永井紗耶子のレビュー一覧

  • 秘仏の扉

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    連作短編集6篇
    法隆寺の秘仏救世観音菩薩の開帳に関わった人々の物語。写真家小川一真、九鬼竜一、法隆寺の定朝、フェノロサ、岡倉天心、町田久成のそれぞれの救世観音菩薩の印象と人生。

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    2025年06月01日
  • 秘仏の扉

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    法隆寺に祀られている菩薩像は扉を開けた者に仏罰が下ると言い伝えられ鎌倉時代から秘仏とされてきた 明治時代になり「廃仏毀釈」により寺院や仏像が壊され打ち捨てらる危機に陥る 秘仏を開けざるを得なかった法隆寺の定朝始め、役人、写真家、日本を愛する人達、それぞれの視点で書かれている
    明治の混沌とした時代に日本古来のものを守ろうとした人達がいた事を初めて知った

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    2025年04月17日
  • 旅立ち寿ぎ申し候<新装版>

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    タイトルに惹かれて購入。

    安政7年3月 桜田門外の変の年、手代だった主人公「勘七」が、紙問屋「永岡屋」の若旦那となりやがて主となり明治3年までを商人として「福を届ける」という信念を持ちながら生きた物語。

    大切な人との別れや商いでの失敗。
    悩んで嘆いて恨んで、それでも何とか商人として生きていこうとする勘七に、幼なじみやご縁が繋がってで出会った人たちが時には叱咤激励を、時には温かい手を差し伸べてくれるとにかく温かく、心に沁みていく物語。

    「寿ぎ申し候」という言葉がとても粋で効果的に使われているので、大好きな日本語になってしまった。

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    2025年04月11日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    うーん、人情もののままならなさが存分に味わえる一冊。後に直木賞and山本周五郎賞を受賞した筆者の確かな力量を感じさせる処女作。
    背景描写が巧みで、人物の生い立ちや取り巻く環境がまるで見てきたかのように感じ取ることができる。

    森田屋の笛方である主人公金四郎の成長ストーリーかと思えば、そんな単純な話ではない。吉原の何が地獄って、さまざまな生い立ちの女性が一つ所に固められて、全員畜生の身分と見なされて生きていかないと行けない。こんなにひどい差別もない。
    雛菊の生涯に美しさと狂気、諦観と覚悟が絢爛な絵巻のように感じられ切ない。

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    2025年04月06日
  • 帝都東京華族少女

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    夜寝る前の読書用にと何となく手を取ったが面白くて、寝落ちしてしまうのが少しもったいない気持ちに。
    華族制度がいまいち分からず調べながら読み進める。
    ひとつの映画を見たあとのような読後感で
    読み安かったのも良かったな。

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    2025年03月06日
  • 灯台を読む

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    日本に約3000基ある灯台の役割や多様な価値について知ってもらおうという趣旨で進められている「海と灯台プロジェクト」。主体は一般社団法人・海洋文化創造フォーラムで共催が日本財団と海上保安庁である。そのプロジェクトの一環として企画されたのが、灯台が果たしてきた地域固有の役割や機能、存在価値を物語化して知らしめようという取り組み。本書はそれに基づき19基の灯台を6人の著名な作家が分担して現地取材し、紀行文集として取りまとめたもの。
    灯台の建築技術や歴史、地域との関わりについて様々な観点から語られ、読み進めるうちに少しずつ灯台への関心が高まってくる。
    しかし、門外漢の私には歴史作家や描写力のある作家の語りには少々、退屈で疲労感を覚えたというのが正直なところ。むしろ、ファンタジー作家で自信もミスチョイスでないかと思ったという阿部智里氏の大衆性をベースにした書きぶりに親近感を覚え、ほっとした。
    それはともかく、灯台に関して基礎的で大事なことだと思った点を幾つか挙げておく。
    ①江戸幕府に対し、西洋各国は航路を照らす灯台の必要性を主張、条約を協定させ、8つの灯台を建設させた。その第1号として、明治2年に初点灯したのが観音埼灯台
    ②灯台は、西洋人の航路に配慮して、太平洋、東シナ海、瀬戸内海、日本海の順で建てられた
    ③徳川末期にイギリスから来日し約7年半で26基の灯台を建てたリチャード・ヘンリー・ブラントンは日本の「灯台の父」と呼ばれた
    ④灯台の灯りはフレネルレンズという大きなレンズからプリズム状の光を投げかけ約30~50キロメートル先まで届く
    ⑤海路を守る灯台は軍事的な価値もあったため、太平洋戦争では、攻撃目標にされた 
    ⑥GPSなど航海技術が発達した今日、灯台は航路標識としての役割を終えつつあり、文化財や観光資源としての面がクローズアップされている
    これら以外にも、トピックネタとして面白いと思った点を挙げておく。
    ①島根県の出雲日御碕灯台は、駐車場完備、お土産屋、食堂もあり、灯台内部は一般公開され、観光スポットになっている 
    ②高知県室戸岬灯台のレンズの直径は2.6メートルで光達距離約49キロの第一等フレネルレンズ
    ③三重県安乗埼灯台は全国でも珍しい四角形の灯台。映画「喜びも悲しみも幾歳月」の舞台にもなった
    ④点灯してから1分以内に生じるエメラルドグリーンに光る瞬間を見たいという灯台ファンが多い
    ⑤富山県の生地鼻灯台は灯塔を白黒2色に塗られているので、パンダ灯台の愛称で呼ばれている

