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大学時代、一方的に親友4人に絶縁を宣言された多崎つくる。過去を乗り越えるため、36歳になった彼は絶縁の理由を求め元親友たちを訪ねます。次々と明かされる絶縁の真相と深まる謎。衝撃の結末に読み返さずにはいられない作品です。
恥かしながら村上春樹作品をきちんと読んだのはこの作品が初めてでした、好き嫌いが分かれると聞いていましたが、面白さのあまり止まることなく一気に最後まで読み切りました。
私がこの作品をおススメしたいポイントは、解釈が無限に存在するというところです。私は読み終えたとき興奮が冷めやまず、勧めてくれた友人に連絡しそのあと2人で結末について長らく議論を交わしました(笑)
読めばその回数だけ新しい発見があるはずです。あなたもぜひ新しい解釈を見つけてみては^^
Posted by ブクログ
自分が気にしている事項あるいはその優先順位が、自分の関係している他の人と異なる、このことについて、何を気にして何を気にしないか? あるいはその結果、その各人が取ったあるいは発生した行動に対して、どのように評価したり感じたりするのか。そして、これらに対し、人はどこまで責任をとる必要があるのだろうか。
つくるがフィンランドに飛び判明した事項からそんなことを考えた。そして自分でコントロールできない事柄について、どこまで気にするべきであるか?
「色彩を持つ、持たない」ことについても同様。名前という表層の世界でも、実際の活動に対する評価としての「色彩」についても、観念的な世界では極めて主観的である。
苦しんできた、「つくる」とそれを解いていく「沙羅」との関係は一見好ましい感じ、関係であるように見えて、それなりに複雑な関係であり、読者はやはり著者に翻弄されてしまう。
もう一つ理解が難しいのが灰田の存在である。苦しみを乗り越えるステップとして中間点が必要なのか、複雑な「彩り」を加えるためにもうひとつ方向が必要であるのか。「巡礼の年」を登場させるために必要なくだりなのか。その父のエピソードと共に、不思議な位置付け。安保闘争から距離を置くのと、山奥の温泉に逗留してバイトする原体験はどこにあるのか。
本作は村上春樹作品の中でも展開が多彩なほうであり、擬人化した動物らしきものは6本指エピソードだけという、ストレートな小説構成である。これはこれで村上春樹の作品!こんな大それた感想を記してしまうのもまた本作品の複雑さからくる影響のひとつであるのかなーと。
Posted by ブクログ
密な友人たちとの青春時代が唐突に終わったことで傷ついたことのある主人公が、16年経って30代後半になって過去を辿っていく話。
自身が空虚である自覚のある主人公というのに、とても親近感を持ってしまった。現代人によくある話だろうが、それはそれとして自分の実感として。
最初から最後まで割と密度の濃い中編で、近年読んだ中では最も好きな作品だった。気がする。
主人公は切実に傷ついているが、それはそれとして別の人は別の深刻な問題を抱えていてそこの影響を受けている。そこのずらし方のある種の肩透かし感/すれ違い感は『騎士団長殺し』などに似たものもあったが、よりこちらは接している形が分かりやすかったのもあるかも知れない。
最後の章だけ特に描写が細やかになったのが印象的だった。新宿駅ってこんな風に書けるんだ。
個人的に人におすすめもしやすい作品だなと思った。
話として長すぎず短すぎないし、会話や地の文の描写のどちらかに寄っている感じでもないし、それでいて会話が乗ってくるタイミングも描写が乗ってくるタイミングも楽しめる。何より話の重みや口調、描写はしっかりしてくれるが説明はしきれないところ、消化不良感とそれでいて受け止められる感じなどには村上春樹らしさがしっかりあった。
Posted by ブクログ
2回目。1回目の記憶は全くなし。
ただ、切なさと強い共感の記憶だけ残っていた。
だから読んでみた。
序盤、つくるがどのようにして傷つき人生を終わらせたいと思ってしまったかの経緯がとてもつらかった。
わたしはそれを知っているから。
だけど最後、つくるは沙羅を好きになることができて、心を動かすことができて、人を求めることができて、さらにはその気持ちを相手に伝えることができた。つくるは色彩がないなんてことはない。とても魅力的なんだ。エリも、つくるを心から愛していた。間違いなく。
とても感動したシーンだったな。
相手を求めること、期待することってとてもエネルギーがいること。
でもつくるは自分の中の沙羅への気持ちを素直に認め、解放することができた。
沙羅の答えによっては、今度こそ死のうとするかもしれない。すごくわかる。誤解が解け、真相が判明したあとだとしても、過去の傷は癒えないわけだから。
だけどつくるは色彩を持っていた。だからこそ沙羅を愛した。愛してることを伝えられた。
そこで終わってくれてよかった。
つくるが幸せでありますように。
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