薬指の標本

薬指の標本

407円 (税込)

2pt

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を持ち込む〔標本室〕で働いているわたしは、ある日標本技術士に素敵な靴をプレゼントされた。「毎日その靴をはいてほしい。とにかくずっとだ。いいね」靴はあまりにも足にぴったりで、そしてわたしは……。奇妙な、そしてあまりにもひそやかな、ふたりの愛。恋愛の痛みと恍惚を透明感漂う文章で描いた珠玉の二篇。表題作ほか「六角形の小部屋」収録。

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薬指の標本 のユーザーレビュー

忘れたくとも失いたくはない過去に区切りをつけ、完結させるため、たくさんの人がその“標本室”を訪れる。持ち込まれる品は様々。例えば、楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、ヤケドの痕。そして、標本技術士の助手になった「わたし」は、欠けてしまった薬指の先端を。
登場するのは、皆、かつて何かを永遠に諦めてしまった人ばかり。寂しさは新たな寂しさを導いて、人々は己の物足りなさを埋めようと、他者にすがる。静謐な文章の底に息づく狂気がとても美しい。
本作は2005年にフランスで映画化されている。主役は「007 慰めの報酬」でボンドガールに抜擢されたオルガ・キュリレンコ。フランス映画らしい静けさとエロチシズムにくらくらとめまいを覚える。原作にほぼ忠実に描かれており、こちらもおすすめである。

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    表現がたまらなく好きで読む手が止まらなかった。2作とも取り憑かれたかのように人に吸い込まれていく主人公が印象的だった。もちろん私自身そんな思いを抱くような人や場所に出会ったことはないが、いくら危なっかしいとは言えそれも運命なのだろう。

    0
    2024年05月06日

    購入済み

    孤独と不思議な他者

    自然に滑らかに読めてしまうけれど、いろんな細かいところまで神経が
    行き届いている描写が好きです。どちらの語り手も孤独な女性で、内面
    や身体的な感覚の一部まで読んでいるとこちらが同化一体化してしまって
    いるよう。傷ついた自分がもしかするともっと危ない世界に引き込まれる
    ような感覚、逆に自分の中にある悪

    #深い

    0
    2024年04月24日

    Posted by ブクログ

    知らず知らずのうちに精神を縛られる、支配される、そして支配されたいと願う…
    物語全体がに薄暗い弱い青色が漂っている感じがした。
    六角形の小部屋も、標本室も、それを望む人だけが自然にありかを知り吸い寄せられていく雰囲気が共通していた。

    0
    2024年03月02日

    Posted by ブクログ

    大学の授業で扱った1冊。『薬指の標本』がいいな。小川洋子の作品には、身体の一部が欠如していたり、どこかを病んでいたりする女性が多く出てくることは言うまでもないけれど、これもそのひとつ。切り取られた自分の薬指が、ぷかぷかとサイダーの中に浮いている、みたいなことを主人公が想像する場面があり、私はそこが大

    0
    2024年02月17日

    Posted by ブクログ

    惹かれた人に身も心も支配されたいと思う主人公の、⁡
    ⁡大人のような少女のような感情に
    淡々と流れる物語が混ざりあって時折り背中がぞっとします。⁡

    ⁡⁡2篇どちらも、想いや思い出、記憶、物体、身体、
    ⁡とにかく何かを封じ込めるお話しでした。⁡
    ⁡封じ込めた後に残るのは、満足感か喪失感か⁡
    ⁡はたま

    0
    2024年02月05日

    Posted by ブクログ

    「薬指の標本」と「六角形の小部屋」の中編二作を収める。「薬指の標本」は、標本室という奇妙な職場が舞台で、火傷の痕や音楽まで標本にする中、わたし」は自分の薬指を標本にしようとする。「六角形の小部屋」には、一人で入って何かを語る六角形の語り小部屋が登場する。やがて「わたし」はその魅力に惹かれてゆく。不思

    0
    2023年10月21日

    Posted by ブクログ

    最初から最後まで、不思議な小説だと感じました。
    音や、きのこや、骨や、傷が標本になり、その一方で靴は脚にぴったり馴染みました。

    0
    2023年08月15日

    Posted by ブクログ

    「薬指の標本」と「六角形の小部屋」。どちらも水晶のように透き通った文体で生々しさこそ無いが、重たくて目を背けたいものがしっとりと染み込んでくるような気がする。密やかなおとぎ話のような二篇だった。
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡……。人々が思い出の品々を

    0
    2023年07月18日

    Posted by ブクログ

    今は無いものを描く作家小川洋子さんの名著。2つの中編はどちらも不思議な世界へと誘う。何でも標本にする弟子丸の仕事を手伝うことになった女性。
    自分に向き合うため小さな部屋へと入る女性。どちらも吐き出したい思いを胸に抱え、ふとした瞬間に静かに決壊する。
    静謐さを感じる物語だった。

    0
    2024年08月11日

    Posted by ブクログ

    夢のような、おとぎ話のような不思議な雰囲気。静かな空気感の中、現実と幻想が入り混じる。そして、怖い。
    薬指を欠損したわたしは、仕事を探すうちに不思議な標本室に出会う。依頼された物はなんでも標本にできるという弟子丸氏。イメージでしかない物、思い出も全てだ。その標本室で働く事になったわたしは、弟子丸氏と

    0
    2024年03月29日

薬指の標本 の詳細情報

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