【感想・ネタバレ】カラマーゾフの兄弟(中)のレビュー

あらすじ

19世紀中期、価値観の変動が激しく、無神論が横行する混乱期のロシア社会の中で、アリョーシャの精神的支柱となっていたゾシマ長老が死去する。その直後、遺産相続と、共通の愛人グルーシェニカをめぐる父フョードルと長兄ドミートリイとの醜悪な争いのうちに、謎のフョードル殺害事件が発生し、ドミートリイは、父親殺しの嫌疑で尋問され、容疑者として連行される。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

中巻を読み終えて、私なりに思う『カラマーゾフの兄弟』…略して『カラ兄(きょう)』(上巻の帯にそう書いてあったんです!!)の楽しみ方をここに綴りたい!!!!ネタバレなしで!!

まずは残念ながらヘテロセクシュアルの女性、あるいはホモセクシュアルの男性の方のみに通用する読み方になってしまうのだけど、

カラマーゾフの兄弟たちを、すんごいイケメンな男性たちに想像して読み進めるというもの。(ロシア系とか東欧系の顔立ちの白人男性だとより物語の中身とマッチするかもだけど、無理なら人種なんてどうでも良い!!)
そうすると、ワクワクとゾクゾクがとにかく増すんです!!!

「え?私も奪い合われてみたいけど?!」となる(笑)
私の推しのイワンは、とんでもないイケメン&インテリな雰囲気が出まくりの教養人として想像してました(笑)
(因みに @koten.book さんからは周りはみんなイワン推しだよと教えてもらい、自分も同じだと安心しました笑)

でもロシアって究極の美女も多いし、女たちが揃うシーンでは、ものすんごい美女も想像してみた!!(笑)
それも良かった!!

はい。ルッキズム丸出しの低俗な(?)読み方はここまでとして…失礼いたしました。

少し小難しい国家と教会がどうあるべきか的な、独白みたいになるところとかは、強めのお酒をちびちび飲みながら、お家で、小さな声に出しながら、自分が独白してるかのように読む!!
ただただ私がそうしただけだけど、上巻の終わりの方はこれをやるのが堪らなく楽しかった。

そしてそして、中巻の3/4くらいからは、どう読むかとかなく、続きが気になり過ぎて、無我夢中で読んでた!!
気がついたら最終ページに!

下巻がどうなるのか楽しみ。

村上春樹さんと金原ひとみさんが感銘を受けた本、そして我らが @book26ts
さんが名刺代わりに選ぶ本に入ってるから、もう読みたくて読みたくて(笑)

だから読めてることが嬉しい!!

人生のあれこれ、社会のあれこれ、全てこれに詰まってると思うの。
現代に通じることばかり。

そしてドストエフスキーさんの中から溢れ出る考えと言葉を、純粋に書き出している感が伝わってくる気がして、それがまたすごく好き。

でももちろんただ書き出しているだけじゃなくて、全ての物語の順序立てが綺麗にされていて、伏線も全て綺麗に回収されていき、読んでいて快感なんです。

私なんかが、ドストエフスキーさんの偉大さを語るまでもないんだけど!!(当たり前)

だからって「逆に何がすごいの?」って思う意見があっても全然良いし!読んでみたけど合わなかったももちろんある!!
金原ひとみさんだって上巻半分読むのに3ヶ月かかって、つまんない!って思ったて帯に書いてあるし!!(笑)

とにかく下巻が楽しみだっ!!

0
2025年10月06日

Posted by ブクログ

本書(中巻)は、第二部の途中から第三部。読みどころ満載で、感嘆のため息が出てしまいました。すごい、すぎる。

アリョーシャの師であるゾシマ長老の死去。その中での彼の心の変化が描かれた後が、本書(中巻)の真骨頂。

アリョーシャの兄、ドミトリーが大いに動きます。婚約者カテリーナと別れて、グルーシェニカ(父の愛人でもある)と新生活を始めたいと思っているドミトリー。カテリーナから預かった3千ルーブル返済の必要性もあり、金策に走ります。

