【感想・ネタバレ】心と響き合う読書案内のレビュー

あらすじ

2007年7月、TOKYO FMでスタートした未来に残したい文学遺産を紹介するラジオ番組『Panasonic Melodious Library』。パーソナリティをつとめるのは、『博士の愛した数式』『猫を抱いて象と泳ぐ』など独特の美しい物語世界をつくりだしてきた、作家の小川洋子さん。小川さんは「この番組は文学的な喜びの共有の場になってくれるのではないだろうか」と考え、出演を決心されました。本書は、このラジオ番組の一年分の放送をもとに再構成したものです。人間が虫になることより、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)、言葉ではできないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)、生産性のない、無目的な旅が持つ自由を綴る『阿房列車』(内田百けん)、「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』など、計52作を紹介。若い人にとっては最高の文学入門、「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

小川先生の書評には、登場人物や作者に対する親しみを感じます。なんというか、本の読み方から純文学というものにどう向き合うかまでを教えてもらったような読後感でした。
僕にとっては通学や仕事の合間という自分だけの世界で、本好きのおばあさんのお話を語り聞かせてもらうひととき。そんな感覚を味わって楽しんでいました。
特に、小川先生のアンネ・フランクに対する感覚はとても素敵です。読書って、ふらっと外に出て、友人がいないか気にしながら歩く散歩のようだと思わせてくれます。
この気持ちをいつでも思い出すために、手元に置いてある大好きな一冊です。

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2020年04月26日

Posted by ブクログ

数冊読んだことがあって、基本的には好きな小説家の手による書評集。とはいえ、最初から書評という形を取られていたものではなく、ラジオで話したものの字起こしってことだから、ちょっとニュアンスが異なる。ラジオで流れるってことは、読書家ってよりはもう少し一般寄りの相手が対象となる訳で、それもあってか、選ばれている作品も有名どころが占めることになっている。ブックガイド好きで、それらをよく読む目からすれば、既知・既読作品の割合が高い。かといって、刺激のない退屈な読み物となっていないのは、本書のリーダビリティの高さによるところも大きい。ラジオで話している内容だけに、伝わりにくい言葉は含まれないし、時間制限のある中で魅力を伝えなければいけない分、直達的な表現も多くなっている。回りくどい書評をあまり好まない自分としては、かなり高感度の高い書評集でした。敢えて言うなら、新たな発見は少なかったけど。

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2019年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好きな作家さんの一人、小川洋子さんのラジオからの
読書案内本。ラジオ、聴きたかった。。

まだ読んでいない本も読んだことのある本も載っていました。
読んでいない本は読みたくなるしすでに読んでいる本は
小川さんはこんなことを考えるんだなぁと思ったり…。

読みたくなった本は複数あるけれど、川端康成「片腕」がダントツです。

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2015年03月14日

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小説家の小川洋子さんによる読書案内。1作品あたり5~6ページで、52作品が紹介されている。
ミヒャエル・エンデの「モモ」、カズオ・イシグロの「日の名残」、ボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」などなど。読みたい本が一気に増えた。
ですます調の優しく語りかけるような文章が良い。自分は本を読んで泣くことが多いほうだけど、本書のような紹介本で泣いたのは初めてかも。

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2013年12月24日

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ネタバレ

今までにない丁寧な紹介文
読みたい本 木を植えた男、銀の匙、思い出トランプ、和宮様御留、長い旅
読んだ本 流れる星は生きている、羅生門、変身、こころ、走れメロス、車輪の下、
大岡正平が奥さんに宛てた遺書には「そなたにはえらい世話になったね。お礼の言葉もないよ」
自分はこれだけのことをやったと自慢してくて、褒めてもらいたくて頑張って仕事をしている人間が多い中で、その成果が見られないことに喜びを感じる。そういう面で、「木を植えた男」は偉大な男です

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2012年04月14日

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ネタバレ

本書で紹介している本のうち、愛読書を一覧にする。
チョコレート工場の秘密
賢者の贈りもの
たけくらべ
星の王子さま
走れメロス
おくの細道
悲しみよこんちには
昆虫記
アンネの日記
はつ恋
こころ
銀河鉄道の夜
モモ
変身
羅生門
窓際のトットちゃん
秘密の花園。

