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Posted by ブクログ 2024年03月16日
私は北海道出身なのだが(アイヌでない)、そもそも北海道は神によって作られた日本の一部なのか、という疑問があった。この作品も、神はいるのか、いないのか、この神なのか、あの神なのか、という堂々巡りが続くものの、なんだか全員が絶望的な終わりを迎えるように記憶している(アリョーシャでさえ、書かれなかった続編...続きを読むでは大変なことになってるはずである)。
Posted by ブクログ 2024年03月09日
やっと読み始めることができたのも束の間、なかなか読み進められない日々が続いたが、段々登場人物一人ひとりが魅力的に思え、読み進められた。
特に印象的だったのは、誇りや卑劣かどうかを重視していること。これは中巻・下巻にも繋がる一つのポイントなのだと思う。誠実でありたいという登場人物たちの思いがこういっ...続きを読むた言葉に表れているのではないかと思う。
また、名高い大審問官のパートを読み、人間だもの、綺麗事だけでは生きていけず、パンや目の前の現実を直視・重視せざるを得ないことについて、私も否定できないなあと思った。ただ、この大審問官のパートは理解し切れていないように思う。あの長い話によって著者が伝えたかったことを掴み切れなかったと感じる。ただ、まだまだ序盤。今回の挑戦ではこのパートには理解が及ばなかったが、再読時の宿題とすることにしてとにかく読み進めてみる。少し時間を置いて再読した時に自分がどう感じるか楽しみである。
Posted by ブクログ 2024年01月20日
「この世のだれもが、何よりも自分の人生を愛すべきだと、僕は思いますよ」
「人生の意味より、人生そのものを愛せ、というわけか?」
胸を打たれる、素晴らしい言葉がたくさんありました。
Posted by ブクログ 2024年01月07日
今まで、この新潮社文庫、光文社文庫、岩波文庫で読んできたが、今回はじめていい調子で読み進めて「大審問官」を突破できた。さすがに四回目だからか、人物もまぁまぁ頭に入っているし、このまま行けそう。しかし、よくこんなキャラクターを生み出し、描写できるなぁ、というのは感嘆。
Posted by ブクログ 2022年08月09日
人生でもっとも影響を受けただろう小説。再読は10年振りくらい。読む前は分量と文字の多さに読みきれるか不安になるが読み始めると面白くてどんどん進む。歳とったせいか若者たちよりフョードルやグリゴーリイの言動にひかれたのは自分でも意外。ドストエフスキーが描く恋愛って愛憎が表裏一体なところがある、とカテリー...続きを読むナの造形に思う。それにしても皆よく喋る。大審問官は何度読んでもよくわからない。
Posted by ブクログ 2022年01月26日
この訳で読んだから気付いたのか、3回以上読んだはずなので気付いたのかわからないけど、今回読み通して初めて、アリョーシャはそれほど気楽で浮世離れした青年ではなく、周りの人間に振り回され気味の苦労性な青年だとわかるようになった。
Posted by ブクログ 2021年11月01日
愛憎劇でもあり、唯神論or無神論でもあり
サスペンス要素もあり...
色んなカラーの濁流に飲まれる感じです。
ぽやんと日々を過ごしている私のような日本人には
イメージわかねぇえええええ!!!
と絶叫したくなる場面も多々。
でもこれは私の教養の無さが故です。
育児の合間もあって読むのに5ヶ月かかり...続きを読むました。
これでも本当に頑張った...笑
農奴制の解放ってなに?
当時のロシアのキリスト教の立ち位置は?
そもそも社会主義ってなんだ?
ってところはザックリ予習してから読むべきだったな...
全てのキャラクターが色濃く
地獄のような相関図の中で
三男だけが物語の中心になって光を差し込んでくれる。
しかし、敬虔なキリスト教徒である三男の光だけで世の中は照らせず...
物語は救われない展開になり、誰も幸せにならない。
そう!まさに遠藤周作の「沈黙」のような後味。
愛憎の混沌、唯神論or無神論
どちらの側面もそれはそれは丁寧に描くことで
人間社会を立ち上がらせ
そこに神はいるのか?いや、いない?
いや、いる?いや、いない!いや、いる?
を繰り返していく両面鏡のような構造。
Posted by ブクログ 2021年09月06日
噂に違わぬ大傑作。
ただ、、、、読むのにこれほど体力消耗した読書経験はない。もはや途中からモンブランかエベレスト登頂を目指すような感覚だった。
原因はドストエフスキーの文体!!