大立ち回りさながらのドミトリーの動きに、BGMとしてルパン3世のテーマでもかけたい気分。

そんな中、血生臭い事件勃発。父フョードル殺害事件の容疑者として連行されるドミトリー。

お腹いっぱいのスリルを味わうことができました。人間の心理描写、最高にして最強。下巻はどんな展開になるのか・・・・

0
2025年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いよいよ中巻。

この巻で特に印象的だったのは、泥棒と卑劣漢の対比に表されているように、高潔たろうとすること、名誉、恥辱なのではないかと思う。あるべき姿、ありたい姿が自分の中で明確になっていないとこういった考えや感情は湧いて来ないと思うので、やはりこの本の登場人物たち、特にミーチャは自分をしっかり持っている人なのだと思う。

私自身は、高潔、名誉、恥辱という言葉は普段は使わないものの、誠実でありたいとは思うし、自分の信念に反することをしたら落ち込むし、人からの評価を気にするし、、ともっと身近な言葉で置き換えて行くと、登場人物たちの考えや気持ちが少し身近に感じられた。


加えて、赦しという言葉も印象的だった。他人に対してどれだけ寛容になり、愛することが出来るか。『カラマーゾフの兄弟』全体を通して、さまざまな対象に対しての愛が語られていると思うが、赦しも愛の一つの形だと思う。

0
2024年03月09日

Posted by ブクログ

大審問官への反論としての「ロシアの修道僧」。ガリラヤのカナをアリョーシャが幻視する場面、聖書の朗読と幻が絡み合う叙述が素晴らしい。この場面が、書かれなかった続編のアリョーシャの「闘争」の伏線だったのかな。中盤以降はミーチャの独壇場。金をめぐって東奔西走、セッターやホフラコワ夫人とのやりとりは爆笑必至。童の夢は全能の神が創ったはずの世界になぜ不幸や悲しみが存在するのか、という問い。この世界の不完全さを愛や善によって埋めていくのが人間の務めだと目覚めた彼は悟る。枕の挿話は感動的。

0
2022年08月12日

Posted by ブクログ

フョードルの好色さと似通った性質を父が持っていて辛い。
ドミートリーがあれほど父親を嫌悪するのは、結局のところ自分が父親と似ていることを心のどこかで自覚しているからじゃないのか…この二人からは、自分を大切にしようとしない人間を見たときの不愉快な印象をいつも受ける。

ゾシマ長老の説教は、この物語の中で数少ない美しい章だ。

0
2022年01月26日

Posted by ブクログ

遂に待ち望んだ《物語の加速》が!欲と高潔にまみれた三兄弟の運命の歯車が廻転し始める。これは狂気なのか、それとも狂気の衣を纏った悲劇なのか。それにしても、長男ミーチャの超合金的自意識の硬さは目を見張る。飲み込まれそう。

0
2022年01月15日

Posted by ブクログ

物語が一気に進む。
二つの死と三兄弟の人生の変わり目が見応えだった。
上巻と同じで非常に読みやすかったし、分かりやすかった。
早く下巻を読もう。

0
2020年11月13日

Posted by ブクログ

死の床につくゾシマ神父の回想と垂訓が2部の最後を締めるが、少し長すぎて要点が絞り込めていない。ここでこの大長編を読むのをやめた人は多いと思う。(わたしは二人知っている。)アリョーシャが物語の前面に出てくるが、ドストエフスキー作品中最も人気のあるキャラだけあってやはり好ましい。(ただしわたしはソーニャの方が好きだ。) 天性の人徳と優しさを持ちながら、妙に現実的で、異教徒に対する偏狭さに狂信的なものを感じるときがあるところも魅力だ。
信仰の揺らぎに直面した状態で“カナの婚礼”の説話を聞きながらアリョーシャが霊感を受ける場面はこの作品中で一番渾身の場面だと思う。
ちなみに女性の美徳は男のアリョーシャに独占されているせいか、とんでもない性格の女性ばかりでてくる。悪女の筆頭のようなグルーシェニカだが、彼女が語る“ネギの話”はやはりいい話だ。彼女とドミートリイの乱痴気騒ぎの後、ドラマは法廷へと移る。 わたしはフョードルが気の毒だと思うが彼に同情する読者は少ないだろう。

0
2020年07月21日

Posted by ブクログ

父フョードルが殺害され、長男のドミートリイに嫌疑がかけられるあたりからは本当におもしろい。
カテリーナから盗んだ3千ルーブルの内の半分、1,500ルーブルを袋に縫いこんで、それを胸にさげておいたという《恥ずべき》秘密の告白の場面は最高!
「僕は卑劣漢だけれど、泥棒じゃない」と訴えるドミートリイの心理描写のうまさに舌を巻いた。

