永井紗耶子のレビュー一覧
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明治時代。帝大生の啓吾には霊が視えた。周りの目を気にして視えないふりをしていた彼だったが、子爵家の次男坊である正周と出会ったことで変わる。正周は霊を視ることはできないものの怪異に興味を持ち、そして悪しきものを祓う力を持っていた。二人の青年が数々の怪異に出会い、その謎を解きほぐしていく優しい読み心地の作品です。
連作短編集で、それぞれの物語は緩やかに繋がっていく展開です。人々の間に張り巡らされた糸のような「縁」もまた物語の中核。何かの導きのようにして出会ってしまった啓吾と正周。好奇心と行動力が旺盛な正周をやや疎みつつも、友人でいることに安らぎを覚えている啓吾の様子にほっとします。このコンビ、良い -
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お元侍の娘が許婚が決まっていたにも関わらず吉原に売られ花魁の果てに心中を試みる。虚しい社会(法度)人生に悔やんでの行動は悲しすぎる。現代社会でも、人生はうまくいかない時が多い、それがたとえ罪が無いと言い張っても、場合によっては地位と権力で裁かれる。そして、それを悔やんで最悪な結果を招くことがある。特に人間関係は思い通りにはいかないのが常である事を悟って歩むべきだ。本文で気になる言葉、「絡繰り」とは世継ぎの難(法度)世継ぎがいなければ家は潰れる、長男が継げば、次男以降は無役のままで生涯を暮らすことになる。身分ははっきり分かれ、女郎に落ちたら這い上がれないし、武士に切られても文句は言えない。世を守
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永井さんは『木挽町のあだ討ち』の映画化も手伝って若い読者にも支持層を増やして来たようだ。私は本作で5作目となり、今回もまた永井さんワールドに分け入った。前作の『きらん風月』に似ている雰囲気を思い返しながら読み進む。
主人公・海保青陵は早々に他界してしまい、青陵の弟子・弥兵衛と兄弟子・鐘成のふたりが青陵の足跡を辿る旅に出る構成になっている。弟子・弥兵衛の出自が結末に明かされる前に、たぶん読者には真実が推測できるだろう。
青陵の遺言である「遺灰は空に撒け」の発想はなかなか。今でこそ散骨はデビューしているが、家を大事にする武士社会の江戸時代に墓を作らず空に撒くとは思いきったものだ。生前青陵と交流の -
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源頼朝と北条政子との娘・大姫の入内という「鎌倉幕府最大の失策」といわれる出来事を、京の九条殿につかえる周子(衛門)を主人公にして描いた歴史小説。
周子は、大姫を入内させるべく、また自らの女官としての出世につなげるため、鎌倉へ下る。
しかし、大姫は気鬱の病で、周子に会おうともしない。何とか大姫の心を開かせた周子だったが、その周子の前に立ちはだかるのは、過ちを認めず、誰かの責にする政子だった。
のちに尼将軍と呼ばれた政子も、その当時は、入内について「大姫自らが望むか、望まぬかなど、どうでもよい」と強弁する、娘をただ盲愛する一人の母親であった。
やがて、周子の熱意により、心を開いた大姫であったが、「