海

海

小説・文芸
572円 (税込)

2pt

恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る〈鳴鱗琴(メイリンキン)〉について、一晩彼女の弟と語り合う表題作、言葉を失った少女と孤独なドアマンの交流を綴る「ひよこトラック」、思い出に題名をつけるという老人と観光ガイドの少年の話「ガイド」など、静謐で妖しくちょっと奇妙な七編。「今は失われてしまった何か」をずっと見続ける小川洋子の真髄。 ※新潮文庫に掲載の「著者インタビュー」は、電子版には収録しておりません。

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海 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんの書く物語を読まないとなれない感情がある気がする。今回もそれをたくさん味わうことができた。

    『ひよこトラック』が特に好きでした。言葉を発さない少女とドアマンの男の、なんだか不思議な交流がかわいかったです。

    解説に、吉田篤弘さんやウラジーミル・ナボコフなど好きな小説家の名前が出てきてなんだか嬉しかったです。
    『バタフライ和文タイプ事務所』を読んで『薬指の標本』を思い出したのは間違いではなかったらしい。『密やかな結晶』『薬指の標本』に並んで挙げられていた『沈黙博物館』も読んでみたいです。

    0
    2026年09月19日

    Posted by ブクログ

    何処か変わってる登場人物たちが愛おしくてたまらない。
    不器用だけど優しくて、でもちょっと変。
    あっという間に読み終えちゃった。

    ひよこトラックとガイドの話が面白かった。
    [思い出を持たない人間はいない]
    私も題名屋さんに行ってみたいな〜。

    0
    2026年08月01日

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんの短編集。
    ほのかな哀愁、優しさ、不気味さ。
    世界観に浸りました。
    ”ガイド”が一番好きです。”博士の愛した数式”を
    彷彿させるお話で、とても好みです。

    0
    2026年07月19日

    Posted by ブクログ

    小川洋子の短編集「海」。
    表題作では、結婚の承諾を得るため許嫁の実家を訪れた教師の「僕」と、許嫁の「小さな弟」との心の交流が描かれる。作中で演奏されない鳴鱗琴という楽器は、心に大切にしまっておきたい「思い出」のメタファーだと思う。子供の頃の楽しかった思い出や辛かった思い出、甘酸っぱい思い出、そして苦い思い出。それらを思い出すとき、いろいろな感情がよみがえってくる。そして、そうした感情は誰かと共有するのも良いけれど、そっと自分の中で愛でるのも良い。そう気づかせてくれる一編。

    0
    2026年06月26日

    Posted by ブクログ

    静かで無駄のない
    まっすぐな
    文章が読みたくなって選んだ本。
    間違いなかった。
    大きな出来事は何もなく
    ただ人と人の交流を
    冷静に見つめ
    簡素な言葉で
    そのまま紡いでいるだけなのに
    記憶という
    やさしい毛布に
    くるまれているような心地だった。
    「ありふれた言葉にこそ
    真実が宿っているんだ」
    そんな言葉たちに
    背筋をしゃんと伸ばされる。

    0
    2026年05月19日

    Posted by ブクログ

    短編集だけあってノイズなく読みやすかったし穏やかな気持ちになれて良かった。バタフライ和文タイプ事務所は言葉遊びが面白い上品な官能小説だし、銀色のかぎ針は短くてシンプルなのに情景が浮かんで素敵、ひよこトラックの夜明け前の描写は息を呑むくらいの美しさだし、ガイドはストーリーとして完成されすぎていて脱帽した。小川洋子の作品は何作か読んできたけどやっぱりうつくしいなー。

    0
    2026年05月08日

    Posted by ブクログ

    再読。のはずなのに「風薫るウィーンの旅六日間」「バタフライ和文タイプ事務所」以外はほぼ記憶から抜け落ちてる。「風薫る」は不謹慎なすべらない話。「バタフライ」はなかなかに癖。「海」「銀色のかぎ針」「ガイド」が特によかった。

    0
    2026年03月17日

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんの小説をちゃんと読んだのは今回が初めて。非常に良かった。特に好きなのは下記3編。恋人の弟と鳴鱗琴について話す「海」。孤独なホテルドアマンと話せない少女の交流を描いた「ひよこトラック」。最後にひよこを守るため言葉を発した少女の台詞がとても大人びてて驚いた。題名屋と観光ガイドの母を持つ少年の交流を描いた「ガイド」。巻末のインタビューもとても良かった。小川さんの描く歳の離れた人同士の交流が本当に素敵な関係性で良い。どこか懐かしく繊細で温かな気持ちになる物語ばかり。あやしい職業、不思議な世界観も好き。

