技術や歴史、地域との関わりについて様々な観点から語られ、読み進めるうちに少しずつ灯台への関心が高まってくる。
    しかし、門外漢の私には歴史作家や描写力のある作家

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    2024年11月27日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    ネタバレ

    男性が主人公で遠山の金さんの若かりし頃なのかなって感じだった。容疑者と上がってくる人達の過去とか飽きさせない内容で面白かったけど、終わりがスッキリとしないから何か読んだ気がしなかった。

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    2024年10月24日
  • きらん風月

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    木挽町のあだ討ちが大変面白かったので期待して読んだが

    うんまあふつう

    山中鹿之介を架空のヒーローに仕立て上げた鬼卵と老中を引退し国元でも煙たがられていた松平定信が邂逅したら という話

    尼子十勇士の仕掛け人はこの人だったのね

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    2024年10月13日
  • きらん風月

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    晩年の戯作者の栗丈亭鬼卵と引退した松平定信が邂逅したという話。
    自分の生い立ちを定信に話して聞かせるという形で進む。
    栗丈亭鬼卵という人を知らないので、どこまで史実に基づいているのかわからず読み進めたが、当時の人たちが絵や詩や浄瑠璃、歌舞伎などを必要としたことはよく理解できた。
    政や飢饉のこといろいろ書きたいことがたくさんあるのはわかるが少し詰め込みすぎで結局こちらに伝えたいことがよくわからなかった。
    エンタメ小説というより研究により栗丈亭鬼卵の人となりはこうだったよ、という発表のよう。

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    2024年09月23日
  • とわの文様

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    登場人物たちの華やかな装いが浮かんでくる。当時の人気の装いや柄が楽しめる一冊。さくっと読める。まだ続くんだろうな。

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    2024年08月25日
  • きらん風月

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    ネタバレ

    読本書きにして浮世絵師でもあり歌詠みでもある栗杖亭鬼卵(りつじょうていきらん)。知らなかったが実在の人物であるらしい。文人墨客と政(まつりごと)の人との比較で松平定信が出てきたのかもしれないが、別にいらない気がした。

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    2024年07月26日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    登場人物のキャラクターが際立っていて、謎解きに触れてこなかった私でも大分ライトに読めました。

    明治時代を背景に、当時ではありえない「お転婆で勝気なお姫様」がミステリアスな書生と謎解きを進めていく。
    2人の掛け合いが痛快で、特に最後のやり取りは良かったです。

    女性が時代を切り開いていく強かさに勇気を貰えるのと同時に、帝都という舞台に強く惹かれました。

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    2024年07月10日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    謎が解かれてからの、登場人物たちの心の動きがとてもよかった。
    何ともぬるい感じで進んでいたので、途中で一つ二つ引き込まれる展開がほしかった。

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    2024年06月29日
  • きらん風月

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    ちらっと出てくる滝沢馬琴がイメージ通り。
    松平定信は江戸ものには必ず出てくるけど、私の中では定まらない。

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    2024年06月15日
  • きらん風月

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    ネタバレ

    江戸中期の文化人の栗杖亭鬼卵を描く歴史小説。

    題材が大阪の江戸中期の文化人ということで、江戸では蔦屋重三郎が活躍していたころで有名人が多いが、大阪の文化人はよく知らなかったので勉強になった。
    登場人物の有名どころでは、松平定信、円山応挙、次いで雨月物語の上田秋成と江川英毅(英龍の父)くらくいで、後の文化人(栗柯亭木端、如棗亭栗洞、木村蒹葭堂、志村天目、夜燕、五束斎木朶など)は知らなかった。
    鬼卵を知らなかった自分としてはよくわからなかったが、物語的には鬼卵と定信が直接出会ってやり取りするところが史実の隙間を縫っていて面白いのだろう。

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    2024年06月01日
  • きらん風月

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    ネタバレ

    掛川日坂で晩年を過ごした鬼卵を題材にした話
    隠居した元老中松平定信との会話を機に物語が展開される
    直木賞作家らしい筆の運びや構成は流石だが、題材が面白くないんだな。永井氏っぽいテーマではあるけど…

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    2024年05月28日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    既に出来上がっている仕組みを変えることは容易ではない。永らくその仕組の中で生きていると、そもそも「変えられる」という発想にすら立てないからだ。起きていることの本質を見極める眼と、根本から崩して造り直すことに挑める胆力。強い信念を貫き突き進むことができる改革者は、結果的に多くの敵を一身に引き受けることとなり、短命で散る運命なのか。
    物語が弥三郎の視点から語られることで、茂兵衛・茂十郎の凝縮した生を共に生ききる感覚が薄まってしまったのは残念。むしろ弥三郎が主人公なのだと思えば、気持ちが重なる部分も多く、自身の想いに真っ直ぐに「できること」をしていくことで、歴史の転換点を支え見届ける一つの力にもなり

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    2024年05月22日
  • きらん風月

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    最初、とっつきにくくて、
    読み通せるかなと不安になったけど、
    中盤からどんどん進めた。
    「木挽町のあだ討ち」よりは落ち着いて読めたかも。

    終盤の松平定信との接点、最初と同様に
    すこーし、無理っぽいかな。
    夜燕と一緒だった頃の栗杖亭鬼卵を
    あまりひねらずに書いてほしいかったかな。
    ははは、気楽な読者は無理言ってますね。

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    2024年05月16日
  • きらん風月

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    自由自在に生きることが難しく変人扱いされるのが普通の世の中とは。。それでも筆の力は強い。それだけでも救いになる。

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    2024年05月12日
  • きらん風月

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    一か月前に読み終わりレビューも書いたのだが、手違いで消してしまいそのままになっていた。好きな本だったので備忘録ぐらいにはまとめようと気を取り直す。
    主人公の栗杖亭鬼卵は江戸時代の戯作者。河内(大阪府)出身の下級武士で、その後絵画、狂歌、連歌、俳諧をたしなみながら諸国を遍歴する。伊豆韮山代官江川家の手代として三島に住み、その後官を辞して駿府に移り、寛政末ごろからは遠江国(静岡県)日坂に住み煙草屋を営む。別名に平昌房、伊奈文吾、大須賀周蔵とも名乗っている。
    定信は東海道日坂宿の煙草屋を営んでいる鬼卵と出会う。定信は寛政の改革を老中として推し進め、60を過ぎて地元・白河藩主の座からも引退。いまは「風

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    2024年04月21日