永井紗耶子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ人との関わりや出会いを大切にしたくなる。
映画のポスタービジュアル(一面の雪の中に、菊之助と作兵衛がいて、菊之助が赤い着物を纏っている)が目に焼き付いて気になって、まず本を読んでみることにした!
芝居に出会って人生が変わった人たち、その人たちに出会って人生が変わった菊之助の話。
菊之助に関わった人たちの口から、“木挽町のあだ討ち”の話と、その人の生い立ちが語られていくことで、話が進む。
最初は、語り口調だと深い心情描写がないから少しさみしいなと思ったけど、話者の、外に現れるひととなりがわかりやすく、キャラクターを掴みやすくて、どんどん惹き込まれていった。読みやすいのもいい!
でもこの形式は -
Posted by ブクログ
爽やかな物語です。
テーマは海保青陵。江戸後期の儒者ですが、旧態依然とした儒学を否定し、全国を歩いて経営コンサルタント的な活動をした異色の人物。。その海保青陵の没後、最後の弟子になった京弓師の跡取りの弥兵衛と兄弟子の鐘成が、江戸、川越、秩父、金沢に住む青陵ゆかりの人々を尋ね歩く物語です。
その形式は『木挽町のあだ討ち』に似ています。『木挽町・・』は次第に裏事情が明らかになって最初の話が変わって行く流れでしたが、この物語では海保青陵の人物像が深くはなっていきますが大きく変貌することは無く。ただ、新たな謎が出て、それが最後に・・・と言うミステリーっぽい仕掛けは有ります。
自由自在に生き、そして亡く -
Posted by ブクログ
ネタバレ直木賞受賞作。
途中から展開が変わる、という評判が気になって読んでみた。
どんでん返し的な観点ではそこまで大転換があるわけではないが、多視点の語りのなかで中核的な物語の真相が徐々に明らかになる、という仕掛けはやはりおもしろかった。第四幕の小道具係のところで真相は読めたが、最終章でタイトル回収はなるほど。
ミステリ的仕掛けというよりは、人情噺が主軸であり、苦界や芝居小屋における真っすぐではない「人生」をディテール豊かに描いている点が面白さ。それら人情噺は仇討ちの主軸に関係ないものもすべてで、それぞれの視点人物の造形という点で「枝葉」ではあるが、そうした枝葉の豊かさにより小説が成り立っている、 -
Posted by ブクログ
秘仏と言われた奈良の法隆寺の夢殿救世観音像の厨子が開かれたのは、明治時代。その場に立ち会ったのは、写真家の小川一眞、宮内庁図書頭(ずしょのかみ)であり、臨時全国宝物取調局委員長の九鬼隆一、法隆寺の住職の千早定朝、取調局委員のアーネスト・フェノロサと友人の外国人資産家ビゲロー、宝物調査の責任者の一人の岡倉覚三(天心)の6人。それぞれの立場から、秘仏の扉を開扉するまでのできごとや、開扉してからの思いなどが書かれていました。彼らがただの立派な人ではないことに人間味を感じました。
明治時代の廃仏毀釈で寺を守るために、秘仏の扉を開いたことは、「守るために開く」という住職の強い決意のもとにあったことを知 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世の中の 人と多葉粉(たばこ)の よしあしは
けむりとなりて 後にこそしれ(栗杖亭鬼卵)
松平定信がこの歌に眼をとめ褒美をくだされた
この伝説を元に定信へ昔語りをする構成が上手い
栗杖亭鬼卵は大阪の下級武士で、絵画、狂歌、連
歌、俳諧、戯作者として東海を遍歴する
伊豆韮山代官江川家手代というもの興味深い
静岡の日坂で煙草屋を営み松平定信と出会う設定
作中で後進を育てる時に一流の人物に結びつける
楽しさに気が付きネットワークつくりに東海道人
物志(宿駅に住む学者、文人、諸芸に秀でた人々)
を纏める・・・18世紀の時代の文化人の有り様
が興味深い