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さびれた南部の町で暮らすアミーリアは、言い寄る男に見向きもせず、独身で日用品店を営んでいる。ある日彼女のもとに背中の曲がった小汚い男が現われた。町中が噂するなか、どういうわけか彼女はこの小男に惚れこみ、同居してカフェを始める。そこにアミーリアの元夫が刑務所を出て帰還。奇妙な三角関係の行方は――。
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Posted by ブクログ
読みたかったカーソン・マッカラーズの『悲しき酒場の唄』が 村上訳で読める日が来るとは! それも山本容子さんとの素敵な物語絵本になって なんという話しなの! という感想に尽きます 全てが変わっている 春樹さんはこの中編小説をできれば他の短編と合わせずに一冊の独立した本にしたかったという それも絵...続きを読むをつけた一冊に。 となるともう 私たちも山本容子さんしか浮かばない。カポーティの本たちと同じように。 それにしても、江國香織さんも書いておられるように、こんなに描いてしまっていいの?ミス・アミーリアを、カズン・ライモンを? と思わずにはいられない。 けれど…このあまりにも新鮮?斬新?な物語だからこそ、いいのだ。 「いいのだ、とこれを読んで私は納得した。ひらかれるというのはたぶん、通路ができるということなのだろう。その通路から、小説世界そのものが迫ってくる。この小説の持つ閉鎖性もわかりにくさも、閉鎖的なままわかりにくいまま、肌のすぐそばまで迫ってくる」 のだ。 『波 2024/10』より 江國さんのおかげでそう思えました。 マッカラーズといえば、南部の裕福でない白人と黒人との関わりみたいなものをあったかく描くイメージ 今作も小間使いで料理人のジェフが美味そうな肉を焼いていた。 旧作を読んだ先輩から、「え?カフェ?酒場というイメージよ」と聞いていたので、古い書庫から旧版を引っ張り出して比べるも、 酒場です。カフェの意味が日本とはちがうので原文のタイトルもcafeですし、春樹さんと山本容子さんの本には カフェ が合っているのでは… 名前の発音の違い、"せむし"という言葉をあえてつかってるところなど違いもありますが、それぞれですね。
タイトルで「哀しい」と言ってしまっているので、出オチしているようなのってどうかな?と思いつつ読んだ。杞憂でした。こんな余韻の話は初めてかも。あとがきで村上春樹さんも書いていたけれど、登場人物のどれにも共感できなくて、突き放されたような印象を受けた。でも、それがよかった。どうにもできない渦に巻き込まれ...続きを読むていくような、不条理を目の当たりにするような、少しだけ心地よい虚脱感も感じながら一気に読み終えた。
訳者違いの再読。 再読って初めてかも知れない。 でもよかった。 時に人物の気持ちが分からない。 でも人ってそんなもんじゃないかと思う。 全てが合理的で他から見て分かりやすくて…みたいな人なんていない。 それぞれに葛藤やら鬱屈やら抱えてどうにかこうにかつじつまを合わせたり、合わなくなってぐちゃぐちゃに...続きを読むなったりしながら生きている。
「愛されるもの」の立場と「愛するもの」の立場。 両者の立場が移り変わりながら、その哀しさと憎しみが描かれた物語。 登場人物たちは、みな異様で素直に共感することはできず、ゆえに、箱の中の出来事を見ているような感覚になる。 けれど、そこで繰り広げられている愛憎は、「愛」の難しさ、他者を理解することの困難...続きを読むさを語っている。 哀しいけど、涙がでたり、胸が激しくしめつけられたりするわけではない。 ただ、淡々とした哀しみだけが残る。
村上春樹氏の訳というので、初めてマッカラン氏の作品を読んでみました。 なんというか話自体は救いようのないようなものですが、村上春樹氏があとがきで書かれているように、「愛」を真摯に求める心の有り様であり、マッカラーズ自身の孤独な魂の反映なのかなと思うのでした。 主な登場人物3人の深い欠落と矛盾に苦しみ...続きを読むながらも必死でもがいてる姿は、現代でも、世界のどこにいても同じなんだと感じ入ることが出来ました。
詩情溢れるメルヘン。そして残酷なラブ・ストーリー。 タイトルに“ballad”とあるとおり、人々が口伝えに繰り返し語り継いできたドラマに耳を傾けているかのよう。 冒頭でいきなり悲劇の結末は明かされる。 うらぶれた田舎町に住む、吝嗇で癖が強いが一目置かれてもいる人物であるミス・アミーリアに起きた、こ...続きを読むれまた風変わりな愛の行方と破局の物語だ。 なにもないいつもの夕方、訪ねてきたよそ者との出会いによってミス・アミーリアが変わり、その熱が生む磁場に引き寄せられるように町の住民も変わっていき、物語には幸福と高揚感が満ちてくる。 しかしそれと同時に、きっとなにかが起きるに違いないというカタストロフィの予感と緊張感がじわじわと張り詰めてゆく。 そして不幸の種が蒔かれる。ここからは、どのように悲劇が起きるのかというクライマックスに向けてギュッと引き込まれてゆく。 そして結末の驚きと、あっけなくもたらされた崩壊に、しばし茫然となる。 ここに寓意や教訓はあるだろうか? カーソン・マッカラーズは作中で、“愛とは二人の共同体験であるが、二人にとって同等の体験ではない”と、愛の非対称性を語る。 “愛するものは孤独であり愛することは苦痛であっても、ほとんどの人は「愛するもの」になりたがる” “あけすけに言わせてもらえるなら、「愛されるもの」の立場に置かれることは多くの人にとって、深く秘密めいた意味合いにおいて、耐えがたいことなのだ。愛されるものは、愛するものを恐れ憎むが、それには最もな理由がある。