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Posted by ブクログ
平松洋子さんと小川洋子さん、2人の洋子さんが、各章のテーマに沿った心に残っている本を挙げて対談する対話集。本の紹介のようにもなっていて、読みたい本リストがまた増えました。
特に心に残っているのは、「人生のあめ玉」の章。親と子どもとの関係で、子どものかわいらしさの記憶、そう言うものが5つでもあれば、記憶のあめ玉のように何百回とむいてなめる、というくだり。小川さんは、「叶姉妹よりママの方がかわいいよ」と言ってくれた息子さん。平松さんは、娘さんのおやつに置いておいたパンを、おいしいからお母さんにも食べてもらいたくて、ほんの少しパンを残して覚えたてのひらがなで「たべてね」と書いてくれた娘さん。そのエピソードだけでもちょっとウルウルしてしまう。
私も子が中高生になり、悪態をつかれることもあるけど、確かにこういうあめ玉みたいな記憶はあって、その記憶に支えられているところがあると感じます。子どもが小さい時は本当に大変だったけど、こんなふうにいつまでも私の記憶に彩りを与えてくれるものなんだ、と言うことを文章で表現してもらった気持ちです。
Posted by ブクログ
同世代、同郷(岡山)で、名前も同じ「洋子さん」はともに文筆業。無類の本好きだった2人は、どのように本を読み、どんな本に背中を押され、今が形づくられたのか…。時代を分け、思い出深い本のリストを公開し合い、対話していきます。
2013,2014年の文芸誌掲載と「語りおろし」で、意外にもゆっくり話すのは互いに初めてとのこと。少女時代〜思春期〜家を出る…と続く5章構成で、各章末にオマケの対話、巻末に〈人生問答〉が付録されています。
語るほどに2人の距離が縮まり、親しみやすい素が晒され、文学以外の話題にも花が咲きます。が、やはり深いのは自身の創作(小川さんの物語の種)やエッセイ(平松さんの記憶の断片)を生み出す言葉へ想いです。
特に小川さんの、旅が大嫌いの出不精を自認し、(アンネ・フランクへの思い入れも)動きたくとも動けない人へ共感し、閉じ込められている人に興味があるとの話に、そういうことか!と納得です。
また、2人がこれまで心酔してきた本がたくさん取り上げられているので、ブックガイドの側面もあって、また読みたい本が増えます笑。
2人の生育歴や人生観、日常のこだわりなど、魅力的な情報が満載でした。特に、さり気なく散りばめられた創作に関わる部分は、2人の各作品の背景を補足してくれるような対話集でした。
Posted by ブクログ
本の中で特に印象的だったのが、藤沢周平さんの『海鳴り』について語られた、平松洋子さんのこの一文です。
「自分が相手に対して無垢であれば、相手も鏡のように何かを返してくる」
大人の恋愛や男性の哀愁を描いた物語の奥にある、人と人が向き合うときの誠実さや「無垢さ」をすくい取ったこの言葉に、ハッとさせられました。
他にも、西原理恵子さんの『パーマネント野ばら』をはじめ、『いやいやえん』や『アンネの日記』など、普段の自分なら通り過ぎていたかもしれない本がたくさん紹介されています。今まで小説を中心に読んできた私ですが、この本をきっかけに全く違う「新しい読書のセカイ」が開けていく感覚にワクワクしました。
Posted by ブクログ
小川洋子さんは岡山市朝日高校出身、内田百閒の居た古京町の隣の森下町で生まれたらしい。夕方5時、県庁のドボルザークの「家路」放送で家に帰るのは、あの街だけの特権だった。さらには、やがてしばらくは倉敷市に住んでいる(「玉島に10年住んでいた」というのは異議がある。倉敷市鶴の浦は玉島ではない)。平松洋子さんは、なんと倉敷市中島の出身、私より2歳上だから、何処かですれ違っていたかもしれない。渡辺和子学長がいた頃のノートルダム精心高校の出身。
この本は、2人の洋子さんが、少女、大人の女性、その他人生の中で読んできた愛読書を持ち寄り、お互い読んで、お互い感想を出し合うというもの。本の世界は、ワールドワイドなので、倉敷市なんて関係ないのではあるが、時々ふと「共通の話題」として出てくるのが、とっても嬉しい。
2人と私の興味関心は違うので、2人の提出した34冊のうちに、私の既読は(映画「道」を含む)3つだけだった。それでも、本が好き、という共通項があるので、ひとつひとつがとても面白かった。また、年代が似通っていることもあって、高度成長期に大人になって、歴史の激動に揺さぶられることなく、穏やかに読書を通してアイデンティティを確立してきた我々の世代を説明されていたような気もした。
反対に言えば、穏やかな環境に居ても、人生にきちんと向き合えば、世の中の大切なことは理解するということなのだろう。
以下私的メモ。
⚫︎(平松)英語詩集の翻訳ノートを作っていた。一人遊びとして楽しかった。
⚫︎忘れられない味(平松)宇高連絡船の立ち食い讃岐うどん「いまだに死ぬ前はあれを食べたい」(小川)年一回の天満屋屋上のカレーとか、お子様ランチ(←支持!)
⚫︎「道」のジエルソミーナは、ほとんど「ザンパノ」しか言っていなくても、彼女の瞳を見ていると心の動きは全部わかる。類人猿の中でヒトが1番白目がハッキリしている。心の内を読まれないように、ヒトは言葉を編み出したのか?(ウソは言うな、と子供の頃から教えられるけど)ヒトは先天的にウソをいうようになっているらしい。(平松)誰かと理解し合いたいのにどうしても出来ない絶望感とか諦めは、誰もが経験する。
⚫︎『美食放浪記(檀一雄)』「岡山はまた、ちょっとした食堂や酒の店に、必ずといってよいほど『雑煮』を売っている」「雑煮の具はブリであり、サワラであり、エビであり、穴子であり、カマボコであり、春菊であるが」あゝこういう雑煮だったな(平松)。(←コレ岡山市の雑煮だな。今では売っていないんでないかな)
⚫︎旅について(小川)日常生活の中でとりこぼしている偶然が、必然として育っていく(平松)ある意味、自分のあり方の訓練。「これだ」と思った瞬間に感知する力。
⚫︎豚コマワンパック何を作るか?(平松)細かく刻んで肉味噌。(小川)豚汁
⚫︎日々の習慣(平松)1時間20分、一万歩のウオーキング8年間(小川)50分ほどのスロージョギング3年間。
⚫︎自分に許している贅沢(小川)本の値段を見ない。和菓子「空也」のもなか。(平松)週一二回ステーキ(ランプ肉)
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