ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
たっぷりとたてがみをたたえ、じっとディープインパクトに寄り添う帯同馬のように。深い森の中、小さな歯で大木と格闘するビーバーのように。絶滅させられた今も、村のシンボルである兎のように。滑らかな背中を、いつまでも撫でさせてくれるブロンズ製の犬のように。――動物も、そして人も、自分の役割を全うし生きている。気がつけば傍に在る彼らの温もりに満ちた、8つの物語。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
何度読んでも好きです。 癒し系ではない動物の短編集ですが、仄暗い世界に癒されました。 「帯同馬」と「ビーバーの小枝」が好きです。 「帯同馬」で、ディープインパクトとピカレスクコートという固有名詞が出てくるのが小川作品では珍しい感じがしました。あ、でも数式の江夏もそうか…。帯同馬、という関係性も密やか...続きを読むで好きです。 この作品は日本でしたが、他の作品は国がわからなかったです。 江國香織さんの解説もとても素敵でした。
世の中の片隅でひっそりと暮らしているひと。静かに寄り添う動物、または動物のかたちをしたもの。かなしみと小さなよろこび、現実かからそうでない場所に広がっていく、静謐な、著者ならではの世界。 ディープインパクトとともに海を渡ったピカレスクコートに自らを重ねる冒頭の「帯同馬」、亡くなった弟を心の片隅におき...続きを読む身代わり旅人を請け負う巻末の「竜の子幼稚園」が特によかった。
時間を忘れて一気に読破したくなるサスペンスフルな小説もいいけど、 不思議でシュールでユーモラスな1つの短編の世界に 1日の終わりにじっくりと浸るのも読書の醍醐味だ。 本書はまさに寝る前に1話ずつ ゆっくりと読んで欲しい短編集。 たちまち非日常にさらってゆく魔力と甘美な陶酔。 残り香のように漂う...続きを読む異国情緒。 小川作品に顕著な、 物語の中、息を潜めた死の匂いとうっすらとした狂気。 どの話も様々な動物たちをモチーフに、 そこにしか居場所のない 小さな場所に生きている人を描いている。 スーパーマーケットで試食品のデモンストレーションガールをする女性は 狭いモノレール沿線から抜け出せない自分の心情を、 フランスの凱旋門賞に向かうディープインパクトの帯同馬ピカレスクコートに重ねて彼の無事を祈る 『帯同馬』、 交流のあった異国に住む翻訳家の死を機に 彼の息子とその恋人に会いに行く小説家の「私」。 ビーバーの小枝を登場人物に見立てて翻訳作業にかかるシーンが詩情に溢れ心に残った 『ビーバーの小枝』、 ドールハウスを作ることに没頭する引きこもりの妹と それを支え手助けする兄と祖父。 まるでラッセ・ハルストレム監督の「ギルバート・グレイプ」や クレイグ・ギレスピー監督の「ラースと、その彼女」、 若きジョニー・デップとメアリー・スチュアート・マスターソンの「妹の恋人」などを彷彿とさせる 微笑ましく暖かな世界観がかなりツボだった 『愛犬ベネディクト』、 何かしらの理由で旅ができない人のため、身代わりとなる品をガラス瓶に入れ、依頼主に成り代わって指定のルートを巡る仕事をしている女性。 幼くして亡くなった弟への美しい思い出を胸に旅をする彼女がどこか哀しい 『竜の子幼稚園』 などが特に印象的だった。 それにしても小川洋子の物語る腕力、恐るべし! 試食品を食べに毎日スーパーマーケットに現れる嘘つきな小母さんや 仕事の帰り道にアイスクリームを買って食べることを唯一の楽しみにしている売店のおばさんの孤独に胸を打たれ、 「ハモニカ兎」で野球というスポーツを初めて見た人たちの反応に笑い、 落丁本だけを扱う「落丁図書室」に心ときめき、 自分の誕生日と同じ日付の賞味期限が記された食品を宝箱にコレクションする男の子にシンパシーを感じ、 寄生虫に侵された蝸牛が床中を這い回るシーンのホラー的展開に戦慄を覚え、 旅ができない依頼人の身代わりをガラス壜に詰め、各地を旅する仕事には 果てしない浪漫を感じて、 しばし僕自身、この物語の奇妙な登場人物たちと 一緒に旅をした気分に浸ってしまった。 そして、なんと巧みな想像力なのだろう! ページをめくるたびに 異国の御伽噺を読んでいるかのような錯覚に陥ること必至の極上の心地良さ。 メールや電話なんか無視してベッドに潜り込み、 1日の終わりに本書を慈しむようにめくる幸せは 何ものにも代え難い至福の時を約束してくれる。
一話目の『帯同馬』とてもよかった。 飛行機や列車を使って、遠くに行くことの恐怖。 このまま帰れないのではないか、 自分の部屋に戻ることはもうないのではないか、 そんな感情がとても共感できる。 飛行機に乗るときは、一種の覚悟のようなものを携える。このまま死んでしまうかもれない、という可能性と不安に対...続きを読むしての。 レースのため海外へ行くディープインパクトのストレスを減らすための帯同馬として、一緒に連れて行かれるピカレスクコート。その哀れみを感じるのは私だけかという問いかけも、心に響く。
