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小説・文芸
880円 (税込)

4pt

アメリカ人の父と日本人の母のもとへ、養子としてやってきたアイ。 内戦、テロ、地震、貧困……世界には悲しいニュースがあふれている。 なのに、自分は恵まれた生活を送っている。 そのことを思うと、アイはなんだか苦しくなるが、どうしたらいいかわからない。 けれど、やがてアイは、親友と出会い、愛する人と家族になり、ひとりの女性として自らの手で扉を開ける―― たとえ理解できなくても、愛することはできる。 世界を変えられないとしても、想うことはできる。 西加奈子の渾身の叫びに、深く心を揺さぶられる長編小説。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    '「べき、ではないよ。感謝とか幸せって努力して思うことではないんだよ。自然にそう思うことなんだから。'161
    'アイはいまここに存在する自分自身を簡単に抱きしめることが出来た。ここにいてもいいのだ、という消極的な感慨ではなく、いなくてはいけない存在なのだと健やかに感動することが出来た'196
    'あんなにも愛に包まれた、喜びに溢れた幼少期をアイは見逃して来た。自分を抱きしめた綾子のあたたかさ、自分は守られていると思うより先に感じることが出来たあの瞬間を、アイは今強烈に思い出していた。あの瞬間は幸せ以外のなにものでもなかった。そして今でも自分はそれを望んでいる。抱きしめてほしい'269
    '「理解できなくても、愛し合うことはできると、僕は思う」'287

    0
    2026年09月21日

    Posted by ブクログ

    どう表現していいのかわからない
    なんだかすごいものを読んでいた気がする
    世界のみんなに問いかけている
    これからどうしていいのかわからなくなる
    世界中で毎日大勢の人が死んでいる
    何かが起こっている
    そんな世の中での『アイ』と『ミナ』と『ユウ』
    それぞれの立場で考えることは
    どれもが間違っていない
    『アイ』の成長をたどりながら
    さまざまなことを考えるきっかけとなった
    それは思っていても避けていたこと
    思っていても人ごとであったこと

    なぜ自分ではなかったのか
    そう悩む人もたくさんいることだろう
    自分がどれだけ恵まれているか
    考えれば考えるほど
    心に闇が広がってしまう

    こんなにも心に重くのしかかる小説を
    読んだことがあったかなと思う
    そうは言っても本を閉じてしまうと
    また日常がやってくる
    また新聞やテレビの報道を
    サラッと流して仕事に出かけ、
    その収入で楽しく過ごす日々が‥

    でもその報道の中の数千、数万の死者は
    ひとりひとり名前があって
    生きていたということを
    この世に望まれて生まれてきたということを
    心に留めて生きていきたい
    この一瞬の後
    自分がその立場になるかもしれないのだから



    0
    2026年05月28日

    Posted by ブクログ

    シリアから養子として迎えられた主人公・アイが、「自分はなぜ選ばれたのか」「存在するとはどういうことなのか」を問い続ける物語。読んでいるうちに、戦争や貧困などの社会問題に対して、自分自身もどこかで“難しい”の一言で片付け、無意識に目を逸らしていたのかもしれないと考えさせられた。

    アイはとても優しく、繊細で、頭の良い人物だからこそ、周囲から愛情を受けながらも、自分の存在意義について深く悩み続けていたのだと思う。自分の幸せを願う気持ちと、この世界の誰かの幸せを願う気持ち。そのどちらを優先すべきなのか、アイはずっと揺れ続けていたように感じた。しかし最終的には、そのどちらを願うことも決して矛盾していないのだと気づいていったのではないかと思うし、そうしたメッセージがこの作品には込められているように感じた。