0
2020年05月27日

購入済み

神の存在意義からミステリーへの

前半は、(前編)最終部の「大審問官」から続く神の存在についての考察が続きます。それは、アリョーシャが慕うゾシマ長老の死によって、さらに問われることに。この部分を読み進めるうちに、遠藤周作さんの名著「沈黙」を思い浮かべました。神への信仰が深まるにつれ、本当に神は存在するのか…。永遠に解決されない課題なのでしょうか…。
一転、後半からミステリー調の流れになって、現実に引き戻されます。そして、ついにその時は訪れるのです。

0
2020年05月16日

Posted by ブクログ

この物語は父殺しが中心と評論されているのに事件がちっとも起こらない。それどころか上中下しかないのに中を読み進んでも父親は生きている。はて?
しかし中はだいぶ面白い。
そして中の後半だいぶ進んでからやっと事件が!
下も一気に読みたいけど消化不良にならないように100分で名著の解説部分を読んでから第四部へ!

0
2025年08月04日

Posted by ブクログ

まだ判断できない。
だいぶ読むの時間かかった(普通にリアルが忙しかった)。
早く下巻読みたいがまたまたリアルが忙しいのである。
下巻読んだら一気に感想書く。あ、評価もね。

はい下巻読んだよ。
中巻は正直、物語の展開には必要だったと思うが、内容としてどう関わっているのかがわからなかった(下巻読み終わるまでは、ね)。これは最後のオチにつなげるための伏線だと思う。
中巻では主人公アレクセイ(愛称アリョーシャ、以下ではそう呼ぶ)の師匠的な人、長老が死ぬ。その後の市民の反応が前半の主な部分かしら。
半分あたりから大事なのだが、フョードル(父ね)が殺されます。急展開!と言いたいがまあ結構しっかり前置きあるので、やっぱ死ぬよね、という感じ。この殺人をしたのがドーミトリィ(愛称ミーチャ、以下そう呼ぶ)って疑いかけられて裁判に連れてかれるまでが中巻かな。
フョードルが殺させる前にアリョーシャと子供達が関わるパートがあってこれがすごい大事です。書くの忘れてた。もう全部書けない。多すぎ。
中巻は心に響くってよりかは今後の展開が気になる感じで終わるかな。とゆーわけでこの辺から絶賛テスト期間に入り1番いいところで1番本読めなくなる時期に突入しました(下巻に続く)。

0
2025年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゾシマ長老の神秘性が、死後の腐臭によって最も容易く覆っていくのがゾワゾワした。世間って怖い。
その後の闘士になった?アリョーシャは実際どうなってしまったんだろう。
ミーチャへの尋問、受け答えがもうわけわからなくて好き。取り調べするほうも怒りを通り越して笑えてくるんじゃないかと思うくらい破綻してて好き(実際は破綻してなかったりするの…?)
色々謎を残したまま、下巻へ。

0
2025年04月20日

Posted by ブクログ

さあさ、中巻、ここからはひとみ姐さん曰く、面白くなっていき、あっという間に読み進められるよね。ってあれ?あれ?…ゾシマ長老の生涯、生い立ち、手記。進まね〜。上巻よりキツイわ。頑張れ私。でも、でも、中巻から頭角を表してくるキャラの魅力よ!アグラフェーナ・アレクサンドロヴナ(グルーシェニカ)、カテリーナ、そしてダントツのスメルジャコフ!ドミートリイの錯乱による或る夜。そして、物語は法廷サスペンスへ。神は死んだ!ドロドロの恋愛劇、父殺し、正義とは?ギリギリの心理戦。気づけば下巻へ。

0
2025年02月21日

Posted by ブクログ

やっと読み終わった
この本を買って読み始めたのは半年前くらいかな?
流石に冗長すぎて、まんがで読破バージョンで1度読んでからまた読み返したら頭に入った。

探偵小説とも言えるし、恋愛小説とも言えるし、哲学的な本とも言えるし、なんとなーーくすごい本だってのは分かる。

だけど、流石に長すぎるし今の自分の価値観と違いすぎて登場人物に後にあまり共感出来なかった
は、は!

0
2024年08月20日

Posted by ブクログ

ゾシマ長老の記録はまたぜひゆっくり読み返すとしても、何だって自ら破滅に向かうのだ、ドストエフスキーの登場人物は!

