玄侑宗久の一覧
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ユーザーレビュー
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:最も強い主体性は完全な受け身である
荘子の最大の関心ごとは主体性であった。逆説的だが、自分の外側で起こる変化を全て受け入れられる柔軟性を持ち、完全に受け身に徹した時こそ完全な主体性を得ることが可能なのである。精神分析学においても、完全に身を任せられることが完全な主体性の確立であるとされているとい
...続きを読むう。
この受け身の姿勢は、一般的に「待ち」の姿として理解されているものとは似て非なるものだろう。なぜならば、完全な受け身の姿勢においては常に変化に合わせて動かなくてはならず、何かを待っていることなどできないからである。つまり受け身でいるというよりは、流れに逆らうような意識がないから上手く流れ流されることができるという、無意識の状態が受け身だと表現されているのだろう。一言で言えば無意識に能動的であることこそが完全な主体性なのだ。
:「遊」の境地
遊とは時空間に縛られない世界のこと。老子から受け継いだ道と違い、荘子独自の概念である。これは名人と言われる人たちが行き着く境地で、一言で言えば無意識にできてしまうことである。そして何かを無意識にできるようになるには反復練習をするしかない。理屈を忘れるほどの反復練習によって到達できる無意識の境地が遊である。そしてこの境地がありのままでいるということなのである。
:フロー
遊の境地に至る反復練習は、知性や理性を抑制する。受け身ではなく、能動的に本気で反復練習を行うことで、この境地に達することができる。このような没我の時間は今風に言うと「フロー」である。これは歓喜を伴うクリエイティブで想像力豊かな時間だ。そして自己の狭い視野を破る訓練(反復練習)によって、私たちは驚くほど平静に変化する世界を眺められるようにもなる。読書はこのような自己の視野から抜け出すことを助けてくれる。
なぜそんなに努力家なのか?と周囲から恐れられているのに、本人は全く努力だと思っていないということはよくある。おそらく努力は意識的であるのに対して、反復練習(継続)は無意識的な遊びなのである。両者の認識の違いは行為の継続に意識が介入しているかしないかということなのだろう。
:総評
荘子の思想の概観ができる良書。また近年注目が集まる「フロー」やマインドフルネスなどの現象に、科学的な側面からではなく思想的な側面から光を当てている点は評価されるべきだろう。従って荘子の入門書としてだけではなく、自己啓発の書としても楽しむことができる1冊である。
Posted by ブクログ
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般若心経の訳本として分かりやすい。仏教の基本知識である四諦や十ニ縁起、六根、六境についても説明がある。
また、音唱することこそが、本来の意義であることも書かれており、実践の道を示してくれる良書。
Posted by ブクログ
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#史上最強の哲学入門 から興味を持った #荘子 について分かりやすいかと思い、購読。TVの4回放送のテキストが元なので、TV観てないと少々分かりづらくは感じた。
時代も場所も違うところで、同じようなことを言っているのが哲学の面白さというか、突き詰めると同じところに行き着くのかなと思う。
#胡蝶の夢
...続きを読むは自分の存在すら疑問を持った #デカルト の #我思う、ゆえに我あり だし、 #蝸牛角上の争い は全てのものに意味などないと言い切った #ニーチェ かな。
荘子の何がすごいって、デカルトやニーチェよりも全然昔の人だってこと。東洋の哲人たちは本当にすごい。
Posted by ブクログ
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玄侑宗久『光の山』新潮文庫。
福島県三春町在住の僧侶作家による東日本大震災後の苦難に満ちた人びとの日常を描いた短編集。三春町の小さな本屋のご当地作家コーナーで目にし、手に取った。珠玉の7編を収録。
『あなたの影をひきづりながら』。僅か5ページの掌編ながら、震災後の人びとの苦難を凝縮した作品。震災
...続きを読むが引き裂いた若い男女……作中に描かれた「なんにもなぐなっちまった」という登場人物のお爺の言葉は震災直後に気仙沼の鹿折地区を見て、思わず自分が口に出した言葉と同じであった。
『蟋蟀』。震災で生き残った者の心の傷。老いた者も、若者も同様に心の傷を引きずる。蟋蟀たちの鳴き声は思い半ばにして亡くなった者たちの哀しみの声か……
『小太郎の義憤』。震災の津波で行方不明になった主人を捜すためにDNA提供に警察署を訪れた妻子。何ともやるせない。しかし、そういう哀しみも含めて人生なのだということを理解しているかのように幼い関口小太郎はまた少し成長する。
『アメンボ』。原発事故で放射能という見えない恐怖に怯えながら暮らす日々。見えない恐怖は家族をも引き裂く。普通であれば倒産しているはずの東京電力が大量の税金を吸い上げ生き長らえている一方で、放射能被害により故郷を離れざるを得ない人びとが大勢いるという矛盾。
『拝み虫』。癌で余命幾ばくも無い山口は仮設住宅のプランターにカマキリを見付け、その拝むような姿に津波で失った妻の聖子を重ね合わせる。何時しか訪れる自分の死期と低線量被爆の中に未来を見出だそうとする若者……
『東天紅』。津波が迫り、原発事故が起きても訳あって避難出来ない夫婦の元に久し振りの珍客が訪れる。二人の元に東天紅という鶏はどこから迷い込んで来たのか……
『光の山』。表題作。東日本大震災、東京大震災後を描いた筒井康隆のSFのような問題。ユーモラスな雰囲気の中に怒りを感じる。未だに続く除染作業とそれに伴う汚染物質の置場探し。
東日本大震災と福島第一原発事故から9年が過ぎて日本の国土を放射能により汚染させた東京電力も、東京電力の恩恵に預かっていた関東の住民も放射能汚染など無かったことにしようとしている雰囲気を感じる。新型コロナウイルス感染拡大を受け、東日本大震災の追悼式は中止しても、東京オリンピックを開催しようとする政府の矛盾。日本はとても良い国になったものだ。
本体価格460円
★★★★★
Posted by ブクログ
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ここ最近読んだ新書の中ではベスト。禅に関する基礎知識はほとんどないが、平易な文章で書かれており、十分理解できる。日日是好日、無可無不可、遊戯三昧などは言葉としては知っていたが、改めてその解釈など非常に自分の中に入ってきた。また禅の考え方の限界なども記されており、非常に好感が持てる。
Posted by ブクログ
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