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15歳のとき、俺はアキに出会った。191センチの巨体で、フィンランドの異形の俳優にそっくりなアキと俺は、急速に親しくなった。やがてアキは演劇を志し、大学を卒業した俺はテレビ業界に就職。親を亡くしても、仕事は過酷でも、若い俺たちは希望に満ち溢れていた。それなのに――。この夜は、本当に明けるのだろうか。苛烈すぎる時代に放り出された傷だらけの男二人、その友情と救済の物語。(対談・小泉今日子)
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Posted by ブクログ
だいぶ前に読んだけど、はっきりと読んでよかったという思いは残っている。長編でかなり読み応えがある。 「苦しかったら、助けを求めろ。」 助けを求められる人とできない人の違いは何なのだろう。性別がやっぱりまだ大きいんだろうか。 「失敗したとしても、自分が自分の思考の末に得た考えを獲得したい」
ネグレクト、貧困、ブラック企業などといった、現代の社会問題の渦中でもがく2人の男性の、それぞれの人生が描かれた作品。 一度入った環境から抜け出すことの厳しさや、そんな環境下で心が破壊されていく様子がありありと描かれており、こんな苦しみを受けている人がこの世に存在するのかとショックを受けてしまった。 ...続きを読むしかし、どん底の中でもそれぞれが救いの手を差し伸べてくれる人と出会い、再生の兆しが見えそうになる場面は正に「夜が明ける」という感じがした。 色んな問題がテーマになっていて、メッセージのてんこ盛り具合は自分のキャパシティを超えている気がしたが、それでも全てのメッセージを心に留めておきたいと思うほど、人生における大事なことが記されていると思った。
テーマがテーマなだけに重く考えさせられる作品だった。 人との関わりで人生が大きく変わることがあるということ、そして1人で抱え込むのではなく素直に周りに助けを求めることで困難を乗り越えていくことができるというのはなんだか美しいなと思った。 一方で、勇気を振り絞って助けを求めた時に、それがうまく伝わらず...続きを読む、助けてもらえなかったらそれこそ本当に追い詰められてしまうのではないか、また、すぐ周りに助けを求め自分自身に甘くなってしまうのではないかと思ってしまった自分もいた。 そう考えてしまう自分はまだ「負けない」という思いが強いんだろうなと気がついた。 周りに助けを求めたり逆に助けるためにも言語化する力やそれをきちんと受け取る力、状況を見極め整理する力などが必要になる。 総じて知性に基づいた強さと優しさを身につけたいと思った。
「俺」と、高校の頃に出会った、外国の俳優に似ている「アキ」の物語 主人公の「俺」は最後まで名前が出てこなかった よね? 深沢暁(アキ)は、アキ・マケライネンに似ている事を指摘されてから、その俳優の人生と同化するように生きる存在 日本における貧困を描いているのだろうな アキの方はもちろん、「俺」...続きを読むの方も そして、貧困やその他の問題で困っていたとしても、「恥」による声の上げ辛さとか 巻末の著者と小泉今日子の対談で、やっとこの小説の描こうとしたものが理解できた気がする ただ、私の好みではない 読んでいて楽しいものではないし 共感できなくはないけど、主人公たちの思考があまり寄り添いにくい考えの人達だった 西加奈子の作品はいくつか読んでる 「さくら」「白いしるし」「漁港の肉子ちゃん」「ふくわらい」「サラバ!」など どれもこれも、今作と同様に読んでいて思考に寄り添いにくい登場人物の物語が多い印象 あと、主人公二人の周囲からの接し方が辛い アキの劇団での扱いは完全にやりがいの搾取だし、最終的には主宰の勝手な思い込みでレッテルを貼られて排除されるわけだし 何とも釈然としないものを感じる 「俺」の方も映像業界のブラックさをひしひしと感じる 「イマジン?」(有川浩)でも映像業界のADという仕事について書かれてあるけど、あっちは有川浩だけあってブラックな側面をとてもマイルドに表現している テレビ業界って、そんなに魅力だろうか? 今なら、他の方法でも「俺」が大学卒業のときに思ったやりたかった事は出来そうな気がする その辺の思考停止の様も含めて読んでいて辛かったなぁ ------------------ 15歳の時、 高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。 普通の家 庭で育った「俺」と、 母親にネグレクトされていた吃音のアキは、 共有できる ことなんて何一つないのに、 互いにかけがえのない存在になっていった。 大学卒業後、 「俺」はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属する。 しかし、 焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、 俺たちは少しずつ、 心も身体 も、 壊していった......。 思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描 きながら、 人間の哀しさや弱さ、 そして生きていくことの奇跡を描く。 本書は著者が初めて、 日本の若者の生きていく上でのしんどさに真正面から取り組んだ作品。 ------------------
後半にいくにつれ、壊れていく登場人物たちの生活や精神。どうか救われて欲しいと思いながら読んだ。 何か少しの助けを必要としている人が自分の周りにもいるかもしれない。気づくことはできるだろうか。人の話をちゃんと聞いているだろうか。