0
2023年08月16日

Posted by ブクログ


『カラマーゾフの兄弟』(中編)ドストエフスキー
深淵に脚を踏み入れ2/3まで読み進んだ。
ゾシマ長老が亡くなってからの前半と、ドミートリイが父親殺し(してないって言ってる)をして、最愛の(というか狂愛している)グルーシェニカに愛を表現しまくってる最中に警察に殺人罪で連行さえるまでの一巻。
上巻はロシア文学表現に慣れなくてなかなか進まなかったけど、中巻はテンションに慣れて一気に読めたしめっちゃ面白かった。

グルーシェニカがガチで悪女(そして悪女であるに相応しい美人)すぎて老人は殺されるし、周りの人も血を流すし、息子は正気を失って完全にアカン人になっちゃってる。
たまたま今日読み終わって、愛をテーマに作品集めたルーブル展にもいって、この前エーリッヒフロムの「愛すること」も読み終わって、なんかやたら愛について考える最近。
愛は目に見えないので、みんなが共通認識していると思っている愛はきっと少しずつか、あるいは完全に違ったものを指しているかもしれないってホラーすぎる。いつの時代も、1500年代の絵画も1800年代の小説も、愛をテーマにしたなんかに取り掛かるにはこれだけまわりくどく、象徴的で、婉曲的で、帰納的にしか表現できない複雑な概念。
カラマーゾフの兄弟のどこかで、「神を直接描写することはできない。神でないことを挙げ続けることでしか神を表現することはできない」って言ってて、似てるなって思った。


0
2023年03月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ついに親殺しの場面。
ドミートリィには不利な状況証拠ばかり。でも、ドミートリィが犯人であるという確たる証拠はない。
これから、どう展開するのか。

0
2021年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

20代の時に読むが、文字やストーリーが重厚。
想像力を必要とする。

30代以降で再読を試みるも難しい。
こういう本はホント若いうちだけだなと思った。

0
2021年08月30日

Posted by ブクログ


ネタバレ有かも…
ご注意ください

さて中巻は見習い修道僧であり、愛されキャラ三男アリョーシャがお世話になっている修道院の長老であるゾシマが瀕死状態になる
ここでゾシマ長老の過去の回想(伝記)及び法話と説教など…(か、かなり長い)

今でこそアリョーシャをはじめ、民衆から尊敬されるゾシマ長老(その民衆らの信仰ぶりは遠方からはるばるゾシマ長老に一目会いにくるなど、上巻たっぷり記載されていた)だが、若い頃は結構平凡で普通の青少年だ
ポイントとなるエピソードは3つ(個人的見解です)

■エピソード1
(ん?スターウォーズ⁉︎)
お兄さんの精神世界の変化
ゾシマ長老は精神的にアリョーシャと自分の兄がそっくりだと言う
17歳まで全く神を信じていなかった兄、無口で癇が強く、孤立していた
しかし結核を患い余命半年から1年くらいから教会へ行くようになり、精神的にすっかり変わる
思いやり、感謝、幸福の喜びを知り、死ぬ直前まで喜びで満たされていた

■エピソード2
ペテルブルクの士官学校にて
善良だったが素行は悪く、若さゆえに享楽の生活にのめり込むゾシマ君(笑)
そんな折、若く美しい令嬢に想いを寄せるが、後に彼女が他の男性と結婚したことを知る
うぬぼれに目がくらんで、気づかなかったことにショックを受けるゾシマ君
憎悪をおぼえ、復讐心、憤り、見苦しい愚かな人間になりさがる
そして恋敵に決闘を申込む
自分は堕ちるところまで堕ちてしまったのだ!
しかし決闘前日にある宿命的なことが起こる
この時、亡き兄を思い出しの自分の罪深さに気づき、決闘を取り下げてもらうようプライドを捨てて頭を下げるのだ
周りからは大ブーイング
全てを受入れ、深く反省し、退役
修道院へ入る決意をする

