永井紗耶子のレビュー一覧
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「自分を裏切らないで良かった」──彼らの生き方を見て、私は最後にそんなことを思った。
これは、江戸の芝居小屋の近くで若侍・伊納菊之助が果たしたあだ討ちを巡る物語である。その真相を確かめるため、ある侍が事件を目撃した関係者たちに次々と話を聞いていく。彼らの語りが重なり合うことで、あだ討ちの裏側に、それぞれの生き方が浮かび上がってくる。
最初は、関係者からあだ討ちについて話を聞くうちに、少しずつ真相が見えてくると思っていた。しかし、実際には一見関係のなさそうな彼らの身の上話から、事件の輪郭が徐々に浮かび上がってきた。
その一方で、彼らがなぜ菊之助をそこまで助けるのかという疑問は残った。ところ -
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霊が視える帝大生の啓吾と視えない心霊研究者の正周が
織りなす、明治後期の帝都怪異譚の連作集。
第一話 ロマン髑髏・・霊に憑かれ、掘り出してしまった髑髏。
その侍の霊の頼み事は妻と助けた女の子の行方を探すこと。
第二話 祈り猫・・・元・花魁の霊が憑いた祈り猫の頼み。
火事場から去った息子と共に逃げた少女の行方は如何に。
第三話 笑う写真・・・浅草・凌雲閣の写真展で写真が笑う?
そしてある令嬢が倒れる。撮影したのはあの少女なのか?
第四話 桐箱の糸・・・5年前の啓吾と正周の出会いの話。
桐箱の金色の糸が繋ぐ縁。視える者と祓える者の因縁。
第五話 生きていた令嬢・・・7歳で行方知らず -
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永井さんの作品では『木挽町のあだ討ち』『青青といく』の流れで本作を手に取った。いずれの作品も、宝暦年間から文化・文政、天保を経て弘化年間にいたる、江戸中期の約100年の時期が舞台になっている。
とりわけ本作には、大河ドラマ『べらぼう』でも強烈な存在感を残した老中・松平定信が登場する。とはいっても、幕閣の第一線からは外れ、「風月翁」と名乗ってお忍び旅をしている途中。
寛政の改革を成し遂げたことに一点の曇りもなくふんぞり返っている風情の元老中に対して、今は煙草を商う「きらん屋」の主をしている、主人公の戯作者“栗杖亭鬼卵”が話して聞かせる昔語り。
その中には、円山応挙・上田秋成・海保青陵、それ -
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アマプラでこの小説を映画化した作品が登場したのを機に、読んでみました。
時代物が苦手な私としては、いきなり文章から入っても理解できんだろう、ということで、今回は映像を見たあとで小説を読みました。
両方見てみて、まず思ったこと。
かなり小説を忠実に映像化している!
小説では、6人の視点から「木挽町のあだ討ち」が語られていきます。
ただし、加瀬総一郎(映画では柄本佑の役)自身の視点はありません。
登場人物たちが、目の前にいる総一郎に「あだ討ち」について語っていく、という構成になっています。
個人的に、一つの事件を複数の人物がそれぞれの角度から語る文章構成が好きなので、これはツボに入りま -
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ネタバレ秘仏を開けられてしまう側の法隆寺の定朝の章は、電車で読んでいても泣きそうだった。
美術展で仏像はよく見るけれども、見せていただけるという敬う気持ちが足りなかったかもしれない。もう何年前だっけ?昔はこんなに気軽に仏像を美術展で見られることってそこまでなくて、さらに仏像の後ろまで360度の展示がされていたり、写真撮影ができたりと、なんだか不敬なことをしていたのかもしれないと思ったり。
しかし岡倉天心はもちろんだけど、フェノロサも結構な女性問題を抱えていたのですね。小説ではあるけれども、ウィキを見たら起きたことに関しては事実みたいなので、ちょっと驚いてしまった。
神仏分離はむかつくけれど、それも -
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非常に大好きなタイプのお話でした!とてもハートウォーミングでエンタメしている。それでいて、社会で無視されてしまうような人々に寄り添うメッセージのある作品。巻末の特別エッセイにあったが、歌舞伎座で舞台化されていたとか。
正直、このストーリーでは、「歌舞伎座舞台」というのが最も映えさせるアウトプット方法なのかもしれない。
もちろん、本はめちゃくちゃ面白いしとっつきやすく、そしてわかりやすい。野暮ったくなく、きちんと全てを説明してくれるので、探偵役は読者の我々だが、それでもみんなで真相にゴールできる楽しさがある最高エンタメ。
アマプラで映画配信されているうちに、こちらも見てみよう。
さて、以下ネ