主人公の働くことに対するマインド、構え方みたいなものがすごくリアルだし、自分にも重なる部分があって、本当によく頑張ってるなと讃える気持ちで読んでいた。 何かに負けたくないが、それが何なのかはわからない。自分で作った敵であり、その労働環境や、社会の構造が生み出した何かに負けたくない。その現場で敗者にな...続きを読むりたくない。そんな気持ちで自分にエネルギーはもう残っていないのに、毎日なんとか奮い立たせて働いている。助けを求めたり、その場から逃げたりすることは負けになってしまうので、続けなくてはいけない。そういう、しんどい状態が主人公の過酷な生活や職場の人間に向けられる思いなどから伝わってきた。 最後の森との会話が心に残った。 これは勝ち負けとは違うんです。戦うのは戦うんだけど、なんていうんだろう、勝敗じゃないんです。勝敗が決まったら、その戦いがそこで終わっちゃうじゃないですか?負かしちゃったら終わってしまうから。まだ、言葉がないのかなぁ。何ていうんだろうこの感じ、あ、抗う?抗い続ける感じかな?分かってもらえますか?とにかく、何かを長く、しつこく、続けるんです。 自業自得とか自己責任とか、そんな言葉は、その人が安心して暮らせるようになって本当に心から安心して暮らせるようになってから初めて考えられるんだから。初めて負える責任なんだからって。 私もそう思います。本当に思います。そんな盾はいらないんです。ちゃんと大切な現実を見えるようにしないと。それで大切な現実って、今ここに困ってる人がいるってことなんですよ。 本当にその通りだなと思う。 社会や組織の問題を、あいつは精神が弱かった、能力がなかったみたいに、個人の問題にすり替えて片付けてしまう傾向があると思う。そういう環境では、やはり弱い奴にも無能なやつにもなりたくないから必死になって働く。だから、負けられない構造ができあがるのだ。でも、そもそも働くって、勝ちでも負けでもなく、やりたい仕事を長く続けて、自己実現に向かっていくことが目的なのではないか。そのためには、困ってる時に助けを求めたり、自分のことも相手のことも大切にして助け合っていくことが重要だと感じた。
最初は男子高校生の気楽な日常の話かと思ったら、どんどん重たくなってきて、途中は読み進めるのが苦しくなった。 貧困や虐待、パワハラ、過酷な労働環境、同じように苦しんでいる人がもしかしたら近くにいるのかもしれない。 声を上げること、助けを求めることをもっとしやすい世の中になってほしい。
気軽に読み始めたつもりが、想像以上に重く、強い読後感のある長編だった。 先日、家族で話していたとき、夫が「物価の安い国に行きたい」と言った。私は「旅行はもともと好きじゃないし、今の生活を続けるほうがいい」と答えた。そのとき、自分が続けてきたこととは違う方向に向かう“自分の否定”が、いかに怖いかをあ...続きを読むらためて感じた。 大人になるほど、自分の価値観や経験に固執しやすくなり、それを次の世代に無意識のうちに押し付けてしまう。外から見ればその構図はよく分かるのに、当事者としてそこにいると「これが一番いい」と信じ込んでしまう。 「声をあげる」「助けを求める」ことが当たり前にできる世の中になってほしい。そのためには、私自身がそうした場面でもフラットでいたいのに、現実にはとても難しい。 作中の“森”は、一見フラットで感情に流されないように見える。でもその内側には「嫌い」「負けない」というはっきりした感情がある。 フラットであることは、無表情や無関心ではなく、自分の中にある強い気持ちとどう折り合いをつけるか、ということなのかもしれない。 読み終えたあと、頭の中がぐちゃぐちゃになった。いったん空っぽにして、もう一度ゆっくり考えたいと思った。
"リアル"という言葉では足りない、 圧倒的な生々しさ。 もしかしたら貴方のアパートの隣の部屋で起こっていてもおかしくない現実よと、西加奈子に突きつけられているような。 助けを求めることは恥ずかしいことなんかじゃない。 みんながもっと早く、気がつけたならば。 教えてくれる誰...続きを読むかが側にいたならば。 きっと夜が明けますように。 文庫の最後まで読んで、やっぱりアキカウリマスキだった!とスッキリするところまでがセットで良い読み応えでした◎
こういう小説だと思わず手に取ったのですが、まるで今のTV業界を予言していたかのような内容でした。 ネット社会になる前の、誰も声を上げられなかったTV業界の闇が、ここまで生々しく描かれているとは。 ページをめくりながら、ふと昔の知り合いを思い出しました。前職は芸能人のマネージャーをしていた男。彼が語...続きを読むっていた話が、この小説と重なるのです。 小説ではAD、彼はマネージャー。立場は違えど、下っ端には人権がない世界。生き延びる道は「上に上がるか、辞めるか」しかない。理不尽を飲み込みながら、心も体もすり減らし戦い続けなければならない世界でした。 そんな話を読むと、私は自分の「根性のなさ」を突きつけられます。主人公のように追い込まれてリストカットするほどの気力もなく、私はきっと逃げ出す。…いや、そもそもそこまでして得たいものが私にはないから。 でも、だからこそ救われているのかもしれない。根性がない自分に、意外と助けられてきたのかもな、と。 普段なら、理不尽を描く物語を読むと怒りがこみ上げてくるのに、この小説ではそうはならなかった。「TV業界はそういうもの」とどこかで決めつけていたからでしょう。 けれど森さんのセリフが胸を突きました。 「(前文略)今何年ですか?2016年ですよ?」 ――そして今は、もう2025年。 昭和、平成と比べれば社会の価値観は大きく変わったはずなのに、古い風習に縛られたままの業界はいまだに存在する。変わらない方が、都合のいい人たちがいるから。 以前のTV業界では、下っ端から抜け出すには理不尽な世界を這い上がるしかなかった。 でも今は違う。自分の撮ったもの、伝えたいことを広げるための道はいくつもある。理不尽を飲み込まなくても、別の選択肢がちゃんと用意されているのです。 社会って、本当に大きく変わりましたよね。 その時の俺はまだ知らなかった。 フ〇テレビの風習が、日本中に知れ渡り、世間を揺るがすことになるなんて。
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夜が明ける(新潮文庫)
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西加奈子
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