永井紗耶子のレビュー一覧

  • 秘仏の扉

    Posted by ブクログ

    法隆寺の厨子、秘仏 救世観音像をめぐる歴史小説。
    章毎に主語が変わるが、とても読みやすく、歴史の知識が薄くても楽しめる。

    0
    2025年02月15日
  • 灯台を読む

    Posted by ブクログ

    作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
    近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
    また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という

    0
    2025年02月11日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    11代将軍家斉といえば、側室数十人、子供も五十数人。庶民の生活苦をものともせず、遊蕩に耽っていたことで有名だが、その頃の大奥の物語。
    将軍お手つきの者を「汚れた方」というのだが、そうではない「お清」たちのお仕事小説集。
    さすが時代小説に造詣の深い著者の作品なので、当時の大奥のしきたりなどを読んでも説得力もあり、それを知る楽しみもあった。
    大奥に入るいきさつなど、当時も生きづらかった女性たちが、大奥に入ることで、自分の生きる道を見つけていく前向きな話が多く、読後感もよかった。
    高貴な方たちが飼う猫が、大奥の中を歩き回る「ねこめでる女」が一番好きだった。

    0
    2025年01月20日
  • どうした、家康

    Posted by ブクログ

    家康というただ一人の物語でも、こんなにいっぱいあるもんなんだなあ、って思った。王道系も、恋愛系も、色々あって、「家康」を楽しめる。

    0
    2024年11月09日
  • とわの文様

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    期待以上に面白かった。文体も読みやすいから、サクサク進むし。十和が体術習ってて強くてかっこいい守られる主人公じゃないところが気に入った。あと、お母さんがどうなったのかとか謎が残るまま終わったけど、続きは出るのかな?

    0
    2024年10月08日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    大飢饉続発による財政逼迫、田村意次政策による庶民の幕政不信。それらの政治課題に対して老中として真っ直ぐに取り組んだ一方で、圧政が過ぎるとの誹りを受けた松平定信が、政務を退いてのちに戯作者栗杖亭鬼卵と交わる。己の施した政への市井の評価は如何なるやと気になる定信に、自らの生い立ちを語りつつ臆することなく飄々と応答する鬼卵。結局は語らう時点で是も非もないが「世の中の人と多葉粉のよしあしは煙となりて後にこそ知れ」とな。なるほど、改革をすれば利を得る者あれば損を被る者あり。総じてその評価は時を経て振り返るしかない。

    0
    2024年10月02日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    試しにと手に取り、小さなお話がいくつもあり、大作ではないと期待せず読んでみた。読み始めてみると、大奥の習わしに好奇心が動かされ、さらには一つ一つの話の温かさに涙がこぼれそうになった。読んでいると心がほぐされるような感覚でとても読み心地が良かった。面白楽しかった。

    0
    2024年09月26日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    朝井まかてさんの残り者の解説に、おすすめとあったので読みました。
    残り者よりももっと読みやすいお仕事小説でした!

    0
    2024年08月07日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    風流人と朴念仁のスリリングな会話、楽しい。「暇にあかせてようけ本を読んで、物を書いて、頭でっかちになっている世のはみ出し者」文人墨客。社会にゆとりなくなっている現代ても棲息出来てるかな。「耐え忍んだかて禄は増えない。とは言え、ただ怠けるのも、それはそれでしんどい。せやから楽しいことをせい。それはいずれお前を助けてくれる」「世の中の大半の揉め事は振り上げた拳の下ろしどころを見失うことで起きる」「死ぬまでの暇つぶしみたいな生き方はしなさんな。そんなに人生は短うない。楽しく生きたらええねん」結局、埋火は役割り果たせたのか、モヤモヤ残った。

    0
    2024年06月13日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    「白河の清きに魚も棲みかねて もとの濁りの田沼恋しき」で有名な松平定信は隠居し、今はお忍びの旅の途中。家臣に案内されて、日坂宿で煙草屋営む浮世絵師であり戯作者でもある栗杖亭鬼卵(りつじょうていきらん)を身分を隠したまま訪れる。規律正しい社会を目指した定信の問いに、鬼卵は自由人として生きて来た来し方を語ります。
    面白い設定です。堅いながら苦言に耳を傾けることができる定信。それを支える家臣。それに対し、木村蒹葭堂をはじめ丸山応挙、上田秋成、海保青陵といった多くの文人賢者に支えられ、自由人として生きて来た鬼卵は、定信の政策に苦言を呈しながら自分の半生を語ります。
    人物も良いですね、みんな綺麗に個性が

    0
    2024年06月07日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    寛政の改革の松平定信と栗杖亭鬼卵。
    この時代の生きる苦しさを描きつつも読後感は良かったです。
    「世は意のままにならぬもの。…さすればこそ、時に風月を愛で、詩文や物語を読んで思いを馳せて楽しみ、日々の憂さを晴らすのです。そして明日を生きる力にする。」
    ほんとにその通りです。

    0
    2024年05月28日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大奥を舞台にしたお仕事小説。
    面白かった!!