■エピソード3
さらにこのエピソードは興味深い
新たに出会った年輩の人物
それは有力な地位の皆に尊敬される裕福な慈善家
この50歳くらいの紳士はゾシマ君(この頃もまだ若僧)を信頼し、何度も話すうちにお互いに信頼関係ができ、年の離れた親友となる
実は、彼は14年前、フラれた腹いせに女性を殺害した殺人者であり、それを誰かに打ち明けたかったのだ
その白羽の矢が立ったのが信頼関係を築けたゾシマ君
そして今度はこの罪の告白を愛する家族をはじめ、皆にもしようとするのだが、これがなかなかいざとなるとできない
ゾシマ君は、告白すべきだと説得を続ける
この立派な紳士の罪を泣きながら聖母マリヤに祈るゾシマ
しかしこの紳士はだんだんゾシマに会うたび「まだ告白していないのか」というゾシマの無言のプレッシャーを勝手に感じ精神的に追い詰められていくのだ
結局この紳士は勇気を出して告白するが、ゾシマを激しく憎むようになる
「今やあの男(ゾシマ)だけが、俺を束縛してわたしを裁いている…」
そう、ゾシマを殺そうとするほど激しく憎むようになる
紳士は精神錯乱し、死んでしまう
誰もが彼の罪を信じず、亡くなったことを嘆き、若僧ゾシマを白い目でみるように
しかしながらやはり真実を信じる人が増える 
そうすると今後は好奇心から、例の紳士のことをあれころゾシマに尋ねだす始末
彼は一切を沈黙した
「人間は正しい人の堕落と恥辱を好むものだ」と納得の上、ゾシマはこのエピソードが、自分の道を主が思し召してくれるのを強く感じるのだ
そうこれらのエピソードからゾシマは修道僧となるのだ
(教訓としては傲慢さを捨て、常に謙虚であれ…かな?)

エピソード後は、ゾシマ長老の長い説法
修道僧とは、修道僧の偉大なる仕事とはから始まり、精神的な人の対等とは、また祈りと愛の大切さ、地獄の考察など…が長々と続く
ここは上巻のイワンの「大審問」に対する場面では!?
イワンとゾシマ長老の正反対(しかしながらそう簡単ではないのだが)の話しを聞いたアリョーシャである(この場面は宗教色が強く、しっかりと理解するのは難しかった)

これほど人々に尊敬され、愛されていたゾシマ長老の悲しい死
ここできわめて異様で不安な思いがけない事態が起こる
ゾシマ長老の棺から腐臭が立ち上り始め、それがあっという間に強烈になっていったのだ
当然不信者たち(修道院内にも派閥があるのだ)は大喜びしたが、信者の中にも興奮し喜ぶものも多数いた
これはまさに「人々は心正しき者の堕落と恥辱を好む」ということなのだ

そしてこの出来事でアリョーシャまでが動揺してしまう
この物語の語り手である「わたし」に言わせると
アリョーシャはゾシマ長老の奇蹟が起こらなかったことに対する失望ではなく、「正義」が起こらなかったことに対する動揺だという
全世界のだれよりも高くたたえられるべき人が、おとしめられ辱められたのだ
彼よりはるか下に位する軽薄で嘲笑的な、悪意にみちた愚弄にさらされたことを、悔辱と憤りで耐えられなかった
無垢なアリョーシャの心を苦しめた

そのアリョーシャをラキーチン(同じ修道院の神学生、なかなかいけ好かない奴)がグルーシェニカ(ある老商人妾であり、おとんフョードルと長男ドミートリィが取り合っている女性)のところへ連れていく(連れていくその理由が最低なのだが省略)
ここでグルーシェニカがアリョーシャに出会ったことによる二人に相乗効果が発揮され、彼らに変化が起こる
グルーシェニカがアリョーシャを憐れむことで、アリョーシャはグルーシェニカの愛に満ちた魂を見いだす
善が悪に染まるのはハイウッド映画でよくあるが、ここはアリョーシャの勝ち!
グルーシェニカが精神が、心が開花される
これまた不思議な因縁である
そしてアリョーシャも心が救われる
その後アリョーシャは僧庵に戻り不思議な神秘的な体験をする
大地をに接吻し、歓喜し、揺るぎなく確固とした何かがアリョーシャの魂の中に下りてくるのを感じたのだ
アリョーシャはこの体験をきっかけに立派な精神的な意味で修道僧になったのではなかろうか

さて
グルーシェニカ(ある老商人妾であり、おとんフョードルと長男ドミートリィが取り合っている女性)には過去に愛する男性がいた
彼は他の女性と結婚してしまったが、奥さんが亡くなり、グルーシェニカの元へやってくることに
気を高ぶらせて彼との再会を待っている
グルーシェニカにしてみれば、老商人もフョードルもドミートリィもぶっちゃけどうでもいい存在
彼女は傲慢、利殖の才にたけ、ケチで金儲けにしわい性悪女なのである


