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村上春樹が語るアメリカ体験や1960年代学生紛争、オウム事件と阪神大震災の衝撃を、河合隼雄は深く受けとめ、箱庭療法の奥深さや、一人一人が独自の「物語」を生きることの重要さを訴える。「個人は日本歴史といかに結びつくか」から「結婚生活の勘どころ」まで、現場の最先端からの思索はやがて、疲弊した日本社会こそ、いまポジティブな転換点にあることを浮き彫りにする。
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Posted by ブクログ
暴力、そして『ねじまき鳥クロニクル』の副読本 ユングとか河合隼雄とかの怪しさはいったん脇に置いておきます。 村上春樹の無意識的・形而上的な創作技法が多少なりともつまびらかにされてをり、それは氏には珍しく赤裸々に開陳されたものだと思ふのです。 特にこの対談のメインとなってくるのは、暴力についてで...続きを読むす。それは氏が『ねじまき鳥クロニクル』を書き終へたばかりといふのもあるし、それが氏にとって体から出てきた(頭で考へただけではない)物語だからです。 同じく暴力を扱った作家として、村上龍と大江健三郎の名前もすこしだけ出てきます。 河合隼雄の心療経験の話が面白く、それがうまく村上春樹と噛み合ってゐます。河合が接した患者の心療経験から導き出される普遍的らしい真理に、こちらもなんとなく惹かれてしまひさうになる。 もちろん眉に唾をつける話もあるわけです。 たとへば河合さんは、日本の私小説は世界に受け入れられないと書いてるわけですが、それは違ふと思ふ。なんとなれば、最後の方で河合さんは自分から矛盾したことを言ってゐるわけですから。《あと、ぼくの場合は、一人の人間のことに必死になっていたら、世界のことを考えざるをえなくなってくるんですね。結局、深く病んでいる人は世界の病いを病んでいるんですね。》 なにより村上氏の政治的スタンス(むしろそれは暴力にたいするスタンス)は、ほかの文学者とは乖離した価値観がありました。反核宣言も、だれも痛みを引き受けてゐない。とかれは言ってゐる。 要するにそこには、他者の痛みを自分のものとして一旦捉へる、さうして納得できてはじめて行動できる。といふ態度です。 現在の村上氏ののらりくらりとした対談の状況(それはたとへば川上未映子氏との対談ですが)をみれば、☆5にする価値はあるのではないか。とさう思ひました。
久しぶりの再読。3回か4回目かというところで、今回が最も理解できたと思う。 私自身の年齢が半世紀近くなったからか、夫婦についての話題に釘付けだった。これからどうしていこうかな。その決断のためにまだまだ読むべき書籍が沢山ある。
誰しもが少なからず、精神的な病、瑕疵やしっくりこないことを持っていると思うのですが、この本にはそういったものを解消したり、緩和したりするためのヒントが書かれているように感じました。
村上春樹作品は今まで1作しか読んだことなく、これまでストーリーテリング=小説と思っていた私には、何が何なのかよくわからず終わってた。大きく今見方が変わった気がする。 心のタガが少し外れた。 生きるとは自分の物語をつくること、につながった。 2016.6.12 もっとずっと読んでいたい対談だった...続きを読む。お二人の対話で話題は全然関係ないのだが、自分の深い部分が癒やされていくという感覚がある。 最初に読んだ時から今までの間に村上春樹の本は随分読んだ。 夫婦とは井戸堀りというのと暴力性についての項が響いた。 2023.10.7 再読。この対談が書かれたのが30年前。村上氏のこれから暴力の時代がくるのではないか、という予見に驚く。サステイナビリティなんて言葉がそこら中で聞かれるようになって、温暖化とか明確に直面している問題にも小手先やらパフォーマンスの対応ばっかで全然歯止めが効いてないし。ほんと、これからどうなるんでしょうねぇ。私個人がそう思うことも時代の憂いなのかな。 2024.6.22
