永井紗耶子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
文庫本の帯にこう書いてある。
「これは最も激しい女たちの戦い」
「国の実権を争う鎌倉と京」
「分かり会えない母と娘」
私はここにこう付け加えたい
「力を持つ女と持たない女の生きる道」
主人公は、京の丹後局の使者として鎌倉へ下る「周子」。
周子は大姫の入内へ向けて、準備を進めたいが大姫本人には気鬱の病があり、母政子の凄まじいまでの寵愛もあり、遅々として進まない。
そんな中、ある事件を境にして距離を縮める糸口を掴む。
少しずつ心の内を語ってくれるようになった大姫の本音を聞いた周子。
この入内を成功させれば出世の道も開けるはずだと息巻いていた周子だったが大姫を守るため動いていこうとする。
-
Posted by ブクログ
原田マハさんともまた随分と異なる趣
久しぶりに美術に深く関連する小説を読んで、自分が絡めとられるような感覚(うまく表現できない)
オール讀物での連載
アーネスト•フェノロサ
日本文化を、仏教精神、美術を
深く理解し高く評価してくれた米国人
親友、妻子との別れ、絶望、新たな人生
岡倉天心との縁
岡倉天心(改号前…覚三)
英語が堪能で通訳として徴用され、日本の芸術振興、守護に貢献。渡米
東京美術学校を創設、初代校長に。名だたる芸術家が教師、生徒に名を連ねる
不倫しすぎで(昔の男性的価値観は理解し難い)スキャンダルや権力闘争に負け、失職するも、また新しい団体を立ち上げて妻とも再構築
インドへ -
Posted by ブクログ
冒頭 勘七は幼なじみの1人直次郎を桜田門外の変で喪う。
三年後 奉公先の主人 善五郎に強く望まれ跡を継ぎ若旦那となった勘七。
料亭の倅でありながら自らの信念に従い芸者の箱持ちとなった紀之介。
武士の家に生まれながら武士として生きられなかった新三郎。
商家に生まれながら武士となり武士として死んでいった直次郎。
四人の幼なじみの若者達。折しも時は幕末。時代が大きく揺れ動いていた。
主人公 勘七が時代に翻弄されながらも先代の「商人は人に福を届けることが務めだ」という志しを見失わずにいることができたのはやはり周囲の人々の支えがあったからだろう。
それに比べて新三郎の生き様は読んでいて苦しい。
四人 -
Posted by ブクログ
やっぱり永井さんの歴史小説は面白い!
法隆寺夢殿にある厨子の中には救世観音像があるが、秘仏とされてきた。だが明治期に開扉される。それに立ち会った岡倉覚三やフェロノサ、写真家の小川一眞らが、救世観音像と対峙することにより、自分の内面と向き合うことになる。
それぞれが主人公の連作短編集で、各々の葛藤が読んでいて興味深かった。特に法隆寺住職の定朝が、救世観音像の開扉を「開いて、守る」という境地に至ったところで、開国にふみきった日本に照らし合わせたところはすごく納得できた。
今ちょうど法隆寺夢殿の救世観音像が見られる期間らしいので、行ってみよう。 -
Posted by ブクログ
明治21年6月、法隆寺夢殿。今まさに秘仏、救世観音像の厨子が開けられようとしている。
そこには、宮内庁図書頭かつ全国宝物取調局委員長・九鬼隆一、東京美術学校幹事・岡倉覚三(後に天心)、取調局委員・アーネストフェノロサ、外国人資産家・ビゲロー、写真家・小川一眞、その他役人記者たち。そして法隆寺大僧正・千早定朝。
国内では廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ、各仏閣、寺院は廃れ、日本国の伝統文化と芸術が壊されている。一方、欧米では東洋美術が評価され始めている。
近代化と伝統の狭間で揺れる明治時代に、秘仏開帳に関わったものたち、それぞれの生きざまが群像劇として描かれている。
「これから先の千年、遺すため -
Posted by ブクログ
作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という -
Posted by ブクログ
11代将軍家斉といえば、側室数十人、子供も五十数人。庶民の生活苦をものともせず、遊蕩に耽っていたことで有名だが、その頃の大奥の物語。
将軍お手つきの者を「汚れた方」というのだが、そうではない「お清」たちのお仕事小説集。
さすが時代小説に造詣の深い著者の作品なので、当時の大奥のしきたりなどを読んでも説得力もあり、それを知る楽しみもあった。
大奥に入るいきさつなど、当時も生きづらかった女性たちが、大奥に入ることで、自分の生きる道を見つけていく前向きな話が多く、読後感もよかった。
高貴な方たちが飼う猫が、大奥の中を歩き回る「ねこめでる女」が一番好きだった。
-