ついに読み切ることができました!読みたいなと思いつつもなかなか手が出ていなかったけれども、読めて良かった。充実した読書時間を過ごせたし、ドストエフスキーの他の作品も読んでみたくなった。私の読書の世界が広がりそうな予感がして嬉しい。
下巻では、庶民や大地を肯定するところが印象的だった。ノブレスオブリ
...続きを読むージュ的な考えだろうか。農奴解放後の混乱という当時の時代要請だろうか。ドストエフスキーのお父様の事件とのリンクだろうか。特に庶民の底力を見た気がするが、判決についてはもう少し説明が欲しかった。ここは読者が想像の翼を広げる余地を残してくれたのだろうか。
また、ミーチャが、自分の悪いところや滑稽なところを認めていき、最後はこれまで自分が裏切って、そして法廷では裏切られたカーチャとも和解するところも印象的だった。やはりミーチャの中には、心の奥底では誠実でありたいという願いがあったことをより強く印象付けられた。
加えて、検察と弁護人の演説はどちらもすごく面白く、ぐいぐい読み進められた。ただ、人の一生を左右する刑罰についてこんなにも印象論ベースで語られるのかと怖くなり、「疑わしきは罰せず」の重要性を感じた。
イワンとスメルジャコフについては、未必の故意という非常に面白いテーマについて取り上げられていて、なるほど未必の故意でこういう小説が出来上がるのか、と興味深く読んだ。でも、あのイワンの行動でスメルジャコフにゴーサインを出したと意図に反して解釈されるというのは、悲し過ぎる。