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Posted by ブクログ
今年読んだ本の中で間違いなく1番面白く、読み終わった後2周してしまった。
まずストーリー展開が引き込まれる上に、「日々の繰り返しを不毛と思わずに、一瞬一瞬を大切に生きる」というテーマが心に響く。
初めは読みづらい文体(地の文が「君は〜する」なところ)だと思ったけど、それにもちゃんと仕掛けがあってえー!となったり、他にも母の主人公を思うセリフが胸を打って涙してしまったり。
泉さんの、「ピザなんかも飽きたりするけど結局戻ってくる。(森さんとの会話も)そういうことってあるよ」「面と向かってるのに会っていない人なんてたくさんいる」という考え方が素敵だと思った。
Posted by ブクログ
二十年ぶりくらいの再読。中学校生活という変わらない毎日(今にして思えばなんて貴重で密度の濃い時間)にうんざりしていた十三歳のとき、あらすじに惹かれて読んで、それからずっと宝物のように大事に思ってきた一冊。
主人公の真希は、交通事故が原因で"くるりん"という輪の中に放り出され、七月のとある日から抜け出せずターンし続けることになってしまった。
あんなに大人に思えた彼女よりも歳上になって、それでもあの当時と変わらないぐらいの瑞々しさを味わえたことが嬉しかった。
それと、電話がつながった相手である泉さんが、これほどまでに救いだったとは。真希にとって大きなよりどころであり、無人島から脱出するための一艘のボートであり、繋がりを示す命綱でもある。
まだ会ったことがないながらも、すでに唯一無二である二人の関係性が愛おしく、これまで憧れてきたものはここにあったのかと感じた。
"時"という流れのなかで、私たちはちっぽけな存在だ。
抗えない絶対的なものに身を任せることしかできないように思えてしまうけれど、どのようにその日を生きるか、その日をどんな一日にできるのかは自分次第。
どれだけ変わらないと思っている日々でも季節は移ろいゆくし、その逆に、何年の月日が経っても変わらずに残るものもある。
十三歳のときにはそこまで理解できていなかったとしても、本作にたどりついたこと、読んで心に残ったという事実は今もなお影響を与え続け、これから先もずっと残る。
私もいつのまにやら、"くるりん"から抜け出していたようだ。
Posted by ブクログ
交通事故に遭ったその日から、同じ一日を繰り返すようになった版画家の主人公森真希。
彼女もそんな状況が理解不能であった。しかも、
その領域には人が存在せず、がらんとした孤独の世界が広がっている。
もちろん苦痛や困難に悩まされていたが〝とあること〟が起きたことをきっかけに、段々と自分の置かれている事態を把握していく。
読んでいてとても切なくなる物語だった。愛することや生きることの意味を考えさせられる場面が何度かあり、自分がもし彼女と同じ状況に置かれたら、どういう行動をとるだろうと考えた。
人は一人では生きていけない。季節が移ろい、変わり映えていく日々で、新しいものを生み出せることの喜びを知れた。
Posted by ブクログ
『スキップ』に続く『時と人シリーズ』3部作第2弾。
ある事故をきっかけに同じ時間をループしてしまうというファンタジーな設定でありながら、北村薫らしく多彩なメタファーが組み込まれており、純文学的要素もあって正直なかなか手強い一冊だった。
まぁ、そこが北村薫作品の面白さでもあると思うんだけどね。
冒頭に登場するカミーユ・クローデルとロダンの話など何の意味があるのか、「何のこっちゃ」と最初は良く分からなかった。
二人称で語られる見守るようなあたたかな眼差しの語り口が、あるときを境に「あなた」から「君」に変わる。そして、ラスト主人公・真希が目を開き発した一言で、バラバラだったパズルのピースがピタッとはまったような嬉しさと納得感は言葉に出来ないほど心地よい。
前半は正直、少々退屈だ!なぜなら真希と同じように一日過ごすと必ず前日の15時15分に戻ってしまう無限ループ。真希以外虫も動物も存在しない「くるりんの世界」自由だけど孤独で寂しい世界だ。いつかは帰れるのか?それともこのまま……
しかーし、150日目の一本の電話を境に物語は急速に動き出す。ここからはもう夢中で一気読み。後半のヒヤッとするシーンに焦燥感を覚えながらも、二人の絆は偶然ではなく運命だったというロマンチックな筆致にグングン引き込まれた。
ふと考えると、都会の喧騒、仕事と日常に追われる現代の私達も、ある意味「くるりんの世界」に生きているのかもしれない。
でも、毎日を完璧に生きようとしたら、いつか窒息してしまいそう。だから、たまには不毛な日もあって良いのかな?なんて自分を甘やかす内なる心の声が聞こえてくる。この声は誰だろう?……もしかして運命の人?
すみません私既婚者です。
Posted by ブクログ
題材としてはよくあるループものなのだけど、人物の描写や心情がとても丁寧に描かれている作品だなと思った。
二人称の書き振りも私としては珍しく新鮮だったし、主人公の語り口も丁寧で人の良さが出ていて、とても私好みだった
前半は主人公の人柄を自然に伝えつつ、このループの絶望感の演出がとてもうまい。
実際、読んでいて私もこの話このままずっとこのループの話なのかなと若干絶望していたところだったので、そこも計算してるのだとしたら凄い。術中にはまってる。
1997年発行の作品なので2025年の今から28年も前の作品だけど、今読んでも全く新鮮さがあせず、面白かった
Posted by ブクログ
『スキップ』に続いて、時と人シリーズの第二弾。
29歳の版画家の真希はある夏の午後、
運転中に事故に遭いダンプと衝突してしまう。
気がつくと、自宅の座椅子で微睡から目覚める自分がいた。
15時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。
だが、この世界には真希以外誰もいなかった。
そしてどんな一日を過ごしても、定刻が来ると一日前の座椅子に戻ってしまう。
いつかは帰れるのか?それともこのまま?
だが150日を過ぎた午後、突然電話が鳴り……
スキップ同様、秀逸な設定である。
前半は謎の二人称で進み困惑するが、
この二人称にもちゃんと意味があり、これには驚かされた。
そう、電話が鳴ってからの展開はかなり読み応えがあった。
スキップ同様、時間を移動するという夢の行為に潜む絶望感。
この絶望感をしっかり味わわせてくれる物語であった。
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