永井紗耶子のレビュー一覧

  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    6編からなる大奥の中の様々な部所で働く女達の話。
    どの話もとても良かった。 身分も年齢も大奥に入ることになった事情もそれぞれ違う登場人物達が 時に思い悩み しかし皆 誠意をもって一生懸命自分のつとめをはたそうとする姿勢が 清々しく気持ちが良い。
    〝つはものの女〟で 初瀬様が言った「ここまで歩んで来たことを誇りに思われよ。その誇りある女がするからこそ、この礼には意味がある。それゆえにこの負けは勝ちなのじゃ」という言葉には まさに 天晴 という思いだった
    最後の話〝ねこめでる女〟は他とは少し違う切り口で 猫を介した 身分も年齢もこえた繋がりがホッコリ温かく物語の最後を結んでいた。

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    2024年11月17日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    江戸商人、杉本茂十郎。兄と慕う弥三郎との関係は非常によいですね。茂十郎は「毛充狼」などと凶暴な獣に例えられていたが、本当の茂十郎は全くの別人。江戸商人として大きな影響を与えた人物。生き様がかっこよいです。
    茂十郎の言葉「いざとなればね、金は刀よりも強いんですよ」
    いざとなれば金は刀よりも遥かに強い。金は人を惑わし狂わせ、時に命すら奪う。なんか、説得力ありますよね。
    また読み直したい作品です。

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    2024年09月16日
  • きらん風月

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    ええか、世の中の大半の揉め事はな、振り上げた拳の下ろしどころを見失うことで起きる。せやけどお前の言う通り、黙っていればええというわけやない。言わなあかんこともある。
    窮屈な世の中で物を言うには、身を守ることを忘れたらあかん。言って、殺されたんでは元も子もないからな。その為には、相手に拳を振り上げさせず、上げたとしてもすぐに下させるように間を空けとくことが大事や。その間が狂歌に欠かせぬ滑稽であり、風刺、諧謔や。面白おかしゅう書けばええ。生真面目にいうたら喧嘩になる。せやけど下らない言葉に乗せてしまえば、真に受けて怒った方が恥をかく。力を抜いて、笑いながら書け
    筆は卵や。ここからは武者も美女も神仏

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    2024年06月15日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    江戸城・大奥のお仕事小説短編集。
    ひのえうまの女・・・奥女中の要・御年寄に仕えたお利久。
     家の事情も伴い、大奥で出世したい願望あれど、今の仕事は
     心あらず。だが思わぬ出会いから自分を生かせる道を見出す。
    いろなぐさの女・・・「私にご指南いただきたいのです」
     呉服の間のお松の境遇からの悩み。呉服問屋の千沙と
     女形の岩井粂三郎との出会いと語らいは、己と向き合い人と
     向き合う大事さを知ることになる。それは二人も同様に。
    くれなゐの女・・・御末の玉鬘は大柄な身体が悩み。だが夕顔との
     出会いで変化が。夕顔の見事な処世術。心に残るのは、
     白塗りの顔と皆を笑顔にさせる夕顔の心持の逞しさ。
    つは

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    2024年06月12日
  • きらん風月

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    とても面白かった。
    舞台は江戸時代なんだけど
    ジャーナリズムのあり方、
    クリエイターの生き方、
    ジェンダー、
    老いへの向き合い方など
    今に通じるテーマが
    自然に盛り込まれていました。
    登場人物も皆、魅力的。

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    2024年05月27日
  • きらん風月

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    江戸時代の上方の文化人、栗杖亭鬼卵の半生を描いた物語。
    様々な人との出会い、愛する妻との死別、天明の大飢饉を経て、彼が本当に表現したかったものが明らかになる。
    それを隠居後の松平定信に語るという舞台設定が、より鬼卵の訴えたいことが伝わってくる。
    永井さんの人物の描き方が本当に好きなんだよなー。
    鬼卵の人柄の良さに、さらに人柄のいい人が集まってくる。
    さらっと蔦屋重三郎の名前も出てくるし、内容的にも来年の大河ドラマを見る前に読むのもいいんじゃないかな。

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    2024年03月20日
  • きらん風月

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    直木賞受賞後の第1作。「木挽町のあだ討ち」が大傑作だったので期待して拝読。前作を超える傑作とまでは言わないが、時代小説を牽引する作家の一人になった印象をもった。恥ずかしながら栗杖亭鬼卵は知らなかったが、禁欲政治を断行した松平定信との老いてからの邂逅談という設定も面白く、歴史好きにはたまらなく興味深い一冊。今後も大注目の作家さんの一人。

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    2024年03月18日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    「絡繰り」とは社会のシステムのことと解説の末国善己氏に教えられた。いまを生きる私たちも様々な絡繰りに絡めとられて生きている。本書の登場人物の悩みや苦しさは現代とあい通じる。つぶされずにどう生きるか。自分という主体を失わずに前を向くしかないと思った。

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    2024年03月18日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    最初、堅いかな?読みにくいかな?と不安もあったが、いつの間にか大奥の暮らしに引き込まれて楽しかった。大奥に勤めている色んな階級の女性たちの話の短編集。前の話に出てきた方が、あとの話の中に出てくるとその後がわかって微笑ましく思えた。
    当時あった豪華絢爛な衣装や小物など今はどうなっているんだろうか。江戸城なくなってるのは勿体ないなと思った

