永井紗耶子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
6編からなる大奥の中の様々な部所で働く女達の話。
どの話もとても良かった。 身分も年齢も大奥に入ることになった事情もそれぞれ違う登場人物達が 時に思い悩み しかし皆 誠意をもって一生懸命自分のつとめをはたそうとする姿勢が 清々しく気持ちが良い。
〝つはものの女〟で 初瀬様が言った「ここまで歩んで来たことを誇りに思われよ。その誇りある女がするからこそ、この礼には意味がある。それゆえにこの負けは勝ちなのじゃ」という言葉には まさに 天晴 という思いだった
最後の話〝ねこめでる女〟は他とは少し違う切り口で 猫を介した 身分も年齢もこえた繋がりがホッコリ温かく物語の最後を結んでいた。 -
Posted by ブクログ
ええか、世の中の大半の揉め事はな、振り上げた拳の下ろしどころを見失うことで起きる。せやけどお前の言う通り、黙っていればええというわけやない。言わなあかんこともある。
窮屈な世の中で物を言うには、身を守ることを忘れたらあかん。言って、殺されたんでは元も子もないからな。その為には、相手に拳を振り上げさせず、上げたとしてもすぐに下させるように間を空けとくことが大事や。その間が狂歌に欠かせぬ滑稽であり、風刺、諧謔や。面白おかしゅう書けばええ。生真面目にいうたら喧嘩になる。せやけど下らない言葉に乗せてしまえば、真に受けて怒った方が恥をかく。力を抜いて、笑いながら書け
筆は卵や。ここからは武者も美女も神仏 -
Posted by ブクログ
江戸城・大奥のお仕事小説短編集。
ひのえうまの女・・・奥女中の要・御年寄に仕えたお利久。
家の事情も伴い、大奥で出世したい願望あれど、今の仕事は
心あらず。だが思わぬ出会いから自分を生かせる道を見出す。
いろなぐさの女・・・「私にご指南いただきたいのです」
呉服の間のお松の境遇からの悩み。呉服問屋の千沙と
女形の岩井粂三郎との出会いと語らいは、己と向き合い人と
向き合う大事さを知ることになる。それは二人も同様に。
くれなゐの女・・・御末の玉鬘は大柄な身体が悩み。だが夕顔との
出会いで変化が。夕顔の見事な処世術。心に残るのは、
白塗りの顔と皆を笑顔にさせる夕顔の心持の逞しさ。
つは -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史・時代小説として原三溪の人となりを描いた本。といっても原三溪が主人公ではなく胡乱な若手実業家が原三溪を知る商売敵、元芸者、元女中、そして前田青邨や松永安左ヱ門という実在の人物との対話を通して原三溪の姿をあぶり出していく展開が秀逸。
昭和初期の華やかな横浜の風景をキングの塔、ニューグランド、聘珍樓など実存する場所を織り交ぜ浮かび上がるような描写が読んでいて楽しい。関東大震災や第二次大戦の空襲といった横浜の苦難の時代もカバーしていて横浜生まれの作者の思いを感じさせる。
ユニークな切り口とライブ感あふれるタッチでありし日の横浜を描いた秀作。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ芝居小屋での連続インタビュー形式で話が展開して、じょじょに真実があきらかになっていく大筋のストーリーとインタビューを受けた人の半生とが織り成す感動の小説でした。第4幕、第5幕が自分は大きく感動しました。
第5幕より
「『お前さんが御無沙汰だって、幇間の太一が言ってたぜ。葛葉が落籍されるって話だから落ち込んでいるのかって気にしていたけど、お前さん、そういう性分でもないだろう』
喜兵衛に言われて、言葉を失くす。
いっそ葛葉が落籍されて落ち込んでいるっていう方が、人として真っ当だろう。話はむしろ逆なのだ。
『葛葉に惚れられていると分かって、怖くなった・・・』
喜兵衛に笑われるかと思ったのだが、存