永井紗耶子のレビュー一覧
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既に出来上がっている仕組みを変えることは容易ではない。永らくその仕組の中で生きていると、そもそも「変えられる」という発想にすら立てないからだ。起きていることの本質を見極める眼と、根本から崩して造り直すことに挑める胆力。強い信念を貫き突き進むことができる改革者は、結果的に多くの敵を一身に引き受けることとなり、短命で散る運命なのか。
物語が弥三郎の視点から語られることで、茂兵衛・茂十郎の凝縮した生を共に生ききる感覚が薄まってしまったのは残念。むしろ弥三郎が主人公なのだと思えば、気持ちが重なる部分も多く、自身の想いに真っ直ぐに「できること」をしていくことで、歴史の転換点を支え見届ける一つの力にもなり -
Posted by ブクログ
ネタバレ明治時代の(成金)男爵の娘としては勝ち気でお転婆。
そんな彼女がある男爵の毒殺事件に巻き込まれて、それを華麗に解決!
という話ではないのがこれ。
確かに事件の謎は追っていくけれども、そこで突きつけられるのは勧善懲悪とはいかない現実の厳しさと難しさである。
この話、実行犯については終盤にならずとも分かってくるし、何だったら読者側にも早めに情報開示される。
つまり、実行犯が誰かについては重要視されていない。
寧ろ、何故男爵が殺されるに至り、そしてその結果どうなったかを考える方に重きが置かれているように思った。
だから犯人を見つけ出して指さして「犯人はお前だ」と指摘すれば終わるという単純明快な話で -
Posted by ブクログ
華族の家族の物語。
文庫なので裏表紙に惹句が書いてあるけれどこれがひどい。本作の主題はねじ曲げているし、些末な出来事を物語の中心であるかの如くになっている。
なんとしてもミステリー棚に入れたいという営業的目論見によって書かれたのでなければ、本作を読んでいないか、あるいは読解力に難のある人物の筆によるものだろう。
これを真に受けたならおそらくは読まなかった。これほど内容を薄っぺらに感じさせる惹句はこれまで見たことが無い。著者はこれで良しとしたのかな?
殺人事件は経過の一部に過ぎず、探偵役の謎解きなどはなくても成立する。華族という社会階層に起きた事件は、その当時の男性中心の社会制度や、帝国主義