半分はありませんでした。
紹介している書籍を半分読んだら、中身のレビューを書きます。

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2011年12月30日

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どの本も読みたく&読み直したくなりますが、中でも武田百合子「富士日記」と「山月記」。

「100万回生きたねこ」の章で、佐野洋子さんの言葉として「どんなに幼くして死んだって、それはその子の人生なのよ。それで完結しているのよ」と担当の出版社の人が綴っている、と紹介していますが、ほぼ同じことを確かサルトルが年若い友人が亡くなった時に言っていた、と私は記憶しているのですが。私の記憶が違っているのか、それとも洋を越え時間を越えて、佐野洋子さんとサルトルが同じことを思っていたのか。
いずれにせよ、「100万回生きたねこ」は「生と死を全うした存在として人を見送る」こと、そして生は死を含んで成り立っていることを確かめることが出来る絵本だと思います。とかく”彼女にプレゼントする絵本”などとして紹介されていることが多いですが、とらねことしろねこのラブ・ストーリーはごくごく表面に過ぎないのでした。

またまた本屋さんへ行きたくなる。。。

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2011年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
人間が虫になることよりも、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)。
言葉では書けないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)。
「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』…。
小川洋子さんと一緒に、文学の喜びを分かち合いませんか?
本書では未来に残したい文学遺産を52編紹介します。
若い方にとっては最高の文学入門。
「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。
人気のFM番組「Melodious Library」、待望の書籍化。

[ 目次 ]
第1章 春の読書案内(『わたしと小鳥とすずと』金子みすゞ-一個人の感情を越えた寂しさ、切なさ 『ながい旅』大岡昇平-謝罪する時にこそ、人間の本質があらわれる ほか)
第2章 夏の読書案内(『変身』カフカ-人間が虫になる不条理よりも不気味なもの 『父の帽子』森茉莉-父に溺愛された娘の自由自在な精神 ほか)
第3章 秋の読書案内(「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子-男の子なら愛さないではいられないジョゼの女心 『星の王子さま』サン・テグジュペリ-肝心なことはいつでも心の中にある ほか)
第4章 冬の読書案内(『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド-絶望という一点にのみ突き進んでゆく悲劇 『冬の犬』アリステア・マクラウド-厳寒の島に暮らす少年と犬の別れを、淡々と描く ほか)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月21日

Posted by ブクログ

心と響き合う読書案内 (PHP新書)
(和書) 2009年09月19日 08:28
小川洋子さんがラジオ番組で本を紹介ものをエッセイ風にまとめたものです。
50冊ほどの本が取り上げられています。
このうち私が読んでいるもの、知識があるものを羅列してみました。

教科書的な作品。
「山月記」中島敦
「羅生門」芥川龍之介
「檸檬」梶井基次郎
「こころ」夏目漱石
「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「走れメロス」太宰治
「たけくらべ」樋口一葉

古典文学。
「おくのほそ道」松尾芭蕉
「万葉集」
「枕草子」清少納言

現代作家の作品。
「蛇を踏む」川上弘美
「窓ぎわのトットちゃん」黒柳徹子
「流れる星は生きている」藤原てい
「風の歌を聴け」村上春樹
「死の棘」島尾敏雄
「思い出トランプ」向田邦子
「100万回生きたねこ」佐野洋子

翻訳文学。
「秘密の花園」バーネット
「変身」カフカ
「モモ」ミヒャエル・エンデ
「はつ恋」ツルゲーネフ
「昆虫記」ファーブル
「アンネの日記」アンネ・フランク
「悲しみよこんにちは」フランソワーズ・サガン
「星の王子さま」サン・テグジュペリ
「賢者の贈りもの」O・ヘンリ
「車輪の下」ヘッセ
「夜と霧」V・E・フランクル
「チョコレート工場の秘密」ロアルド・ダール

小川洋子さんが親しんできた本が取り上げられていますが、一般的にこんな本を読んで欲しいという意図で選定されているようです。
高校生や大学生に薦める本として良いものばかりが取りあげられています。
教科書に出てくるような作品も多数収録されています。
翻訳文学が多いと思いました。
小川洋子さんが翻訳文学を読むことで、作品の世界を広げ、小川さんの作品が外国語に翻訳されているのもさもありなんと思いました。

