あらすじ
第167回直木賞候補作、待望の文庫化!
「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。
その背後にあったのは、国の実権をめぐる女たちの政争。
そしてわかり合えない母娘の悲しい過去だった。
「大仏は眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ」
建久六年(1195年)。京の六条殿に仕える女房・周子は、宮中掌握の一手として、源頼朝と北条政子の娘・大姫を入内させるという命を受けて鎌倉へ入る。気鬱の病を抱え、繊細な心を持つ大姫と、大きな野望を抱き、それゆえ娘への強い圧力となる政子。二人のことを探る周子が辿り着いた、母子の間に横たわる悲しき過去とは――。「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。その背後には、政治の実権をめぐる女たちの戦いと、わかり合えない母と娘の物語があった。
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Posted by ブクログ
源頼朝と北条政子との娘・大姫の入内という「鎌倉幕府最大の失策」といわれる出来事を、京の九条殿につかえる周子(衛門)を主人公にして描いた歴史小説。
周子は、大姫を入内させるべく、また自らの女官としての出世につなげるため、鎌倉へ下る。
しかし、大姫は気鬱の病で、周子に会おうともしない。何とか大姫の心を開かせた周子だったが、その周子の前に立ちはだかるのは、過ちを認めず、誰かの責にする政子だった。
のちに尼将軍と呼ばれた政子も、その当時は、入内について「大姫自らが望むか、望まぬかなど、どうでもよい」と強弁する、娘をただ盲愛する一人の母親であった。
やがて、周子の熱意により、心を開いた大姫であったが、「・・・こんな終わりを、望んでいたわけではなかった」との、悲劇が・・・。
題名の『女人入眼』とは、「仏に眼が入らねばただの木偶でございます。眼が入って初めて仏となるのです。男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは、女人であろうと私は思うのですよ。言うなれば、女人入眼でございます」と、天台座主慈円。
「終」の項で、宮中の思惑とは異なり、「尼将軍が入眼を為したと思わぬか」と、政子が周子に問いかける。
Posted by ブクログ
文庫本の帯にこう書いてある。
「これは最も激しい女たちの戦い」
「国の実権を争う鎌倉と京」
「分かり会えない母と娘」
私はここにこう付け加えたい
「力を持つ女と持たない女の生きる道」
主人公は、京の丹後局の使者として鎌倉へ下る「周子」。
周子は大姫の入内へ向けて、準備を進めたいが大姫本人には気鬱の病があり、母政子の凄まじいまでの寵愛もあり、遅々として進まない。
そんな中、ある事件を境にして距離を縮める糸口を掴む。
少しずつ心の内を語ってくれるようになった大姫の本音を聞いた周子。
この入内を成功させれば出世の道も開けるはずだと息巻いていた周子だったが大姫を守るため動いていこうとする。
権力争いや、政子の暴挙に疲れはて傷ついていけ周子。
「勝ちは勝ちなのか…負けは負けなのか」
という疑問を投げ掛ける言葉を読む頃には私もすっかり疲れはてていた。
そしてこれ以上どうすれば?と思い悩んだ時に周子が投げ掛けられた「力及ばぬことに、徒に傷ついてはならない」という言葉に悲しみを覚えつつも、立ち上がり続けることが救いではないのだと、共感した。
権力争いの碁盤の石の1つとしてしか
女が扱われなかった時代に生きた周子と政子。
20年前に同時に聞いた「男たちが戦で彫り上げた国の形に、玉眼を入れるのは女人であろう。女人が国造りの仕上げをする」「女人入眼」という言葉を2人とも忘れずに生きていた2人のラストにはやっと心が凪ぐ思いになった。