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    2024年11月27日
  • 絡繰り心中<新装版>

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    ネタバレ

    男性が主人公で遠山の金さんの若かりし頃なのかなって感じだった。容疑者と上がってくる人達の過去とか飽きさせない内容で面白かったけど、終わりがスッキリとしないから何か読んだ気がしなかった。

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    2024年10月24日
  • とわの文様

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    登場人物たちの華やかな装いが浮かんでくる。当時の人気の装いや柄が楽しめる一冊。さくっと読める。まだ続くんだろうな。

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    2024年08月25日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    登場人物のキャラクターが際立っていて、謎解きに触れてこなかった私でも大分ライトに読めました。

    明治時代を背景に、当時ではありえない「お転婆で勝気なお姫様」がミステリアスな書生と謎解きを進めていく。
    2人の掛け合いが痛快で、特に最後のやり取りは良かったです。

    女性が時代を切り開いていく強かさに勇気を貰えるのと同時に、帝都という舞台に強く惹かれました。

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    2024年07月10日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    謎が解かれてからの、登場人物たちの心の動きがとてもよかった。
    何ともぬるい感じで進んでいたので、途中で一つ二つ引き込まれる展開がほしかった。

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    2024年06月29日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    既に出来上がっている仕組みを変えることは容易ではない。永らくその仕組の中で生きていると、そもそも「変えられる」という発想にすら立てないからだ。起きていることの本質を見極める眼と、根本から崩して造り直すことに挑める胆力。強い信念を貫き突き進むことができる改革者は、結果的に多くの敵を一身に引き受けることとなり、短命で散る運命なのか。
    物語が弥三郎の視点から語られることで、茂兵衛・茂十郎の凝縮した生を共に生ききる感覚が薄まってしまったのは残念。むしろ弥三郎が主人公なのだと思えば、気持ちが重なる部分も多く、自身の想いに真っ直ぐに「できること」をしていくことで、歴史の転換点を支え見届ける一つの力にもなり得るのだと、心が熱くなった。

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    2024年05月22日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    大奥と言うと女のたたかいのイメージがついていたが、普通の生活があり、辛い事もあるけれど、その中で逞しく生きていく人達が生き生きと書かれていた。短編集だが時々登場する人物に親近感が湧いてくる。

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    2024年04月14日
  • とわの文様

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    江戸の呉服屋兄妹が、舞い込む厄介事を解決していく短編連作
    大元には母の事故(失踪)、妹とわの出生の秘密など、ミステリー要素も絡んだシリーズ一作目
    どんな大きな真相が隠されているのか、続編が気になります

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    2023年09月21日
  • 帝都東京華族少女

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    明治三十九年の東京。千武男爵家の令嬢・斗輝子は、住み込みの書生たちを弄ぶのが楽しみだが、なぜか帝大生の影森にだけは、馬鹿にされっぱなしだ。そんな二人が参加した夜会で、殺人事件が起きた。嫌疑がかけられたのは、斗輝子の祖父・総八郎。影森と斗輝子は、総八郎の疑いを晴らそうとするが―。異色コンビが活躍する爽快&傑作ミステリ!