    女性同士のドロドロ感はなくて、職業人としての様々な女性たちのお話。
    爽やかな読後感のものが多かった。

    現代の働く女性に通ずる部分も多くて、読んでいて元気になれる作品。

    0
    2024年05月27日
  • 横濱王

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    幸せになるには覚悟がいる。噛み締めなければいけない言葉だと思った。

    お蝶さんのラストは悲しいけど、お蝶さんらしいとも思った。ちゃんとすれば貴婦人ぽくも出来るのに、好きに飾った自分の店で好きなように生きて、好きなように逝く。でも瀬田は、生きてて欲しかったんだね。
    Love me or leave meを聴いてみたいと思う。

    どん底でも、そこを這い抜けて生きていく。

    0
    2024年05月26日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    若い頃に経験した武士に対する理不尽な思いをずっと抱えて、何者にもなることができない焦りも抱えながらも、多くの心優しき人や愛する者との関わりで、悲しみや挫折を乗り越えてきたのだな、最後は何者かになれたのだなと思いました。

    0
    2024年05月12日
  • 絡繰り心中<新装版>

    Posted by ブクログ

    吉原花魁のむくろを金四郎が見つけたところから物語りは始まる。江戸時代の身分制度のしがらみに苦しむ人達。浮世絵師らと共に真相に迫って行く金四郎も又旗本の身分でありながら芝居小屋の笛吹き見習いとして長屋で暮らしている。東山裁きは有名だがそれは後のこと、この話はまだ若い金四郎の物語。

    0
    2024年05月06日
  • 横濱王

    Posted by ブクログ

    横浜で荷物運びをしながら幼い妹と暮らすシュウ。
    9月1日の関東大震災で妹を失ったシュウは大人になり青年実業家として海外を周っていたが、原田三溪に出資をしてもらう為、周辺を調べ始めついに本人に会うことになる。己の王になりなさい。その言葉で自分の心と向き合い始める瀬田。今の横浜の街と比べながら読むとぐっと惹き込まれる。

    0
    2024年05月04日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    高校の時、私は日本史の歴史の授業ではいつも睡魔に襲われていた。その結果、歴史上の人物が時代ごとに区分できていない。
    主人公の鬼卵は転居を繰り返しながら、様々な文化人と出会い記録を残していく。
    日本史を熟睡で過ごしていたので、松平定信と上田秋成が同じ物語の中に登場するのに驚いた。
    本を読むことは、知識を蓄えていくことなんだと実感した。

    0
    2024年04月19日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    江戸時代、文政年間に大阪に生まれ、のちに静岡に住んで東西の文化を繋いだと言われる浮世絵師、戯作者の栗杖亭鬼卵(りつじょうていきらん)のお話を、松平定信との邂逅という設定で紹介する。定信との、生き方の違いを対比させた最後に、唸った。定信でさえ敵わぬ粋人であった。

    常に人との繋がりの中に身を置き、自身も人をつなげる書「東海道人物志」を著す。当時の文化人を紹介する本だ。
    浮世絵や戯作者としても、文人としても優れた鬼卵は、人を紹介するにも信頼を得ていた。

    これからも注目の作家さんです。

    0
    2024年03月25日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    江戸中期の実在の文化人栗杖亭鬼卵と天下人の松平定信との出会いの物語。
    旧東海道を歩いた時の記憶が甦り、日坂の宿、小夜の中山、掛川城、三河吉田と馴染み深い土地の名前に更に興味深く読みました。
    現代は新幹線で東京〜京都を2時間半で行き交い、メールでやり取りする世の中。
    反して主君が悪くても物申すことも出来ない昔の世(今は物申しても届かない?)
    でも、昔も今も文化を楽しむ庶民は大勢おり、世の中も文化のおかげで成り立っている様なところもあるのではないかと、読書好きの自分は面白おかしく読みました。
    時代小説は苦手ですが、直木賞受賞作も読んでみたいです。

    0
    2024年03月22日
  • きらん風月

    Posted by ブクログ

    小さな煙草屋『きらん屋』で、栗杖亭鬼卵の来し方に耳を貸すことになった松平定信。政や裏金、専横な君主…庶民を窮屈にする世は相も変わらず。セリフに風刺を盛り込む技は秀逸。胸がすく。木端や夜燕、秋成に応挙、シャベッテルとダマッテル…温かくて明朗闊達な人々に魅了された。

    0
    2024年03月13日