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2007年7月、TOKYO FMでスタートした未来に残したい文学遺産を紹介するラジオ番組『Panasonic Melodious Library』。パーソナリティをつとめるのは、『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』など独特の美しい物語世界をつくりだしてきた、作家の小川洋子さん。小川さんは「この番組は文学的な喜びの共有の場になってくれるのではないだろうか」と考え、出演を決心されました。本書は、このラジオ番組の一年分の放送をもとに再構成したものです。人間が虫になることより、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)、言葉ではできないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)、生産性のない、無目的な旅が持つ自由を綴る『阿房列車』(内田百けん)、「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』など、計52作を紹介。若い人にとっては最高の文学入門、「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。
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Posted by ブクログ
数冊読んだことがあって、基本的には好きな小説家の手による書評集。とはいえ、最初から書評という形を取られていたものではなく、ラジオで話したものの字起こしってことだから、ちょっとニュアンスが異なる。ラジオで流れるってことは、読書家ってよりはもう少し一般寄りの相手が対象となる訳で、それもあってか、選ばれている作品も有名どころが占めることになっている。ブックガイド好きで、それらをよく読む目からすれば、既知・既読作品の割合が高い。かといって、刺激のない退屈な読み物となっていないのは、本書のリーダビリティの高さによるところも大きい。ラジオで話している内容だけに、伝わりにくい言葉は含まれないし、時間制限のある中で魅力を伝えなければいけない分、直達的な表現も多くなっている。回りくどい書評をあまり好まない自分としては、かなり高感度の高い書評集でした。敢えて言うなら、新たな発見は少なかったけど。
Posted by ブクログ
どの本も読みたく&読み直したくなりますが、中でも武田百合子「富士日記」と「山月記」。
「100万回生きたねこ」の章で、佐野洋子さんの言葉として「どんなに幼くして死んだって、それはその子の人生なのよ。それで完結しているのよ」と担当の出版社の人が綴っている、と紹介していますが、ほぼ同じことを確かサルトルが年若い友人が亡くなった時に言っていた、と私は記憶しているのですが。私の記憶が違っているのか、それとも洋を越え時間を越えて、佐野洋子さんとサルトルが同じことを思っていたのか。
いずれにせよ、「100万回生きたねこ」は「生と死を全うした存在として人を見送る」こと、そして生は死を含んで成り立っていることを確かめることが出来る絵本だと思います。とかく”彼女にプレゼントする絵本”などとして紹介されていることが多いですが、とらねことしろねこのラブ・ストーリーはごくごく表面に過ぎないのでした。
またまた本屋さんへ行きたくなる。。。
Posted by ブクログ
心と響き合う読書案内 (PHP新書)
(和書) 2009年09月19日 08:28
小川洋子さんがラジオ番組で本を紹介ものをエッセイ風にまとめたものです。
50冊ほどの本が取り上げられています。
このうち私が読んでいるもの、知識があるものを羅列してみました。
教科書的な作品。
「山月記」中島敦
「羅生門」芥川龍之介
「檸檬」梶井基次郎
「こころ」夏目漱石
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「走れメロス」太宰治
「たけくらべ」樋口一葉
古典文学。
「おくのほそ道」松尾芭蕉
「万葉集」
「枕草子」清少納言
現代作家の作品。
「蛇を踏む」川上弘美
「窓ぎわのトットちゃん」黒柳徹子
「流れる星は生きている」藤原てい
「風の歌を聴け」村上春樹
「死の棘」島尾敏雄
「思い出トランプ」向田邦子
「100万回生きたねこ」佐野洋子
翻訳文学。
「秘密の花園」バーネット
「変身」カフカ
「モモ」ミヒャエル・エンデ
「はつ恋」ツルゲーネフ
「昆虫記」ファーブル
「アンネの日記」アンネ・フランク
「悲しみよこんにちは」フランソワーズ・サガン
「星の王子さま」サン・テグジュペリ
「賢者の贈りもの」O・ヘンリ
「車輪の下」ヘッセ
「夜と霧」V・E・フランクル
「チョコレート工場の秘密」ロアルド・ダール
小川洋子さんが親しんできた本が取り上げられていますが、一般的にこんな本を読んで欲しいという意図で選定されているようです。
高校生や大学生に薦める本として良いものばかりが取りあげられています。
教科書に出てくるような作品も多数収録されています。
翻訳文学が多いと思いました。
小川洋子さんが翻訳文学を読むことで、作品の世界を広げ、小川さんの作品が外国語に翻訳されているのもさもありなんと思いました。
わたしが読みたい本、読み直したい本もたくさんありました。
Posted by ブクログ
自分にとって、こういう読書案内を読む楽しみは2種類ある。1つは、次に読みたい本を見つけること、自分が読んだことがない本で、面白そうな本を見つけること、それが1つ。もう1つは、自分がかつて読んだ本が、どのように紹介されているか、小川洋子さんのような書き手が、それをどのように読んだのかを確かめること、これが2つ目の楽しみだ。
この読書案内で、前者、すなわち、これから読んでみたいな、と思ったのは、大岡昇平の一連の著作、カズオ・イシグロの「日の名残り」、「おくのほそ道」、宮本輝の「錦繍」、島尾敏雄の「死の棘」、アリステア・マクラウドの「冬の犬」、中上健次の一連の著作といったところ。
後者、すなわち、自分がかつて読んで、心に残った本ということで言えば、「朗読者」、「グレート・ギャツビー」、「夜と霧」、「100万回生きたねこ」といったあたりだ。特に「グレート・ギャツビー」は、今年のGWの連休中に読んだばかりなので、まだ記憶に新しい。小川洋子さんは、この本を、「絶望という一点にのみ突き進んでいく悲劇」と紹介している。なるほどな~、と思う。生意気だけれども、「さすがは小川洋子さん」とも思った。ブグログに書いた私の感想のポイントは、「ギャツビーが突き進んでいく悲劇(の物語)」に置かれているわけではなく、ギャツビーという人間そのものに関心があり、そして、筆者は(フィッツジェラルドは)、なぜ、ギャツビーに「グレート」という形容詞をつけているのか、ということだった。もちろん、小川洋子さんの紹介文の方が、この作品の本質を突いているとは思うが、それでも、本の読み方は自由であり、自分のような読み方もあるよねと、あらためて思った次第だ。
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