永井紗耶子のレビュー一覧
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ネタバレ4作目の永井紗耶子さんの本。
江戸商人・経済をテーマにしたもので、私にとっては苦手な分野です。
実際、今までに読んだ永井さんの本と比べると、あまり私には刺さらないかなーと思いつつ、とりあえず読破を目指して読み進めていました。
中盤、江戸の金の流れを握った茂十郎と、周囲との軋轢が目立ち始めた辺りから、引き込まれました。
「金は刀より強い」と、清濁併せ呑んで、江戸の経済の在り方にメスをいれ改革を進める茂十郎。その原動力が、天明の大飢饉や、妻子を失った永代橋の崩落事故というのが、人情を感じます。
強い信念のもと突き進む茂十郎の姿は爽快で、心に残りました。
その彼の出した結論が「葵の御紋は -
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ネタバレ法隆寺 夢殿に歴史と共に救世観音像が祀られてある。それを明治21年に厨子を調査として開けたフェノロサ、岡倉らの人生はその時変わっていった。伝説通りに雷に打たれた、というのではないが明治という新しい時代が、彼らをどう揺さぶっていったか。
史実に基づいて連作小説と形をとった一冊となったが世界と日本を結ぶ美術に関して、当時、日本を訪れた西洋人の目で見た日本人ん姿なども興味深い。
救世観音の表情をアルカイックスマイルと評しているが、はるか歴史の彼方からその表情は聖徳太子の姿とも伝えられ、ロマンを掻き立てられる。歴史好き美術好きを恥ずかしながら自認してるとは言えこういう本に出会えて幸いである。そんな自分 -
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法隆寺夢殿の秘仏・救世観音像。
千年以上前に作られ、長らく人目に晒されることが
無かった秘仏の扉が開かれる。時は明治時代。
それに関わった者たちの人生を描く群像劇の短編連作。
光の在処・・・小川一眞 矜持の行方・・・九鬼隆一
空の祈り・・・千早定朝
楽土への道・・・アーネスト・フェノロサ
混沌の逃避・・・岡倉覚三 千年を繋ぐ・・・町田久成
時は明治時代。
江戸時代からの変化、文明開化に神仏分離と廃仏毀釈、
伝統と近代化の狭間、政治の混乱と混沌の中で、
人々も藻掻き、歩んでいた。
その最中での、法隆寺夢殿の秘仏・救世観音像の開帳。
「怖いですな・・・畏怖とでもいうのでしょうか」
「これは恐ろし -
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久しぶりに小説を読んだ。
法隆寺夢殿の秘仏である救世観音像に関わった人たちの連作短編集。
救世観音像の写真を撮り、よく目にする漱石の写真も撮った小川一眞は、尊き何かの持つ残酷さと畏れを救世観音像をみて感じる。
福沢諭吉と袂をわかった九鬼隆一は、己の矜持を貫くためにもがく。
近代法隆寺の祖、千早定朝は「開いて守る」大きな決断をする。
教科書で秘仏と言えばフェノロサ。日本の美術に魅せられ、守り、その事は自身の存在にもかかわる。
茶の本を書いた岡倉覚三は、欧米諸国からの侮蔑に立ち向かうには日本らしさを守る事ということを貫きつつも、自身の混沌からは逃避をし続ける
本当に初めて夢殿を開いたのは町田久成 -
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明治初期。文明開化で欧米化が進み、それまでの日本の伝統などが古臭いと一蹴された時代。折しも国策の勢いで廃仏毀釈が進み、仏像や仏教絵画だけでなく、寺院そのものまで乱雑な扱いを受ける。そんな中、様々な思惑の中で、鎌倉時代以来秘仏とされてきた法隆寺の救世観音像の開陳と撮影が進められる。御雇外国人であるフェノロサ、文部省の九鬼、日本美術の研究者である岡倉、写真家である小川、法隆寺住職である定朝などが秘仏を目にする。あるものは畏れ、あるものは感動し、あるものは後悔する。そしてその後の人生の転機に、秘仏の微笑みが静かに影響を及ぼす。当時の国の状況に翻弄される登場人物一人一人の心の微細な動きがよく伝わる。こ
