永井紗耶子のレビュー一覧
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大傑作。本当に面白すぎて聴くのを止められなかった。江戸時代の時代小説×ミステリーという構成で、展開にドキドキしつつ「これが"人情"…!これが"粋"…!」と感激し、ボロボロ泣きながら聴いていた。
江戸時代の芝居町が舞台で、歌舞伎が題材に出てくるのだけど、『国宝』よりも歌舞伎の源泉のようなものが分かりやすかったように思う。どういう人々が歌舞伎という文化を作り上げてきたのか、歌舞伎がどんなふうに愛されてきたのか…というような。そして同じ歌舞伎を題材にしているので「あっ、これ『国宝』の小説にも出てきた演目の話だ!!」となる部分もあったりして…歌舞伎もまた観てみ -
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木挽町で起こった仇討ち事件。真相を調べるため目撃した芝居小屋の人達に聞き込みをする。仇討ちを遂げた菊之助と証言者たちそれぞれの背負ってきた人生の物語を聞いていくうちにある事件の裏に隠された話を紐解いていく。よくある仇討ちの話かと思ったら全然違う。ミステリーなのに江戸の人情味溢れていて読みやすく最後には心温まる気持ちになる。
基本はそれぞれの証言者視点のみで語られていくので、実際に聞き込みにきた浪人加瀬について詳しく語られないけど、映画では加瀬を主人公に進んでいくみたいだから、芝居小屋のひとたちとの絡みとかもあってまた違って視点で楽しめそう。 -
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映画もとてもよかったので再読。単行本も持っているが文庫でも買ってしまった。映画を見終わってから違いを楽しむのも良い。それぞれの章で話者が変わる形で進み、涙なしには読めない箇所も多々。最初と最後であだ討ちの印象ががらりと変わる。出てくる人みんな優しくて菊之助がかわいがられてて心温まる。久蔵の妻が特に好き。ネタバレなしにみる、もしくは読んでほしいけど、オチを知ってからでも楽しい。時代小説をあまり読んだことがない方でも楽しめるように思う。実写映画ってそんなに期待できない偏見があるが、出演者がほんとうによかった。特に茶室でのあの3人の話し合いは涙を堪えられなかった。笑いと涙のバランスがとても良い。早々
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映画が素晴らしかったので原作に戻ってきた。小説は小説にしかできない、映画は映画にしかできない手法で語られていたことがわかり、それぞれの形態のこの作品がますます好きになった。
小説として、各登場人物たちの過去が回想形式で深く掘り下げられている点がよかった。各々が各々の地獄を背負い、それでもと集まってきたこの場所で、どうして菊之助を助けるのか、これ以上ない説得力になっていた。
「己の想いを貫くことの難しさも、道理のままに行かぬ割り切れなさも、この世の中には数多ある。それを嘲笑うのではなく、ただ愧じるのでもなく、しなやかに受け止め生きる人々がいる。そのことが私の背を押し、己の心に従う力を与えてくれた -
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人情の厚さを感じた。登場人物みながバックボーンを詳細に話してくれる。人の温かさ、非情さ、人間味が溢れる内容で時に泣きながらページをめくった。なぜ話を進める主導者は2年も前の出来事を聞き回っているのか、また芝居小屋にいる人たちはどういう人なのかどういう経験をしたのかをなぜこんなにも詳細に聞くのかが全く分からず、どう終わるのかずっとモヤモヤしながら読み進めていたが、最後に全てが分かりその理由にも心打たれるものがあった。
江戸時代頃の話のため、昔の言葉が難しく読み進めにくいのかなと想像していたが、話が面白いためどんどん読み進めることができる。
もう一度読みたいと思った。 -
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江戸後期の経世家、儒学者の海保青陵。「経世在民」を唱え、自由自在を旨とし、江戸の世に自由な生き方を説いた青陵が亡くなるところから話が始まる。
彼の最後の弟子である堺屋弥兵衛が、師の遺言である「遺灰は空に撒け」の言葉を胸に青陵ゆかりの人々を訪ね歩くいわばロードストーリー。
「変人」と評される青陵の人となりがなんとも魅力的。弥兵衛が訪ねる先々で出会う青陵縁の人々が語る彼の逸話がいちいち面白い。
膠着した武家のしきたりに異を唱え、自由な意見の交換を何より楽しむ姿。前例踏襲の悪弊を説き、変化を求めることの難しさも知りながら、「自由自在」を若い者たちに伝えていく過程。
そんな師の姿を見聞きし、改めて