ロシアどころか、人類そのもの、
人間社会と歴史総てを描こうと言うマクロ的な作品であるにも関わらず、
着ている服のボタ...続きを読むンの模様あたりから(これは例えです)ミクロ的顕微鏡を使って語り始めるもんだから、文章が長い長い長いながい!!!1人のセリフで軽く10ページ位喋ってる^_^
これは一体何の話ですか?と何度ドスト兄さんに問いただしたことか。
ロシアの広大な大地と、民族の血筋と、長い長いキリスト教信仰の歴史が、トルストイやドストエフスキーに共通する長〜い文体を創り出したんだろうな。
読んだ後は、毎日グッスリ眠りに落ちるほど、
脳味噌を酷使しました。
ドストエフスキーはこう言っている。
世界は汚く、堕落しきっていて、
もはや神も救いもへったくれもない状態だよねと。
だって民衆を救うべきキリスト者自身がもはや権力にひれ伏し完璧に嘘と欺瞞で堕落してるよねと。
神がいないとすれば、もう何しても良くないか?って言う無神論的ニヒリズムや、恋と性欲によって情熱だけに生きてやる!って言う刹那的京楽主義に対して、もう信仰なんて抱いてる人は時代おくれで、無能力集団で田舎の僧院で引きこもってるお花畑の人々でしかないよねって言う指摘なのだ。
ドストエフスキーが恐らく相当のクズ(すみません!)だから、クズ達の気持ちがリアル過ぎるほどリアルに描写されてて、結局人間はこんなもんだよ、僕を含めて(ドストエフスキー自身)って言ってる気がする。
しかし、そんな世界の中で、
絶対に信じられるものはないのか?美しい無償の愛は何処かにないのか?と言う強烈な渇望が生まれてくるのだ。
それを体現しているのが、
三男アリョーシャとそのメンターであるゾシマ長老。彼らこそ、まさに愛の人だった。
そしてアリョーシャは子供にだけは、
大きな希望を託している。
大人の世界はこんなだけど、君達は希望であると感じている。だからこそ、ゾシマ長老から受けた愛と正義の種をせっせせっせと子供の心に植えていく。
(たとえクソガキであっても、アリョーシャは大好きなのです!)
汚く、希望のない世界だからこそ、
アリョーシャの愛が美しく浮き彫りになり、そんなアリョーシャを子供達も信じ、大好きになっていく過程は本当に美しい。
この世界に存在するあらゆる困難な闘争。
善と悪、愛と憎しみ、信仰と堕落、宗教と俗世、
神と悪魔、唯神と唯物。
ただ、これらの闘争を貫いて勝利に向かう最終的な力は結局、愛そのものなんだよなぁと、ドストエフスキーは語っていたような気がする。
また、あらゆる要素を含んでいる作品だからこそ、どんな年代の人がいつ読んでも、それぞれの視点からの鑑賞が可能。重層的で密度が半端ではない。
再読する度に新しい発見がありそう。
とにかく、登山と同じで一歩一歩進んでいくと、
意味を感じなかった一言一言が組み合わさって、
やがて壮大なタペストリーとして眼前に現れてきます!人生で一度は読破したい作品であることは間違いなし!
Posted by ブクログ 2020年10月23日
自分はカラマーゾフの兄弟を読むのが2回目である。
最初は少し話題に上がった、光文社版である。
読みやすい新訳と評判だったのである。
非常に楽しめたはずなのだが、よく分からない部分も多々あった。
そこで、ネット上でこちらの新潮版の方が良いという評判が多々あったので、読む事にした。
上巻を読んだ限り確か...続きを読むに読み易いし、よくわからない部分もほとんど無かった。
大審問官も凄く読みやすかった。
これは中巻、下巻が非常に楽しみである。
素晴らしい翻訳と感じている
Posted by ブクログ 2020年09月09日
[ヨハネによる福音書の引用]よくよくあなた型に言っておく。一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに身を結ぶようになる。
[始]作者の言葉
わが主人公、アレクセイ・フョードロヴィチ・カラマーゾフの伝記を書き起こすのにあたって、わたしはいささかとまど...続きを読むいを覚えている。
[終]「さ、行きましょう!今度は手をつないで行きましょうね」「いつまでもこうやって、一生、手をつないで行きましょう!カラマーゾフ万歳!」もう一度コーリャが感激して絶叫し、少年たち全員が、もう一度その叫びに和した。
とにかく長かった。ただ、その分の読み応えはかなりあったし、胸を打つ箇所もあった。
この超大作の最後が一人の少年の葬式で終わるというところが好き。
登場人物の関係がそこの繋がりあったの?こいつ誰だっけって感じになって混乱したのでまたいつかリベンジしたい。