    巻末の西加奈子さんと又吉直樹の対談も印象的で、西加奈子さんの作品を初めて読んだが、とても心に残る素晴らしい一冊だった。

    0
    2026年05月18日

    Posted by ブクログ

    戦争や事件事故のニュースや、それこそ読書の中ででも自分は今恵まれた環境で生きているということに関してもちろん考えたことはある。でもあまりにも当たり前になりすぎてしまっていたと思った。知ってるし分かってるけど私には関係ないと思ってしまっていたし、物語の世界みたいに感じてしまって“実際起きていること”という違和感がありました。凄く難しい。私の周りには海外の人や養子として育った人はいない。でももし居たらまた色々と考えることも感じ方も違ったりしたのかなと思いました。恵まれていることに対して恥ずかしいと思う感情は少しわかる気もする。恵まれていることに対しての罪悪感、私はたまたま恵まれた環境に産まれただけなのにと考えることはある。私は昔からふと貧困の国に産まれる人間と安全で恵まれた国に産まれる人間はどうやって決められるのか、前世でなんか得を積んだのか、もし得を積んだからだとしたらどんな得を積んだのだろうか、人の命を何人救えば来世安全な国に産まれることが出来るのかと考えることがある。考えても考えても答えが見つからないけど、そうやって考えて心を痛めることに意味があるのかなとも感じました。恵まれた国で何不自由なく生きてれている私はそういうニュースや出来事を心を痛めながらも目を逸らさずに考えて向き合って生きくべきだと思いました。

    又吉さんとの対談もすごく良かったです

    0
    2026年05月12日

    Posted by ブクログ

    「渦中の人しか苦しみを語ってはいけないなんてことはないと思う。想像でしかないけど、それに実際の力は無いのかもしれないけれど、想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う」
    世界中の死をノートに記して、裕福な家庭に養子に貰われた時分を恥じていたアイ、望まない妊娠をしたが流産してしまったアイを心の底から心配して寄り添おうとしたミナ、「どこまでが使命としての報道なのか、どこまでが自分のためなのか」を悩み、難しさを内包した「愛があるかどうかだよ」というシンプルな答えに行き着いたユウ

    世界のどこかで起きている事への気持ちと身近な大切な人を想う気持ちは切実さや想いの深刻さや大きさに差はあるかもしれないけど、「想像」して「想いを寄せている」
    答えなんてないような悩みを抱えてるアイに共感まではいかないまでも想いを馳せていた自分にとってユウのシンプルな答えに腑に落ちたというか心が軽くなった気がした

    0
    2026年04月24日

    Posted by ブクログ

    これは久しぶりに読み応えのある本!!自分もルーツについてモヤモヤして生きてきたので改めて考えてみたい。

    0
    2026年04月23日

    Posted by ブクログ

    読み終えた後、作ってくれて有難うと言いたくなる小説。
    旅に出かけるよりも、世界を知ることができる小説。自分とは何かを問い続けるよりも、自分を知ることができる小説。

    0
    2026年06月25日

    Posted by ブクログ

    初めて西加奈子を読む人には、あまりおすすめしない。テーマをいくつも抱え込み、物語がカオスになり、最後の着地もきれいには決まらない。この独特の荒さにある程度慣れてから読んだほうがいいと思う。
    私は一瞬で読み終わった。
    凄惨なニュースに目を背ける。私はこれまで、想像することを拒んできたのだろう。この小説には「ちゃんと想像するって、こういうことだよ」と言われたような感覚があった。
    作中で引用される『テヘランでロリータを読む』の「私たちを想像してほしい」という言葉が強く残った。想像とは愛なのか。直視することなのか。小説の中には死者の数が絶えず書き込まれていく。数字としてしか知ることのできない人たちを、それでも想像しようとする。その行為は愛に満ちているようにも思えるし、同時にとても辛い。
    ほかにも、「私」と「あなた」の境界、血のつながり、家族、自分がどこに属するのかといったテーマがいくつも散りばめられている。読みやすいのに、扱っているものはかなり重い。
    一方で、西加奈子は強く踏み込んだと思ったら、最後に少し引くことがある。今作でも「想像してほしい」という強いメッセージを出しながら、「でも辛いし、正しくできるかはわからない」と逃がしているように感じた。この感じは、個人的には苦手なところでもある。
    『ふくわらい』『サラバ!』『夜が明ける』でも形は違えど、同じような荒さを感じた。人物やテーマを立ち上げる力はかなり強いのに、それらを最後にどう閉じるかで苦しんでいる作家なのだと思う。
    それでも『i』には、一気に読ませる力があった。
    想像することは愛なのか。直視することなのか。それとも、分からないまま誰かを存在させ続けることなのか。
    想像は愛に満ちている。でも、とても辛い。