心理学フィールドにいる私にとって河合隼雄の存在感は大きく、言わずもがな現代における村上春樹の影響も大きいわけで、この本が1998年に出版されたということに気づけなかった。 スマホも、(少なくとも今のような)インターネットも無い時代で、コロナの経験も持ち合わせていない。対談の中で掘り下げられる生き方...続きを読むは、今のそれとは大きく違う。そして何より大きな違いは、当時の「臨床心理士」、心の専門家の社会の中での位置付けかもしれない。人のあり方を、心や行動に還元せずに全体として、あたかも唯一の答えがあるかのように語り得る専門家が、この時代には存在していたのだろう。 時代を超えて読みに耐える普遍性を携えた一冊に見えて、案外この時代、この瞬間にしか生まれ得なかった奇書なのかもしれない。
知の巨人二人の対談であるので、 正直言って分かったような分からぬような部分も多々ある。 が、そのように「なんとなく分かるような気がする」という感覚も時には重要だろう。 30年近く前の本であり、 内容的には阪神大震災やオウム事件を多くクローズアップしているが、 現代日本の諸問題の多くはすでにこの頃に...続きを読む始まっていた。 曖昧さを良しとする情緒的な日本文化と、論理的なアメリカ文化。 夫婦関係、箱庭療法に対する姿勢、言語の持つ力など、 お二人はさかんに2つの文化の違いを強調するのだけれど、 私は実は似ているのではないか、という気もしている。 ただし、空気に支配される日本がより問題なのは明らかだ。
村上:ほくは夢というのもぜんぜん見ないのですが 河合:それは小説を書いておられるからですよ。谷川俊太郎さんも言っておられました、ほとんど見ないって。そりゃあたりまえだ、あなた詩を書いているもんって、ぼくは言ったんです。 村上:夢を見ないものなのですか、別の形で出していると。 河合:やっぱり見にくいで...続きを読むしょうね。とくに「ねじまき鳥クロニクル」のような物語を書かれているときは、もう現実生活と物語を書くことが完全にバラレルにあるのでしょうからね。だから、見る必要がないのだと思います。書いておられるうえにもう無理に夢なんか見たりしていたら大変ですよ。 創造力が必要な職業の人とは逆に、きつい現実社会にいる職業の人も夢をみない(覚えていない)らしい。中間の、われわれみたいのが夢をみるんだな。
本書のオリジナルは平成8年発行のもの。平成8年は、1996年なので、もう30年近く前のことだ。 今は既に亡くなられている、河合隼雄先生に村上春樹が会いに行き、色々と話をするという建てつけの対談集だ。 河合隼雄先生の、「人生の達人」感と、村上春樹がふと洩らす、創作の方法論や悩みが興味深い。かなり、「深...続きを読むい」対談だと感じた。読み物としても、面白い。
個人を突き詰める欧州・米国に精神を追いつめられた人が多いというアイロニーの指摘、なかなかに興味深いです。 さらに進めば相対的存在としての神を据える構造の検討にも行きそうで極めて奥深いポイントかと。
河合隼雄と村上春樹がアメリカで行った対談の記録。河合隼雄はユング派だけあってホーリズム的な傾向が強いのだけれど、村上春樹は作家だけあって言語的に理解していこうとする。とはいえ村上春樹もすべて言語に依存して把握しようとする人でもなく言語や精神を支える身体感覚を大切にする人なので、河合隼雄とは波長があっ...続きを読むて会話が弾んでいる感じが伝わる。 対談のタイミングが『ねじまき鳥クロニクル』の発表直後だけあって、ねじまき鳥の話が多い。また湾岸戦争やオウム事件との時代的な近さも感じる。ねじまき鳥で暴力や歴史というものが前面に出てきており、その理由を村上春樹は河合隼雄との対話の中で見い出そうとしているようにもみえる。 短いけれど読み応えのある対談集だと思う。
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村上春樹、河合隼雄に会いにいく
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