琥珀のまたたき

琥珀のまたたき

小説・文芸
770円 (税込)

3pt

魔犬の呪いから逃れるため、パパが遺した別荘で暮らし始めたオパール、琥珀、瑪瑙の三きょうだい。沢山の図鑑やお話、音楽に彩られた日々は、琥珀の瞳の奥に現れる死んだ末妹も交え、幸福に過ぎていく。ところが、ママの禁止事項がこっそり破られるたび、家族だけの隔絶された暮らしは綻びをみせはじめる。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    講談社文庫
  • タイトル
    :
    琥珀のまたたき
  • タイトルID
    :
    60011820
  • 電子版発売日
    :
    2018年12月14日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

閲覧環境

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琥珀のまたたき のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    母親から与えられた壁の内側の生活は色んな愛溢れた暖かい生活だと思いながら読んでいましたが、後から恐ろしい内容だったなとじわじわ気づかされました。それくらい言葉が優しく美しいです。

    オパール、琥珀、瑪瑙が成長するにつれて隠し事が増えていく度に、母親に愛されていたい、母親が好きなこどもでいたいという想いを感じてしまい切なくなりました。

    小川洋子さんは私の知らない感情を引き出して満たしてくれます。とても大好きな作家さんです。

    1
    2024年11月14日

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんの作品は、私の好きな作品のひとつです。
    有名な「博士の愛した数式」などがありますが、概ねどの作品においても、場所や時代、国などが明確に背景として描かれていない。小川作品につって、これらはさほど重要ではないのだと思います。
    この「琥珀のまたたき」も、ママに6年8ヶ月家の中に閉じ込められた3人の子どもたちの心証をきめ細やかに描かれています。家の外には、魔犬がいるというママの言いつけを守り、家の中で子どもたちなりの楽しみを見つけていきます。
    その一つが、自分たちの父親が出版した数々の図鑑を読んで行くことです。
    この図鑑で彼らは横の中のことを知っていきます。
    さらにその図鑑の中に、長男にあたる「琥珀」が、魔犬のせいで命を落としたとママに教えられた妹を琥珀色の左目で見つけ出します。
    これがこの物語の主軸になって展開していきます。

    一つ一つの事象の描写や説明がこれほどの形容が可能なのかと思わず感嘆するフレーズが随所にあります。
    その一つは、ママがパパが出版する(キッチンについての)図鑑のモデルの採用のためカメラテストを受けたときの事です。テストをしたパパは、ママを合格させるのですが、その理由を「普通、人間はそこにいるだけで何かしら不必要な主張ををしてしまうものです。主役の事物を邪魔する、それを際立たせ、読者が図鑑を閉じた途端、事物の記憶だけを残して自らの気配は完全に消し去る。そんなふうにできる人は、滅多にいません。あなたには図鑑モデルとしての才能がある」と表現しています。こういった表現が随所に見られます。
    登場人物は、せいぜい5人しかいませんが、まさに「小宇宙」的な小川洋子ワールド感が全開の長編小説です。

    2026年27冊目。

    0
    2026年09月12日

    Posted by ブクログ

    大きな庭と古い館の中で、そっと声を小さくして、紡がれる、家族だけの豊かな時間。とらわれているようで、どこまでも自由で、美しく広く、深い世界を自ら編み出せる人たち。大自然のなかで、耳を澄まして、手を伸ばして、見えないもの、聞こえないものにまで触れようとする繊細な世界。

    もう少し大人になったら、荒々しい性の目覚めなどで、綻んでしまうのかもしれないけれど、その寸前までの時間が、琥珀の中にぎゅっと閉じ込められているみたい。
    美しい世界、堪能しました。

    0
    2026年06月08日

    Posted by ブクログ

    目は口ほどに物を言うとはよく言ったものです。この本に書いてある文を読むと目で見た情報が思い起こされます。正解なんていらないし、至極シンプル。言語化レビューするのも憚られるくらい喰らっちゃったけど記憶のアウトプットに。小川洋子さんは何か特殊能力でも持ってるのかしら?

    0
    2023年12月20日

    Posted by ブクログ

    琥珀の現在も過去を織り交ぜて描かれるストーリー構成。

    琥珀たち子ども三兄弟目線で話が進むので、おかしなこと(犯罪)が起こっていることに当人たちは気づかない。それが当たり前かのように起こる。
    ただ読者の私はこれが犯罪であることがわかるのでなんかやばい…とずっと違和感を覚える。

    母親の思考が結局ずっと謎だった。いくら末娘にトラウマを抱えていても監禁をするのはよくわからない。
    でもだからこそずっと不気味で、穏やかな時間が流れているはずなのに緊張感が走っていてとても面白かった。