あとほとんど全員クズで思考回路がわからなかった。やっぱり西洋思想がないと駄目なのかしら。
Posted by ブクログ 2020年07月21日
久しぶりの再読。フョードル・カラマーゾフは悪徳の権化のように思っていたが改めて読むとそうでもない。長男ドミートリイの方の暴力性の方がはるかに異常である。
彼に屈辱を受けた老二等大尉と息子イリューシャの挿話が心に響く。哀しい話なのだが、巨匠の筆に依ると直視して受け止めることができる。ここに人間の苦しみ...続きを読むすべてが集約されていると思う。
イワンの神学論は、非ユークリッド幾何学をたとえにした神への認識の限界は深く共感する。イワンは神そのものを否定するのではなく、来るべき大調和の世界への疑問を呈している。
幼児虐待の例えは人類レベルでのヨブ記であり、ここにこの物語最大のテーマが内包されているのだと思う。これに比べて有名な“大審問官”は弱く感じる。神の世界への疑問がなぜ信仰と人間の自由の問題になるのか? 回答であるはずなのに繋がっていない。“大審問官”は後の社会主義国家の予言として有名になったのであり神学的な意義は小さいのではないか? 信仰の自由と隷属化に関する、正教会とイエズス会の教義の問題にすぎないような気がする。食卓でのスメルジャコフによる、信仰に対する疑問の提示の方が答えに近いのではないだろうか。
Posted by ブクログ 2020年05月27日
親父(フョードル・カラマーゾフ)の放蕩ぶりに言葉を失う。
なんせ1人の女性をめぐって長男と火花を散らすぐらいだから。
とんでもない奴だな。
予想では、この親父さん殺されるんじゃないかなと思う。
聖書とか、神様とか、キリスト教とかいうのは全く分からないので、ゾシマ長老の話はちょっと胡散臭く聞こ...続きを読むえる。
宗教的な知識や信念がないとかなり読みにくいと思うのだけれど、終盤の「大審問官」は迫力があったな。
ちなみに、「東大教師が新入生に薦める本No.1」という帯がついていた。
東大の先生が薦める小説なら間違いはないだろう。
Posted by ブクログ 2020年05月15日
圧倒的。
読むべき読むべきといろいろなところで
紹介されているこの本だが、あまりの長さに
敬遠していた。
コロナウイルスによる自粛で、家にいる時間が
長くなったので、この機会によんでみることにした。
まだ上のみを読んだ段階だが、ストーリーの
面白さ、重厚な書きぶり、はっとさせられる
哲学に、こ...続きを読むれまでに読んできた本が軽く
思うほどであった。
まだまだ物語は続くが、あっという間に
読んでしまいそうな気もしている。
Posted by ブクログ 2020年09月16日
地下室の手記に続いて、ドストエフスキーの作品を読んだのは2作目。短編を先に読んで、著者のクセに慣れてから長編を読むのが自分に合ってたなーと思う。昔ドストエフスキーにチャレンジしたときは挫折してしまったけど、今読んだら特別難解というわけじゃないし、むしろ要素が詰まっているから読んでいて楽しいし、さっ...続きを読むぱりした書き方で分かりやすい方だなと思った。皮肉とジョークに慣れたら喜劇性があって面白いし。ただ、信仰、愛、罪、お金などテーマが永遠に議論の余地がありそうなものというか、やはり重みがあるなと思う。
人の心の動きや思想が非常に仔細に描かれていて、読めば納得することがほとんどだけど、これを生み出すエネルギーと才知と、それに必要な洞察力と精神力を想像したら驚嘆しかない…。サラサラと読み進めていくことしかできないのが、本当に申し訳ない気持ちになるな…。その分刺さったことを大切に心に刻むしかないんだけど…。
根拠を疑いだしたら永遠に結論を出せずに苦悩するしかない内容って多いのかもな。自分は肯定的に考えるのになにかと根拠を求めてしまうけど、たとえば自己の承認も、愛も、未来への希望も、根拠など存在しない、だから肯定へも否定にも振り切ることができないままなんだろうな。根拠を考えることは大事なことだと自分は思うけど、存在しない場合もあるって心に留めて、気づいた時点で無駄な苦悩を追い払うべきだ。
長老がイワンに言った、そこに君の悲劇があるんだ、一生君はそれを抱えるんだろう?という言葉と、イワンの言った、考えても分かり得ないどうしようもない命題は考えることをやめるべきだという言葉を読んでそう思った。
