永井紗耶子のレビュー一覧

  • 青青といく

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    京弓師の跡取りなのに、弓作りが苦手な弥兵衛。そろばん勘定のほうが得意なことに、後ろめたい気持ちを抱える日々、儒学者海保青陵と出会う。

    兄弟子の鐘成とともに、青陵の訃報回りの旅に出ることになった弥兵衛の成長物語かな?と思って読み始めたが、縁ある人たちが語る海保青陵を知るほどに、自由自在の生き方の素晴らしさと難しさを感じ、彼の人生にわくわくする物語だった。

    自分を大切に心を養って、視野を広くしてふわりと構えて、この物語で青陵先生が植えてくれた種を自分のペースで育てていけたら素敵だと思う。

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    2026年05月06日
  • 女人入眼

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    源頼朝と北条政子との娘・大姫の入内という「鎌倉幕府最大の失策」といわれる出来事を、京の九条殿につかえる周子(衛門)を主人公にして描いた歴史小説。
    周子は、大姫を入内させるべく、また自らの女官としての出世につなげるため、鎌倉へ下る。
    しかし、大姫は気鬱の病で、周子に会おうともしない。何とか大姫の心を開かせた周子だったが、その周子の前に立ちはだかるのは、過ちを認めず、誰かの責にする政子だった。
    のちに尼将軍と呼ばれた政子も、その当時は、入内について「大姫自らが望むか、望まぬかなど、どうでもよい」と強弁する、娘をただ盲愛する一人の母親であった。
    やがて、周子の熱意により、心を開いた大姫であったが、「

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    2026年05月01日
  • 青青といく

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    2026.4.15
    青青陵上柏:青青たり陵上の柏

    「青青たり陵上の柏.....これは、短い人生、大いに楽しもう。旅に出て、共に唄い、飲み暮らせば、邸宅なんぞなくとも、王の如く楽しいと、人生を謳歌する詩でございますな」
    詩の中の風景が、弥兵衛の脳裏に広がるようである。
    丘の上に青青と枝葉を伸ばす柏の木、谷川に思うままに転がっている石、、、
    そして、友と酒を酌み交わし、町から町へ訪ね歩く。


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    2026年04月16日
  • 秘仏の扉

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    仏の微笑みも、観る人の心持ちによって天使にも悪魔にも。夢殿の救世観音菩薩それほどの感動はなかった。それにしても「英雄色を好む」とは言え、揃いも揃って酷すぎないか?女中に姪に人妻に…。それで審美眼誇られても…。

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    2026年04月10日
  • 青青といく

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    爽やかな物語です。
    テーマは海保青陵。江戸後期の儒者ですが、旧態依然とした儒学を否定し、全国を歩いて経営コンサルタント的な活動をした異色の人物。。その海保青陵の没後、最後の弟子になった京弓師の跡取りの弥兵衛と兄弟子の鐘成が、江戸、川越、秩父、金沢に住む青陵ゆかりの人々を尋ね歩く物語です。
    その形式は『木挽町のあだ討ち』に似ています。『木挽町・・』は次第に裏事情が明らかになって最初の話が変わって行く流れでしたが、この物語では海保青陵の人物像が深くはなっていきますが大きく変貌することは無く。ただ、新たな謎が出て、それが最後に・・・と言うミステリーっぽい仕掛けは有ります。
    自由自在に生き、そして亡く

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    2026年03月25日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    新しい秩序を作り上げるには清濁合わせ飲むことができる度量とバイタリティが必要。杉本茂十郎はそれができる人間だった。
    非難されることも覚悟で、己が信じる道を歩み、己の信念を実現する力強い生き様に感動した。
    そしてそういう生き方をする人は、得てして足を引っ張られ消えてゆくというのは、今の世でもよく見る光景である。儚さを感じる。

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    2026年03月02日
  • 横濱王

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    身近にあった三溪園。その背景にあるものに目が行き届かなかったが、母からの推薦で読むことに。小説になっているので読みやすかったが、人としての誠実さがあった人なのだなと。あとは『天命に沿って生きる』ところは、その通りだなと。