なぜなら、愛するものは愛する相手を剥き出しの裸にしようと、永遠に試み続けるからだ。愛するものは愛する相手とのあらゆる関係性を切望する。たとえその経験が本人に苦痛しかもたらさないとしてもだ。” そう、「愛されるもの」が与えられた愛を裏切り、自らを望みのない「愛するもの」へと駆り立ててゆく心理は、決して奇妙なものではないだろう。 幸せと愛が、必ずしも同じ意味ではないということは、誰しもが知ることなのだから。 Cafeを、酒場ではなくカフェと村上春樹さんは訳した。ミス・アミーリアの店は、飲んで人生を一時忘れる場所ではなく、集まって人生に意味があると人々が誇りを取り戻せる場所だった。 オシャレというよりも、老若男女が集う温かく明かりが灯る場所という雰囲気には、“カフェ”が似合うように感じた。 奇妙な愛の行方以上に、カフェの終焉によって町と人びとが再び退屈で無意味な日常へ沈んでいく様に感傷的な余韻が滲んでくる。 アメリカ南部のさびれゆく町そのものが主人公のようにも、感じてくる物語だ。
とても不思議で、一切の救いのない物語。 巨躯で訴訟好きの女性、ミス・アミーリア。圧倒的な人間嫌いのアミーリアに対し、突然出現し、一途な愛を受けることになった病的に小さなカズン・ライモン。この二人が始めたカフェが、町全体を活気づけ、奇跡のような平和をもたらした頃に現れる、前科者で過去に10日間だけミス...続きを読む・アミーリアと結婚していた、マーヴィン・メイシー。 この三者の、愛の一方通行を描きながら、その愛の行き着く先を示す。 マッカラーズの小説に出てくる登場人物は、皆、どこか普通ではない。 普通ではないのだけれども、普通ではないなりに、皆、不思議と歯車が噛み合っている。 そしてその噛み合い具合がとても心地よく、「心は孤独な狩人」などは、それが作品を希代の大傑作たらしめている。 本作は、噛み合わない。全然噛み合わない。 なので、登場人物の普通でなさが際立つ。異様さが際立つ。 神話的なニュアンスさえ感じられるほど異質。 ただ、その異質さは読むことを拒絶するかというと、そういう類いのものでもない。 むしろ引き込まれる。異質さが魅力になっている。 中盤くらいから、明らかに本作が絶望に向かっていることがわかる。 わかっているにもかかわらず、目が離せない。 物語自体の魅力はもちろん、それを語る文章の美しさもある。 マッカラーズは、普通ではない人の、普通ではない行動を実に見事に描写する。 これはひとえに、天才の所業なのだろう。 本作は中編程度で短く、そして山本容子氏の銅版画が挿絵(背景画)となっており、さながら大人の絵本という感じに仕上がっている。 そして大人の絵本というにふさわしい内容。 異様だし、絶望だけど、読みやすい。 この美しい絶望は、マッカラーズのファンでなくても、味わってみて欲しい。
初めて読んだ作家。何とも不思議な作品。どこにも救いかない終わり。それでも、不思議と印象に残る作品だった。
3.7 奇妙な設定の話だが、不思議と惹きつけられた。人が惹き合うのに理由はいらない。惹き合う関係はあっけなく終わってしまう。人生は悲しみに満ちている。
1917年にアメリカ南部に生まれ、23歳で小説家デビューした天才少女、アルコール依存症などで50歳で亡くなられた著者の1951年出版の作品。 村上春樹さんによる訳者あとがきで使われていた「異様性」という言葉がまさにピッタリな、いろんな異様性を背負う登場人物。 山本容子さんの銅版画がさらに印象強く...続きを読む人物像を浮かび上がらせる。 人間の、なめらかじゃない部分、なだらかじゃない部分、が強調されるような、特質。 見た目だけじゃなくて、個性的な性質。 ミス・アミーリアと呼ばれる、カフェ、の店主であり、それ以上にこの物語の中心となっている、アミリア・エヴァンズ。 「せむし」と称される、カズン・ライオン。登場時から不吉不穏。 _自分と世の中のすべての事柄との間に、生き生きとした結びつきを即座に打ち立てられる本能だ。 かつてミス・アミーリアが結婚した、マーヴィン・メイシー、初めから、この男がこの物語で問題を起こすことが記されている。 といいながらも、彼は後半まで実際には登場しない。 でも、彼の不在が彼が忘れ去られていることを全く意味せず、口にされることなく主人公やその他の人々、そしてその町の記憶のなかに強く残っている。 _…カフェの陽気な賑わいにとっての不吉な通奏低音としてそこにあった 読者にとってもこの通奏低音が初めから流されている。 村上春樹さんの訳者あとがきでは、同性愛の関係が語られているとも読み取られている。 小説を介して、一般の言葉で語られないものを描く。 それとは対照的にも、この物語の始まりと終わりに、囚人労働者の歓びある唄声が一瞬流される。 上手くいっているときがオチではない物語を語ること。 なんだろう、結局人は死ぬから?それでも生まれて死ぬまでの間に、 カフェでの賑わいのように、思い返すと人生の一瞬のようでいて実際に5年ぐらい平穏に続いていたりする、かけがえのない時間があって、 結局人と人はすべてを分かり合うことはできないし、いつか別れることになることも多いけれども、 だからといって知り合わなければよかった、というわけではない、なにか分かち合える時間と場所の重みがあったりする。 バラードという一つの物語の奏で方、かなー。
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哀しいカフェのバラード
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カーソン・マッカラーズ
村上春樹
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