海外小説を読んでいていつも思うけど、信仰に対して幼い頃から植え付けられている知識や、信仰への思索に費やした時間が圧倒的に違うな。信仰に対する共通認識とか反論のタイプとか、まるっきり前提としてみんな持っているなと思う。無宗教で信仰に対して無頓着な自分にとっては、信仰が絡むと理解しかねる思想がやはり多いなと思う。狂信的というか、事物をあるがままにとっているんじゃなくて、結局人間が、何があっても希望を持って力強く生きていくために、救いを持つために、都合の良い解釈をするものが信仰かなという気もした。でも、信仰を持っている人は、信仰を持っているが故に幸せだと思うし、そういう生き方とか精神はある種美しいなとは思う。全面的に賛同はしかねるけど、信仰の素晴らしい点も確かに多いなとは思う。
19世紀ロシアの文豪ドストエフスキーが描いた、神の存在とこの世に生きる人間の心の葛藤をテーマとした小説。「人を愛する心とは」といった命題について考えさせられました。まだ上巻だというのに、深い。しかし、カラマーゾフ一家の父と3兄弟を中心に語られる物語は親しみやすく、女性を巡る情景やそれに嫉妬する人間の...続きを読む心がわかりやすく表現されており、ドストエフスキー初心者にもすぐ入りこむことができました。次の中巻も期待大。原卓也さんの翻訳も非常に好感が持てます。素晴らしい翻訳、ありがとうございます。
Posted by ブクログ 2024年01月03日
新年一作目。いつか読みたいと思っていた本を手に取る。いろんな分野から賛否両論を得ている本作だが、今のところまだその面白さの真髄に辿り着いていない自分が恥ずかしい。のか、単に周りが騒ぎすぎなのか。とりあえずページ数が多くて目が疲れる。
Posted by ブクログ 2023年08月14日
今のところイワンいいやつというか筋が通っているというか理解できるというか愛すべき兄なんだけどもこの先どういうことになるのか。
しかし、自分本位だったり、自ら破滅せずにはいられないっていう人を表すことをドストエフスキーは欲したのか、そういう人が実際いた、もしくは自身がそうだったのか、、、
この時代...続きを読むのロシアのキリスト教を取り巻く風潮がどうだったのかを知りたい
Posted by ブクログ 2023年06月29日
分からない所をネットの解説を見たがら読んでたから、読み終わるのに15時間かかった。光文社古典新訳文庫版にしとけば良かったと後悔。
色んな人が絶賛してる大審問官編は、自分の知識不足ではあるんだろうけど、拍子抜けだった。自由を与えられた人間が逆に困っちゃう的な話は結構ありがち。
キリスト教を深く知ってれ...続きを読むばもっと感動するのかな。
まあキリストよりも悪魔の思想を論理的に支持するってのは厨二っぽくてワクワクした。
中編後編から面白くなるらしいから、期待です。
フョードル、イライラするし頭おかしいけど、なんか憎めない。この後殺されるらしいから残念(´・ω・`)
Posted by ブクログ 2023年03月24日
その名著の名こそ有名だが、なかなか実際に読んだという人には出会ったことがないドストエフスキー最後の長編小説。とあるハルキストが「読んだし持ってる」ということで拝借した。
タイトルにもなってる「カラマーゾフの兄弟」たちよりはじめに、父親にあたるドスケベアル中親父(失敬。)が登場するんだけどその男の名...続きを読む前が著者フョードル・ドストエフスキーと同じフョードル・パーヴロウィチ・カラマーゾフなのがまずめっちゃおもろい。
上巻にはほとんど登場人物をセッティングするための説明書きだったり人柄がわかるエピソードだったりでページが費やされるんだけど、まず長男のドミトリーのサイコパスさがええ、、ってなって(しかも父親と同じ女性を好きになる)、次男イワンのインテリサイコパスさにもうわぁ、、てなるし、唯一救いがある見習い修道士のアリョーシャがいちいち父親や兄に真面目に純粋に向き合ってて健気というかちょっと痛々しい。
母親も育ちも何もかも違う一旦バラバラになった兄弟が集まってドタバタしてるんだけど、兄弟全員言ってることは別々なのに自分の主張のルーツを「だって俺たち兄弟はカラマーゾフだから」で根拠づけてる一体感が謎。血の運命ってそんなに抗えないもんなのかな。
上巻最後第5章の中の「大審問官」っていうイワンが詩の体をとってキリスト教に関する思想をすごい剣幕で独白するシーンかなり圧巻だったけど、聖書のバックグラウンドわからないから凄いことはわかるけど腑に落ちない箇所がちょっとあったから最後まで読んだらもう一回戻る。
台詞重いししんどいエピソード多くて時間かかったけど面白かった!