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    2026年01月26日
  • 秘仏の扉

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    秘仏と言われた奈良の法隆寺の夢殿救世観音像の厨子が開かれたのは、明治時代。その場に立ち会ったのは、写真家の小川一眞、宮内庁図書頭(ずしょのかみ)であり、臨時全国宝物取調局委員長の九鬼隆一、法隆寺の住職の千早定朝、取調局委員のアーネスト・フェノロサと友人の外国人資産家ビゲロー、宝物調査の責任者の一人の岡倉覚三(天心)の6人。それぞれの立場から、秘仏の扉を開扉するまでのできごとや、開扉してからの思いなどが書かれていました。彼らがただの立派な人ではないことに人間味を感じました。

    明治時代の廃仏毀釈で寺を守るために、秘仏の扉を開いたことは、「守るために開く」という住職の強い決意のもとにあったことを知

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    2025年09月26日
  • 横濱王

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    今迄三渓園を作った人、という認識しかなかった原三渓。その人となりを幾らか知る事が出来た。前田青邨や松永安左エ門との交遊も。

    ただ、いささか三渓を無私の人としてのみ描き過ぎの気があるのではないか。実際私利私欲とは無縁の人物だったのかも知れないが、篤志家にも懊悩の一つや二つはあるだろうに。

    そこまで行っていれば★5つだったな。

    高久書店にて購入。

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    2025年08月30日
  • きらん風月

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    ネタバレ

    世の中の 人と多葉粉(たばこ)の よしあしは
    けむりとなりて 後にこそしれ(栗杖亭鬼卵)
    松平定信がこの歌に眼をとめ褒美をくだされた
    この伝説を元に定信へ昔語りをする構成が上手い
    栗杖亭鬼卵は大阪の下級武士で、絵画、狂歌、連
    歌、俳諧、戯作者として東海を遍歴する
    伊豆韮山代官江川家手代というもの興味深い
    静岡の日坂で煙草屋を営み松平定信と出会う設定
    作中で後進を育てる時に一流の人物に結びつける
    楽しさに気が付きネットワークつくりに東海道人
    物志(宿駅に住む学者、文人、諸芸に秀でた人々)
    を纏める・・・18世紀の時代の文化人の有り様
    が興味深い

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    2025年08月19日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    文化・文政年間に十組問屋頭取として八面六臂の活躍を魅せた実在の人物 杉本茂十郎に取材した、江戸商人活劇。士農工商の身分制度では最下に置かれ、蔑まれながらも経済の実権を握った商人達の、「天下に資する」という熱い想いと、徳川封建制度のなかで翻弄される姿を描いて秀逸。

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    2025年07月31日
  • 秘仏の扉

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    ネタバレ

    明治に法隆寺の国宝・救世観音像を開陳させた男たちの連作集。

    「光の在処」写真師・小川一真
    「矜持の行方」宮内省図書頭・九鬼隆一
    「空の祈り」法隆寺の総代・千早定朝
    「楽土への道」フェノロサ
    「混沌の逃避」岡倉覚三(天心)
    「千年を繋ぐ」文部大丞・町田久成、
    の6編からなる。
    これを読むと年に2回特別開陳されている観音像が見たくなります。
    女性関係については時代とはいえさすがに大きな醜聞だったと思いますが、昔の芸術気風の人にありがちな感じもします。
    一番感動したのは「空の祈り」です。

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    2025年06月29日
  • 女人入眼

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    文庫本の帯にこう書いてある。
    「これは最も激しい女たちの戦い」
    「国の実権を争う鎌倉と京」
    「分かり会えない母と娘」

    私はここにこう付け加えたい

    「力を持つ女と持たない女の生きる道」

    主人公は、京の丹後局の使者として鎌倉へ下る「周子」。
    周子は大姫の入内へ向けて、準備を進めたいが大姫本人には気鬱の病があり、母政子の凄まじいまでの寵愛もあり、遅々として進まない。
    そんな中、ある事件を境にして距離を縮める糸口を掴む。

    少しずつ心の内を語ってくれるようになった大姫の本音を聞いた周子。
    この入内を成功させれば出世の道も開けるはずだと息巻いていた周子だったが大姫を守るため動いていこうとする。

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    2025年06月15日
  • 旅立ち寿ぎ申し候<新装版>

