永井紗耶子のレビュー一覧

  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    江戸城・大奥のお仕事小説短編集。
    ひのえうまの女・・・奥女中の要・御年寄に仕えたお利久。
     家の事情も伴い、大奥で出世したい願望あれど、今の仕事は
     心あらず。だが思わぬ出会いから自分を生かせる道を見出す。
    いろなぐさの女・・・「私にご指南いただきたいのです」
     呉服の間のお松の境遇からの悩み。呉服問屋の千沙と
     女形の岩井粂三郎との出会いと語らいは、己と向き合い人と
     向き合う大事さを知ることになる。それは二人も同様に。
    くれなゐの女・・・御末の玉鬘は大柄な身体が悩み。だが夕顔との
     出会いで変化が。夕顔の見事な処世術。心に残るのは、
     白塗りの顔と皆を笑顔にさせる夕顔の心持の逞しさ。
    つは

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    2024年06月12日
  • きらん風月

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    とても面白かった。
    舞台は江戸時代なんだけど
    ジャーナリズムのあり方、
    クリエイターの生き方、
    ジェンダー、
    老いへの向き合い方など
    今に通じるテーマが
    自然に盛り込まれていました。
    登場人物も皆、魅力的。

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    2024年05月27日
  • きらん風月

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    江戸時代の上方の文化人、栗杖亭鬼卵の半生を描いた物語。
    様々な人との出会い、愛する妻との死別、天明の大飢饉を経て、彼が本当に表現したかったものが明らかになる。
    それを隠居後の松平定信に語るという舞台設定が、より鬼卵の訴えたいことが伝わってくる。
    永井さんの人物の描き方が本当に好きなんだよなー。
    鬼卵の人柄の良さに、さらに人柄のいい人が集まってくる。
    さらっと蔦屋重三郎の名前も出てくるし、内容的にも来年の大河ドラマを見る前に読むのもいいんじゃないかな。

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    2024年03月20日
  • きらん風月

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    直木賞受賞後の第1作。「木挽町のあだ討ち」が大傑作だったので期待して拝読。前作を超える傑作とまでは言わないが、時代小説を牽引する作家の一人になった印象をもった。恥ずかしながら栗杖亭鬼卵は知らなかったが、禁欲政治を断行した松平定信との老いてからの邂逅談という設定も面白く、歴史好きにはたまらなく興味深い一冊。今後も大注目の作家さんの一人。

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    2024年03月18日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    「絡繰り」とは社会のシステムのことと解説の末国善己氏に教えられた。いまを生きる私たちも様々な絡繰りに絡めとられて生きている。本書の登場人物の悩みや苦しさは現代とあい通じる。つぶされずにどう生きるか。自分という主体を失わずに前を向くしかないと思った。

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    2024年03月18日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    最初、堅いかな?読みにくいかな?と不安もあったが、いつの間にか大奥の暮らしに引き込まれて楽しかった。大奥に勤めている色んな階級の女性たちの話の短編集。前の話に出てきた方が、あとの話の中に出てくるとその後がわかって微笑ましく思えた。
    当時あった豪華絢爛な衣装や小物など今はどうなっているんだろうか。江戸城なくなってるのは勿体ないなと思った

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    2024年01月22日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    大奥の衣食住を支える各部所で務めに励む女たちの六編の物語は、どれも気分爽快の読み心地。人と人との交流の中で生まれる快い温もりにとっぷり浸らせてもらった。
    大奥に入った事情は千差万別でも、己の道や生き方に迷い悩む各主人公たちは等身大でいつの世も変わらない。
    彼女たちの曇る心を晴らす先輩や朋輩の存在が非常に魅力的で忘れられない粋な女ぶり。「ひのえうまの女」のお藤様や「くれなゐの女」の夕顔、「つはものの女」の初瀬様の言葉はまさに珠玉の一言一句。生きるスタンスは様々だが、どのお方も凛と潔く揺るがない誇りと覚悟がある。

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    2023年09月28日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    ネタバレ

    華族のお嬢様と食客の書生が出席した夜会で、暴漢と不審死の事件が起こり、謎解きに乗り出す2人……と思わせておいて、2人が解決する訳では無い、闇満載の時代ミステリー

    すっごく面白かったです!

    華族とは何か、どのように成り立ち、祖父がのし上がって得た地位なのか、その暗部の上にある富と『お嬢様』

    単なる勝気なお嬢様と書生の勧善懲悪物語ではなく、真相を辿ろうとするお嬢様の不安な気持ち、母と娘の語らい、書生の謎、祖父の力、そして全ての謎の先は……?