#カラマーゾフの兄弟
#ドストエフスキー
#ロシア文学
#読書記録
Posted by ブクログ 2022年04月30日
量はもちろん、質としても読み応えがあります。
宗教やロシア、ヨーロッパ文化などの知識を入れて再読すれば、内容の理解度も変わってくると思います。
疲れたので(笑)、ひとまず別の本読んでから、中巻に進みます。
Posted by ブクログ 2022年02月19日
「罪と罰」「地下室の手記」に続くドストエフスキー三作目。チェーホフも間に挟んだりして、だいぶロシア人への免疫もつけた上で臨んだ。時代と場所は違えど物語のスケール感や台詞回しの大仰さという意味ではバルザックを挟んだこともプラスに働いた。
膨大な人数の登場人物をここまでのピッチと情報量で描き出し、数ペー...続きを読むジにも及ぶセリフを交えながら生き生きと動かす。読書量がまだまだ足りない自分にもわかる。こんな小説はドストエフスキーにしか書けない。
内容に立ち入ってレビューするには重厚すぎる本作だが上巻に関してはやはり大審問官の件が最重要かと。
宗教の効用は人間が信仰と引き換えに不死を手に入れるといったある種の取引関係にあるのではなく、人間が自らの頭で考えなくてもいいように神の名の下にソリッドな価値基準が設定されることにある、と大審問官は考えているのではなかろうか。その意味では神の存在そのものは問題ではなく、人間が祈りを捧げる対象が必要なのだろう。であるからこそ、大審問官は迷える庶民のために率先して異端審問を行い、庶民たちを導いていく。そこにはごく一般的に考えても道義に反したこともあるかも知れないがそれもまた必要悪であると。ラジカルな考え方ではあるがそれもまた一つの正義。キリストといえども大審問官を批判できないのではないか。
中巻に期待!
Posted by ブクログ 2021年12月10日
ようやく上巻を読み終えた。
これほど読むのに骨が折れる小説は久しぶりだ。でも、すごく引き込まれるし、面白い。登場人物がそれぞれ個性的。会話する組合せで、それぞれがどんな話ぶりなるのだろうか、と考えると楽しい。
物語上は、まだ二日しか経っていない。
大審問官の章は、とりわけ難解。でも、本書の肝でもあり...続きを読むそうなので、もう1回読んでみることにする。
Posted by ブクログ 2021年05月31日
大分前に購入して少しずつ半分まで読んで途中やめにして本棚にしまっていたもの。『上巻に4ヶ月、一気に3日で中下巻』という帯文を目にしたので、また最初から読んでみた。やはり途中が大変だったがそこを越えるととても面白く読めた。中下巻は土日で一気に読んでしまった。
Posted by ブクログ 2021年02月14日
読み始めて約2カ月かかって上巻を読み終わりました。圧倒的な文圧で、毎日少しづつしか読み進められなせんでしたが、カラマーゾフ的俗物感と、神の存在に関する論争が読み応え抜群ですね。どんな展開集結されるのか、また2カ月かかりながら中巻に挑みたいと思います。
Posted by ブクログ 2021年01月19日
ようやくドストエフスキー3作目に取り掛かれた!
過去に読んだ「罪と罰」「地下室の手記」と比べ、物語の展開が随時あるため、非常に読みやすくて驚いた
注)多少のネタバレ有り
もうのっけから、おとん(フョードル)が最高に笑わせてくれる!
これぞ「カラマーゾフ的」な低俗の力らしい
どんな風に描かれて...続きを読むいるかというと…
狂暴な、荒削りの力
自分たちを滅ぼしにかかり、道連れに他の人たちも滅ぼしてしまう
放蕩に身を沈めて、堕落の中で魂を圧殺する
女好き、強欲、神がかり行者などなど
こう書くと恐ろしい一家に感じるだろう
しかしながらそんな彼らの人間の良さも必ずドストエフスキーは拾ってくれるし、実際素直で可愛らしい面もしっかりあるので、しっかり呆れながらも、皆憎めない
そして相変わらずの喜劇感満載
さてそのカラマーゾフ一家
コニャック大好き、いい年こいて女が大好き、お金はもっと大好きおとんであるフョードル
自分の子供の面倒はみない、たまに存在すら忘れる
そしてちんけな道化っぷりが最高に見事
かなりのクソ野郎だ(面白いんだなぁ、この人)
そのフョードルと長男ドミートリイは、同じ妖婦(老いぼれ商人の妾、グルーシェニカ)の取り合いと醜い財産問題により、二人の仲は泥沼化
この乱れきった家族の会合をとりおこなうため、三男アリョーシャのいる修道院へ皆が集まるのだが…
カラマーゾフの面々、長老や何人かの修道僧たち、親戚らが集まる中、フョードルの道化っぷりとドミートリイの激昂が炸裂
早速喜劇の舞台へと展開する
さて長男ドミートリイ
ドミートリイにはもったいない立派なフィアンセがいながら人様の妾のグルーシェニカに夢中
絞め殺しても飽き足りん悪女グルーシェニカ
わかっていてもその下僕に成り下がりたい
卑しい堕落した情欲に身を焦がして破滅と闇の落ちるところまで落ちるんだ!
