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Posted by ブクログ
人の清らかさに裏付けされた慈しみあう気持ちが詰まったおとぎの国みたいなステキな物語だった。
テーマパークにあるような立派なお屋敷で、そこには血のつながった家族だけではなく、邸宅で働く人、一年だけ居候した従姉妹、遠くリベリアからやってきたコビトカバ、老若男女動物までもが等しく愛おしく信頼し合いながら、日常に起こるアトラクションのような大小様々な出来事を共に過ごしていく。
そこには本当の悪魔はいないけど、病気や疎遠など深い悲しみはあって、バラバラになりかけていた家族を居候でやってきた朋子が、時には優しいウソをつき冒険もして、やさしく家族をつなぎとめる。それはミーナがマッチに火を灯す魔法のように、気持ちを取り戻す作業だった。
この本のキーワード的に「2」があるように思う。
ミーナと朋子、ローザ叔母さんと米田さん、コビトカバのポチ子と小林さん、伯母さんと伯父さん、202号室。
お互いに思いやる二人組の関係も特別で唯一無二な関係だった。
ミーナは星をかき集めたガラス瓶からそのカケラを放出するように、マッチで火を灯すように、次世代の子どもたちに絵本という形で魔法をかけてる。
すごくステキな本なのに、読み終わるとその清らかさで心が浄化されて泣けてくる。
どれだけ自分の心が荒んで薄汚れてたんだろうと思う。
実写版にするなら、とっくりさんか龍一さんは寛一郎さんでお願いしたい。
Posted by ブクログ
主人公はごく普通の中学1年生・朋子。家庭の事情で伯父さんのもとで暮らすことになります。
この伯父さん、飲料メーカーの社長でお金持ち。芦屋の洋館で過ごす1年はまさに絵に描いたような夢の暮らし。
しかも母親がドイツ人の伯父さんはイケオジ、その息子・いとこのお兄ちゃんももちイケメン!シャンデリアのお屋敷、池のある広大なお庭…まさに少女マンガの世界。
そしてもう一人のいとこ・ミーナは小学6年生。美少女でか弱くまさに蝶よ花よ。あ〜ハイハイ知ってますこういうの、やっぱマンガだね。と思いきや!
ミーナはバリバリ関西弁、お屋敷の池に住むのはコビトカバ。そしてミーナはそのカバ「ポチ子」に乗って登校(!)するのです。
まてよ、確かおぼっちゃまくんもカメに乗って学校行ってたし、マンガはマンガでもそっち系?
いやいや。
舞台は1972年。昭和47年の空気感が漂う中、朋子とミーナの日常のあれこれがまー愛おしいこと。
登場人物もみんなどこか共感できちゃう。
ミーナが途中で語る物語も、それだけで一冊作ってほしいくらい好みだし、カラーの挿絵も贅沢。
ラスト、そこに至るまでを想像させるポイントがちょこちょこある気がして、思いを巡らせるのも楽しかった。このラストでよかった〜。
Posted by ブクログ
『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』『ブラフマンの埋葬』を過去に読んだことあり。ブラフマンがかなり純文系で、以降あまり手に取らず。久々に手に取った。
いい本だった。やはり作家の書く文章に限る。半端な訳者の文とは読みやすさが違う。
西の魔女よろしく、田舎での素敵な思い出が綴られた形式の作品。日常のちょっとした所作や会話に光を当てて、美しさを感じさせる文章だった。
ちょっと自分でもやってみる。
好きな季節というものが決まっていなかったのだが、今年で明確に「秋」になった。
仕事から逃げるように、金曜日の午前中に、メトロにのって江戸川の汽水域に。太陽光をキラキラと跳ね返す川面を眺めながら、ハゼ釣りを満喫。途中、天気雨に降られたが、日差しを反射して、はっきりと視認できる雨粒が、星のようだった。
今年は秋刀魚が豊作。ラグビー選手みたいなイカつい上背をしているのが、250円くらいで買える。IHコンロに乗せたフライパンで塩焼きに。小さい一人暮らしの部屋、グリルがないのが残念。何回も食ったが、最初に食ったやつが一番美味かった。
海産物のコーナーにいくと、1,000円もあれば贅沢できることがわかる。白子を1パック買って、まるごと白子ポン酢に。臭みがでないように、丁寧に下処理をしてから、九条ネギとポン酢に浸して、缶ビールと。調理の儀式を経ると、自然と食べる頃には、感謝の気持ちが湧いてくる。
サザエも丸ごと2個買って、壷焼きにして食ってやった。友達と行った居酒屋、「時価」と書かれたサザエが、1個2500円。2人でそれだけで5,000円もぼったくられたことを、俺はまだ忘れていない。正しい値段を確かめるように食ってやった。そうだ、お前は2個で700円だ。
ラフランスと柿がスーパーに出始めた。季節が早いから、自宅で追熟。段ボールの中に、まだ色が青いやつらと、リンゴ・バナナを同封しておくと、追熟が促されて甘みが増してくる。毎日箱を覗きながら、今日で10日くらい。ラフランスを一つ頂戴。手間のかかるやつだが、熟したときの甘さと香りはやはり格別。
「日常のちょっとした所作や会話に光を当て」るつもりが、会話など存在しておらず、飯しか出てこない件。
友達と会って、旅行にでも行って、酒を飲みながら、こういう話をしたい、こういう体験をしたい。なぁ。
Posted by ブクログ
朋子が過ごした立派なお屋敷ではないけれど、子どものころ、一時期祖母の家で過ごした日々が、今でも色濃い思い出となっていることを、改めて感じました。
朋子にもミーナにも、伯父や伯母、ローザおばあさん、米田さんに小林さんにも、朋子の母にも、そしてポチ子にも心のどこかに影はあって、それでも、温かく過ごした日々を想像すると涙が滲みます。
そして、いつか来るお別れも、すべてが消え去ってしまうわけではなくて形をかえるだけなのだと思うと、私自身にも必ずいつかは訪れる様々な人との別れ、自分自身との別れ(本作を読んだあとでは、別れという表現は違う気がしますが)が、恐ろしいものではないのかも知れないなと思うことができました。
寂しい気持ちになったとき、また読み返したいと思います。
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