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ネタバレ明治になり、新政府の方針で廃仏毀釈が行われ、仏教寺院は受難の時を迎えていた。すでに多くの寺院が廃され、仏像は打ち捨てられたり、美術品として外国に持ち出された。
法隆寺の救世観音像は、秘仏であるがゆえ、これまで200年の間、逗子の扉が開けられたことはない。開けたものには仏罰が降りると言われていた。しかし、その価値をあらためるため、政府によって扉が開かれようとしていた。そこに立ち会うのは、政府の役人、写真家、外国人、そして法隆寺の住職。
不思議な微笑みを称えた仏を通じて、彼らの姿を映し出す。
『木挽町のあだ討ち』で直木賞を受賞した作家の最新作。
構成は似ているかもしれないが、ここでは歴史と実在 -
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ネタバレ面白い。鬼卵は、最高にかっこいい。
権力に抗う上での、滑稽、風刺、諧謔による狂歌は強い武器になると思った。
自分のなりたい姿。ユーモアによる諧謔と、本質を炙り出すことがよい。
喧嘩にせずに、王様は裸だというのが、狂歌の真髄と思った。
狂歌をもっと深めていきたい。
マネジメントにも通じることがらや戒めもあり、組織や社会でいきること上での大事なスタンスも描かれる。そして、万里一空にも通ずる。
反骨と笑い、上に立つものの備えるべき謙虚さ。そんな物を学ぶ。そして、そうした中で、何故狂歌に惹かれるかも明らかにできた。
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窮屈な世の中で物を言うには、身を守ることを忘れたらあかん。言って殺されたんで -
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ネタバレGPSの進歩により、灯台がその役割を終えていっているという事実を初めて知った。
「海と灯台プロジェクト」協力のもと、灯台が存在することの意義を、その土地のあらましや歴史、灯台を守ってきた人々にスポットライトを当てることで言語化した、6名の作家さんによる紀行文。
作品を読みながら旅行気分に浸れるので愉しい。作家のみなさんが灯台の中の螺旋階段を登り、灯台室に入られる場面のわくわく感が伝わってきた。フルネルライトを初めて検索したが、見事なライトであった。
灯台の父と呼ばれるイギリス人のブラントンさんという方が、菜種油で火を灯す木造の灯明台が主な海の道標だった日本に、西洋式の灯台をもたらした。また -
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6編からなる大奥の中の様々な部所で働く女達の話。
どの話もとても良かった。 身分も年齢も大奥に入ることになった事情もそれぞれ違う登場人物達が 時に思い悩み しかし皆 誠意をもって一生懸命自分のつとめをはたそうとする姿勢が 清々しく気持ちが良い。
〝つはものの女〟で 初瀬様が言った「ここまで歩んで来たことを誇りに思われよ。その誇りある女がするからこそ、この礼には意味がある。それゆえにこの負けは勝ちなのじゃ」という言葉には まさに 天晴 という思いだった
最後の話〝ねこめでる女〟は他とは少し違う切り口で 猫を介した 身分も年齢もこえた繋がりがホッコリ温かく物語の最後を結んでいた。 -
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ええか、世の中の大半の揉め事はな、振り上げた拳の下ろしどころを見失うことで起きる。せやけどお前の言う通り、黙っていればええというわけやない。言わなあかんこともある。
窮屈な世の中で物を言うには、身を守ることを忘れたらあかん。言って、殺されたんでは元も子もないからな。その為には、相手に拳を振り上げさせず、上げたとしてもすぐに下させるように間を空けとくことが大事や。その間が狂歌に欠かせぬ滑稽であり、風刺、諧謔や。面白おかしゅう書けばええ。生真面目にいうたら喧嘩になる。せやけど下らない言葉に乗せてしまえば、真に受けて怒った方が恥をかく。力を抜いて、笑いながら書け
筆は卵や。ここからは武者も美女も神仏