    0
    2026年09月26日

    Posted by ブクログ

    この世界に生まれてよかった〜と
    心から思える圧巻の最高傑作でした!!

    本当に素晴らしかった…!!
    読み終わったとき…
    深い感動が胸に押し寄せて
    しばらく言葉が出ないほどでした

    シリアで生まれ
    アメリカ人の父と日本人の母に養子として
    引き取られた主人公・アイ

    何不自由なく愛されて育ちながらも
    成長するにつれて
    「なぜ自分だけが恵まれた環境で生きているのか」という罪悪感と自問自答を
    抱えるようになります…

    世界中で起きる不条理な事件や事故に苦悩し
    「自分」という存在の全否定と
    肯定を繰り返しながらも
    世界と自分を愛そうとする魂の軌跡を描いた物語

    アイが葛藤の末に辿り着く光には
    涙が溢れて止まりませんでした

    カラフルで力強いアートのような表紙も
    人間の生きるエネルギーと
    美しさが感じられてとっても素敵♡

    記憶消して もう一度感動を味わいたいです!!

    0
    2026年08月21日

    Posted by ブクログ

    自分が恵まれすぎていることへの窮屈さ、被害者達の近くにいるだけで寄り添えていると勘違いしてしまう傲慢さ、キャラクターを主張することを奨励されるほど従うことに楽さを覚えること、自分の醜さから目を背けたくて世間との対峙を避け内向に向かってしまうことなど、アイに共感できる点が沢山あった。
    でも、アイは自分に正直で嘘をつかないからこそ、真摯に向き合っているからこそ、それを理解してくれる人たちが周りにいて、答えをゆっくり待ってくれているのだと思った。

    苦しみの中にいる人たちを思うこと、それは決して間違いではないし、それを大きく行動に移さなくてもいい。けど思い続け、何かの形にする・意思表示をすることが何かにつながるかも知れない。普段の会話では世界各国の戦争や死者などの話題にはならないし、なんとなくそういった遠くのネガティブな話題をわざわざ出してくることへの抵抗感はある。本最後の対談で西さんが「そういう話を日常に出してもいいんじゃないか」と言っていたが、自分が知らないのもあるけどそれはあまり共感できない(でもインドネシア人がよくインスタなどで各国のテロなどをストーリーに上げていて、こういうことかと思ったのとなぜ日本人とここに差が生まれるのだろうと思った)。ただ、これを機にもう少しだけ世界の出来事に関心を向けたいと思ったし、そんな死者数みたいな大きなことでなくても、自分の周りの苦しみを思い、それに対する自分の悲しみやその人がそこにいることの賛辞を送りたいと思った。
    また周りは苦労しているのに、自分がこんな些細なことで苦しんでいるのは恥ずかしい、こんなことで文句を垂れるのは間違っているんじゃないかと思うことが多かった。しかしこの話では、誰かを思いやる気持ちと自分の幸せを願う気持ちは矛盾しない、と伝えてくれて、救われると同時に、今自分がここに「いる」ことを抱きしめたくなった。相手や自分が自分を信じられない・嫌いになることもあるかもしれないけど、確かに自分がここに存在するということは揺るぎない事実。それはわかっているはずなのに、日常での嫌なことがあると自分の存在意義までも否定したくなってしまう。今改めて自分がここにいることを再確認すると、自分はどう思うか、何がしたいかなど、自分を一人の人間として認め愛したくなる。

    0
    2026年08月09日

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