永井紗耶子のレビュー一覧

  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    202210/序盤、自分には読みにくいかなと思いつつ気づいたら一気に読み進めてた!茂十郎をはじめ登場人物達の人となりや言動描写もうまくて入り込んで楽しめた。現代に通じるところも多々あり、見事さと哀しさに圧倒された。

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    2022年12月14日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    ネタバレ

    明治時代の(成金)男爵の娘としては勝ち気でお転婆。
    そんな彼女がある男爵の毒殺事件に巻き込まれて、それを華麗に解決!
    という話ではないのがこれ。
    確かに事件の謎は追っていくけれども、そこで突きつけられるのは勧善懲悪とはいかない現実の厳しさと難しさである。

    この話、実行犯については終盤にならずとも分かってくるし、何だったら読者側にも早めに情報開示される。
    つまり、実行犯が誰かについては重要視されていない。
    寧ろ、何故男爵が殺されるに至り、そしてその結果どうなったかを考える方に重きが置かれているように思った。
    だから犯人を見つけ出して指さして「犯人はお前だ」と指摘すれば終わるという単純明快な話で

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    2022年01月22日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    大奥を舞台にした『お仕事小説』短編集。
    皆、さまざまな事情を抱えて奥入りをし、それぞれの悩みや野心を抱えて勤めている。
    大奥といえども、身分や立場もそれぞれ。
    実際の大奥では忌々しこともあったであろうけれど、この作品の登場人物は皆、ハッピーエンドを期待せずにはいられないほど健気でチャーミング。
    色々な知識の糧も盛り込まれており、読後は『たのしかったー!』と言う気分にさせてもらえる。

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    2021年08月24日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    202104/面白かった!いわゆる「大奥」と聞いて浮かぶ上様の寵愛をめぐって…というのとは違い、「お清」と呼ばれるお手のつかない中働きをする女性達を各話の主人公にした短編集。将来の行く末や美醜など現代の我々と変わらない悩みを抱え居場所のなかった女性達が、奥入りして葛藤しながらも新しい道を切り開いていく希望ある物語で良かった。

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    2021年06月08日
  • 帝都東京華族少女

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    華族の家族の物語。

    文庫なので裏表紙に惹句が書いてあるけれどこれがひどい。本作の主題はねじ曲げているし、些末な出来事を物語の中心であるかの如くになっている。
    なんとしてもミステリー棚に入れたいという営業的目論見によって書かれたのでなければ、本作を読んでいないか、あるいは読解力に難のある人物の筆によるものだろう。
    これを真に受けたならおそらくは読まなかった。これほど内容を薄っぺらに感じさせる惹句はこれまで見たことが無い。著者はこれで良しとしたのかな?

    殺人事件は経過の一部に過ぎず、探偵役の謎解きなどはなくても成立する。華族という社会階層に起きた事件は、その当時の男性中心の社会制度や、帝国主義

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    2014年04月14日
  • 帝都東京華族少女

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    ネタバレ

    この時代を生きる女性たちの心情が興味深く読めた。
    終盤明らかになる人間関係の真実が断然おもしろく劇的。自分の生き方を奪われて怨む人生と、自分の生き方を通した後悔の人生、双方の悲痛さがやりきれない。
    続編も辛口でありながら魅力的な人間模様に期待。

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    2014年03月14日