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    2024年01月22日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    大奥の衣食住を支える各部所で務めに励む女たちの六編の物語は、どれも気分爽快の読み心地。人と人との交流の中で生まれる快い温もりにとっぷり浸らせてもらった。
    大奥に入った事情は千差万別でも、己の道や生き方に迷い悩む各主人公たちは等身大でいつの世も変わらない。
    彼女たちの曇る心を晴らす先輩や朋輩の存在が非常に魅力的で忘れられない粋な女ぶり。「ひのえうまの女」のお藤様や「くれなゐの女」の夕顔、「つはものの女」の初瀬様の言葉はまさに珠玉の一言一句。生きるスタンスは様々だが、どのお方も凛と潔く揺るがない誇りと覚悟がある。

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    2023年09月28日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    ネタバレ

    華族のお嬢様と食客の書生が出席した夜会で、暴漢と不審死の事件が起こり、謎解きに乗り出す2人……と思わせておいて、2人が解決する訳では無い、闇満載の時代ミステリー

    すっごく面白かったです!

    華族とは何か、どのように成り立ち、祖父がのし上がって得た地位なのか、その暗部の上にある富と『お嬢様』

    単なる勝気なお嬢様と書生の勧善懲悪物語ではなく、真相を辿ろうとするお嬢様の不安な気持ち、母と娘の語らい、書生の謎、祖父の力、そして全ての謎の先は……?

    盛り沢山でお買い得すぎる

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    2022年09月22日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    ネタバレ

     じゃじゃ馬な令嬢とその家の書生の謎解き、だけだと思っていると物語の流れに驚かされます。

     幕末から明治にかけての闇。女性の地位。いろいろ考えさせられました。

     シリーズ化されるとうれしいなぁと思う作品です。

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    2021年12月18日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    大奥を舞台にした女性たちのお仕事小説。芯のある女性たちの成長や気づきは面白い。温かな気持ちになった。

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    2021年07月01日
  • 横濱王

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    ネタバレ

    歴史・時代小説として原三溪の人となりを描いた本。といっても原三溪が主人公ではなく胡乱な若手実業家が原三溪を知る商売敵、元芸者、元女中、そして前田青邨や松永安左ヱ門という実在の人物との対話を通して原三溪の姿をあぶり出していく展開が秀逸。
    昭和初期の華やかな横浜の風景をキングの塔、ニューグランド、聘珍樓など実存する場所を織り交ぜ浮かび上がるような描写が読んでいて楽しい。関東大震災や第二次大戦の空襲といった横浜の苦難の時代もカバーしていて横浜生まれの作者の思いを感じさせる。
    ユニークな切り口とライブ感あふれるタッチでありし日の横浜を描いた秀作。

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    2021年01月15日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    展開は途中で読めてしまったけれど、様々な人の視点から徐々に物語の真相が明らかになるストーリー構成は面白かった。
    個人的に不穏な物語は得意ではないため、潔く人の良い登場人物ばかりでさっぱり読めるのもうれしいポイント。

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    2026年01月28日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    面白かった。
    事の顛末は賛否が分かれそうだと思ったけど評価の高さを見るに、そんなこともない。

    構成が面白く2回も3回も読める。

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    2026年01月27日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    大勢の人から見たあだ討ちの話を何回も聞いてどんな展開になるのかと思ったら!
    最後の章を読んでスッキリした。ミステリーを交えた人情ものみたい。よかったね…

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    2026年01月26日
  • 横濱王

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    身近にあった三溪園。その背景にあるものに目が行き届かなかったが、母からの推薦で読むことに。小説になっているので読みやすかったが、人としての誠実さがあった人なのだなと。あとは『天命に沿って生きる』ところは、その通りだなと。

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    2026年01月26日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    事件に関わった者のインタビューにより全貌が暴かれる、ミステリー仕立ての時代小説。意外な構成ながらも、一人一人の辿った道の丁寧な描写により作品に惹き込まれる。
    永井沙耶子氏の作品は初めて読むが、他の作品も鎌倉時代を舞台にしたものなど変わった設定が多い印象。今後も既存の形式に捉われずに、時代小説を牽引して欲しい。

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    2026年01月25日
  • 木挽町のあだ討ち(新潮文庫)

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    ネタバレ

    芝居小屋での連続インタビュー形式で話が展開して、じょじょに真実があきらかになっていく大筋のストーリーとインタビューを受けた人の半生とが織り成す感動の小説でした。第4幕、第5幕が自分は大きく感動しました。

    第5幕より

    「『お前さんが御無沙汰だって、幇間の太一が言ってたぜ。葛葉が落籍されるって話だから落ち込んでいるのかって気にしていたけど、お前さん、そういう性分でもないだろう』
    喜兵衛に言われて、言葉を失くす。
    いっそ葛葉が落籍されて落ち込んでいるっていう方が、人として真っ当だろう。話はむしろ逆なのだ。
    『葛葉に惚れられていると分かって、怖くなった・・・』
    喜兵衛に笑われるかと思ったのだが、存

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    2026年01月25日