…はぁおバカさん過ぎる
だけどグルーシェニカとうまく行ったら、ロシアの端っこでひっそり暮らし、自分は更生するのだ!
なーんて環境さえ変われば、まともになれると思っている愚か者
なにかと計算も甘いし、すぐキレる
頭に血が登ると、手が付けられない
だからこそ純真で素直っちゃあ、まぁそうなんだけど
次男イワン
先ほど登場した気位の高い品行方正で知識と教養も供えたドミートリイの婚約者(カテリーナ・イワーノヴナ)が好きなイワン
一人で自分の知性を武器にあれこれ考える
難しい人なんだよね
なにを考えているのかわかりにくいのだが…
プライドが高く無神論者
そしてドミートリイの婚約者でありイワンの好きなカテリーナ
ドミートリイ曰く
彼女が愛しているのは自分の善行で、俺じゃない
アリョーシャ曰く
あなたはドミートリイを病的な興奮と偽りで愛している
イワン曰く
あなたは侮辱がつもればつもるほど兄を愛していき、自分の貞節という献身的行為に酔っている
…というように悲劇のヒロインぽいカテリーナである
そしてこの物語の主人公であるみんなが大好きな三男アリョーシャ
カラマーゾフとは思えないとても思いやりのある心優しい青年だ
あちこちでの諍いをアリョーシャが間に入って、火消しにかかる
だからあちこちの人にすぐ呼びつけられて大忙しで大変なのだ
やれやれ
そしておとんであるフョードルも三男のアリョーシャだけは好いている
「お前だけがこの俺を非難しなかった、この世でたった一人の人間だ 修道僧になるなら、自分のために祈ってもらいたい」
と、いつも憎たらしいことばかり言っているが時々こんな弱音も出る
なんのかんのどこかで救いを求めている
そして個人的に上巻で重要な場面と思われる2ヵ所をピックアップ
ドストエフスキー節が炸裂しておりかなり好きな場面が以下
長男ドミートリイがある貧しい二等大尉(スネギリョフ)に大衆の面前で、腹を立て引き回すなどの暴行を加えた
その場には彼の小さな息子も居合せ、大声で泣き叫びながら赦しを乞う
酷いことするもんだ
この家に哀れみを持ったドミートリイの婚約者カテリーナがお見舞金を渡して欲しいと三男アリョーシャに依頼する
元々は二等大佐だが、今は落ちぶれた貧乏暮らしだ
生活は苦しく、狂女の妻や全身リウマチの娘がいるが、彼女らの病を治すお金もない
復讐のためアリョーシャの指に激しく噛み付いた無口でプライドの高い小さな息子
スネギリョフ自身の醜態により学校で子供達にいじめられる小さな息子
強くなってドミートリイに仕返しするんだ!悔し涙を見せる息子
そんな息子のため、どこか遠くへ家族で引っ越し、新たな生活を妄想させ慰め、宥める
そんな彼に、かなりの見舞金がぶら下がるのだ
喉から手が出るほど欲しい見舞金に対し、手に入った将来を思い夢見心地になりつつも、半狂乱になりアリョーシャに食ってかかる二等大佐スネギリョフ
一家の恥と引き替えのお金をもらえるか!と
涙でうちふるえる
スネギリョフは自滅行為をしたが、アリョーシャには誇りに満ちて意気揚々と見えた
自分の前でこのお金に対して喜んでしまったことに恥じるスネギリョフは真正直で善良、かつ羞恥心の強い性格
お金を受けとっていたら、自分の屈辱に泣いただろう
アリョーシャはお金がなくても誇り高い二等大佐スネギリョフをみて、われわれは対等なのだと感じる
この場面のスネギリョフの心の動きをドストエフスキーは見事に描写しており素晴らしい
彼の一挙一動、心の震えが手にとるようにわかる
ドストエフスキーらしさも満載で大好きなシーンだ(スネギリョフは「罪と罰」のマルメラードフ的存在か⁉︎)
そしてもう一場面はキリスト教(神と人間)の
最高に長くてわかりづらい「大審問官」の内容が重要だろう
一通り読んでみたものの非常にわかりづらい上、忍耐が必要だ(とにかく長い長い…)
改めて再読しなんとか…
ここは無神論者であるイワンと見習い修道僧アリョーシャの兄弟の議論