    一番ママに従順だったオパールが最後ママに批判的なことを琥珀に言うのはきっと外の世界の住民であるジョーから色々話を聞いたんだろうな。

    小川洋子流、ミステリー。

    0
    2023年11月15日

    Posted by ブクログ

    小川洋子さんの小説を読むのは、「薬指の標本」「猫を抱いて象と泳ぐ」「妊娠カレンダー」に引き続き、四作目です。

     見栄えのするスイーツを食べたことがあるでしょうか。全く違った要素を組み合わせてみたり、バーナーで表面を焙ってキャラメリゼしてみたり。中には、綿菓子を盛った上にソースをかけて溶かすようなものも、世の中にはあるそうです。
     本作『琥珀のまたたき』では、そんな全く違った側面を組み合わせた、“一味違う物語”が楽しめます。シリアスとファンタジー、ポップとダーク、光と影が織りなす、「美しくてキラキラしているのに、ちょっと油断をしたら怪我をするオモチャ」のような味わい。

     夫と別れたママ。彼女は元夫の残した別荘地に子どもたち3人を連れて引っ越します。お話の時系列としては、ここが始まり。
     3人の子供たちはそこで新しい名を与えられて、それぞれ、オパール、琥珀、瑪瑙の名を図鑑から選び取ります。元の名を忘れ、外に漏れない小さな声で生活することを強いられるきょうだいたち。それは、母からの言いつけであり、今は亡き末の四女の命を奪った「魔犬」の呪いから逃れるためでした。

     ファンタジックに紡がれるきょうだいたちの穏やかな日常ですが、裏旋律として流れているのは薄暗い母親の思惑です。これだけ書いてもネタバレに含まないとしてレビューしているのは、本作の魅力が筋書きに留まらず、小川さんのキラキラ味溢れる文体や筆致に拡大しているからと言えます。あっとおどろく仕掛けはないけれど、魅せる文章と感じる雰囲気で楽しむ系統の物語です。

     母は何故、きょうだいを匿うことになったのか?
     琥珀の左目は一体なんだったのか?
     オパールはその後、どうしているのか?

     などなど、明らかにされていないことが多いのも本作の特徴ですが、これは殺人事件でもなければ、七不思議でもないので、あとはご想像にお任せします……ということなのかなと思いました。

     解説を除いて323頁なのですが、その内容の濃密なことといったら。チョコレートケーキをチョココーティングしたよりも甘く、喉を通る時には軽い抵抗を感じるほどです。
     小川洋子ワールドがお好きな方は是非。
     ある意味、「一見さんお断り」な世界観がここには詰まっていると感じました。

    0
    2023年02月06日

    Posted by ブクログ

    埃被っていて薄暗くて好きな世界観。御伽噺ってやっぱりどこか怖いよなと思った。飛蚊症からここまで世界を創ることができるなんて素敵すぎる。

    0
    2022年09月21日

    Posted by ブクログ

    琥珀の中に映し出される繊細で美しい世界。
    少しの綻びが更なる綻びを生んで、元に戻らないからこそ一瞬一瞬が綺麗なんだろうな。

    0
    2026年06月27日

    Posted by ブクログ

    魔犬に襲われると死んでしまうから、決して外には出ないように。
    そう母親に教えられ、箱庭の中だけで生きてきた三人の子どもたちの物語。

    オパール、琥珀、瑪瑙、そしてあの子。
    兄弟愛がなければ、発狂してもおかしくないような環境下で、皆が身体を寄せ合って、ひとつになって静かに生きていた。母親の歪さに気が付いたとしても、ここから出て行くとして、どこでどのように生きていけばいいのかその術を誰からも教えてもらえない子どもたちの無力さが、彼らをこの家に縛り付けていた。琥珀と瑪瑙は外の世界をあまりにも知らなかったから、家に居続けることが当たり前だっただろうが、オパールはきっとそうではなかった。だから、誰かが手を差し伸べてくれるのを自分も知らないうちに待っていたのだろう。

    彼らの家での独特な遊び方が、とても好きだった。オリンピックごっこ。私もやってみたくなる。

    最初から、この暮らしにいつか終わりが訪れることはわかっていた。しかしそれがこんな結末になるなんて。カレンダーに星印をつけた母親の心情を、完全には理解していなくとも、あのXデーに全員が散り散りになったことを思えば、その時点で子どもたちは何か異変を感じ取っていたのではないだろうか。誰も、それを目撃しなくて本当に良かった。

    0
    2026年01月09日

    Posted by ブクログ

    壁の中はとても密かで静かな世界。壁の外の記憶が残っているオパール。何も知らない無邪気な瑪瑙。琥珀はいつの間にか、皆がバラバラにならないように行動していたのかもしれない。

    歪で恐ろしいのに美しくて穏やか。小川洋子さんの作品の魅力。大森静佳さんの解説も素晴らしい。

    0
    2025年08月31日

琥珀のまたたき の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    講談社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    講談社文庫
  • タイトル
    :
    琥珀のまたたき
  • タイトルID
    :
    60011820
  • 電子版発売日
    :
    2018年12月14日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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