動物に関する8編 ビーバーの話が好きだった。 小川洋子さんの物語はいい意味で少し世間ズレしているというか、浮世離れしている感じがする。 サスペンスものやリアリティとかの実際的な出来事に対して深掘りしていくというよりは、小川さんの世界に引き込まれていって、現実的ではなくてもこういう世界、見方もある...続きを読むんだよと感じる。 いろんな物語の中で、世間一般の言い方をすると落ちこぼれ、低所得者、フリーター、ホームレス、と一括りにされる人たちに目を向けてひそやかで穏やかな世界を見せてくれることもある。 この人独自の書き方を無視できない。
「彼ら」とは動物。 8篇とも人の傍に寄り添い重要な役割をする。 静かで温かい。 中年女性が主人公の「帯同馬」と「竜の子幼稚園」が特に良い。 自然と小川洋子本人が主人公のように想像してしまい不思議な感覚になる。
短編集。人間らしいというか、人間も一つのただの生き物として生々しく描かれるお話と、 一つの生き物としてとにかく美しくこの世のものでは無いくらい神秘的に描かれるお話もあり、 それらが小さな箱にぎゅっと詰まっている、感覚。 この感覚何かに似てると思いながら、なかなか思い出せなかった。とにかく繊細に微細に...続きを読む作り込まれたすぐに壊れてしまうような美しい芸術品のような、 それぞれの個性が際立つ小さなチョコレートとか、クッキーと、そんなお菓子たちが詰まってる箱をゆっくり味わっているような感覚かも、と、一つ一つをいただきながらたどり着いた。 この手の短編は一つ一つがとにかく心に残りながら読み進めるのに、あまりに素晴らしい表現力で、脳に描きすぎて、じんわり自分のものになり どんな話だったっけ?と具体的なところは忘れてしまうから、一つ一つに感想を残しておいた方がいいのだろうか。 江國香織さんの解説。 これも一つの魅力でこの本を手に取ったのだけど、 小川さんの短編集は 一つ一つが全く違う世界観であるが、 一つ一つが磨きあげられている、 確かな質量がある、という一文を見て、 これが答えだと思ってしまった。 余韻が、とかそういうことではなく、 それもそうなんだけど、それ以上のもの。 たしかにそこにある。という感覚になる小川さんの小説は本当に素晴らしいです。
お気に入りは静かなぬくもりを感じた「ビーバーの小枝」 なんだかぞわっとしたのが「断食蝸牛」 いつもの小川作品のように、見つめるのはにぎやかな大通りではなく、どこかの片隅。気づかずにいるかもしれない世界をすくい上げてくれる。 タイトル通り、どこかにいる彼らを感じた短編集。
最近、時折読んでいる小川洋子さんの文庫本は、全て、私が引っ越してきた町で見つけた古書店で購入したもので、実は少々煙草の匂いが残っていました。まあ、気にする方もいらっしゃるとは思いますが、私は問題なし(むしろ、後で見開きがよれよれになっていることに気付いた方が嫌)。 逆に、私の前に読んでいた人はどん...続きを読むな人だったのだろうと、想像してしまう。リラックスしながら読んでたのかな、なんて。自分のスタイルで読書したいのは、すごく共感できる。 前置きが長くなったが、この短篇集に登場する人たちは、皆、それぞれの行動スタイルというか、夢中になるものを持っている。しかし、その裏には、何かを失ったことが原因になっている人たちが多い。 失ったものがあるから、それに代わるものを探しているのかな。それでも、いなくなったものを想像するのは、納得できるものを探し続けているんだ。 その結末は様々だけど、新たな人生の糧になることもあるし、微妙に思うこともある。けれど、その人が自分で判断すればいいわけであって、時には、共感しづらいものもあったが、それだけ人生は幾通りにもなるということだと思う。私が理解できることだけが、世界の全てではない。そう思わせてくれる小川洋子さんの作品は、周囲との共感の少ない私にすごく合う。
きれいな文章の短編集だけど、読みやすいとは言えない独特の雰囲気。 普通の日常らしい静けさの中の、優しさやら不穏やら・・・「大好き」にはなり得ないけど、好き。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
いつも彼らはどこかに
新刊情報をお知らせします。
小川洋子
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
遠慮深いうたた寝
博士の愛した数式
試し読み
そこに工場があるかぎり
アンネ・フランクの記憶
アンネ・フランクをたずねて
生きるとは、自分の物語をつくること
犬のしっぽを撫でながら
海
「小川洋子」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲いつも彼らはどこかに ページトップヘ