さらに長~いイワンの叙事詩
イワンを通しての信仰心と現実の葛藤みたいな内容及び「神と人間」の根本問題ではないかと…
結局イワンは無神論者と言いながらも、救いを求めているような矛盾に苦しんでいると感じる
まず二人の議論の焦点は、
イワンは子供に何の罪もないのに酷い目に遭うのは間違っている
アリョーシャはキリストの犠牲によってすべてが赦されるとする
そして「大審問官」
セビージャにキリストが降り立つ
セビージャの異端審問の大審問官がキリストを牢に閉じ込め、文句をぶちまける
キリストが悪魔の3つの誘惑をはねのけた原点となる内容
■「石をパンに変える」…石をパンに変えてみせよ
・大審問官の考え→自由や神の言葉よりもお腹を満たすパンが大事なのだ
・キリストの考え→人はパンのみで生きているわけではなく、神の言葉で生きている
■「高いところから飛び降りてみる」…神の子ならこの場所から飛び降りてみよ 御使に受け止められるだろう
・大審問官の考え→人が心底求めている奇跡こそが大事なのだ
・キリストの考え→神を試すものではない
■「地上に楽園を作る」…もしひれ伏し私を拝むならこの全ての国をやろう
・大審問官の考え→自由よりも権力に従う方が幸せなのだ
・キリストの考え→主である神にただただ仕えよ
大審問官の考えがイワンの考えであろう
そして奇蹟と神秘と教権の3つを表し、キリストはこれらを否定している(つまりイワンは肯定していることになる)
ここでの社会主義の定義
社会主義とは、労働問題や第四階級の問題ではなく、主として無神論の問題でもあり、無神論の現代的具体化の問題、つまり、地上から天に達するためではなく、天を地上に引き下ろすために、まさしく神なしに建てられるバベルの塔の問題でもある
イワンは社会主義思想なのか⁉︎
自由なんかより自由を放棄して服従する方が自由になれる
パンそのものより、支配下でパンをもらう方が喜ぶだろう
解釈が間違っているかもしれないし、また何年か後に読むとわかる部分が増えるかも…
これが限界でした…(汗)
だいぶドストエフスキーに慣れてきたが、こうなってくると「罪と罰」を再読する必要があると感じている
ぜんぜんキリスト教部分を理解せず読み終えてしまったから…
しかしながらドストエフスキーはやはり人間ドラマの部分のが圧倒的に面白い
誰も彼もが矛盾と葛藤の中翻弄され、最高に人間臭く生きている
これが自分にとってのドストエフスキーの醍醐味なのだ
ふふふ
中巻へ…
Posted by ブクログ 2020年02月02日
2020年9月6日 再読
それぞれのキャラクターの設定が複雑なんやけど、ストーリーに乗せるとちゃんと一貫性が出てくる。読むたびに深みの出る作品。
前回は途中で挫折したが、登場人物をメモしながら読むと、意外に読み進めることができた。本名と呼び名が違ったり、結構前の章で出てきた人物が再登場するので...続きを読む、人物の登場ページをメモしておくと良い。
物語はまさに3兄弟とその父親を中心に進むが、上巻は殊更大きな展開はなく、出来事や会話を通じてキャラの紹介をうまくしている。
クライマクスはやはりイワンとアリョーシャとの「大審問官」議論だろう。自分が無神論者だからかイワンの考えに共鳴する。中巻へ。
Posted by ブクログ 2021年02月28日
2018年に読み始めて、何度も挫折してやっと読み終わった!
今回も何度も挫折しそうになりました、、
おそらく、登場人物の紹介や文化的背景を紹介するような位置付けなのかなあ、とも思いましたが、教養にある人にとっては面白いのかも、、
教養人であるイワン、敬虔な修行僧であるアリョーシャでさえ、父フョードル...続きを読むの血には抗えない的な片鱗は感じた気がします。
上巻は読むのに苦労するけど、中下巻は一晩で読んでしまうぐらい面白いというのが通説のようなので、これからが楽しみ!
