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Posted by ブクログ
明治三十九年の東京。千武男爵家の令嬢・斗輝子は、住み込みの書生たちを弄ぶのが楽しみだが、なぜか帝大生の影森にだけは、馬鹿にされっぱなしだ。そんな二人が参加した夜会で、殺人事件が起きた。嫌疑がかけられたのは、斗輝子の祖父・総八郎。影森と斗輝子は、総八郎の疑いを晴らそうとするが―。異色コンビが活躍する爽快&傑作ミステリ!
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華族の家族の物語。
文庫なので裏表紙に惹句が書いてあるけれどこれがひどい。本作の主題はねじ曲げているし、些末な出来事を物語の中心であるかの如くになっている。
なんとしてもミステリー棚に入れたいという営業的目論見によって書かれたのでなければ、本作を読んでいないか、あるいは読解力に難のある人物の筆によるものだろう。
これを真に受けたならおそらくは読まなかった。これほど内容を薄っぺらに感じさせる惹句はこれまで見たことが無い。著者はこれで良しとしたのかな?
殺人事件は経過の一部に過ぎず、探偵役の謎解きなどはなくても成立する。華族という社会階層に起きた事件は、その当時の男性中心の社会制度や、帝国主義的時代背景も巧く使っていてとても面白い。ある些細な出来事から始まって多くの人々の意志や情念が絡み合い、数十年を経て殺人事件へと繋がってくる。その物語は、横溝正史っぽいミステリーか、歴史小説風にした方が良かったように思う。
少なくとも、惹句にあるような「男爵家の令嬢と書生の異色コンビが活躍する爽快&傑作ミステリー」程度の底の浅い謎解きにするのは勿体ない。そんなものならテレビドラマで毎週たくさんやっているし、書籍にしても他にいくらでもある。