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    202504/こういう商い時代ものが好みというのもあるが、キャラも物語もとても良かった!旧題(福を届けよ)より今回のタイトル(旅立ち寿ぎ申し候)が良い。

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    2025年05月16日
  • 秘仏の扉

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    原田マハさんともまた随分と異なる趣
    久しぶりに美術に深く関連する小説を読んで、自分が絡めとられるような感覚(うまく表現できない)

    オール讀物での連載

    アーネスト•フェノロサ
    日本文化を、仏教精神、美術を
    深く理解し高く評価してくれた米国人
    親友、妻子との別れ、絶望、新たな人生
    岡倉天心との縁

    岡倉天心(改号前…覚三)
    英語が堪能で通訳として徴用され、日本の芸術振興、守護に貢献。渡米
    東京美術学校を創設、初代校長に。名だたる芸術家が教師、生徒に名を連ねる
    不倫しすぎで(昔の男性的価値観は理解し難い)スキャンダルや権力闘争に負け、失職するも、また新しい団体を立ち上げて妻とも再構築
    インドへ 

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    2025年05月06日
  • 旅立ち寿ぎ申し候<新装版>

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    冒頭 勘七は幼なじみの1人直次郎を桜田門外の変で喪う。

    三年後 奉公先の主人 善五郎に強く望まれ跡を継ぎ若旦那となった勘七。
    料亭の倅でありながら自らの信念に従い芸者の箱持ちとなった紀之介。
    武士の家に生まれながら武士として生きられなかった新三郎。
    商家に生まれながら武士となり武士として死んでいった直次郎。
    四人の幼なじみの若者達。折しも時は幕末。時代が大きく揺れ動いていた。

    主人公 勘七が時代に翻弄されながらも先代の「商人は人に福を届けることが務めだ」という志しを見失わずにいることができたのはやはり周囲の人々の支えがあったからだろう。
    それに比べて新三郎の生き様は読んでいて苦しい。
    四人

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    2025年04月14日
  • 秘仏の扉

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    やっぱり永井さんの歴史小説は面白い!
    法隆寺夢殿にある厨子の中には救世観音像があるが、秘仏とされてきた。だが明治期に開扉される。それに立ち会った岡倉覚三やフェロノサ、写真家の小川一眞らが、救世観音像と対峙することにより、自分の内面と向き合うことになる。
    それぞれが主人公の連作短編集で、各々の葛藤が読んでいて興味深かった。特に法隆寺住職の定朝が、救世観音像の開扉を「開いて、守る」という境地に至ったところで、開国にふみきった日本に照らし合わせたところはすごく納得できた。
    今ちょうど法隆寺夢殿の救世観音像が見られる期間らしいので、行ってみよう。

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    2025年04月12日
  • 秘仏の扉

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    法隆寺の秘仏『救世観音像』の開扉に立ち会った男6人の視点で物語は進行。伝統ある仏像が海外に流出せぬよう尽力した彼らの熱意が伝わる。歴史の隙間に覗く人間模様。楽しく読み易い。

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    2025年04月12日
  • 秘仏の扉

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     明治21年6月、法隆寺夢殿。今まさに秘仏、救世観音像の厨子が開けられようとしている。
     そこには、宮内庁図書頭かつ全国宝物取調局委員長・九鬼隆一、東京美術学校幹事・岡倉覚三(後に天心)、取調局委員・アーネストフェノロサ、外国人資産家・ビゲロー、写真家・小川一眞、その他役人記者たち。そして法隆寺大僧正・千早定朝。
     国内では廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ、各仏閣、寺院は廃れ、日本国の伝統文化と芸術が壊されている。一方、欧米では東洋美術が評価され始めている。
     近代化と伝統の狭間で揺れる明治時代に、秘仏開帳に関わったものたち、それぞれの生きざまが群像劇として描かれている。

    「これから先の千年、遺すため

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    2025年04月05日
  • 秘仏の扉

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    少し前に廃仏毀釈を調べたり
    最近六角堂にいったばかりなのですごく楽しく読めた

    学生時代の歴史の勉強は嫌いだったけど
    こういう知識の入れ方だと興味もてるんだなあと
    本筋とはちがうけど

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    2025年03月20日