Posted by ブクログ 2020年04月02日
人は2種類の人間に分けられる。
”カラマーゾフの兄弟”を読んだ人間と読んでない人間とに。
ってどこかで読んだ。
世の中に読みたい本は星の数ほどあるけれど、これは一回読んでおかなくては、老後の楽しみになんて言ってる場合ではない、まだ知力?体力がある今のうちに手を出しておこうと思いたち読んでみた。(まだ...続きを読む上巻のみ)
いやー聞きしまさる難解さ。
何ヶ月もかかって読み終えた。(並行して他の本も読んでたけど)
俗物で女にだらしない父フィードル、直上型の長男ドミトリー(弟ふたりとは母親が違う)、無神論者で知性派の次男イワン、そしてこの小説の主人公、信仰深く心優しい三男アレクセイ。
物語はまだ序盤、フィードルとドミトリーがグルーシェニカという女性を巡って憎しみあい、、アレクセイが敬愛しているゾシマ長老が死にかけていて、あの超難解なイワンの独演会、大審問官に突入。この章はけっこう今後の鍵となるイワンの思想が詰っているんばろうけど、なにがなんだか残虐な例えをいっぱい持ち出して唯心論者のアレクセイを論破しようとしてる。
でも、これは一節によるとドフとエフスキーの懐疑と憤りの集大成的は恨み節と捉えられるらしい。
中巻はもっとサクサク物語が進めばいいけど、
あっでも、確かに読者は”手加減されたわかりやすく書かれたものより、作者の本気の難解な作品を読みたい”(by又吉直樹)まさにそうかも。
こころして中巻に臨みます。
Posted by ブクログ 2020年07月15日
ある晩、突然カラマーゾフ家の父親が殺害された。
その犯人は誰で、その動機は一体何だったのか?という、ちょっとミステリーっぽいテーマ。ただ、普通の推理小説とは違い、そこに至るまでの関係者についての人物設定と性格描写がとにかく長い。物語の7割ぐらいは、その前置きに費やしていると言っていいと思う。
事件が...続きを読む起こるにあたって、事件の関係者がどういう人たちであったかや、その当時のロシアがどういう時代であったかについて、説明を細かく丁寧に重ねて、それを積み上げた後に一気に畳み掛けるような勢いがある。
三男であるアリョーシャが物語の主人公とされているけれども、アリョーシャは善良で裏表がないわかりやすいキャラクターで、それほど面白味がある存在ではない。
それよりも、殺人の容疑者である長男のドミートリィが複雑なキャラクターで謎が多く、果たして高潔な人間であるか、それとも低俗な人間であるのかはっきりとしない。検事のイッポリートは、ドミートリィが示す、光と陰とを同時に併せ持つ姿について「現代ロシア的矛盾である」という指摘をする。
常に話しの主題になっているのは宗教(キリスト教)だ。登場人物はすべて、その形は違えど皆、神を意識して、畏れながら生活をしている。背徳的なことを口走ったとしても、その次の瞬間には赦しを求めるような敬虔さがみんなの心の裡にある。
作品では、ちょっと大げさで芝居がかったやりとりが多いけれど、その中にはいい言葉や、面白い表現がたくさん現われる。それを拾い上げることを目的として読んでも、充分に楽しめる小説だと思う。
「この世のだれもが、何よりもまず人生を愛すべきだと、僕は思いますよ」
「人生の意味より、人生そのものを愛せ、というわけか?」
「絶対そうですよ。兄さんの言うとおり、論理より先に愛することです。絶対に論理より先でなけりゃ。そうしてこそはじめて、僕は意味も理解できるでしょうね。僕はもうずっと以前からそういう気がしてならないんです。兄さんの仕事の半分はできあがって、自分のものになっているんです。だって、兄さんは生きることを愛しているんですもの。」(p.578)
かりに神が存在し、神がこの地球を創ったとすれば、われわれが十分承知しているとおり、神はユークリッド幾何学によって地球を創造し、三次元の空間についてしか概念を持たぬ人間の頭脳を創ったことになる。にもかかわらず、宇宙全体が、いや、もっと広範に言うなら、全実存がユークリッド幾何学にのみもとづいて創られたということに疑念を持つ幾何学者や哲学者はいくらでもあったし、現在でさえいるんだ。俺の頭脳はユークリッド的であり、地上的なんだ。だから、この世界以外のことはとうてい解決できないのさ。お前にも忠告しておくけど、この問題は決して考えないほうがいいよ。アリョーシャ、何よりも特に神の問題、つまり神はあるか、ないかという問題はね。これはすべて、三次元についてしか概念を持たぬように創られた頭脳には、まるきり似つかわしくない問題なんだよ。(p.590)
お前に言っておくが、人間という不幸は生き物にとって、生まれたときから身にそなわっている自由という贈り物を少しでも早く譲り渡せるような相手を見つけることくらい、やりきれぬ苦労はないのだ。だが、人間の自由を支配するのは、人間の良心を安らかにしてやれる者だけだ。パンといっしょにお前には、明白な旗印が与えられることになっていた。パンさえ与えれば、人間はひれ伏すのだ。なぜなら、パンより明白なものはないからな。(p.640)