    盛り沢山でお買い得すぎる

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    2022年09月22日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    ネタバレ

     じゃじゃ馬な令嬢とその家の書生の謎解き、だけだと思っていると物語の流れに驚かされます。

     幕末から明治にかけての闇。女性の地位。いろいろ考えさせられました。

     シリーズ化されるとうれしいなぁと思う作品です。

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    2021年12月18日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    大奥を舞台にした女性たちのお仕事小説。芯のある女性たちの成長や気づきは面白い。温かな気持ちになった。

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    2021年07月01日
  • 横濱王

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    ネタバレ

    歴史・時代小説として原三溪の人となりを描いた本。といっても原三溪が主人公ではなく胡乱な若手実業家が原三溪を知る商売敵、元芸者、元女中、そして前田青邨や松永安左ヱ門という実在の人物との対話を通して原三溪の姿をあぶり出していく展開が秀逸。
    昭和初期の華やかな横浜の風景をキングの塔、ニューグランド、聘珍樓など実存する場所を織り交ぜ浮かび上がるような描写が読んでいて楽しい。関東大震災や第二次大戦の空襲といった横浜の苦難の時代もカバーしていて横浜生まれの作者の思いを感じさせる。
    ユニークな切り口とライブ感あふれるタッチでありし日の横浜を描いた秀作。

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    2021年01月15日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    語り綴られていくうちにどんどん引き込まれる。救われるような回収とその展開は、アガサ・クリスティの名作を彷彿させる。映画の公開が待ち遠しい。

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    2025年12月21日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「ミステリー仕立ての中に、芝居街の人々の温かさが混じり合う」なんとも綺麗な終わり方でとても感慨深く読ませて頂きました。

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    2025年12月03日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    よい話だった。
    日々誠実に生きること、自分の仕事をしとげることの大切さを考えた。出自を超えて、人間同士の響き合いが素晴らしい。

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    2025年11月30日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    直⽊賞&⼭本周五郎賞ダブル受賞作品。
    久しぶりの時代小説だったので、古風な言い回しや表現に慣れず戸惑いましたが、ジワジワと真実が見えてくる感じはまさにミステリー。人情物語でもあり、映画も面白いはず!

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    2025年11月27日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    主軸となる仇討の顛末もさることながら、一人称で語られる木挽町の人々の人生もじんわりと良かった。清々しく温かい物語。

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    2025年11月23日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    木挽町で起きた仇討ち事件を、木挽町にある芝居小屋の住民たちから聞いた話をまとめたものだが、最後に実はこの仇討ちが本当はいわゆる仇討ちではないことが解き明かされる。この展開は痛快ではある。

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    2025年11月20日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    江戸の芝居小屋を舞台に、木挽町で起こった「立派な仇討ち」が、目撃者の視点から語られる物語。仇討ちを成し遂げた菊之助の縁者が、彼と関わりのある人物を訪ね歩きながら、その真相に迫っていく。

    物語は目撃者へのインタビュー(独白形式)で進行するが、この構成が非常に面白い。湊かなえの『告白』や『カケラ』を読んでいるような感覚を覚えるが、それを時代小説の枠組みで味わえることが新鮮だった。

    本作は、仇討ちの真相に迫る過程がミステリー仕立てになっている。結末も十分に面白いが、真の魅力は、登場人物それぞれの人間ドラマにあるように思う。

    五人の目撃者は、仇討ちの一部始終だけでなく、自らの生い立ちについても語

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    2025年11月15日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    直木賞と山本周五郎賞の同時受賞作品だが、歯に衣着せぬ感想を言えば、期待超えはならず。

    時代物のミステリというのがざっくりした位置付け。ただ、歴史性を重んじておるわけでもなく、トリックに仰天というわけでもない。

    では、なぜここまで評価されているのか。私なりの答えは「人情」の描写の手厚さと共感のしやすさにあると考える。
    討ちたくない相手を仇とし、一方で武士としての生き方に縛られ、父の生き様を肯定することの背景が、普段の我々とはかけ離れた境遇のはずなのにどこか現代社会にも蔓延る理不尽さを思わせる。

    嘘に救われるという解説にも納得。
    辛口に書いたが、普通に面白かった。

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    2025年11月12日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    何となく、終わりは読めたけど、分かっていても、感動するものはするし、斬新な描写も素晴らしく、後からジワジワなるほどなぁと思う一冊でした。
    初めて読む作家だったので、また読んでみたいと思いました。

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    2025年11月03日