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    2023年03月30日
  • 商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―(新潮文庫)

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    202210/序盤、自分には読みにくいかなと思いつつ気づいたら一気に読み進めてた!茂十郎をはじめ登場人物達の人となりや言動描写もうまくて入り込んで楽しめた。現代に通じるところも多々あり、見事さと哀しさに圧倒された。

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    2022年12月14日
  • 華に影 令嬢は帝都に謎を追う

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    ネタバレ

    明治時代の(成金)男爵の娘としては勝ち気でお転婆。
    そんな彼女がある男爵の毒殺事件に巻き込まれて、それを華麗に解決!
    という話ではないのがこれ。
    確かに事件の謎は追っていくけれども、そこで突きつけられるのは勧善懲悪とはいかない現実の厳しさと難しさである。

    この話、実行犯については終盤にならずとも分かってくるし、何だったら読者側にも早めに情報開示される。
    つまり、実行犯が誰かについては重要視されていない。
    寧ろ、何故男爵が殺されるに至り、そしてその結果どうなったかを考える方に重きが置かれているように思った。
    だから犯人を見つけ出して指さして「犯人はお前だ」と指摘すれば終わるという単純明快な話ではない。
    そして、それゆえにすっきり終わる話でもない。

    罪というのは、どこからどこまでを指すのだろう。
    実行犯は確かに罪人ではある。
    分かりやすく罪人である。
    しかし、それを手助けした人、直接手を下さずともそれによって利益を得る人、ゆえに黙認した人。
    こういった人たちも罪人と呼べるのだろうか。
    このような難しい問題も絡んでくるので、すっきり解決ミステリをお望みの場合は、この話はもしかしたら向かないかもしれない。
    現実というのは、このように曖昧模糊で、きっちり線引きできるものばかりではない。
    フィクションの物語ながら、それを突き付けられた気になる、そんな話だった。

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    2022年01月22日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    大奥を舞台にした『お仕事小説』短編集。
    皆、さまざまな事情を抱えて奥入りをし、それぞれの悩みや野心を抱えて勤めている。
    大奥といえども、身分や立場もそれぞれ。
    実際の大奥では忌々しこともあったであろうけれど、この作品の登場人物は皆、ハッピーエンドを期待せずにはいられないほど健気でチャーミング。
    色々な知識の糧も盛り込まれており、読後は『たのしかったー!』と言う気分にさせてもらえる。

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    2021年08月24日
  • 大奥づとめ―よろずおつとめ申し候―(新潮文庫)

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    202104/面白かった!いわゆる「大奥」と聞いて浮かぶ上様の寵愛をめぐって…というのとは違い、「お清」と呼ばれるお手のつかない中働きをする女性達を各話の主人公にした短編集。将来の行く末や美醜など現代の我々と変わらない悩みを抱え居場所のなかった女性達が、奥入りして葛藤しながらも新しい道を切り開いていく希望ある物語で良かった。

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    2021年06月08日
  • 帝都東京華族少女

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    華族の家族の物語。

    文庫なので裏表紙に惹句が書いてあるけれどこれがひどい。本作の主題はねじ曲げているし、些末な出来事を物語の中心であるかの如くになっている。
    なんとしてもミステリー棚に入れたいという営業的目論見によって書かれたのでなければ、本作を読んでいないか、あるいは読解力に難のある人物の筆によるものだろう。
    これを真に受けたならおそらくは読まなかった。これほど内容を薄っぺらに感じさせる惹句はこれまで見たことが無い。著者はこれで良しとしたのかな?

    殺人事件は経過の一部に過ぎず、探偵役の謎解きなどはなくても成立する。華族という社会階層に起きた事件は、その当時の男性中心の社会制度や、帝国主義的時代背景も巧く使っていてとても面白い。ある些細な出来事から始まって多くの人々の意志や情念が絡み合い、数十年を経て殺人事件へと繋がってくる。その物語は、横溝正史っぽいミステリーか、歴史小説風にした方が良かったように思う。
    少なくとも、惹句にあるような「男爵家の令嬢と書生の異色コンビが活躍する爽快&傑作ミステリー」程度の底の浅い謎解きにするのは勿体ない。そんなものならテレビドラマで毎週たくさんやっているし、書籍にしても他にいくらでもある。

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    2014年04月14日
  • 帝都東京華族少女

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    ネタバレ

    この時代を生きる女性たちの心情が興味深く読めた。
    終盤明らかになる人間関係の真実が断然おもしろく劇的。自分の生き方を奪われて怨む人生と、自分の生き方を通した後悔の人生、双方の悲痛さがやりきれない。
    続編も辛口でありながら魅力的な人間模様に期待。

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    2014年03月14日