一方長男ドミートリィ
そんなグルーシェニカに身を焦がし、彼女との新しい生活を勝手に夢見てお金の調達が必要なんだ!とまたも思い込む
おとんだけをライバルだと思い込み、お金させあればうまくいくと思い込み、東奔西走し出すことに
先走りと思い込みの激しさがもう何とも痛々しい
相変わらずすぐカッカするし、口は達者(方向性が間違っているが)、調子が良すぎて破天荒
雲行きが怪しくなってくる

ある村の宿場で、グルーシェニカ、グルーシェニカの元カレ、ドミートリィ…他面々がそろう
ドミートリィはヤケになっており、最後の豪遊!とたくさんのシャンパンと食材をじゃんじゃん運んでやってくる
元カレとドミートリィらのやり取りを通じて、なんとまさかのグルーシェニカの心変わりが起こる!
現実の元カレの態度や考えを見てガッカリしたのだ(かつらだったしね(笑))
そこで一気にドミートリィへの愛へ目覚める(あれぇれれぇ…という展開)
ここからお決まりの派手な酒盛りのどんちゃん騒ぎ♪
とジェットコースターのような展開だが、さらにさらにそこへ突撃隊の如く警察署等らのお出まし
そうドミートリィはおとんのフョードルの殺害事件の容疑者であると告げられる

ドミートリィは父親殺しの無実を訴え続けるが、最終的に刑を受け入れようとする
「僕はこれまでの一生を通じて毎日、この胸を打っては、真人間になることを誓いながら、毎日相変わらず卑劣な行為をやってきました。僕のような人間には打撃が、運命の一撃が必要なのです。僕はこの告発と世間に対する恥辱との苦しみを甘んじて受け、苦悩によって汚れをおとしてみせます!」と告白する
こういうセリフをドミートリイに言わせるあたりがドストエフスキーだ

ああ、フョードルがとうとう死んでしまった
彼こそまさにカラマーゾフの象徴なのに…
おとんフョードルと長男ドミートリイは結構似ている
しかし圧倒的にフョードルのが「カラマーゾフ的」で最高に笑わせてくれた
格が違うし、「カラマーゾフ的」なキャラに何の迷いもなく、余裕しゃくしゃくだ
その点、長男ドミートリイはまだ「カラマーゾフ的」なものになり切れない迷いや善良さや青さがある
というわけで個人的にとても淋しい

ちなみにおとんフョードル殺しについては、長男ドミートリィに容疑がかけられているが、ドミートリィはスメルジャコフを疑っている
スメルジャコフというのはフョードルおとんの私生児で、料理が上手いため、フョードルおとんは彼を召使いかつ料理人にして身近に置いていた
もっとも自分の子とは一切認めてもいないし、下手したらおとんのことだからそんなことさえも忘れているのではなかろうか…
このスメルジャコフというのはかなり歪んだ人間だ
人嫌いで寡黙、傲慢であらゆる人間を軽蔑しているかのようなふるまい、猫を縛り首にして葬式ごっごをするまさにサイコだ
しかし割と頭はキレるし、普段は無口だが、生意気さと屁理屈に関して口は達者
そして癲癇(てんかん)持ちである(あのおとんが心配するほどのなかなか重度の癲癇っぽい)
そう丁度フョードル殺害時間の前後くらいは、激しい癲癇の発作があったスメルジャコフであるが…!?!?!?
このスメルジャコフに対し激しい嫌悪感を持っているのが次男のイワン
思考の支離滅裂さ、というよりむしろ思考の落ち着きのなさにおどろかされ、願望の非理論性や混乱におどろかされる
いやらしい狎れなれしさにも嫌悪に感じていた(同じくつかみどころのない不気味な存在感で私も苦手)


中巻まとめ
ゾシマ長老の棺から腐敗臭がすることによる騒ぎ、ここで起こる人々の深層心理
あれほど神聖な人間にこのようなことが起きると人はどうなるのか
人の心の奥底の醜い部分を上手に引き出し描いている
こういう人間の深い心情を描くのがドストエフスキーの唸らせるところである
また逆に人は悪いところばかりじゃない
悪いなりに良くもなるし、悪い中にも良い心がある
ドミートリイやグルーシェニカに見え隠れする部分がそれだ
全てが善、全てが悪なんていうのはない
そんな人の複雑で奥深い心情をいつも見事に描いてくれる