わたしが読みたい本、読み直したい本もたくさんありました。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

2009.07.13. とても良質な読書案内。読みたい本がどんどん増えること間違いなし、でした。好きな人の好きな本を追いかけることに、幸せを感じるので。読んでみての合う・合わないは横に置いといて。

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2010年03月20日

Posted by ブクログ

FMラジオ番組の書籍化とのこと。春夏秋冬の本の案内と巻末に放送時のBGM掲載。小川さん独特の読み方、感性がステキ。これを読むと名作にも手が出そう。20090526

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

自分にとって、こういう読書案内を読む楽しみは2種類ある。1つは、次に読みたい本を見つけること、自分が読んだことがない本で、面白そうな本を見つけること、それが1つ。もう1つは、自分がかつて読んだ本が、どのように紹介されているか、小川洋子さんのような書き手が、それをどのように読んだのかを確かめること、これが2つ目の楽しみだ。
この読書案内で、前者、すなわち、これから読んでみたいな、と思ったのは、大岡昇平の一連の著作、カズオ・イシグロの「日の名残り」、「おくのほそ道」、宮本輝の「錦繍」、島尾敏雄の「死の棘」、アリステア・マクラウドの「冬の犬」、中上健次の一連の著作といったところ。
後者、すなわち、自分がかつて読んで、心に残った本ということで言えば、「朗読者」、「グレート・ギャツビー」、「夜と霧」、「100万回生きたねこ」といったあたりだ。特に「グレート・ギャツビー」は、今年のGWの連休中に読んだばかりなので、まだ記憶に新しい。小川洋子さんは、この本を、「絶望という一点にのみ突き進んでいく悲劇」と紹介している。なるほどな~、と思う。生意気だけれども、「さすがは小川洋子さん」とも思った。ブグログに書いた私の感想のポイントは、「ギャツビーが突き進んでいく悲劇(の物語)」に置かれているわけではなく、ギャツビーという人間そのものに関心があり、そして、筆者は(フィッツジェラルドは)、なぜ、ギャツビーに「グレート」という形容詞をつけているのか、ということだった。もちろん、小川洋子さんの紹介文の方が、この作品の本質を突いているとは思うが、それでも、本の読み方は自由であり、自分のような読み方もあるよねと、あらためて思った次第だ。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

ラジオ番組だったものを文庫化されたもの
もう番組が終わってしまっているのが残念… 紹介されている中では特に古典を読んでみたくなった。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

ラジオ番組メロディアスライブラリーで紹介された本をまとめられた最初の本。
読んだことのあるものあり、ないものあり。

出来れば手元に置いて読書の参考にしたいかな。

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2022年05月12日

Posted by ブクログ

読んだことある本だけ読んだ。
新しい視点がかかり面白かった。
他に取り上げられている本も読んでみたいと思い。メモを取った。

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2017年12月15日

Posted by ブクログ

春夏秋冬と別れて編集されているが,そこがちょっと引っかかるところもあるけれど,取り上げられている作品と内容に頷いたり気付かせられたり,覚えていない本を思い出したり思い出せなかったり,読んでない本は読もうと思ったり,とても楽しい気持ちにさせてもらいました.

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2016年03月16日

Posted by ブクログ

広くいろんな本を紹介している。

今まで近寄らなかった分野の本もいろいろあり,
これを参考に読んでみようかなと思う。

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2012年02月14日

Posted by ブクログ

読書案内が好きである。取りあげられた作品と紹介者の魅力が同時に伝わるから。
大好きな『銀の匙』『山月記』『100万回生きたねこ』それから強く惹かれる『死の棘』など興味を持って読んだ。
評価の高い『富士日記』はいつか読んでみたい。

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2012年01月09日

Posted by ブクログ

読書案内というタイトルにふさわしい語り口とラインナップだろう。でてくる本全てを手にとってみたくなる。小川さんのジャンルを問わない読書姿勢はみならわなくっちゃなあ。

