人々の悩みに寄り添い、個人の物語に耳を澄まし続けた臨床心理学者と、静謐でひそやかな小説世界を紡ぎ続ける作家。二人が出会った時、『博士の愛した数式』の主人公たちのように、「魂のルート」が開かれた。子供の力、ホラ話の効能、箱庭のこと、偶然について、原罪と原悲、個人の物語の発見……。それぞれの「物語の魂」が温かく響き合う、奇跡のような河合隼雄の最後の対話。
Posted by ブクログ 2021年10月01日
河合隼雄という人物に触れなかった人生が恥ずかしい…。文化界の大家であると、経歴を見ずとも実感させられた。"おひさまにあててポカポカふくらんだ座布団のよう"な人。
対話集なので軽やかにさらさら読めるが、さらさら素通りすることはできない言葉が詰まっていた。
小川洋子、河合隼雄ともに...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年03月22日
小川さんの『アンネ・フランクの記憶』の後に読むと、なおさら心に入って来る。小説家とカウンセラー、職業は違えど、「物語について、これほど柔軟で、どんな人の心にも寄り添える解釈を示したのが、作家でも文芸評論家でも文学博士でもなく、臨床心理学の専門家であったというのは興味深い事実」と小川さんも記している。...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年10月10日
裏表紙にある通り河合隼雄さんの最後の対談なのだと認識して読み始めたはずなのに、終わりに差し掛かる頃にはすっかり頭の隅っこの方に追いやってしまっていたようです。「また今度」と手を振った直後に死を思い出した(?)とでも言えばいいのか、強烈な余韻の中に取り残された気分です。ハリーポッターのシリウスかダンブ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月09日
臨床心理学者 河合隼雄先生と小川洋子さんの間で2005年と2006年に行われた対談。河合さんは2007年に死去され、氏にとって最後の対談となった。小川さんの長い後書きによると、本当は続きがあるはずだったらしく残念。
箱庭療法、源氏物語など、いろいろな話題から物語とは何かを語っている。カウンセリングで...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月05日
似たような悩み、同じ病状、同じ類型であっても、そこに至るルートには独自性があって。
その解決に一定のパターンがあっても、至る思考ルートには独自性がある。
どこの視座に立つか。マクロに見ればどんなこともパターン化する。ミクロに見れば独自性はある。物語とはミクロなものです。「人間」が主語の物語が面白...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年02月27日
臨床心理学者の河合隼雄先生と人の心を描き続ける小説家小川洋子が『博士の愛した数式』を皮切りに様々なテーマについて語った対談集。
各ページのやり取りに心がポッと温かくなります。
長い本ではないので、割とすぐに読めます。
要約やかいつまんでの書評はできない内容ですが、自分の人生を物語として捉えるのっ...続きを読む