下巻はどういう展開となり物語は完結するのだろうか…
ドキドキワクワク…

0
2021年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻よりさくさく読めた。
そしてだんだん面白くなってきたとこ。
ゾシマ長老の修道僧をなる道のり(若くして死んだ兄の死がきっかけ)や死後の俗人の証のような腐臭、スメルジャコフとイワンの庭先での意味深な会話(スメルジャコフの不気味な予言)
そしてドミトリーの父親殺しの殺人容疑での逮捕。
まるではめられたようにドミトリーには不利な証人ばかり。
私的にはドミトリーは殺ってないと思う。
直情的で乱暴者かもしれないけど、根はいいやつで嘘はつかないと思うから、じゃあ怪しいのはスメルジャコフ
か。
訳本だからしょうがないと思うけど、とにかくセリフがまわりくどい。意味が?のとこも。
言ったすぐそばから否定したり肯定したり、でも名著だということはわかる。
中巻に限っていえばドミトリーが主役だ。
そしていよいよ下巻に。
ドミトリーは状況証拠で犯人にされてしまうのか。

0
2020年05月23日

Posted by ブクログ


 善良であり卑劣でありっていう、一見矛盾に見えるものを両方持ってて、ミーチャなりに自分に誠実で信念を強く持って生きてるのが、憎めないところ。ある種高潔な心を持っているし、同時にどうしようもない人間でもある。これでフョードルを殺していたら、そんなのは幻想となって一気に崩れ去ってしまうけど。ドストエフスキーがどっちの方向性のことを伝えようとしているのかによるな。

 その人が罪を犯したかどうかを、先入観で決めつけてその人への態度を変えるのは、人間らしいけど浅ましいなと思った。

ゾシマ長老が尽くイワンの思想へ反駁しているのがちょっと面白かった。
アリョーシャの部分は、長老の死を受けてどういう方向性に変わってしまうのかと、気が気ではなかった。
ミーチャの運命の残酷に関しては、それを引き寄せてしまう気性を持ってるから納得せざるを得ない。人間としては本当に愛すべき人だと思うけど、いつも吊り橋でグラグラしてるみたいな人だから。
愛はすぐに移ろうもので、一つのきっかけだけで簡単に変わってしまうもの。

 最後のミーチャの恥辱の告白は結構共感できるし心に刺さった。本当に少しの行動の違いでも、その裏にある誠実さには深淵みたいな違いがあって、あるラインを超えてしまったら、嫌悪の塊に襲われるものだと思う。

 中巻は下巻への布石感がすごいから、物語の流れを忘れないうちに早く下巻を読もう。

0
2020年09月16日

Posted by ブクログ

前半のアリョーシャはinteresting、
後半のミーチャはexcitingっていう感じ。
いよいよ下巻!上巻で張られた伏線や中巻のアリョーシャの変化がいかにして回収されどのような結末になるのか、楽しみ!

0
2020年05月02日

Posted by ブクログ

上巻と同じく最後の半分が面白かった。

ドミートリィの自尊心とか恥とかの基準がよくわからんけど、どうせ死ぬなら何やってもいいと、大宴会して自殺しようとした気持ちは少しわかる。

犯人はだれだ

0
2020年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2020年9月21日 再読

前半はゾシマ長老、中盤はグルーシェニカ、後半はミーチャ。神秘的な客、一本の葱、証人たちの供述。童、読み応えのあるエピソードが複数ある。


上巻の後宮部みゆきをはさみ、中巻へ。
べミハイルの話が印象的である。
いわゆるこの物語の中心をなす出来事が中心に据えられ、ミーチャの成り行きを進めていく展開であり、上巻に続き読み応えがあり、そしてどんどん引き込まれてしまう。
印象的なのは「神秘的な客」の編。
神は全ての罪を赦し、全ての罪人を救うというなら、神によってこれほどの葛藤が生まれるのは何故だろう。べミハイルはともすると若かりしゾシマ長老を殺しかねなかったのである。また、全ての罪が赦されるのであれば、この世は罪人だらけになる。神は、神秘的な態度をとり我々を苦しめるのではないのか。そう思ううち、何故か神を強く意識してしまう。というこの宗教の仕組みが垣間見える。

