永井紗耶子のレビュー一覧
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源頼朝と北条政子との娘・大姫の入内という「鎌倉幕府最大の失策」といわれる出来事を、京の九条殿につかえる周子(衛門)を主人公にして描いた歴史小説。
周子は、大姫を入内させるべく、また自らの女官としての出世につなげるため、鎌倉へ下る。
しかし、大姫は気鬱の病で、周子に会おうともしない。何とか大姫の心を開かせた周子だったが、その周子の前に立ちはだかるのは、過ちを認めず、誰かの責にする政子だった。
のちに尼将軍と呼ばれた政子も、その当時は、入内について「大姫自らが望むか、望まぬかなど、どうでもよい」と強弁する、娘をただ盲愛する一人の母親であった。
やがて、周子の熱意により、心を開いた大姫であったが、「 -
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映画の評判はなかなか良かったようだが、私はもちろん観ていない。ただ、この原作が秀逸だったので余程の下手が作らなければ当然映画も面白いだろう。
最初はタイトル通り'仇討ち'の話だと思って読み始める。芝居小屋に関係する人物の生い立ちを読んでいくうちに徐々に「何かちょっと変だぞ」と違和感を持ちはじめ、そのうちこれが時代物ミステリではないかと気付く。そして最後の謎解きでスッキリするとともに、タイトルが「仇討ち」ではなく何故「あだ討ち」なのかの理由も判明しカタルシスを感じるという具合だ。直木賞受賞も納得の傑作。
とにかくこの時代(松平定信の寛政の改革時期)の庶民の様子がとてもよく描か -
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爽やかな物語です。
テーマは海保青陵。江戸後期の儒者ですが、旧態依然とした儒学を否定し、全国を歩いて経営コンサルタント的な活動をした異色の人物。。その海保青陵の没後、最後の弟子になった京弓師の跡取りの弥兵衛と兄弟子の鐘成が、江戸、川越、秩父、金沢に住む青陵ゆかりの人々を尋ね歩く物語です。
その形式は『木挽町のあだ討ち』に似ています。『木挽町・・』は次第に裏事情が明らかになって最初の話が変わって行く流れでしたが、この物語では海保青陵の人物像が深くはなっていきますが大きく変貌することは無く。ただ、新たな謎が出て、それが最後に・・・と言うミステリーっぽい仕掛けは有ります。
自由自在に生き、そして亡く -
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文庫化を機に購入。
映画が公開されるまでに読み終えるつもりでしたが、間に合わず…( 'ᵕ' ; )
この頃読まれている方がすごく多くて、みなさん高評価なので期待値上がっておりました✧*。
雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏で見目良い若衆が果たした見事な仇討。その二年後、事件の目撃者を訪ねる武士が現れ、彼らから証言を得ていく。果たして、あの夜の真相とは…?
登場人物たちの語り口がとても心地よくて、まるで自分が武士になったかのような気持ちだった。
途中までは仇討ちそのものよりも、それを目撃した人たちの来し方、彼らの生き様が胸にグッときたり、ジーンとしたり…。
特にほたると久蔵の -
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秘仏と言われた奈良の法隆寺の夢殿救世観音像の厨子が開かれたのは、明治時代。その場に立ち会ったのは、写真家の小川一眞、宮内庁図書頭(ずしょのかみ)であり、臨時全国宝物取調局委員長の九鬼隆一、法隆寺の住職の千早定朝、取調局委員のアーネスト・フェノロサと友人の外国人資産家ビゲロー、宝物調査の責任者の一人の岡倉覚三(天心)の6人。それぞれの立場から、秘仏の扉を開扉するまでのできごとや、開扉してからの思いなどが書かれていました。彼らがただの立派な人ではないことに人間味を感じました。
明治時代の廃仏毀釈で寺を守るために、秘仏の扉を開いたことは、「守るために開く」という住職の強い決意のもとにあったことを知 -
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ネタバレ世の中の 人と多葉粉(たばこ)の よしあしは
けむりとなりて 後にこそしれ(栗杖亭鬼卵)
松平定信がこの歌に眼をとめ褒美をくだされた
この伝説を元に定信へ昔語りをする構成が上手い
栗杖亭鬼卵は大阪の下級武士で、絵画、狂歌、連
歌、俳諧、戯作者として東海を遍歴する
伊豆韮山代官江川家手代というもの興味深い
静岡の日坂で煙草屋を営み松平定信と出会う設定
作中で後進を育てる時に一流の人物に結びつける
楽しさに気が付きネットワークつくりに東海道人
物志(宿駅に住む学者、文人、諸芸に秀でた人々)
を纏める・・・18世紀の時代の文化人の有り様
が興味深い