    0
    2026年03月09日

    Posted by ブクログ

    再読。何度読んでもいい。

    強烈に記憶に残っていたのは「バタフライ和文タイプ事務所」。とても上品な官能小説です。それはまるで、文のやりとりから始まり、御簾越しの会話に情熱を燃え上がらせた、平安時代の恋愛のよう。

    他には「缶入りドロップ」と「ひよこトラック」が私のお気に入りで、とても心が温まります。

    0
    2026年02月07日

    Posted by ブクログ

    こってりとした『BUTTER』の後はさっくりと読める短編集を。実は初めて、小川洋子さんの本を読破しました。
    ずっと憧れはあった。何冊か手に取ってはその言葉の美しさと静謐な世界観に、ある種の格式高さ、ハードルの高さのような感想を抱いて、もう少し読書慣れしてからにしようと挫折していた。
    だから今回、あえて短編という形で再挑戦をした。ゴールが近いからこそ、あまり怖がらずに読み進められたし、自分の中で感じていた高嶺の花のような文体も実はとても柔らかく、ひんやりとした手のひらの中に温かな小さな命が握られているような繊細さが感じ取れた。

    誰だって、この温かさに触れてもいいんだよ、でもそっとね、と言われているような優しい文体に、気付けば小川洋子さんの世界観にどっぷりと浸っていました。

    七つの短編、そのどれもが気付けばぐんぐんとのめり込み、煩わしかった周りの音や話し声もまるで遠くに行ってしまったような錯覚を覚えながら読み進められました。

    短編というものが読み慣れていない私にとってもその終わり方はどれも優しくふんわりと着地して、心がすうっと軽くなるような余韻を残すものが多くて、改めて小川洋子さんの文章の上手さに静かに圧倒されました。

    全部が好きだけど、特に好きなのは「風薫るウィーンの旅六日間」「缶入りドロップ」「ガイド」です。

    「ひよこドロップ」も入れたかったけど、穏やかで優しい世界観の中にそっと差し込まれた残酷さという名のえぐみを上手く味わえるほど、私はまだ成熟してなかった。でも好き。

    「海」
    この本の表題作。主人公とその彼女の弟、男二人の静かな一夜。「小さな弟」の少し異質な背景が滲み出していながらもそれを踏み躙らない静かな夜を共に過ごしたような感覚が残った。

    「風薫るウィーンの旅六日間」
    控えめなフリしてちゃっかりしてる未亡人のおばさん、琴子に、主人公の二十歳の女性が振り回され、彼女の四十五年前の異国の恋人の最期を看取る話。自分の旅行の計画を潰されてもそっと琴子に寄り添ってあげている主人公が優しい!最後のオチが全部の短編の中で一番好き。

    「バタフライ和文タイプ事務所」
    個人的に一番硬い単語が多くて読み難いなと思いながら読み進めていたけど、途中からあれこれ、もしかして高度な言葉遊びを用いた官能小説か?と気付き始めてから一気に面白くなった。あまりにレベルの高い官能加減にくらくらした。純文学×官能もっと読みたい。

    「銀色のかぎ編み」
    短さにびっくりしたけど、短い中にも主人公の中に宿る祖母の記憶と現実の景色が混ざり合う感覚が心地よかった。

    「缶入りドロップ」
    これも短いけど好きな作品。子供を持ったことのない不器用な大人が、子供という未知なる存在を自分なりに攻略するための術が、側から見たらとても優しい心配りのように見える構図が面白くて心がぽかぽかした。

    「ひよこトラック」
    母の死をきっかけに喋れなくなった少女と、孤独なドアマンの男性のお話。男性が少女とのコミュニケーションにあえて言葉を用いない方法を取ったおかげで生まれた二人だけの優しい時間。二人が目を奪われたカラフルなひよこの残酷な末路、それを知らない少女の清らかな心の描写がとても素敵だなと思いました。

    「ガイド」
    バスガイドの母を持つ少年と"題名屋”を営む初老の紳士のお話。小川さんの描く、歳の離れた二人の交流が好きだなぁと再確認した作品。私も消えてほしくない思い出に題名をつけてみようかなと考えさせられました。

    0
    2026年01月31日

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