0
2020年09月21日

Posted by ブクログ

3月の読書会の課題本。晩年のドストエフスキーによる大長編。全四部+エピローグという構成になっている。様々なバージョンが出ているが、新潮文庫版は全三巻。第二巻の本書は、第二部の続きから第三部のラストまでが収録されている。キリスト教嫌いが多い日本では、第三部の後半からようやく本番と思う人が多いだろう。しかし第二部のラストも全体のテーマに絡む非常に重要な場面だと思う。

0
2020年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大体のストーリーが掴めてきて上巻に比べたらスイスイ読めた。相変わらず登場人物が多い。ドストエフスキー自身はどうやって管理してたんだろうなぁ、脳内完結なのか紙に起こしていたのか。

イワンも怪しいけどフョードルがすんなりドアを開けて部屋に入れてくれるとも思えず、アリョーシャが怪しいってことになるよなぁと推察。あとページを増すごとにドミートリーがフョードルと同じような発言や行動をしていて、血は変えられない同族嫌悪とはこのことか...と思った。

ゾシマ長老のシーンで、人は信仰に奇跡を求めがちだけどあまりに傲慢だなとも思う。奇跡が起きた時はそれに縋るのに、奇跡が起きなかったら急に不信者になり、今までのゾシマ長老の活躍がすべて水の泡になるようで。
ただ、自分に置き換えてみても、例えばお坊さんが何かしら問題を起こすと「お坊さんなのに!」って思ってしまうわけで。
となると、人が人に布教するものであり続ける限り、信仰は非常に曖昧で不安定なものなのだと思う。

0
2025年04月12日

Posted by ブクログ

ゾシマ長老の死、フョードルの死、ミーチャの連行とイベント盛りだくさんの中巻だが下巻への大いなる布石という感もあってなかなか消化不良な部分多し。ゾシマ長老の説法はなかなか心を揺さぶる「ありがたいお話」という感じがするが上巻のイワンが持ち出した大審問官ほどの凄みを感じないのは何故か。
途中途中で挟まれることわざとかちょっとした詩歌のノリがあまりにも19世紀ロシア然としててまったく入ってこなかった、、。それはそれとして楽しめるのが上級者なのだろうが。
次でついにラスト、下巻にも当然のごとく期待。

0
2022年03月17日

Posted by ブクログ

中巻を読み終わった。
中盤までは物語がまだ動かなかったけど、ようやく大きな展開が出てきてここから怒涛のように面白くなるのだろうなぁ、、面白くなってほしい、、
面白いと感じられるようになりたい、、、

0
2021年03月28日

Posted by ブクログ

上巻より読みやすい。
いよいよ父親殺しの容疑者にフォーカスされて
物語は進んでいく!
下巻に入ります。

0
2020年05月12日

Posted by ブクログ

古い悲しみは人の世の偉大な神秘によって、しだいに静かな感動の喜びに変わってゆく。沸きたつ若い血潮に代わって、柔和な澄みきった老年が訪れる。わたしは今も毎日の日の出を祝福しているし、わたしの心は前と同じように朝日に歌いかけてはいるが、それでも今ではもう、むしろ夕日を、夕日の長い斜光を愛し、その斜光とともに、長い祝福された人生の中の、静かな和やかな感動的な思い出を、なつかしい人々の面影を愛している。わたしの人生は終わりかけている。そのことは自分でも知っているし、その気配もきこえているのだが、残された一日ごとに、地上の自分の生活がもはや新しい、限りない、未知の、だが間近に迫った生活と触れ合おうとしているのを感じ、その予感のために魂は歓喜にふるえ、知性はかがやき、心は喜びに泣いているのだ。(p.76)

今はあらゆる人間が自分の個性をもっとも際立たせようと志し、自分自身の内に人生の充実を味わおうと望んでいるからです。ところが実際には、そうしたいっさいの努力から生ずるのは、人生の充実の代わりに、完全な自殺にすぎません。それというのも、自己の存在規定を完全なものにする代わりに、完全な孤立におちこんでしまうからなのです。個人の特質の真の保障は、孤立した各個人の努力にではなく、人類の全体的統一の内にあるのだということを、今やいたるところで人間の知性はせせら笑って、理解すまいとしています。しかし今に必ず、この恐ろしい孤立にも終わりがきて、人間が一人ひとりばらばらになっているのがいかに不自然であるかを、だれもがいっせいに理解するようになりますよ。(p.104)

0
2020年07月15日

「小説」ランキング