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2011年12月29日

Posted by ブクログ

作家小川洋子が52タイトルの文学作品を紹介している。それぞれの作品が如何に心に響くのかを丁寧に綴っている。
『博士の愛した数式』『猫を抱いて像と泳ぐ』などの著者である小川洋子が「未来に残したい文学作品」を紹介するラジオ番組で取り上げた作品の読書案内を本にしたもの。作家としての小川洋子の視点からそれぞれの作品について、その内容だけではなく、読み方、読みどころなどが語られており、作品に対する深い共感と愛情が読み取れる。取り上げているのは『万葉集』『たけくらべ』『銀河鉄道の夜』『こころ』『蛇を踏む』『悲しみよこんにちは』『変身』『星の王子さま』『朗読者』『夜と霧』など52の作品。既に読んだことがある作品も、この読書案内を読んだ後でもう一度読み返したくなる。巻末に番組で放送された曲のリストも載っている。

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2010年07月15日

Posted by ブクログ

〝心と響き合う〟ってのがピッタリな小川さんの読書案内。
名作と言われてる作品が多いんですがずっと以前に読んだことのある作品は再読したくなり、まだ読んだことがない作品は読んでみたくなるそんな気持ちにさせてくれる贅沢で芳醇な読書紹介本でした。

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2009年11月08日

Posted by ブクログ

09.08
木を植えた男
風の歌を聴け 春樹
日の名残り カズオイシグロ
富士日記  武田百合子

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2009年10月07日

Posted by ブクログ

まず購入する前に、この本で紹介されている本をどれだけ読んだことあるのかを数えました(半数強はあったので、安心)。

モモと山月記に関するところでは少し目からウロコ。
若干??と思える箇所(漱石の「こころ」とか)があったけれど、でもそれも作者が「反論OK」みたいなことを言っているので安心して読めました

現在周りに本の話をできる人がいないので、この本を読めて結構リラックスできました。
他にこの手のような本はないのかな??

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2009年11月01日

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本を紹介する本が好きで、また自分が読んだ本をプロの作家はどのように評価したり感じたりしているのか知ることができてなかなか面白かったです。
今後の読書の参考にできる本でした。

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2020年09月10日

Posted by ブクログ

既読は16冊だった。「モモ」「銀河鉄道の夜」「家守綺譚」「星の王子さま」は大好きで購入した本なので載っていて嬉しかった。いろんな本の紹介を読むと、どんどん読みたい本が増えていく。嬉しいような大変なような。知ってる本の紹介も、小川さんはこういう風に読んだんだな、とわかって面白い。

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2016年04月09日

Posted by ブクログ

FMラジオ番組『Panasonic Melodious Library』で、著者が1年間にわたって紹介してきた文学作品の解説をまとめた本です。

やさしい言葉で作品の魅力が語られていて、つい手を伸ばしたくなります。『万葉集』のような古典から、ロアルド・ダールの『チョコレート工場の秘密』のような児童文学まで、ヴァラエティにも富んでいますが、いわゆる「名作」に偏りすぎのような気がしないではありません。もう少し、語り手である小川洋子本人のことが見えてくるような、個性的なセレクションを期待していたので、ちょっともの足りない印象もあります。

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2014年06月28日

Posted by ブクログ

読書幅が広くて、できれば見習いたいと思う。

読んだことのある本、だいたい実家にある本で実家に帰りたくなった。
とりあえず手元にある「風の歌を聴け」を読み返そうかな。

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2013年03月01日

Posted by ブクログ

人間が虫になることよりも、さらに不気味な不条理を描いている『変身』(カフカ)。言葉では書けないことを言葉で書いた『風の歌を聴け』(村上春樹)。「自分のために詠まれたのでは」と思える歌が必ずある『万葉集』……。
小川洋子さんと一緒に、文学の喜びを分かち合いませんか?本書では未来に残したい文学遺産を52編紹介します。若い方にとっては最高の文学入門。「本の虫」を自認する方にとっては、新たな発見が必ずある作品論です。
人気のFM番組「Melodious Library」、待望の書籍化。

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2012年07月28日

Posted by ブクログ

「博士の愛した数式」の小川洋子さんがおすすめする、未来にのこしたい52編のお話。これから本の世界に踏み出す人にも、読書好きの人にも、とっておきの読書案内です。本の魅力を存分に伝えてくれて、信頼できる案内人と文学のよろこびを分かち合う一冊。夏の読書の参考にどうぞ。

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2009年10月04日

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